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オーバーフロー水槽の設計計算!水回し循環は何回転がおすすめ?

ろ過能力の高さが魅力のオーバーフロー水槽ですが、次のような疑問の声を聞くことがあります。

「流量が弱いor強い」

「意外と水が汚れやすい」

これらの問題の背景には水槽の回転数やポンプの強さなどのバランスが悪い可能性があります。

そこで、今回は水回し循環のおすすめの回転数をふまえて、オーバーフロー水槽の設計計算について解説します!
オーバーフロー水槽を多数扱っている東京アクアガーデンならではのノウハウもご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください!

オーバーフロー水槽と回転数

オーバーフロー水槽の「回転数」は、水質・魚の健康状態と密接に関係しています。

とはいえ、回転数と聞いてもしっくりこない方が多いのではないでしょうか。

意外と知られていないことですが、オーバーフロー水槽を管理するうえで大切なことなので、順を追って解説していきます。

水槽の回転数とは

水槽の回転数とは、「1時間の間に水槽内を飼育水が循環する回数」を指します。

たとえば、水槽内の水が1時間に7回循環したとすると、7回転という認識になります。

最低6回転以上が望ましい!

オーバーフロー水槽の回転数は6回転以上が目安になります。

多くとも8回転までがおすすめです。

ここで気を付けていただきたいのは、この目安は海水水槽やアロワナ水槽のような強い水流とろ過能力が必要な水槽にのみ当てはまる、ということです。

回転数が増えれば、それだけ強い水流が発生してしまうため、水草水槽(※)や水流が苦手な生体がメインの場合は不向きといえます。増えれば増えるだけ良いわけではない点が、回転数の難しいところです。

※オーバーフロー水槽での水草育成は、成長に必要なCO2が逃げやすいこともあって推奨されていませんが、CO2をそこまで必要としない水草であれば可能です。

オーバーフロー水槽で淡水魚や水草育成を行う場合は、コチラの記事も参考にしてください。

流量の見方と目安

理想の回転数がわかったら、次はポンプの「流量」に着目しましょう

流量が少なければ回転数は減り、多ければ増えます。

たとえば、「回転数を8回にしたい」という場合、流量が少ないポンプを使ってしまうと目的の回転数に達しないこともあるため、ポンプ選びでは欠かせないポイントです。

流量の計算式

希望する回転数に合った流量は次の計算式で算出することができます。

【流量=(水量×希望回転数)÷60】

流量:L/min 水量:L

たとえば、90cm水槽で回転数を6回にしたい場合、水槽の水量を190リットル程度とすると、

19/min=(190L×6)÷60

1分間に19リットルの流量(吐出量)を維持できるポンプを選ぶ必要があります。

ポンプは流量で選定して良い?

ポンプを選ぶ際は流量を基準に選定することをおすすめします

そもそもポンプの役割は水を循環(ろ過)させることなので、水槽や生体に合った流量が維持できないポンプは向いていません。

サイズやランニングコストも気になるところですが、迷ったら流量を最優先で選ぶと失敗せずに済みます。

オーバーフローにおすすめのポンプ

オーバーフロー水槽におすすめのポンプを大きく分けると、「水中ポンプ」と「マグネットポンプ」の2つです。

それぞれに特徴や適した水槽サイズがあるので、目的の水槽に合ったポンプを選ぶためにも確認しておきましょう。

おすすめのポンプについては、コチラの記事も参考にしてください。

水中ポンプ

NEWA ジェット NJ1700 50Hz

水中ポンプは小型~中型水槽で使用するポンプです。

120cm以下の水槽で使われるのが一般的で、濾過槽(ポンプ室)に入れるだけと接続も簡単。価格もマグネットポンプより控えめです。

一方で、150cm以上の大型水槽では流量が足りないので、おすすめしません。

マグネットポンプ

レイシー マグネットポンプ RMD-201

マグネットポンプは150cm以上の大型水槽用です。

流量が多いため、水量の多い水槽で回転数を維持したい場合にはマグネットポンプをおすすめします。ただし、濾過槽に入れるだけの水中ポンプとは違って、外部に設置して接続しなければいけないので、多少の配管技術が必要です。

加えて、価格も高いため、導入する場合は初期費用がかかることも念頭に入れておきましょう。

配管接続については、コチラの記事も参考にしてください。

全揚程と回転数の考え方

ここまで、回転数を中心にお話ししてきましたが、もう1つ知っておいていただきたいことが「全揚程(ぜんようてい)」です。

聞き慣れない単語かもしれませんが簡単に言うと、「水を押し上げる力にかかる抵抗を差し引いたポンプの能力(押し上げられる高さ)」。

全揚程が高いとそれだけ水を循環させられるので、水槽の回転数は増えます。ただし、全揚程は循環を妨げるさまざまな抵抗の影響を受けるため、どのようなものが関与しているのか知ってくことが重要です。

配管や接続機材で回転数は変わる

全揚程に関与して回転数を変える要因は、主に次の5つです。

  • 水槽台と水槽の高さ
  • 配管構造
  • 接続する機材の数
  • 濾過槽の層数
  • ろ材の目詰まり具合

これらの抵抗が増すと、それだけ全揚程も下がり結果的に回転数が落ちてしまいます。

これが意外と盲点で、ろ材を増やしたりサブフィルターを付けたりすると、一見ろ過能力が上がるように感じますが、実は回転数が落ちて、ろ過能力が大して変わらない、もしくは逆に下がってしまうことも。

このバランスを取ることは簡単ではないものの、理解できると抵抗を増やして回転数を抑えたり、減らして回転数を上げたりなど、理想の回転数に近付けることもできます。

ろ材の影響と清掃の重要性

オーバーフロー水槽は濾過槽に大量のろ材を入れられることがメリットです。

しかし、目詰まりを起こすと、ろ材が多いだけに抵抗も増えて回転数がガクッと落ちてしまいます。とはいえ、オーバーフロー水槽の濾過槽は掃除しやすいので、大きな負担になることはありません。

淡水水槽の場合は2~3ヶ月に一度、ろ材を掃除するようにしましょう。

一方で、海水水槽の場合はろ材によってはほとんど掃除しなくてもよい場合があります。サンゴろ材を使うと目詰まりを起こしにくいので、おすすめです。

オーバーフロー水槽の掃除については、コチラの記事も参考にしてください。

まとめ:オーバーフロー水槽の設計計算!水回し循環は何回転がおすすめ?

オーバーフロー水槽の設計では、水槽の回転数を意識することがとても大切です。

6回転以上を目安にして、多くとも8回転までがおすすめですが水流の強弱に影響するので、飼育する生体に合わせた回転数に調節するようにしましょう。配管や接続機材、ろ材の掃除具合によって回転数が変わる点も忘れてはいけないポイントです。

回転数を自由に調節できると水質と水流の管理が上手くなるので、魚や水草により良い環境で過ごしてもらうことができるようになりますよ。

オーバーフロー水槽や濾過槽は東京アクアガーデンのオンラインショップでも取り扱っておりますので、お探しの方はご覧になってみてください。