

水槽立ち上げ時にパイロットフィッシュが死んだ!失敗の原因と対策
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水槽の立ち上げ方について調べていると、最初にパイロットフィッシュの飼育をおすすめしている記述を目にすることがあります。
しかしセオリー通りに水槽を立ち上げてみたものの、パイロットフィッシュがすぐに死んでしまって次の手順に進まない、というケースが多いのも事実。
水槽立ち上げのときにパイロットフィッシュが死んでしまう原因には、次のようなことが考えられます。
- 魚を入れる時期が早すぎた
- 水換えのやりすぎ・不足
- ろ過フィルターのパワーが足りない
そこで今回コラムでは、初めてアクアリウムに挑戦する方や、水槽の立ち上げに失敗した経験がある方に向けて、パイロットフィッシュが死んでしまう原因と対策、バクテリア剤の効果などをご紹介します。
目次
プロアクアリストたちの意見をもとにパイロットフィッシュが死ぬ原因と対策を解説
このコラムは、東京アクアガーデンスタッフであるプロのアクアリストたちの意見をもとに作成しています。
パイロットフィッシュが死んでしまう原因はいくつか考えられますが、共通しているのが水槽の飼育水が生き物を飼育する状態になっていないということです。
水質を安定させて、立ち上げ初期のトラブルを乗り越えましょう。
ここでは、実務経験から得た知識をもとに、パイロットフィッシュが死ぬ原因と対策を解説します。
パイロットフィッシュの役割とは
水槽を立ち上げる際にパイロットフィッシュの導入をおすすめしているのには、いくつか理由があります。
まずは、パイロットフィッシュの必要性や役割について改めて確認してみましょう。
水槽内にバクテリアを定着させる
パイロットフィッシュが持つ役割の一つ目が、真新しい水槽にバクテリアを定着させることです。
魚やエビなどの生き物を長期的に飼育していくには、水質が安定した清潔な水が欠かせません。この理想的な飼育水の維持に貢献するのが、有害な物質を毒性の少ない硝酸塩に分解してくれる、硝化バクテリアという微生物の働きです。
この硝化バクテリアが成長・繁殖するためにはアンモニアが必要となるのですが、アンモニアは魚やエビなどの生き物が活動する過程で発生する物質。
そこで登場するのがパイロットフィッシュです。
水質の変化に丈夫なパイロットフィッシュをまず水槽に入れて、硝化バクテリアの餌となるアンモニアを発生させることで、硝化バクテリアが正しく働くサイクルを整えます。
魚を飼育できる環境かチェックする
水槽に水を張ってろ過フィルターを稼働させて…と水槽の中の環境をできる限り整えても、水の見た目は変わりません。
本当に魚が住める環境になっているのかどうか、人間が外から判断するのは非常に難しいのです。
そこで、水質や環境の変化に強い魚に実際に棲んでもらいます。これがパイロットフィッシュの二つ目の役割、飼育水のテスターのようなお仕事です。
もし、亜硝酸中毒などの放っておくと魚が全滅してしまうような問題が起きたとしても、パイロットフィッシュだけならば被害を最小限に食い止めることができます。
パイロットフィッシュが問題なく飼育できるようになったら、水槽の中の環境が整ってきた証拠です。
頃合いを見て他の魚を導入する目安になります。
水槽が立ち上がらない!失敗の原因と対策
続いては、水槽の立ち上げ中にパイロットフィッシュが死んでしまう原因について考えていきましょう。
パイロットフィッシュが死んでしまう原因は、死んでしまったタイミングによっても異なります。
水槽に入れた直後なのか、水換えをしたら死んでしまったのか、それとも他の魚を入れた後なのか、状況を見極めることが大切です。
ご自分の水槽で思い当たる節がないか確認してみてください。
パイロットフィッシュの数が多すぎた
水槽を早く立ち上げるためにパイロットフィッシュを多く入れよう!と思われる方もいるかもしれませんが、実はこれは良くありません。
水槽を設置したばかりの頃は硝化バクテリアが定着しておらず、ろ過のサイクルもまだ確立していないため、ちょっとしたきっかけで水質が急変しやすいです。
パイロットフィッシュを入れ過ぎてしまうとバクテリアのろ過能力を超えるアンモニアが発生して、水質の悪化や中毒症状を引き起こし、パイロットフィッシュが弱る・病気になる・死ぬといったトラブルの原因になります。
対策:パイロットフィッシュは最小限にする
水槽を立ち上げた直後は、パイロットフィッシュの数も最小限にするのが正解です。
生体の数が少なければ水が汚れるスピードも緩やかになるので、水質が安定して管理もしやすくなります。
水槽を立ち上げるときのパイロットフィッシュの数は、水槽サイズや水量によって異なります。
例えばアカヒレをパイロットフィッシュにする場合は、以下の飼育数が目安ですので、参考にしてみてください。
- 小型水槽:1~2匹程度
- 中型水槽:3~5匹
- 大型水槽:10匹程度
飼育魚を入れる時期が早すぎた
飼育魚を追加した直後に、パイロットフィッシュやその他の魚が死んでしまったのだとしたら、魚を増やすタイミングが早すぎたのが死因と考えられます。
適度に水換えをして、ろ過フィルターも使っているから水質は大丈夫!と思われるかもしれませんが、パイロットフィッシュを入れてから数日程度では、さすがに水質は安定しません。
立ち上げ途中の水槽にいきなり大量の生き物を入れると、水が汚れて水質が急変してしまい、あっという間に魚が全滅してしまうようなケースも多いです。
対策:亜硝酸塩が0になるまで待つ
パイロットフィッシュを入れてから水槽が安定するまで、大体3週間~1ヶ月程度はかかると言われています。
少なくともこの期間は、魚を増やさずに様子を見るようにしてください。
また、立ち上げ期間を過ぎた後も水質の良し悪しを自己判断するのは禁物。先程もお話した通り水の状態は見た目では判断できませんので、水質検査薬を使った結果を元に、魚を導入するタイミングを見極めましょう。
パイロットフィッシュ以外の魚種を導入するタイミングは、飼育水から検出される亜硝酸塩の数値が0になるのが目安です。
水質検査薬は水換えのタイミングを確認したり、不調の原因を探ったりするときなどに何かと重宝します。
ホームセンターのペットコーナーやアクアリウムショップ、通販サイトで購入できますので、ストックしておきましょう。
水換えのやりすぎ・不足
水換えの頻度もパイロットフィッシュの不調と大きく関係します。
パイロットフィッシュだけを飼育している段階でも、水質維持のために水換えは必須。特に水質が安定していない立ち上げ直後は、普段よりもこまめな水換えを求められるケースもあれば、やり過ぎて水質の急変を招いてしまうこともあるなど、水換えのペースをつかむのが難しいです。
パイロットフィッシュの数や飼育目的の生き物を入れるタイミングに問題がないのに死んでしまう場合は、水換えのペースや換水量などを見直してみましょう。
対策:水の汚れに合わせて水換えペースをかえよう
水槽を立ち上げたばかりの頃は水質が安定しづらいため、水換えのペースや換水量は水質検査薬で飼育水の状態をその都度確認しながら決めていく必要があります。
検査結果をもとに、水換えのタイミングや換水量を決める目安は以下の通りです。
- アンモニアが発生:毎日2/3程度の水換え
- 亜硝酸が検出されはじめた:許容値までこまめに水換え
硝酸塩の数値が安定していても水換えのタイミングや換水量を間違えると、バクテリアが育ちにくくなり立ち上げに失敗してしまう確率が高まります。
バクテリアがしっかりと育って定着するまでは、焦らず確実な管理を続けるのがポイントです。
ろ過フィルターのパワーが足りない
ろ過フィルターのパワー不足が原因で、パイロットフィッシュが死んでしまうこともあります。
ろ過フィルターには汚れをろ過して水をきれいに保つほかに、水中に酸素を供給する役割があるのですが、酸素は魚たちだけでなく水を綺麗にしてくれる硝化バクテリアが活動するためにも必要です。
そのため、ろ過フィルターのパワー不足で水中の酸欠が起こると、硝化バクテリアが死滅して、定着・繁殖の過程に支障をきたすことも。
という負のサイクルに陥る可能性もあるため、ろ過フィルターの選定には気を配りましょう。
対策:フィルターは水量に合わせて選ぼう
水中の酸欠を防ぐためには、まず水槽サイズや水量に合わせた適切なろ過フィルターを選ぶことが大切です。
パワーが不足すると酸欠や水質の悪化といったトラブルにつながるため、できれば少し余裕がある機種を選ぶと生き物が増えても管理がしやすいでしょう。
ろ過フィルターの買い替えが難しいときは、エアレーションを追加するだけでも酸欠の予防になります。
また、ろ過フィルターのろ過方式は、今後飼育する予定の生き物に合わせて選定するのがおすすめです。
例えば、金魚やメダカといった水質の変化に強い魚種ならば投げ込み式やスポンジフィルターが使いやすいですし、水質に敏感な熱帯魚の飼育や本格的な水草水槽を目指すならば、最初から外部式フィルターを設置しておけばステップアップがしやすくなります。
水槽立ち上げとバクテリア剤の効果
最近はホームセンターや100円ショップでも見かけるアクアリウム用のバクテリア剤は、その名の通りバクテリアが含まれたコンディショナーで、アクアリウムメーカー各社から、いろいろな商品が販売されています。
水槽の立ち上げにはバクテリアの安定した働きが不可欠です。
バクテリアを早く増やして水質を安定させたいところですが、水槽の立ち上げにバクテリア剤を使用すると、水質の安定は早まるのでしょうか。
ここからは水槽立ち上げにおけるバクテリア剤の有効性について考えていきましょう。
水槽の立ち上げにバクテリア剤は有効
水槽を立ち上げるときにバクテリア剤を使用すれば、バクテリアが水槽内に供給されるので水質の安定が早まる可能性が高いです。
ただし、せっかく入れたバクテリアも水槽内に定着しなければ意味がありません。
バクテリア剤を添加して終わりではなく、入れたバクテリアが活性を保てる環境を意識して整えてあげることが重要です。
- 酸素が豊富で清潔な環境を維持する
- 水温を安定させる
- バクテリアが定着しやすい多孔質な素材のろ材や底砂を選ぶ
といった工夫をするだけでも、バクテリアはしっかり定着して活動してくれるようになります。
バクテリア剤はあくまで水質を安定させる手助けをしてくれるものと位置付けるのが適切です。
バクテリア剤の選び方
バクテリア剤は様々なメーカーから販売されており、それぞれ含まれているバクテリアの種類や特徴が異なります。
大容量でコスパが良いもの、飼育水の透明度を高めてくれるもの、水質が安定しやすくなるものなどがありますので、目的に合ったものを使用しましょう。
インターネット通販では、実際に使用した人の実績やレビューが書き込まれているので、そうした意見を参考にすると効果がわかりやすいです。
また、水槽立ち上げ時に使用する上で注意したいのが凝集成分が入ったバクテリア剤です。
凝集成分には、汚れを集めて水を透明に見せる効果があるのですが、水槽立ち上げ直後では、水が綺麗になった理由が凝集成分の力なのかバクテリアが繁殖したことによるものなのかが判断しづらく扱いが難しいことがあります。
バクテリアが十分に増えたか、バクテリア剤の効果があったかは見た目で判断せずに、水質検査薬で確認することを徹底してください。
硝酸塩のみが検出されるようになれば、バクテリアが定着したと判断できます。
バクテリア剤を使う注意点
迅速にバクテリアを増やしたいときに重宝するバクテリア剤ですが、使い方を間違えると逆効果になってしまうことがあります。
まず、バクテリア剤はたくさん添加すれば良いというものではありません。量が多すぎるとバクテリアが水中の酸素を必要以上に消費して、酸欠を引き起こす危険があります。
酸欠はバクテリアの大量死滅を招いて、水質を悪化させる要因になりますので、くれぐれも用法用量は守るようにしましょう。
またバクテリアを添加しても、アンモニアの過不足、亜硝酸塩など水中の他の成分とのバランスが悪いと、うまく定着・繁殖ができないことがある点も要注意です。
この場合も思ったように水質が安定しなかったり、水質が悪化してパイロットフィッシュが死んでしまったりといったトラブルの引き金になる可能性があります。
バクテリア剤を使うときは用法用量をしっかり守ること、また添加後はこまめに水質検査薬を使用して、水質の確認を行うことが大切です。
まとめ:水槽立ち上げ時にパイロットフィッシュが死んだ!失敗の原因と対策
今回は水槽立ち上げ時にパイロットフィッシュが死んでしまう原因やその対策、バクテリア剤の使用についてお話ししました。
パイロットフィッシュが死んでしまう原因はいくつかありますが、すべてに共通しているのが、水質の状態が整っていない状態で物事を進めようとしてしまっているということです。
魚を飼育する上で水質の安定は必須。水槽を立ち上げた直後は水をきれいにしてくれるバクテリアが少なくて、水質が急変しやすいため、まずは焦らずにパイロットフィッシュが安定して飼育できる環境を目指しましょう。
また、水質の確認は感覚で行うのではなく、特に最初のうちは水質検査薬を使って確実に状態を把握することが大切です。
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