水槽に魚を入れるまでのながれ!水を張ってすぐに入れてはいけない理由
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水槽に水を張っても、すぐには魚を入れられないことは、アクアリウムを始める前に知っておきたい基礎知識です。
実は水槽に水を入れただけでは、まだ熱帯魚を飼育できる環境は整っていません。
機材の動作確認をしなければなりませんし、何より、水質の安定に欠かせないろ過バクテリアが育っていないことも大きいです。
これらの事象をクリアすることで、初めて水槽が立ち上がった=魚を飼育する環境が整ったと判断することができます。
稼働して間もない水槽に魚を入れてしまうと、体調を崩してしまうこともありますので、しっかり環境を整えてから飼育を始めましょう。
ここでは、水を張ってすぐに魚をいれてはいけない理由をふまえて、水槽に魚を入れるまでの流れを解説します。
目次
プロアクアリストたちの意見をもとに水を張ってから魚を入れるまでの流れを解説
このコラムは、東京アクアガーデンスタッフであるプロのアクアリストたちの意見をもとに作成しています。
水槽と熱帯魚を購入し、いざアクアリウムを始めよう!と考える方は多いのですが、実は、水を入れたばかりの水槽の中にいきなり魚を入れてしまうと、体調を崩すなどのトラブルに見舞われることがあります。
魚を入れずにしばらく試運転をすることで、有用なバクテリアが育ち、魚が住みやすい環境になっていきますので、魚を導入するタイミングを見誤らないようにしましょう。
ここでは、実務経験から得た知識をもとに、水を張ったばかりの水槽に魚を入れてはいけない理由と、水槽に魚を入れるまでの流れを解説します。
水を張ってすぐに熱帯魚は入れてはいけない?
アクアリウムを始めるとき、水槽と魚を一緒に購入してきてしまう方がいますが、これは失敗の元。
水槽に水を張ったからといって、すぐに熱帯魚を飼育できるわけではないからです。
まずは、水を張ったばかりの水槽に熱帯魚を入れてはいけない理由をお伝えします。
水を張ってすぐの水槽は環境が整っていない
一見熱帯魚を入れても問題ないように見える水を張ってすぐの水槽ですが、内実はカルキを抜いただけのただの水道水で、熱帯魚を飼育する環境が整っているわけではありません。
熱帯魚を飼育するには、
- 水温の調整
- 水質の調整
- 硝化バクテリアの繁殖
の3つの条件クリアする必要があります。
水温、水質については、主に水槽用ヒーターやろ過フィルターを使って調整します。ただ、機材に不具合がある可能性がありますので、数日から1週間程度、魚を入れずに試運転を行い、動作に異常がないことを確認しながら環境を整えていきましょう。
そして、こちらが特に重要な硝化バクテリアについて。ろ過バクテリアとも呼ばれるこれは、フンや餌の食べ残しなどから発生する、水の汚れの原因になる成分を無害なものに変化させてくれる、水質の安定には欠かせないとても大切なものです。
硝化バクテリアは、水の中で自然発生し、底砂やろ過フィルターの中に棲みつきますが、水槽の水を綺麗にしてくれるぐらいに増えるには時間がかかります。市販のバクテリア剤を入れればすぐに増やすこともできますが、しっかり定着させるには、やはりある程度の時間を置いた方が安心です。
硝化バクテリアの数がまだ少ない水槽の中に、熱帯魚を大量に入れてしまうと、バクテリアの処理が追い付かずに水質が急激に悪化し、魚が中毒を起こしてしまう危険もあります。ろ過サイクルが整い水質が安定していることを確認してから、飼育を始めるのが賢明です。
魚を水槽に入れるタイミングは?
では、次に実際に熱帯魚を水槽に入れるタイミングについてです。
一概に言えるわけではありませんが、基本的には、水を張り、機材の試運転を5日~7日程度行った後、ということになります。
ただし、このタイミングでは、パイロットフィッシュ(水質や水温の変化に強い丈夫な魚)を数匹程度入れて様子を見てください。
パイロットフィッシュに選ばれる魚はどれも丈夫な性質のものですので、水槽の環境を測るのには最適な魚といえます。
この魚たちを3週間~1ヶ月程度飼育してみて、問題なければ、少しずつ魚を増やしていきましょう。
水槽に魚を入れるまでのながれ
魚を水槽に入れる前にいくつかの条件をクリアすることで、立ち上げ当初の失敗を減らし安定した飼育を実現することができます。
ここからは、魚を水槽に入れるまでのながれということで、
- 水槽設置
- 機材の試運転
- 水合わせ
以上、3つの工程に分けて具体的に解説します。
1.水槽を設置する
水槽の設置は、砂利やろ過フィルター、水槽用ヒーターなどの必要な機材をすべてを配置するまでの工程です。
設置場所の水平を確認してから、水槽を設置し、機材を取り付けたら、砂利や水草をレイアウトします。
最後に水を入れて、水槽のセッティングが完了です。
2.水槽設備の試運転を行う
魚を入れるまでの工程で特に見逃しがちなのが、機材の試運転です。
試運転をせずに魚を入れてしまうと、機材トラブルが起きたときに、対処が難しくなってしまいます。
例えば、
- ろ過フィルターの不調によって水質悪化や酸欠が引き起こされる
- 水槽用ヒーターの異常で水温が上がらない・過上昇してしまう
など、機材の不調で起こるトラブルは、熱帯魚が飼育できないほどの事態を引き起こすことにもなりかねません。
機材の試運転は、水を張った水槽の中で5~7日程度機材を動作させて行います。稼働させてみて水温や水質に問題がなければ、次の水合わせの工程に進みましょう。
3.水合わせ
魚を水槽に入れる工程の最後は、水合わせです。
水合わせは、水質や水温の急変を抑えて、魚がショック症状を起こさないようにするために必要な作業です。
しかし、正しい方法でなければ魚に負担をかけてしまいますので、慎重に行いましょう。
最初はパイロットフィッシュを入れる方法もある
先ほども触れましたが、初めて水槽に魚を入れる場合は、パイロットフィッシュを数匹入れて様子を見ます。
パイロットフィッシュは、水槽の中が魚を飼育できる環境になったか確認するチェッカーの役割を果たしたり、より良い方向に整えてくれたりする大切な魚。特に硝化バクテリアの増殖においては、パイロットフィッシュは無くてはならない存在です。
というのも、硝化バクテリアの増殖には栄養が必要なのですが、この栄養は熱帯魚などの生物が出すフンや餌の食べ残しから発生する有機物です。
ある程度の生き物を水槽に入れることで、硝化バクテリアの働きが活性化して、水質が安定していきます。
ただ、飼育予定のない魚をパイロットフィッシュとして用意するのも大変ですので、もし飼育したい魚がいる場合は、その中から比較的大型化せず、丈夫な魚種を選んで数匹から飼育を始めていくのでも問題ありません。
また、魚の単独飼育を考えているときは、パイロットフィッシュを使わずにそのまま飼育を開始する方法もあります。
この場合、水質の安定を待つことなく飼育を開始しますので、こまめな水換えを心がけながら3週間、問題なく過ごすことが最初の課題です。水質が不安定だと感じたら、バクテリア剤を使用するなどして都度対処していきましょう。
水温を合わせる
魚を購入してきたら、まずは、購入してきた袋をそのまま水槽に浮かべて水温を合わせます。
特に、メダカなど比較的水質変化に強い魚の場合は、水合わせよりも水温合わせの方が重要です。
袋の内部と水槽の水温が同じになるには、20分以上かかりますので、しばらく水槽に浮かべておきましょう。
水温合わせの時間が短いと、次の水合わせの工程で水槽の水を混ぜ合わせる際に魚の負担になりますので、時間は守るようにしてください。
水槽の水を混ぜて水質に慣らす
水温合わせが終わったら、袋の水ごと魚をバケツなどの容器に移してください。
次に、バケツの水を1/3程度捨て、水槽の水を同量少しずつ注いで水質に慣らしていきます。いっきに水を入れてしまうと水質が急変してショックを起こすことがあるので、注意してください。
この時、『水合わせキット』を使うと、少量の水を一定の間隔で入れられるため、水質の変化を最小限に抑えられます。固定すれば手を放しても勝手に水が流れ落ちますので、手間もかかりません。
上記の作業を3~4回程度繰り返して、水槽の水に魚を慣らしていきます。
水槽に魚を移す
水質に慣らしたら、いよいよ水槽に魚を入れます。バケツから魚だけを掬ってそっと水槽に移しましょう。
この時、バケツの水ごと水槽にいれるのは絶対に避けてください。
バケツの中には、購入してきたときの袋の中の水が混ざっていますが、この水には雑菌やアンモニアなど、有害なものが混入している可能性があるためです。感染力の強い病原菌の場合は少量でも水槽に蔓延してしまうことがあります。
トラブルを避けるためにも、バケツから水槽に移動する際には、魚のみ網ですくって移すようにしましょう。
4.魚を追加するには
最初の魚の飼育を始めてから3週間~1ヶ月程度経過し、この間に特にトラブルがなければ、魚を追加することができます。
先住の魚との相性や水質を考慮しながら、新しい熱帯魚を選んでみましょう。
しかし、一気に数を増やすと水質が急激に悪化してしまう危険がありますので、少しずつ増やすのが基本です。
また、魚同士にも相性がありますので、追加した直後は小競り合いなどのトラブルが起きていないか、様子を観察するようにしてください。
ビオトープに魚を導入するタイミング
水槽に魚を追加するタイミングついて解説してきましたが、ここからは、屋外のビオトープに魚を導入するタイミングをご紹介します。
屋外飼育ならではの注意点も解説しますので、ビオトープを始めたい、もしくは新しく魚の導入を検討中の方はご覧になってください。
魚を入れるのは水を張ってから10日後が目安
ビオトープでは、基本的にろ過フィルターや水槽用ヒーターといった飼育機材を使用しないため、試運転はありません。
その代わり、水草や植物を多く取り入れて自然に近いサイクルを再現することで、水質の安定を目指します。
生体は数匹から導入していく
目安の日数が経過したら魚を入れていきます。導入の仕方は屋内飼育の水槽と変わりません。
丈夫な魚種を数匹から開始し、3週間程度問題なく飼育が出来たら、少しずつ飼育数を増やしていきましょう。
最初に入れる魚種についてですが、そもそもビオトープで飼育できる魚は丈夫な種類がほとんどですので、最初から目当ての魚を入れてしまって問題ありません。
また、ビオトープに魚を入れる際にも、水槽と同様、水合わせと水温合わせをする必要がありますので、忘れずに行ってください。
水質変化に強い魚種がおすすめ
ビオトープで飼育する生き物は、丈夫で気温や天候の変化にも対応できるのが基本です。
水質や水温の変化に強い丈夫な魚・生体としては、
- メダカ
- アカヒレ
- 金魚
- ドジョウ
- ミナミヌマエビ
- ヤマトヌマエビ
といった種類が挙げられます。
ろ過フィルターや水槽用ヒーターなどの機材が使えないため、水温を一定に保つ必要のある熱帯魚はビオトープには向いていません。
日本の自然界にも生息する、メダカやドジョウ、エビ類などがメインとなります。
まとめ:水槽に魚を入れるタイミングとは!水を張ってすぐに入れてはいけない?
今回は水を張ってすぐに魚をいれてはいけない理由をふまえて、水槽に魚を入れるまでの流れをご紹介しました。
水槽に水を張ったら魚を入れたくなりますが、実際はまだ環境が整っていませんので、飼育機材の試運転と環境を落ち着かせるために、5日~1週間ほど待ってから導入しましょう。魚を増やすときには少しずつ増やしていきます。
魚を急に水槽やビオトープに放すと、水質・水温が急変してショック症状を起こしてしまうか可能性がありますので、20分以上水温合わせしたり、デリケートな生体には水合わせキットによる点滴法を行ったりして環境を急変させないことも重要です。
魚を水槽に入れるタイミングと正しい水合わせの方法がわかると、飼育始めで魚が体調を崩す可能性が大幅に下がりますので、ぜひ、実践してみてください。
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