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アクアリウムにおけるろ過には、生物ろ過・物理ろ過・化学ろ過の3種類があります。それぞれで役割が異なるので、ろ材についても適切な物が必要です。
生物ろ過にはバクテリアの住処となる球状やリング状に成形されたセラミックスが、物理ろ過にはゴミをキャッチしやすいウールマットなどが、化学ろ過には有機物を吸着する活性炭などが用いられています。
ここでは、それぞれのろ材についておすすめ商品やろ材交換のタイミングなどをご紹介します。
目次
プロアクアリストによる適切なろ材の選び方とおすすめ商品のご紹介
このコラムは、東京アクアガーデンに在籍するアクアリストたちの経験・意見をもとに作成しています。
東京アクアガーデンには、5000件を超える水槽設置・管理の実績があります。
水槽の水を綺麗に保つにはろ過が欠かせませんが、このろ過にはろ材が必要不可欠です。ろ材にも様々な種類がありますので、適切なものを選ぶことでろ過の効果が発揮されます。
ここでは、実務で培った経験を元に、適切なろ材の選び方とそれぞれのろ材のおすすめ商品をご紹介しますので、ぜひろ材選びの参考にしてみてください。
ろ材の種類と選び方とは
セラミック製のものやウールマット、活性炭など、ろ材には様々な種類が販売されています。
見た目も材質もまったく異なるこれらのろ材は、それぞれ適切な場所で使用することで最大限の効果を発揮します。
まずは、ろ材の選び方について解説していきましょう。
生物ろ材・物理ろ材・化学ろ材がある!
アクアリウムにおけるろ過には、生物ろ過・物理ろ過・化学ろ過の3種類が存在し、ろ材についてもそれぞれに対応した物があります。
特徴 |
主なろ材の種類 |
|
---|---|---|
生物ろ過 |
ろ過バクテリアの働きを利用して、有害なアンモニアなどの物質を低毒化する |
セラミックろ材、ゲルろ材、粗目サンゴ砂 |
物理ろ過 |
水の中に浮遊するゴミや汚れをフィルターでこし取り、物理的にろ過する |
ウールマット |
化学ろ過 |
科学的な原理を用いて、悪臭や汚れの原因物質を吸着し取り除く |
活性炭、ゼオライト |
それぞれのろ過方式と適切なろ材についてもう少し詳細に説明していきます。
生物ろ過(生物ろ材)
生物ろ過は、水を綺麗にしてくれる有用なバクテリアの力を借りて行うろ過方法です。
このバクテリアは生体の代謝によって生じた有害なアンモニアを、比較的無害な亜硝酸塩→硝酸塩へと変えてくれます。
外部フィルターなど、セラミックろ材を多く入れられるろ過方式はこの能力が高いです。
バクテリアの力を借りたろ過方法のため使用するろ材(生物ろ材)には、バクテリアの住み着きやすい小さな穴がたくさん開いているようなもの(多孔質)が望ましいです。セラミックス製のろ材やゲルろ材、粗目のサンゴ砂などがそれにあたります。
物理ろ過(物理ろ材)
大きな物理ろ過は飼育水中のゴミなど、汚れを除去するための工程です。
排泄物や餌の残りなどの有機物をそのまま放置すると腐敗が進み、水槽内で悪臭を放ちます。そうなる前にフィルターでこし取り、取り除くのが物理ろ過です。マリンアクアリウムにおいては物理ろ過に特化した、「プロテインスキマー」が重宝されています。
物理ろ過で使用するろ材(物理ろ材)には、通水性が良くゴミをキャッチしやすいウールマットなどを使用することが一般的です。
化学ろ過(化学ろ材)
最後に化学ろ過について。こちらは飼育水中の黄ばみや濁り、悪臭の原因になる物質をろ材に吸着させて取り除くろ過方法で、ろ材(化学ろ材)には主に活性炭やゼオライトが用いられます。
ただし、化学ろ過はあくまでサブ的な役割で、上述した生物ろ過・物理ろ過がしっかり機能している水槽では必要ないことが多いです。生物ろ過・物理ろ過をしているにもかかわらず水の濁りが取れない、立ち上げたばかりで水質が安定しないときなどには化学ろ過を行うと一時的に状況が改善することがありますが、化学ろ過に頼らずとも水槽の環境が安定することが理想です。
化学ろ過を行う時には合わせて、フィルターのスペックや水槽の環境、メンテナンス頻度などを見直してみることをおすすめします。
基本は細かい穴のある多孔質のろ材を選ぼう!
アクアリウムのろ過において最も重要なのが生物ろ過です。
生物ろ過が機能していない水槽では、水が汚れやすくトラブルも起きやすいです。水換えも頻繁に行わなければならず、熱帯魚の負担になってしまいます。
生物ろ過が働くようになれば、水中に溜まっていくアンモニアを分解してくれますので、水質が安定し、生き物が心地よく健康に過ごすことのできる環境を整えることができるでしょう。
ろ材を選びに迷ったらまずは生物ろ過に重点を置いて、バクテリアの住みやすい多孔質のろ材を選んでみることをおすすめします。
生物ろ過のおすすめろ材・厳選3選
生物ろ過には、バクテリアの住み着きやすい多孔質な素材で作られた球状・リング状のろ材がおすすめです。
ここからは生物ろ過におすすめのろ材を3つご紹介します。
リングのサイズや使用感が商品によって異なりますので、ご自分の水槽に合わせたものを選ぶ参考にしてみてください。
■エーハイム サブストラット プロ
エーハイム サブストラット プロは、生物ろ材の最強とも呼ばれることもある、球状のろ材です。
ろ材一つ一つが球形をしているのでゴミによる目詰まりが起き難く、流量の減少によるろ過能力の低下を防ぐ設計になっています。ろ材は細かい穴のある多孔質な形状になっているため、バクテリアの定着もスムーズです。
生物ろ過を強化したいときろ材選びに迷ったら、まずはこちらのろ材を試してみることをおすすめします。
■パワーハウス ベーシック シリーズ
パワーハウス ベーシック シリーズは、pHを調整する効果が期待できるセラミックス製のリング素材です。
ソフトタイプとハードタイプがあり、ソフトタイプはOH-(水酸イオン)を吸着するとともにH+(水素イオン)を放出するので、水質を弱酸性に維持する手助けをしてくれます。対してハードタイプは、pHを弱アルカリ性に傾けてくれる傾向にあります。
どちらもSとMの2サイズが展開されており、それぞれ使用感が異なるのが特徴です。Sサイズは水槽の立ち上がりが早く、ろ過能力もたかいのですが、その分目詰まりがしやすくこまめなメンテナンスが必要となります。対してMサイズは万能タイプで、あまり手入れに時間をかけたくない方におすすめです。
タイプやリングサイズの違いに特徴がある商品ですので、飼育環境によって使い分けると良いでしょう。
■パワーハウス カスタム シリーズ
パワーハウス カスタム シリーズは上記でご紹介したパワーハウス ベーシッ クシリーズの強化版です。
表面に加工が施されており、バクテリアの定着性が向上しています。水質に敏感はビーシュリンプ類を飼育している淡水魚水槽や、水質を安定させるのにコツがいるマリンアクアリウムでは、こちらのカスタムシリーズの使用をおすすめします。
ご紹介したパワーハウスの商品は、淡水・海水どちらでも使用することができますので、飼育している生体や環境に合わせて最適なものを探してみてください。
物理ろ過のおすすめろ材・厳選3選
続いて物理ろ過におすすめのろ材3選をご紹介します。
物理ろ過には、ゴミを絡めとって逃がさないウールマットなどのろ材がおすすめです。フィルターに合わせてハサミで簡単にカットできて加工しやすい、などの使い勝手の良いものを見つけてみましょう。
■コトブキ 薄型高密度マット
コトブキ 薄型高密度マットは60cm上部フィルター用のろ過マットとして販売されています。しかし、ハサミなどで簡単に加工できますので、他のフィルターにも問題なく使用できるおすすめのろ材です。
耐久性に優れる高密度マットで、高密度でありながら通水性が損なわれていないため、高い物理ろ過能力を有しています。サイズの調節が容易なので外掛けフィルターなどにも導入しやすいです。
■サンミューズ ファインマットBIG
サンミューズ ファインマットBIGは、20×200cmのビッグサイズのろ過マットです。
お好みの大きさにカットして使用できるため、上部フィルターや外部フィルター、オーバーフロー水槽のろ過槽など、あらゆるろ過装置で活躍します。
耐久性が高く、繰り返し洗浄して使用することができるて経済的です。
■GEX ウール
GEX ウールも、どんなフィルターにも使用できる物理ろ材で、低価格なのがとても嬉しい商品です。
柔らかいため扱いやすく、思い通りの形に詰めることができるので、ろ過装置の中にセットしやすいです。ただ、やや耐久性に劣る面がありますので、あまり水圧を受けない場所、たとえば上部フィルターろ過槽内などに使うと安心です。
化学ろ過のおすすめろ材・厳選3選
最後にご紹介するのは、化学ろ過におすすめのろ材3選です。
化学ろ過では主に、活性炭やゼオライトの吸着効果を利用したろ材が活躍します。活性炭そのままを利用することもありますが、こちらでご紹介する商品はパック詰めになっていて、利用しやすいものを厳選しました。
ぜひ参考になさってください。
■キョーリン ブラックホール
キョーリン ブラックホールは、比表面積が大きい活性炭で、特に流木が原因の水の黄ばみを取る能力に優れています。魚病薬による着色も吸着できるため、治療後に色が付いてしまった水に使用するのもおすすめです。
また、活性炭を不織布でパックにしているため、丈夫で使いやすいです。不織布に投入月日を記入出来て交換時期を逃すこともありません。
■コトブキ工芸 3連活性炭パック 得用
コトブキ工芸 3連活性炭パック 得用は、活性炭を不織布でパックしたろ過マットで、お茶のパックのように3連になっています。
ろ過槽が小さなフィルターならば1つずつ切り離して、上部フィルターなどの横に長いろ過槽ならば3連のまま敷き詰めることができるため、どんなフィルターにもおさまりが良く使いやすいのが特徴です。
活性炭の効果も確実で、水槽の嫌な臭いや濁りをしっかり吸着してくれます。ろ過バクテリアの繁殖にも効果が期待できるため、臭いや濁りを抑えながら、水槽の環境を整えることが可能です。
リーズナブルで購入しやすいので、活性炭を試してみたいという方にもおすすめの商品です。
■キョーリン カーボンパック
キョーリン カーボンパックは、パックに入った活性炭で、取り扱いがしやすくどのようなフィルターにも使用しやすいです。
リン酸を含有しない高品質な活性炭を用いているので、コケに養分を供給することもありません。
リーズナブルなので、試しに一度活性炭を使ってみたい、という初心者の方にもおすすめです。
ろ材の交換頻度について
水槽で使用していると、ろ材も汚れたり傷んだりしてくることがあるため、定期的な洗浄や交換が必要です。
洗浄・交換のタイミングは飼育環境やろ材にによって大きく異なりますが、目安としては以下に示す時期が挙げられます。
生物ろ材は繰り返し使える
生物ろ材はセラミックス製のろ材がほとんどなので、目詰まりを起こしたら洗浄するなど、適切にメンテナンスを行えば半永久的に使用できます。
それでも、経年劣化すると洗っても目詰まりが解消されなくなったり、ろ材が割れるなどしてしまいます。汚れが取れなくなったり、形状を保てなくなると機能を失ってしまうので、そのような症状が出たら交換が必要です。
物理ろ材の交換目安
物理ろ材はウールマットが主流で、汚れてきたら洗浄が必要です。洗浄しても汚れが落ちなくなったり、劣化して弾力がなくなると通水性が悪くなるので交換してください。
化学ろ材の交換頻度
化学ろ材は一般的に活性炭が用いられており、水中の有機物などを吸着するとそれ以上は有機物を除去できなくなりますので交換が必要になります。商品や使用環境にもよりますが、1~2カ月で交換が必要になるケースが多いです。商品パッケージに書かれた交換目安を参考にしながら、消耗品と割り切って交換しましょう。
まとめ:ろ材種類別おすすめ厳選9選!生物濾過・物理濾過・化学濾過ぜんぶご紹介
今回は、水槽の水を綺麗に保つのに必要不可欠なろ材について、選び方やおすすめの商品をご紹介しました。
アクアリウムにおけるろ過には生物ろ過・物理ろ過・化学ろ過の3種類があり、ろ材もそれぞれに適した形状・材質の物があります。最も重要なろ過は生物ろ過ですので、ろ材選びに迷ったときには、バクテリアが定着しやすい比表面積が大きいものを選ぶと良いでしょう。
また、ろ材は使用していると劣化するため、定期的な洗浄と交換が欠かせません。
最近は、pHを調整してくれるなどの付加価値が付いたろ材もありますので、ご自身の水槽環境にあったろ材を見つけてみてください。
ろ材の種類について良くあるご質問
アクアリウムに使う、ろ材の種類とは?
水槽のろ材は主に3タイプに分かれています。
- セラミックろ材など、バクテリアを増やすタイプ
- ウールマットなど、物理的なゴミを濾すタイプ
- 活性炭など、化学的な吸着力を利用するタイプ
アクアリウム水槽ではこれらを組み合わせて、水質浄化力を高めます。
セラミックろ材はいつ交換しますか?
飼育水を汲んだバケツですすぎ、目詰まりを解消します。
経年や圧力で崩れることもありますが、新しいセラミックろ材を継ぎ足すことで、バクテリアを維持しながら交換が行えます。
活性炭はどんな時に使用しますか?
大きな流木をレイアウトした後や、臭いに気を付けたい設置場所での水槽運用時などでの使用がおすすめです。
効果の持続期間は、製品や容量・飼育水の状況によって約2週間~1カ月ほどです。効果が無くなってきたら交換します。
ウールマットは使い捨てですか?
汚れたら通水性が悪くなるため、基本的には交換します。
使い捨てと意識して、ストックを用意しておくと安心です。ろ過フィルターやろ過槽の形状に合わせて準備しましょう。
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