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プロが教える!海水魚飼育に最適な比重とは?実は高めが良い理由を解説

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海水魚飼育には、海水の素が不可欠です。
しかし、必要量はイメージするより多めで、まだ海水魚水槽を始めて間もなかった頃は「こんなにたくさんの塩を溶かすものなのか」と驚いたものです。

おそらく、この「塩を使い海水を作ること」で海水魚飼育にハードルを感じてしまう方が多いのではないかと感じています。

海水魚水槽やサンゴ水槽などを維持する上で、海水の素の分量…つまり「比重」の管理は非常に大切です。

比重の調整を誤れば、いくらプロでも水槽の状態を維持することは不可能です。

しかし最近では、『人工海水』という水道水に適正な量を溶かすだけで誰でも簡単に人工的に海水を作ることができるアイテムや、濃度を計測する『比重計』も簡単に手に入るようになりました。

海水魚を飼育していくと比重を下げれば白点病が完治しやすいという情報や、サンゴ水槽と海水魚水槽の比重は変えると良いなど、様々な情報を目にすることがあります。
そこで、海水魚飼育に向いた、適正な比重について解説いたします

一般的な海水魚水槽の比重について

通常、海水魚飼育では1.023程度の比重を推奨されることが多いです。

しかし、わたしは1.024~1.025程度をおすすめします。
こまめに水槽の水位を確認することができるなら、1.026程度まで上げても構いません。
比重を高めると水質管理の難易度も上がっていきます。水槽の水は、蒸発すると水分のみ蒸発し、塩分は水槽に残るため比重が高くなってしまいます。特に30センチ程度の小さい水槽は蒸発により比重変化の振り幅が大きくなるため、気をつけましょう。

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では、一般的に比重の合格ラインとされている1.020~1.023は、なぜおすすめではないのか。
結論を申し上げますと、単純に生かす飼育をするだけなら問題無しです。

ではどうして1.024以下は外したのかと言いますと、海水魚の体色と比重は密接な関係にあるとわたしは考えているからです。

つまり、比重が低いと海水魚の体色は薄くなると、感じています。

比重が海水魚の体色に影響する、と考えられる理由

理由として、太平洋の比重が1.020程度で計測されていることに対し、紅海やカリブ海などは比重が1.024~1.030と高いことが挙げられます。

紅海やカリブ海の魚は特に体色が濃く美しいため、比重が発色を促す要因だとわたしは考えています。
また、これは経験からですが、低い比重で飼育している水槽の魚はやはり体色が薄く感じることがあります。

このことから、体色を濃くさせたいとお考えの場合は、比重を1.024~1.026程度に設定することをおすすめします。

しかし、比重をあげればその分こまめな水換えや水質管理が必要になってきます。
管理の難易度を下げる場合は1.023、色揚げを目標とする場合は1.024以上に設定しましょう。

比重を低くすることで病気を治療することができるのか

海水魚の病気のなかで有名なのが『白点病』です。白点病が蔓延してしまえば水槽内のほとんどの魚が死に直結してしまう恐ろしい病気です。
淡水の白点病とは原因が異なり、非常に厄介です。

しかし残念ながら白点病を発症した時、または予防方法として比重を低くする方法が広がっているように見受けられます。

比重を下げることは手軽にできますが、比重を低くしたことで白点病は治るのでしょうか。

その答えは、白点病は治る可能性がありますが、それ以上に危険が伴うという事です。
確かに理屈では低比重にすれば白点虫という原虫の活性は低下します。しかし、比重計で計測した際に1.008程度まで落とさないと期待できるほどの効果は見込めません

1.008という比重は簡易比重計では計測不可なほど低いです。

そこまで比重を落とした水槽に、病気により衰弱している海水魚を何日も泳がせていれば、その負担の大きさで逆効果となり死んでしまう可能性が極めて高いと言えます。

また、サンゴ水槽には低比重は絶対にしてはいけません。サンゴがすぐに衰弱して死んでしまいます。

以上の見解から、わたしは低比重による白点病の治療や予防は控えるべきと考えています。
白点病の治療には、殺菌灯や海水魚用の治療薬を使用しましょう。

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少し話がそれますが、白点病になった際はその魚を見るだけでなく水槽全体を見回し、その原因を特定する必要があります。
白点病の主な原因は、水質とストレスにあります。

ろ過材の目詰まりがないか、機材は正常に作動しているか、または機材選定に無理はないか、魚同士のケンカがないかなど、そもそもの原因を特定し解決していきましょう。

サンゴ水槽の適性比重について

サンゴ水槽の適性比重は、海水魚水槽同様1.024~1,026です。

サンゴ水槽が割と高めの比重が良い理由は、比重が高い=サンゴに必要な栄養が豊富ということです。

人工海水のパッケージに記載があるとおもいますが、人工海水に含まれている成分が必ず書かれています。
比重を高く設定するということは成分が多いという事です。

しかし1.026より高くすると塩分濃度が高すぎることで調子を崩してしまいます。必ず比重の最大値は守りましょう。

また、サンゴ専用の人工海水を使用することをオススメします。サンゴ専用人工海水は普通の海水魚飼育用よりさらに栄養分が多く含まれているため、その分サンゴ飼育が楽になるからです。

まとめ

比重の目安についてお伝えしていきましたが、意外と奥が深いものです。

比重と海水魚の体色が関係あるということを知らなかった方は多いのではないでしょうか。
また、比重は安易に見られがちですが、管理経験が積めてきた頃ほど、水槽の調子が悪くなったときに比重の確認を見過ごしがちです。

比重がおかしいわけはない、もっと複雑な理由があるとおもってしまうものです。
水槽の調子が悪い時は、まずは比重や水温など簡単なところから原因を究明していくのが解決への糸口になります。

比重を上手に管理し素敵な水槽を楽しみましょう。

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執筆者 木下 裕人

熱帯魚業界歴もうすぐ20年!
海水やアクアテラリウムなど、さまざまな水槽を担当してるアクアリストです。
アクアリウム専門のYouTubeチャンネル『アクアリウム大学』も配信中!よろしくお願いいたします!

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