人工海水の作り方を画像で解説!塩水との違い、作成手順と比重・水温についてのページ
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人工海水の作り方を画像で解説!塩水との違い、作成手順と比重・水温について

海に生息する生き物を飼育する、マリンアクアリウム
そのマリンアクアリウム(海水魚飼育)が、川に生息する生き物を飼育する熱帯魚飼育(淡水魚飼育)と大きく異るのは、飼育水に塩水を使うという点です。

熱帯魚飼育では飼育水としてカルキを抜いた水道水を使用しますが、海水魚飼育ではカルキを抜いた水道水に人工海水の素を溶け込ませ、擬似的に海の水質を再現しながら生き物を飼育します。

このコラムでは海水魚飼育に欠かせない人工海水の作り方について、比重と水温の関連性なども踏まえながら解説していきます。

※このコラムはアクアリウム情報サイト・トロピカの記事に、最新の情報を加えて再構成したものです。

アクアリウムのプロが監修、人工海水の作り方について


このコラムは、東京アクアガーデンのスタッフであるプロのアクアリストたちの意見をもとに作成しています。

東京アクアガーデンには、15年以上に渡り水槽の設置・管理を行ってきたノウハウがあり、海水魚飼育にも自信を持っています。

海の魚やサンゴの飼育を楽しむマリンアクアリウムには、海水が欠かせません。
なかには直接海に汲みに行くなどして天然海水を使用している方もいますが、調達に手間がかかったり、汚れが含まれていることも多いため、今では手軽に海水が作れる人工海水の素を使用するのが主流となっています。

今回はそんな人工海水について、詳しい作り方や比重と水温の関係性などを解説していきますので、海水魚飼育に興味のある方はぜひ参考にしてください。

人工海水とは?


まずは「人工海水とはそもそも何なのか」という点について解説していきます。

人工海水の素を溶かした水のこと

人工海水とは『人工海水の素』を溶かして作った飼育水のことを指します。

こう聞くと「普通の食塩を溶かせば海水になるのでは」と疑問に感じる方もいらっしゃると思いますが、実は海水にはミネラルなどが豊富に含まれており、食塩水では海水を再現することができません

一方、人工海水の素は天然の海水に匹敵するミネラルが含まれており、海水と同じような比重を再現することが可能です。

海から天然の海水を汲んで飼育水とする方もいますが、天然の海水には病気の原因になる細菌や寄生虫など不純物や予期せぬ生物が混入する可能性があり、管理が難しいです。
大量の海水を海から運んでくるのも大変ですので、最近のマリンアクアリウムでは人工海水の素を溶かした水を使用するのが一般的となっています。

人工海水の素は通常、カルキ抜きをした水道水にパッケージに記載されている分量で溶かして使います
なかにはもともとカルキ抜き成分が含まれているタイプの人工海水の素もあり、たくさんの水量を換える場合などにはこちらがおすすめです。

比重とは?

先ほど『比重』という言葉が出てきましたが、比重とは体積が同じ物質同士の質量の比のことを指します。
平たく言うと、純粋な水と海水では体積を同じにしても重さが若干異なってくるため、人工海水を使用して、海水と同じ比重を再現する必要があるのです。

こだわりのある方は、比重を厳密に整えるためにRO浄水器を使用した水へ人工海水の素を溶かして作成する場合もあります。

また、比重は水温でも変化するという性質をもちます。
そのため特に水換え時などは、もともとの飼育水と新しく注ぐ人工海水とで水温を合わせた上で比重を揃えなければならないという点に、十分注意しましょう。

プロ推奨!人工海水の作り方

ナプコ インスタントオーシャン プレミアム 4キログラム (x 1)

人工海水は、バケツにカルキを抜いた水道水を溜めて適量の人工海水の素を溶かせば簡単に作ることができます。

人工海水の素は各メーカーから販売されていますが、基本的にはどれを選んでいただいても構いません
カルキ抜き成分が含まれているものや、サンゴ飼育に特化した栄養価の高い商品などもありますので、飼育目的に合った商品を選びましょう。

ここからは人工海水シェアNo.1であるナプコリミテッド社のインスタントオーシャンを使って、人工海水の作り方を詳しく説明していきます。

人工海水を作るために準備するもの


今回はバケツの容量に合わせて、人工海水を15L作る過程をご紹介します。
用意するものは以下の4つです。

  1. 人工海水の素(今回はインスタントオーシャンを使用)
  2. 15L用バケツ
  3. 軽量カップ
  4. 比重計

おすすめの人工海水の素については以下の記事でも解説していますので、ぜひ参考にしてください。

バケツへ水道水を注ぎ、カルキ抜き・水温調整をします


バケツに水道水を注ぎ、カルキ抜きと水温調整を行います。

水道水のカルキを抜く

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水道水には海水魚に影響のあるカルキが含まれているため、そのまま使用することはできません。
まずはカルキ抜きをしましょう。カルキは、カルキ抜き剤を使用するか、水道水を組んでしばらく放置しておけば抜くことができます。

人工海水の素にカルキ抜きが含まれている製品の場合は、あえて行う必要はありませんので、次の工程に進んでください

水温を調整する

テトラ (Tetra)デジタル水温計 ブラック BD-1 水温計 アクアリウム 熱帯魚 メダカ 金魚

続いて、水温を24~26℃に合わせます

海水は、温度が高くなる夏場は比重が低くなり、水温が低くなる冬場は比重が高くなるという性質をもちます。

水温差から比重が変わってしまう事もありますので、ここでしっかりと水温を合わせておきましょう

人工海水を投入します


バケツに水温とカルキを調整した水を用意したら、人工海水の素を投入します
投入する人工海水の素の量は商品によって異なるため、メーカーが推奨する使用量を基に算出しましょう

インスタントオーシャンの商品説明では、 10Lの水道水を24℃に調節し、360gの人工海水の素を溶かすと、比重約1.023の人工海水が作れると記載がされています。
ということは、1Lあたり36gとなるため、15Lの人工海水を作るには、36g×15L=540gを溶かすという計算になります。

ただし、季節や水温の変化によって、メーカーの推奨使用量通りに作成しても比重が高くなってしまう場合があります
はじめは少量ずつ人工海水の素を溶かし微調整しながら、後述する比重計を使ってしっかり比重を合わせていきましょう。

人工海水と水を混ぜ合わせます


水に人工海水の素を投入したら、しっかりと混ぜ合わせます

人工海水の素が溶けきれていないと、正しい比重を測ることができません。
もし、大量の人工海水を作る場合は水流ポンプなどを使用しながら、バケツの底の沈殿物がなくなるまで撹拌しましょう。

比重を計測します


人工海水の素が溶け切ったら、比重を計測します

ちなみに今回のコラムでインスタントオーシャンを使用している理由のひとつとして、溶けるスピードが速く作業効率が良いという点が挙げられます。
比重は人工海水の素がしっかりと溶け切っていないと正しく計測できないため、溶けやすさはとても大切な要素です。

また、比重は海水魚の発育や水質の悪化速度にも影響を与えることが知られていて、比重が低いと生体の成長が緩やかで水質は悪化しづらく、比重が高いと生体は早く鮮やかに成長するものの水質が悪化しやすくなると言われています。

海水魚の飼育に慣れてきたら、ご自身の飼育環境に合わせて比重を変えてみるのも良いかもしれません。

そんな比重を測る方法としては、

  • 簡易式比重計を使用する方法
  • 屈折比重計を使用する方法

この2種類が挙げられます。

以下から比重の測り方について詳しく解説していきますので、ご自身に合った方法を選択しましょう。

簡易式比重計

ナプコ シーテスト比重計 1個 (x 1)

まずはポピュラーな比重計として、簡易式比重計をご紹介します

簡易式比重計は、海水を掬うだけで簡単に比重を測ることのできる比重計で、

  • コストパフォーマンスが良く簡単に入手できる
  • 使い方が簡単で、最適な比重範囲が色分けされているなどわかりやすい

という特徴があります。
通常の海水魚飼育であれば、こちらの簡易式比重計で十分に比重を計測することが可能です。

ただし、簡易式比重計には

  • 簡易計測器のため精密な比重計測ができない
  • 定期的な交換が必要

というデメリットも存在します。

精密な計測ができないのは事実で、試しにデジタル比重計で同じ水を計測すると異なる値が計測されることがあります。

また、比重計の針の部分に乾燥した塩分が固着すると正しく計測できなくなってしまう事があるため、定期的な交換が必要です。
2ヶ月に1度は交換して、計測の精度を保つようにしましょう。

屈折比重計

AUTOUTLET 塩分濃度計 塩分屈折計 自動温度補正 ATC機能付き 2スケール 塩分計 比重計 0-100ppt 1.000-1.070 漁業/人工海水/水槽に適用 海水密度/濃度測定 純銅クロムめっき製

屈折比重計は、光を基準にして比重を計測する比重計で、より正確な比重を計測することができます

簡易式比重計に比べて高価ではありますが、比重のズレは水槽環境に大きな影響を与えてしまいます。
海水魚飼育の失敗を防ぐためには、正確な比重を把握しておくことが大切ですので、予算に余裕のある場合はこちらの比重計を使用すると良いでしょう

おすすめの比重計については以下の記事でも解説していますので、ご覧になってみてください。

まとめ:人工海水の作り方を画像で解説!塩水との違い、作成手順と比重・水温について


今回は人工海水の作り方や比重の重要性について解説をしてきました。

作成手順をもう一度おさらいしてみましょう。

  1. 人工海水を作るためのアイテムを用意する
  2. バケツに水道水を注ぐ(水温は24~26℃に調整)
  3. 人工海水の素を適量入れる
  4. 人工海水の素をよく混ぜて溶かす
  5. 比重を計測する

最近では、京都にある京都水族館や東京にある墨田水族館も人工海水を使用しており、天然海水でなくても元気に泳ぎ回る魚たちの姿を見ることができます。

人工海水が普及したことで、海から遠いご家庭でも気軽にマリンアクアリウムを楽しむことができるようになりました。

人工海水の普及は水道水が綺麗な日本ならではのことで、海外ではRO浄水器が必須な地域が多いというのが現状です。

今回ご紹介した方法を参考に、皆さんも人工海水の作成、そして海水魚の飼育に、ぜひ挑戦してみてください。

人工海水について良くあるご質問

人工海水はなぜ海水魚飼育に必要なのですか?

海水魚が住んでいる海の水には、比重があります。
海水には、塩分濃度だけではなくミネラルなどが含まれることで比重が生まれているため、食塩を入れただけの塩水では再現できませんので、人工海水の素を使用します。
生息域の海と近い比重にすることで、海水魚は色鮮やかに育ちます。

人工海水を作るのに必要なものとは?

  • 人工海水の素
  • 比重計
  • 水温計
  • 10L以上のバケツ

人工海水の素によっては、カルキ抜き剤があらかじめ含まれているものもあります。パッケージの表記を見てカルキ抜きが必要な場合は用意しましょう。
水温により比重は変化しますので、水槽の水温と同じになるように作成します。

比重計は高い物のほうが良いですか?

比重計はリーズナブルな物から高価なものまで販売されていますが、使いやすいと思うものを使用するのが一番良いです。
安価な比重計はアナログ表記ですが、故障しても気軽に買い換えられます。
高価な比重計はデジタル表記で細かな数値で判断できます。
それぞれのメリットで選びましょう。

人工海水を作る際の注意点とは?

  1. 水槽の水と水温差を作らない
  2. 人工海水は必ず完全に溶け切るまで混ぜる

この2点を守れば人工海水は作れますが、比重の計測が重要です。
1.023が標準的な比重ですが、サンゴは1.026のほうが良く育ちます。飼育生体ごとに確認して比重を決めましょう。

 

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