人工海水の切り替え方法とは!切り替えるタイミングやおすすめ製品も解説

投稿日:2025.09.21|
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自宅でマリンアクアリウムを楽しむためには海水が必須。とはいえ海まで汲みに行くのは大変なため、水槽では人工海水を使って海水魚やサンゴを飼育するのが一般的です。
人工海水の素には塩分だけでなく、海の生き物が生きていくのに不可欠なミネラルやビタミンなどが含まれており、水道水に溶かすだけで理想的な海水が準備できます。
アクアリウムショップでは複数種類の人工海水の素が販売されており、どれを使っても海水魚の飼育は可能です。
しかし、管理を続けていくうちに「より生き物に合わせた人工海水を使いたい」「使っていた人工海水が売り切れてしまった」といった理由から、別の人工海水に切り替えなければならない場面も出てくるでしょう。
今回のコラムでは、失敗せずに人工海水を切り替える方法や切り替えがおすすめなタイミング、逆に切り替えを避けるべき時期について解説します。
記事の後半では、切り替えにおすすめな人工海水の素とその特徴をまとめましたので、ぜひ参考にしてください。
目次
プロアクアリストたちの意見をもとに人工海水の切り替え方法やタイミングを解説

このコラムは、東京アクアガーデンスタッフであるプロのアクアリストたちの意見をもとに作成しています。
人工海水の素は製品によって含まれる成分が異なるため、下準備をせずに切り替えると水質が急変し、生き物がストレスを受ける可能性があります。
ここでは、実務経験から得た知識をもとに、人工海水の切り替え方法やタイミングを解説します。
人工海水の切り替え方法とは

どれも同じように見える人工海水の素ですが、製品によって成分に違いがあるため、切り替えると少なからず水槽内に影響を与えます。
飼育している海水魚やサンゴへの影響を最小限に抑える、人工海水の切り替え方法を解説します。
水換えで段階的に切り替えよう
人工海水の素を切り替えるとき、早く変えたいからといきなり全換水するようなことは絶対に止めてください。
ブランドによって人工海水の素に含まれる成分が異なるため、大幅な変更は水質が急変して生体に大きなダメージを与えます。
生体に負担を掛けずに切り替えるには、水換えのときに少しずつ新しいものを混ぜていくイメージで、段階的に新しい人工海水に変えていくのが良いです。
一度に変える水量は水槽全体の10〜15%程度とし、1週間に一回の換水を4回、おおよそ1ヵ月ほどの時間をかけて人工海水を切り替えます。
また、新旧の人工海水の素を混ぜて使用したいときは粉の状態で混ぜるのではなく、それぞれを水に溶かしてからブレンドするようにしましょう。
人工海水の切り替え中は水質や比重の変化に注意
人工海水を作る際に重要な比重も、使用する製品によって変わってしまうことがあります。
比重の変化を避けるため、人工海水の切り替えで新旧の海水が混ざる期間は、いつも以上にしっかり撹拌をして比重を正確に計測しましょう。
水に溶けずらいときは人工海水の素を入れた後、水温を維持しながら半日〜24時間エアーレーションを行うと効率的に撹拌できます。
ただ、『レッドシー コーラルプロソルト』などカルシウムが多くエアレーション禁止の人工海水は、そちらを守って撹拌しましょう。
また、使用中の人工海水と新しいものの比重差を確認しておくことも重要です。
本格的な移行前に、新しい人工海水を10L作り、現在の飼育水の比重と比較します。
比重の差が大きい場合は、新旧の人工海水のブレンド比率を下げて、時間をかけて移行していくことを意識してください。
| 切り替え手順 | |
|---|---|
| 1回目 | 換水量10〜15%・新:旧=50:50の比率で海水を作成 |
| 2回目 | 同量・ブレンド比率を70:30にアップ |
| 3回目 | 同量・ブレンド比率を90:10にアップ |
| 4回目 | 同量・新しい人工海水の素100%へ |
切り替えを開始したら水質の変化を確認するため、こまめにdKH・Ca・Mg・NO3・PO4などの値を計測することも重要です。
特に、dKH(炭酸塩硬度)の値が不安定だと水質が落ち着かないため、dKHの変動幅が週0.5~1.0以内に収まっているかをよく確認しましょう。
添加剤は完全に切り替わってから
水質調整のために添加剤を使用している場合は、切り替え中は添加を中止し、人工海水が完全に切り替わってから再スタートすることをおすすめします。
切り替え中に添加剤を入れてしまうと、新しい人工海水の初期状態がわからなくなってしまうからです。
まずは、確実に新しい人工海水に切り替えた後、改めて水質を確認し添加剤の量や種類を調整します。この時KHの添加は控えめにスタートすると、管理がしやすいです。
人工海水を切り替えるタイミング3選

使用中の人工海水の素で安定したマリンアクアリウムを楽しむことができているなら、無理に切り替える必要はありません。
しかし、様々な理由で人工海水の切り替えを検討する場合もあるはずです。
ここでは、人工海水を切り替える代表的な3つのタイミングをご紹介します。
魚やサンゴを色揚げしたいとき
実は人工海水にもグレードがあり、ランクアップすると生き物をより良い状態で飼育できるようになります。
調子が上がれば体色が良くなり鑑賞性もアップするため、現在の仕上がりに物足りなさを感じるようであれば、人工海水の切り替えを検討してみましょう。
特にサンゴ育成では、ミネラルが豊富に含まれたサンゴ用の人工海水に切り替えることで、効率的な育成や色揚げが可能となります。
サンゴが育たないとき
サンゴの飼育が軌道に乗らない、育ちが悪いと感じるときは水質が合っていないか、水中の養分が不足していることが原因と考えられます。
飼育水の問題は添加剤で解決することもできますが、長期的に管理していくことを考えると人工海水を変えて根本から環境を見直すのも方法です。
ちなみに、ベテランアクアリストの中には、サンゴが育ち過ぎたら人工海水をあえてグレードダウンさせて成長を抑制し、全体のバランスを調整する方もいますが、これは上級テクニックのため初心者の方にはあまりおすすめできません。
人工海水の切り替えは、基本的にはグレードアップをするときに行いましょう。
使用している製品が手に入りにくくなったとき
近年、世界情勢やミネラルの価格が高騰している影響により、全体的に人工海水の値上がりや入荷が不安定な状況が続いています。
そのため、使用していた人工海水の素が入手できなくなってしまい、やむなくブランドの切り替えを検討しているという方も多いのではないでしょうか。
東京アクアガーデンでも、一部水槽で人工海水を切り替えて対応していますが、今のところ大きなトラブルにつながった例はありません。
ちなみに、サンゴではなく一般的な海水魚や海水生物のみを飼育している水槽では、比較的容易に人工海水の切り替えを行うことが可能です。
人工海水の切り替えはタイミングの見極めが大切

人工海水はいつでも切り替えられるというわけではなく、水槽の状態によっては切り替えを控えた方が良い場合があります。
例えば、大規模なメンテナンスやレイアウト変更、生体を新規導入した直後などは水槽全体が不安定なので、人工海水の切り替えは避けましょう。
水質をチェックしてNO3/PO4やpHが大きく乱れているようならば、切り替えは延期した方が良いです。
また、治療中の生体がいるときや水温が不安定になりやすい時期は、生体がストレスを受けている可能性が高いため、こちらも人工海水の変更は控えてください。
まず、水槽全体が安定していることが切り替えられる第一条件です。
切り替えにおすすめな人工海水

人工海水を切り替えたくても、新しくどれを選んだら良いのか迷ってしまう場合も少なくありません。
ここでは、東京アクアガーデンでも使用している切り替えにおすすめな人工海水をご紹介します。
ナプコ インスタント オーシャン
『ナプコ インスタント オーシャン』は、東京アクアガーデンでも使用実績のある、定番の人工海水です。
海水魚からサンゴまで様々な生体に使用できるオールラウンダーで水にも溶けやすいため、迷ったらこちらを購入しておけば、まず間違いありません。
ただ、最近は入荷が不安定で入手が難しくなっているので、見つけた時に購入してストックしておくのがおすすめです。
RedSea コーラルプロソルト
サンゴを育成する水槽におすすめなのが、Ca・Mg・KHなどのミネラル分が豊富に含まれた『RedSea コーラルプロソルト』です。
サンゴの色揚げや骨格形成に必要なすべての微量元素を含んでおり、健康なサンゴの育成を助けます。特に育成難易度が高いサンゴの飼育にチャレンジ中の水槽では、このタイプの人工海水が使いやすいでしょう。
水に溶けやすいので、切り替えもしやすいです。
尚、こちらの製品はカルシウムが多く、長時間エアレーションをおこなうと沈殿・白濁りしやすくなるため厳禁となっています。
撹拌はする場合は、4時間以内にとどめましょう。
ナプコ ネオ オーシャンソルト
『ナプコ ネオ オーシャンソルト』は、先ほどご紹介したインスタントオーシャンと同じナプコ社製の、全ての微量元素が含まれた汎用性の高い人工海水です。
日本の水に合わせて開発されているので、外国製のものに比べてpHを調整しやすく、特に水道水のpHが低い地域にお住いの方は重宝するでしょう。
今のところ供給も安定しているので、使用していた人工海水の素が入手しにくくなった時の切り替え用にもおすすめです。
ただし、やや溶けにくいため十分に攪拌してから使用する必要があります。
まとめ:人工海水の切り替え方法とは!切り替えるタイミングやおすすめ製品も解説

人工海水は製品のよって特徴や成分が異なるため、別のブランドに切り替えるときは生体に負担を掛けないよう注意する必要があります。
水換えのタイミングで少しずつ新しいものを混ぜながら、約1ヶ月の時間をかけて段階的に切り替えていく方法がおすすめです。
人工海水の切り替えを検討する主なタイミングは、これまで使用していた製品が入手できなくなった時やサンゴの色揚げ・育成促進したい場合などで、水質、生体ともに安定しているタイミングを選んで実施しましょう。
逆に、大規模なレイアウト変更の後や生体の治療中などは、人工海水の切り替え時期としては適切ではありません。
適切なタイミングと大切なポイントを理解して行えば、人工海水の切り替えは比較的容易に行うことができます。
必要に応じて人工海水の変更も視野に入れながら、海水水槽の長期管理につなげていきましょう。
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投稿されたコメントやご相談と回答
>>半日〜24時間エアーレーションを行うと効率的に撹拌できます。
コーラルプロソルトのバケツにはエアレーションを行わないで。
撹拌は4時間までって書いてるけどいいの?(チャームのコーラルプロソルトの販売ページ、商品写真より確認)
ご指摘いただき、ありがとうございます。
製品によっては異なることを追記しました。