オーバーフロー水槽の配管接続方法を細かく解説!はじめてでもできる配管の基本
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海水魚を管理する上で最も大切なことは、適正な水質を維持することです。
それには、水質浄化方法、いわゆるろ過能力を高くキープできる機材の選定が大変重要となります。
水槽のろ過方式の中で最もろ過能力が高いのが、オーバーフローろ過システムです。
このコラムでは、オーバーフロー配管の基本的な接続方法を解説いたします。
仕組みを理解し、ポイントを抑えれば誰でもできますので、ぜひご参考になさってください。
目次
オーバーフロー水槽に難しいイメージがある理由
オーバーフローシステム最大の特長は、ろ過スペースが大きく取れるため、バクテリアの住処となるろ過材をより多く入れられることです。
また、ポンプやヒーター、またはプロテインスキマーなどの機材もろ過槽へ収納することができるため、水槽の見た目がスッキリすることも大きなメリットの一つです。
しかし、初めてオーバーフローシステムを導入するには、大きなハードルを感じてしまうことも多いです。
なぜなら、オーバーフローシステムでは、水を循環させるパイプを組み上げる必要があるからです。
アクアリウム初心者の場合「自身で配管ができるか?」と躊躇することがほとんどです。
オーバーフロー配管は、通称「塩ビ管」と呼ばれる水道管の一種を使用しますが、水槽台の高さや濾過槽の位置に合わせて適宜カットを行います。
とことが、上手く繋げないと水漏れすることもあります。
こうしたことから、「オーバーフロー=アクアリウム上級者でないと難しいのでは」というイメージができてしまいがちです。
それでも注意ポイントを確認できれば、だれでも組み立てることができます。
まずは水槽や機材の検品を行う
水槽、濾過槽などの商品がお手元に届きましたら、まず周りの梱包材をはがし割れや傷がないか確認しましょう。
割れや傷がある場合は、すぐに販売店へ相談してください。
大抵の場合、商品到着から数日過ぎてしますと保証外となってしまいます。
また、水槽内に同梱されている配管も確認してください。
- 吐出口配管(1m程度のストレート管)
- 吐出口配管(エルボーと先曲げ配管)
- ピストル配管
この工程は、安全に水槽を長期運用する上で欠かせません。
検品が終了したら、水槽台、水槽を所定の位置に設置しましょう。
据え付け後、水槽台下から水槽本体をのぞきこみ、水槽本体のオーバーフロー穴と水槽台の穴が一致しているか確認しましょう。
オーバーフローの配管方法1:ピストル配管の確認と仮組
初めに、ピストル配管へ目印を書きます。
写真のように上からのぞきこむと、もう一つ細い穴があります。
この穴が上向きにくるように水槽本体に差し込みます。
その理由は、同梱されている細いストレート配管を水槽上から差し込む際の接続口となるからです。
次に、水槽台中から見上げるように水槽を見ると水槽本体の穴が確認できます。
写真のようにメジャーをあて、ピストル配管の差し込み口に必要な長さを計測します。
この場合は25mmです。
ピストル配管にメジャーをあて、油性マジックで先ほど計測した25mmラインに目印を書きます。
このラインをゼロポイントと呼び、接着剤を使用したときに正確に差し込めているかの目印となります。
ゼロポイントのラインと同時に、水槽へ差し込む方向を示す矢印も書きましょう。
写真の場合、ピストル内の穴は上向きとなります。
目印を書いたら水槽本体に差し込んでいきますが、ここでは接着材を使用せず仮組で差し込みます。
ピストル配管を差し終えたら一度、濾過槽を入れてみましょう。
濾過槽に当たることなく、問題ないことを確認します。
これで、ピストルの仮組は完成です。
オーバーフローの配管方法2:エルボー配管の使い方
ピストルの仮組を終えたら、濾過槽本体にあるウールボックスの落水用開口部とピストル配管を合わせる工程をしていきます。
この場合、「エルボ」と呼ばれるカーブ配管を使用します。
今回は2個使用します。
まず、ピストルのウールボックスの開口方向へ、エルボを差し込みます。
つぎに、残りの1つのエルボを使いウールボックス開口に合わせていきます。
ウールボックス開口に合うことを確認できたら、エルボ同士を仮接続していきます。
エルボー同士を接続するためには、エルボー内の差し込み部を計測します。
ここでの計測結果は20mmです。
計測結果を元に、エルボー同士を接続するために必要な配管をカットします。
ここで用意した塩ビ配管は、VU40Aのストレート管です。
エルボ同士の接続には隙間なく接続するため、20m+20m=計40mmをカットします。
カットには、塩ビ管専用のこぎりを使用します。
わたしは、昔からパイプソーを愛用しています。
カット後は、写真のように「バリ」と呼ばれる切りカスができます。
これを、上記のようなバリ取り、またはハサミの刃を使用し、軽く削ります。
写真のようにバリ取りができれば完成です。
カットした40Aの配管にエルボ同士を接続します。
ここでは、隙間なく配管を差し込むためゼロポイントの線は書かなくても良いでしょう。
エルボの配管接続が終えたら終了としたいところですが、ウールボックスまで隙間が出てしまいます。
このままでは、水槽から落水してきた水が飛び散ってしまいますので、この先にも配管を接続していきます。
エルボーからウールボックス内の白いパンチング板までの長さを計測します。
ここでの計測結果は105mmですがですが、エルボー配管内に入り込む長さである20mmを加えると125mmとなります。
ただし、125mmでカットしてしまうとウールマットを敷ける隙間がなくなってしまいますね。
そこで、125mmからウールマットの厚み30mm差し引いた95mmで作成することとします。
カットした95mmの配管を仮接続して完成です。
オーバーフローの配管方法3:循環ポンプの接続方法
オーバーフロー仕様の場合、循環ポンプが必要です。
循環ポンプは水中ポンプとマグネットポンプの2つに分類されます。
一般的には、120cm以下の小型・中型水槽は水中ポンプ、それ以上の大型水槽へはマグネットポンプを使用します。
ここでは、90cm水槽での解説をしていますので、水中ポンプを使用していきます。
まず、水中ポンプに使用するホースはお湯で温めてから使用します。
ここでのホースは内径16・外径22のホースを使用します。
温めたホースを水中ポンプの根本奥まで差し込みます。
差し込みが浅いと外れてしまう可能性があるため、しっかり奥まで差し込んでください。
奥まで差し込んだら、上からタイラップ(結束バンド)を付けます。
タイラップを強く引っ張り固定したら、余分に出た部分はカットします。
次に、配管と水中ポンプがつながる部分を作ります。
水中ポンプを濾過槽内の所定位置に置き、水中ポンプに接続したホースをピストル部分まで伸ばします。
ホースを引っ張り最短距離にするのではなく、緩やかな放物線を描くように伸ばしてピストル接続部あたりでハサミでカットします。
つぎに、ピストルとホースを接続する塩ビ配管を作成します。
100mm程度の長さをカットし作成しましょう。
20A配管程度の細い配管までは、のこぎりではなく塩ビカッターを使用することをおすすめします。
塩ビカッターのメリットはカット後にバリがでにくいこと、また素早くカットできるためオーバーフロー配管をする際は大変重宝できる器具です。
太い配管をカットする塩ビカッターも存在しますが、コスパがあまり良くないためここでは使いません。
ここで使用する塩ビ配管は、VP13Aのストレート配管です。
さきほどの落水パイプはVU40で、今回はVP13配管です。
VUは配管の厚みが薄いいわゆる肉薄タイプ、VPは肉厚配管を指します。
主に水圧がかかる給水パイプはVPを、水圧があまりかからない排水パイプはVUを使用し、その後の数字は配管の太さを指します。
カットした配管をホースへ接続します。
この時も、あらかじめホースはお湯につけて柔らかくしておきましょう。
さらに、接続する前にホース内の差し込む場所へ塩ビボンドを塗ってから接続すると入りやすくなり、また外れにくくなるためおすすめです。
ピストルに仮接続して完成です。
ここでの13A配管にはゼロポイントラインは必ず書きましょう。
13Aは細いので、計測時は細いメジャーか定規を使って計測しましょう。
これで水槽下における濾過槽内の仮組は完成です。
オーバーフローの配管方法4:2重管の接続
はじめに、コーナーカバータイプの場合はコーナーカバーを取り外します。
三重管の場合は、外側の三重管を外してください。
そうすると、水槽本体から水が落ちる「2重管」と呼ばれる塩ビ管が現れます。
2重管は塩ビ管専用の塩ビボンドで接着しましょう。
ただし、この排水管の長さと循環ポンプ水量で水槽水位が決まってしまいます。
そのため、水槽注文時に排水管の長さを指定しない場合は注意が必要です。
不安ならここでは何もつけず差し込んでおき、真水で試運転して水位確認をしてから接着しましょう。
オーバーフローの配管方法5:給水口の接続方法
給水管を排水管上から差し込みます。
この給水管をピストル内部の細い差し込み口に接続します。
ピストル部分でも解説しましたが、ピストルの向きを間違えていると給水口が接続できませんので、注意しましょう。
給水管のエルボとストレート管を塩ビボンドで接続します。
初めにエルボ部分から塗布し、つぎにストレート管に塗布します。
塩ビボンドは塩ビを溶かして接続します。そのため、肉厚なエルボから先に塗布していきます。
購入直後の給水管は長いためカットする必要があります。
排水管上からエルボまでメジャーをあてて計測します。ここでは、100mmカットします。
コーナーカバー内のU字カットしてある場所に綺麗に収まりました。
これで完成です。
オーバーフローの配管方法6:接着(本組)
いよいよ接着です。接着には塩ビボンドを使用します。
まずは水槽とピストルを接着します。
接着する前に乾いたタオルを使いゴミや水気を拭き取ります。
ここも肉厚配管から塗布していきますので、先に水槽本体、ピストルの順に塗布します。
配管接着は、受け口から先に塗布すると覚えておけば良いでしょう。
接着すると取り外すことがなかなか難しいため、今後すぐに水槽移動があるなど取り外す必要がある場合は、シーリングテープを使用して接続する方法もあります。
しかし、シーリングテープはそもそも溝がある配管に使用する用途のため、ここではメーカー推奨ではないこと、漏水のリスクもあるためおすすめしません。
わたしは、このシーリングテープを使用する場合は、3日程度の短期イベントくらいなものです。
ピストル側も塗布します。先ほど書いたゼロポイントまで1周ムラなく、塩ビ用ボンドを塗布します。
ピストルの塗布が終えたら素早く差し込みます。
ゼロポイントラインまでしっかり押し込み、その状態で30秒ほど押さえます。
反発により配管が戻ってきてしまうため、しっかり抑えることが大切です。
それから、エルボ含めたすべての配管を組み合わせて完成です。
まとめ:オーバーフロー水槽の配管接続方法を細かく解説!はじめてでもできる配管の基本
いかがでしたか。
どのサイト、書籍よりも細かくわかりやすい説明を心がけました。
はじめてオーバーフローを購入した方、現在購入を検討している方に安心して前に進める参考記事になれていれば幸いです。
オーバーフロー水槽を自身で組み上げることができれば、更に自信が付いて、よりアクア熱に没頭していくことでしょう。
では、素敵なアクアライフをお過ごしください。
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