熱帯魚が好きな人の中には、自然の池や河川などで生き物採集をする方も多いです。アクアガーデンのスタッフも、休日に自然のフィールドへ出ることは少なくありません。
しかし、フィールドで捕まえた生き物が、家に持ち帰っても大丈夫な動植物でない場合もあります。
法律で移動や飼育が制限されている生き物も身近に増えてきてるのです。
今回は、持ち帰ってはいけない生き物、特定外来生物について紹介していきたいと思います。
目次
はじめに:飼ってはいけないお魚、特定外来生物とはどんな生き物?
特定外来生物とは、いったいどんな生き物なのでしょうか。
簡単に言うならば、「外来生物法という法律で、飼育や移動が規制されている外来種」です。ちなみに、ここでもう少し詳しく法律の中身を見てみると、外来生物法では意訳すると「海外から日本に入ってくることで、日本の生態系に被害を及ぼすか、その可能性が高い存在として、法律で決められた動植物」のことを特定外来生物と定義しています。
令和3年9月時点では以下の種類が指定されており、徐々に数を増やしています。
- 哺乳類25種類(アライグマ など)
- 鳥類7種類(カナダガン など)
- 爬虫類21種類(カミツキガメ など)
- 両生類15種類(アフリカツメガエル など)
- 魚類26種類(オオクチバス など)
- クモ&サソリ類7種類(セアカコケグモ など)
- 甲殻類5種類(アメリカザリガニを除く外来ザリガニ全種 など)
- 昆虫類25種類(ヒアリ など)
- 軟体動物等5種類(ムラサキイガイ など)
- 植物19種類(イチイヅタ など)
有名な生き物では、カダヤシやブルーギル、ブラックバス(オオクチバス)などが該当します。
販売目的ではない飼育や譲渡は認められます。
放流は絶対に行わないようにして、最後まで育てましょう。
また、上の写真のカタツムリは「アフリカマイマイ」という沖縄に定着してしまった特定外来生物のカタツムリです。寄生虫を体内に持っていることが有るので、素手で触ると危ないのですが…殻の大きさが10cmを超えることから、ついついカッコいい見た目に騙されて触ってしまいたくなる生き物です。
なお、特定外来生物に該当すると、許可のない飼育や移動、販売などが大きく制限されます。カダヤシやブラックバス、アフリカマイマイは飼育してはいけませんのご注意ください。
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特定外来生物を無許可で飼育した場合などの罰則は?
外来生物法の怖いところは「無許可で飼育や運搬をしたときに罰則があること」です。これは、法律を知らなかった場合でも適用されるものですので、「気付かなかった」「知らなかった」では済まされませんので注意して下さい。
それでは、具体的な罰則の中身を見てみます。
「販売・頒布目的での飼養、不正な飼養、許可のない輸入や販売、野外へ放つなどの行為」に対しては、個人では3年以下の懲役や300万円以下の罰金、法人では1億円以下の罰金が科されます。
また、「特定外来生物について販売・頒布以外の目的での飼養、未判定外来生物について通知なしの輸入」に対しては、個人には1年以下の懲役や100万円以下の罰金、法人には5000万円以下の罰金が科されます。
3年以下の懲役・300万円以下の罰金というと、酒気帯び運転かそれ以上に厳しい罰則です。それだけ、法律上では悪質な行為とみなされているのです。
特定外来生物(魚)の一覧
先の方でも少し触れましたが、特定外来生物に指定されている魚類は、平成28年10月1日時点(平成29年12月27日現在の、環境省のホームページで公開されている情報)では、24種類となっています。
その中で、和名が付いているものをここでは紹介します。
- オオタナゴ
- コウライギギ
- チャネルキャットフィッシュ
- ブラウンブルヘッド
- フラットヘッドキャットフィッシュ
- ヨーロッパナマズ(ヨーロッパオオナマズ)
- ブルーギル
- カワカマス科の全種
- カワカマス科に属する種間の交雑により生じた生物
- カダヤシ
- ガンブスィア・ホルブロオキ
- コクチバス
- オオクチバス
- ラウンドゴビー
- ナイルパーチ
- ホワイトパーチ
- ストライプトバス
- ホワイトバス
- ストライプトバス×ホワイトバス
- ラッフ
- ヨーロピアンパーチ
- パイクパーチ
- ケツギョ
自然の中で出会うことがまずほとんど無い種類から、日本中の河川に生息して良そうな種類まで指定されています。
特に「カダヤシ」「ブルーギル」「バスの仲間」「オオタナゴ」「チャネルキャットフィッシュ」は、身近な河川に棲息していることもありますので、持ち帰る前に確認してみてください。
特定外来生物を飼育するには?
ですが、個人が「すでに規制されている動植物」の飼養許可を得るのは事実上不可能です。
ブラックバスやブルーギルが良い前例なのですが、外来生物法で規制された後、個人に飼養の許可が下りたという話は聞いたことがありません。
法律で規制される前から飼育していた個体は除きます。
まとめ:ひとり一人の意識が、水辺の環境とアクアリウムの未来を守ります
上の画像のブルーギルも、元々は食用や釣りの対象魚としての役割を想定して持ち込まれました。
外来生物法で規制されている生き物の中には、元々観賞用として日本に入って来た熱帯魚だったものも含まれています。一部の心無い人間が屋外に魚を遺棄したことで、魅力的な魚が規制されてしまったのです。残念ながらガーの仲間も、2018年の4月から外来生物法で飼育や運搬が制限されています。
また、沖縄や全国各地の温泉地などでは、プレコやソードテール、クララなどが野生化しています。他にも全国各地の河川や池では、外来種のミシシッピアカミミガメが大量に生息しています。
ひとり一人が「飼育している生き物に責任を持つ」ことが、水辺の環境とアクアリウムの未来を守ることに繋がっています。これ以上の特定外来生物を増やさないためにも、気をつけていきたいものです。
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