カメを飼育してみよう!飼育に必要な水槽、設備から人気の種類まで徹底解説
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カメは抜け毛や鳴き声の心配がなく集合住宅でも飼育しやすいため、ペットブームの波を受けて一時期にかなりの数の個体が流通しました。
カメはおっとりとしていてあまり動き回らないと思われがちですが、意外と活動的な生物なので、飼育するためには広いスペースが必要です。また、小まめなメンテナンスが要求される生き物でもあります。
ここでは、水棲カメについて飼育法や夏と冬の管理法などをご紹介します。
目次
カメとはどのような生物か?
特徴
カメとは爬虫網カメ目に分類される爬虫類の総称で、2023年現在、世界で約300種類が報告されています。その生息域は多岐に渡り、南極大陸以外の大陸と島々に加え、海にも分布しています。
爬虫網に属していることからも分かる通りカメは爬虫類で、一部の種類を除いて全身が鱗に覆われています。また、体を収納できる甲羅を持ち、四肢が発達しており歯はありません。カメの最大の特徴は体の大部分を覆う甲羅で、背中側と腹側の両面に付いています。
カメの甲羅は肋骨と背骨が変化したもので、表面は角質化した皮膚で覆われています。甲羅の形は生息域により大きく異なり、水棲カメの場合は泳ぎやすいように凹凸が少ない流線型を、陸棲カメの場合は防御を固めるために分厚いドーム型をしている傾向にあります。
食性は動物質、植物質の両方が必要な雑食性です。カメは冬眠することで知られていますが、熱帯地域に生息する一部の種類は、暑い時期を乗り切るために「夏眠」することが報告されています。繁殖形態は卵生で、普段は海中で生活している種類も産卵は陸上で行います。
カメのなかで有名・人気の種類
水棲カメと言えば「アカミミガメ(ミドリガメ)」をよく目にしますが、規制が強まっています。
販売目的ではない飼育や譲渡は認められます。
放流は絶対に行わないようにして、最後まで育てましょう。
イシガメ
関東以南から九州までに生息している日本固有種で、甲長は15~25cm程度です。甲羅の色は黄褐色から橙色をしており、その色と形から幼体は「銭ガメ」と呼ばれていました。近年、河川の開発やクサガメ、アカミミガメの放流により数を減らしています。
クサガメ
イシガメの仲間で、現在は日本全国で見られるカメの1種です。元は中国大陸から朝鮮半島に生息していたものが、18世末に移入したと考えられています。甲長は20~30cmほどに達し、体は黒褐色をしており、首に黄色い線が入ることが特徴です。
セマルハコガメ
中国南東部と台湾に生息しているイシガメの仲間で、国内では石垣島と西表島に亜種にあたる「ヤエヤマセマルハコガメ」が生息しています。
甲長は17cm前後で形はドーム型、腹側の甲羅に蝶番があるため、甲羅を完全に閉じることが可能です。ちなみに、ヤエヤマセマルハコガメは天然記念物に指定されているので、現地で出会った際は注意してください。
ミシシッピニオイガメ
アメリカの中央部から東部にかけて分布しているニオイガメの1種で、カナダの一部にも生息しています。甲長13cm程度までにしかならない小型のカメで、体と甲羅は黒色を基調に目の周囲を中心に黄色の模様が入ります。
ニオイガメの仲間は、危険を感じると後ろ足の付け根から悪臭を放つので、カメを怒らせるようなことは避けましょう。
キボシイシガメ
北米に分布する甲長12cmほどの小型のカメです。甲羅は黒色を基調に黄色のスポット模様が入ります。また、個体によっては頭部や手足の下部が、黄色からピンク色を帯びる派手な色合いが特徴です。
カメ飼育に必要なもの
カメの飼育には、主に以下に示す道具類が必要です。
- 水槽、プラ船
- フィルター
- 石などの陸地になるもの
- シェルター(屋外飼育のみ)
- 照明(屋内飼育のみ)
- ヒーター(冬眠させない場合)
- 餌
特に注意が必要なものを以下で説明します。
水槽
カメの場合は床面積がそのまま飼育スペースになるので、幅と奥行きが広い水槽を用意しましょう。水槽サイズの目安としては体長10cm程度で幅60cm、体長20cm程度で幅90cmほどの大きさが推奨されます。
ちなみに、これは単独で飼育する場合の目安で、同一水槽で複数を飼育したい場合はさらに大きな水槽が必要です。カメの飼育では水深はあまり必要ではないので、水槽の高さについては脱走されない程度の高さがあれば問題ありません。
また、屋外で飼育したい場合は「プラ船」と呼ばれる、扁平な容器が適しています。屋外で飼育する場合は、脱走して自然環境下に放たれることがないよう、飼育容器の周囲は丈夫な柵などでしっかりと囲んでください。
フィルター
カメは低水位で飼育するので、必然的に水量が少なくなって水が汚れやすいため、ワンランク上の水槽サイズに対応したフィルターを導入した方が良いでしょう。フィルターの種類としては、投げ込み式や水中式、外部式などがおすすめです。
屋外飼育の場合は、池用などの野外での使用を目的としたフィルターを用意してください。水槽用のフィルターは屋外での使用を前提として作られていないので、直射日光により早期に劣化したり故障の原因になります。
石などの陸地になるもの
カメは成育に必要なビタミン類を、日光浴をすることで体内で合成しています。よって、陸地になる石などの設置物が必要です。ちなみに、背が低い4つ足タイプの机などを用いると、水量を確保しやすくなると同時にシェルターにもなるメリットがあります。
いずれの場合もカメが足を滑らせないように、表面が平滑でないものを用意するか、上に丸洗いができるタイプの人工芝などを敷いてあげましょう。
シェルター
屋外飼育の場合は、身を隠せる場所がないとストレスを感じてしまいます。また、強すぎる直射日光から体を保護するためにも、日陰となる場所が必要です。シェルターは、カメの体長・体高に応じた大きさのものを入れてください。
子ガメであればザリガニ用のハーフ植木鉢などが利用できます。屋内飼育の場合は人に慣れてもらうため、シェルターの設置はおすすめできません。ただし、日当たりの良い部屋で飼育する場合は、日陰となる場所を作ってあげてください。
▼シェルターに関してはこちらもご参考にしてください。
照明
前述の通り、カメは日光浴をしなければ健全な育成は望めません。よって、日当たりが悪い部屋で飼育する場合は照明が必要です。ビタミン類の合成には紫外線が欠かせないので、照明は爬虫類用に販売されているトルーライトを用意してください。
また、暖房器具がない屋内で冬眠させない場合は、陸地の温度管理にスポットランプもあると便利です。なお、日中に十分な太陽光が当たる場所に水槽を設置すれば、照明器具はいりません。
水槽用ヒーター
ヒーターはカメを冬眠させずに飼育する場合、冬場に必要になります。カメは少ない水量で飼育するので、ヒーターは熱帯魚用に販売されている小型水槽に対応したものが使いやすいです。
ヒーターを選ぶ際は、カメが接触して火傷しないようにカバーが付いたものを選ぶと良いでしょう。また、カメがぶつかったときに水中からはみ出たりしないよう、吸盤などで固定できるものがおすすめです。
カメの飼育セットもおすすめ
カメの飼育には、メーカーから最低限に必要なものが揃った飼育セットが販売されているので、初心者の方は利用するのもおすすめです。ここではおすすめの飼育セットをご紹介します。
ジェックス カメの楽園450
幅45.0×奥行き30.0×高さ25.4cmの水槽に、シェルターを兼ねた島と水中フィルター、試供品の餌とカルキ抜きがセットになった商品です。体長10cm前後までのカメなら十分に飼育が可能です。
水作 タートルファミリーフラットL
幅39.5×奥行き25.5×高さ18.8cmの水槽と、専用の水槽フタ、浮島、水中フィルターなどがセットになった商品です。浮島は内壁に固定し、水位とともに上下に動くので安全に甲羅干しができます。
カメの飼育法
水槽レイアウト
水棲カメの飼育には陸地と水場が必要です。陸:水が3:7くらいの割合になるよう、石などを設置して陸地を作ってください。その際は必ず、カメが自力で陸地と水場を行き来できるよう、傾斜を設けることを忘れないでください。
底床材に関しては、何も敷かない方がメンテナンスが容易です。細かい砂などを敷いてしまうと、カメが誤飲することがあるので注意してください。水位の目安は体高の2~3倍です。ただし、種類や個体によって泳ぎの上手い下手があるので、様子を見ながら調節してください。
活動的なカメであれば、多少深くしてあげた方が運動不足の解消に役立ちます。フィルターは止水域が生じないように、設置場所や排水口の向きを工夫してください。屋外飼育の場合もレイアウトの基本は同一ですが、個体数に応じて十分なシェルターなどの身を隠せる場所を用意してください。
▼水槽レイアウトに関してはこちらもご参考にしてください。
温度
カメが活発に活動できる温度は23~28℃ほどで、温度が20℃以下になると食欲の減退などの症状が出てきます。気温や水温が15℃以下になると冬眠しようとするので、冬場に冬眠させない場合はヒーターなどで温度を25℃前後に保ってください。
餌
種類
水棲カメの多くは何でも食べる雑食性です。餌は人工飼料を中心に、たまに動物質のものや植物質のものを与えると良いでしょう。
動物質の餌としては、鶏のササミやハツ、レバーなどの脂肪分が少ない肉類や、丸ごと食べられるニボシのような小魚、殻のまま食べられる干しエビ、コオロギやイトミミズ、アカムシなどの昆虫類が挙げられます。
塩分や脂肪分が多いものは、カメに悪影響を与える可能性が高いので基本的には与えず、ニボシなどは塩抜きをしてから与えてください。
植物質の餌としては、バナナやリンゴなどの果物や、小松菜、ニンジン、カボチャなどの野菜、ホテイアオイなどの水草類を好んで食べます。ただし、灰汁が強いホウレンソウなどの野菜を与えることは避けてください。
与え方
餌の与え方としては1~2日に1回、食べ残さない程度の分量を与えます。ただし、子ガメの頃は成長のためにより多くの栄養を必要とするので、最低でも1日に1回は給餌してください。
食べ残しは水質を著しく悪化させ、特に動物質のものは顕著です。餌の与えすぎには注意して、食べ残した場合は可能な限り取り除いてください。
カメの飼育における水の汚れと臭い対策
カメは臭うという印象をお持ちの方もいると思いますが、カメの悪臭の原因は汚れた水です。カメは水中で排泄することに加え、少水量で飼育することから悪臭の原因物質が蓄積しやすいのです。
よって、フィルターを用いて水を動かして止水が生じないようにしつつ、小まめに水換えを行って汚れが蓄積しないようにすれば、臭いはかなり抑えられます。また、カメは排泄後の水も構わず飲み水にしてしまいます。
自然環境下では膨大な水量があるために、カメが排泄したくらいでは水質は変化しませんが、飼育下では異なります。この観点からも特に夏場は理想的には毎日、少なくとも数日おきには水換えを行ってください。
カメの飼育における夏の温度管理について
カメは変温動物なので、周囲の温度が上昇すると、それに連動して体温も上昇してしまいます。夏場に直射日光が長時間当たる場所に水槽を設置すると、カメが熱中症にかかることがあるので注意してください。
また、エアコンがない密閉された部屋も危険です。夏場はエアコンがある部屋か、風通しがよい場所に水槽を設置して、日光の照射時間に注意してください。屋外飼育の場合も同様で、必ず日差しを遮れる場所を作ってあげてください。
カメの冬の屋外飼育について
屋外飼育の場合、冬は冬眠させることが一般的です。カメの冬眠についての注意点は次の通りです。
冬眠できる種類かどうか
カメは冬眠できる種類とそうでない種類が存在します。冬眠できるカメは日本などの温帯に生息している種類で、本稿で紹介したものだとミシシッピニオイガメは日本の冬に冬眠させるのは不可能ではありませんが危険です。亜熱帯や熱帯域に生息しているカメは、冬場は屋内飼育で越冬させてください。
冬眠できる体力はあるか
カメの体力も重要です。越冬に備えて十分に栄養を蓄えられている個体であれば問題ありませんが、痩せていたり怪我をしている個体は冬眠させず、屋内飼育に切り替えた方が無難です。
特に体力が少ない子ガメは、冬眠させるとそのまま死んでしまうこともあるので、冬場は屋内飼育に切り替えることを推奨します。
餌は与えない
カメは冬眠の準備に入ると餌を食べなくなります。これは冬眠中に消化器官の中に餌やその消化物、排泄物などが残っていると、腐敗してしまい命にかかわる重大な事態に陥るからです。気温・水温が低下して、カメが餌を食べなくなったら給餌はやめて、冬眠中にも餌を与えることはしないでください。
冬眠中は刺激しない
冬眠はカメにとって大量のエネルギーを消費する一大イベントです。心配になるのも分かりますが、カメの様子を見ようと頻繁に刺激を与えては、せっかく蓄えたエネルギーを無駄に消耗してしまい、冬眠の失敗を招きます。カメが冬眠に入ったら、なるべく刺激しないようにしましょう。
水を凍らせない
カメの冬眠に適した水温は5℃程度と言われています。水が凍ってしまうと、冬眠中のカメも低温に耐えきれなくなる可能性が高いので、水が凍らないよう注意してください。
水を凍らせないようにするには飼育水を多く確保すればよく、目安としては30cm以上の水深になるように水量を調節します。
放っておくと水が蒸発して、冬眠中のカメが低温の影響を受けやすくなってしまうので、時々水位を確認して減っているようでしたら静かに水を足してください。
カメの飼育における注意点
細菌について
カメは大部分の種類が食中毒の原因になる「サルモネラ菌」を保有しています。その他にも、人体に害をなす細菌を保有している可能性があるので、カメを触った後は必ず手を洗ってください。また、水換え後の飼育水の取り扱いにも注意が必要で、キッチンの流しなどには捨てないようにしてください。
放流は絶対にしない
特に外国産のカメは飼い切れなくなったからと言って、自然環境下に放流することは絶対に避けてください。現在の日本では、ペット用として流通したアカミミガメが放流された結果、在来種を駆逐してしまい生態系に大きな悪影響を及ぼしています。
その事態を重く見た環境省は、2020年にアカミミガメを特定外来生物に指定する予定でいます。どうしても手放さなくてはならない状況に陥ってしまった場合は、引き取りをしているショップなどもあるので、そういった場所を利用してください。
重ねてのお願いになりますが、これ以上特定外来生物に指定されるカメを増やさないためにも、絶対に放流は避けてください。
まとめ:カメの飼育方法について
カメは入手こそ容易ですが、手軽に維持管理できる生物では決してありません。それなりの大きさの飼育スペースが要求され、水換えも小まめに行う必要があります。
しかし、きちんとした環境で飼育してあげれば、意外と活発に泳ぎまわる様子や人の手から餌を食べる様子など、魅力に溢れる生物であることは間違いありません。飼いたいとお考えの場合は、最後まで面倒を見切れかどうかよく検討してから飼育してください。
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このコラムへのコメントやお悩み相談に届いた質問の回答
とても参考になりました!
コメントいただき、ありがとうございます。
亀は最終的に大きく成長しますが、かわいい生き物です。
ぜひ大切に育ててあげてください。
クサガメとミシシッピアカミミガメを飼っている中学生です。
クサガメの紹介のところの写真がミシシッピアカミミガメの写真になっているかと…。
(ちがったらすみません。)
ご指摘ありがとうございます。
わかりやすい写真に変更いたしました。
よろしくお願いいたします。