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水槽用ヒーターは、春・夏・秋・冬と一年を通して温度が変化する日本で、水槽内の飼育水を保温する必須の水槽用機材です。しかし、水槽用ヒーターにも多様な種類があり、どの水槽用ヒーターが良いのか悩んでしまうことも。
水槽用ヒーターの種類や特徴から、サーモスタット・消費電力・おすすめの商品・設置の仕方・注意点までを解説いたします。
水槽用ヒーターに関する情報をご確認いただき、ご自宅の水槽にぴったりの機種やタイプを見つけていただけたら幸いです。
目次
プロアクアリストたちのアドバイスをもとに解説
このコラムは、東京アクアガーデンに在籍するプロのアクアリストたちの意見をもとに作成しています。
数多くのアクアリウム水槽を設置してきたなかで、数えきれないほどの水槽用ヒーターを扱ってきました。
水温の安定は熱帯魚たちを健康に育てる大切な要素です。
水槽用ヒーターの選び方や考え方のご参考になさってください。
水槽用ヒーターを動画で知る!
このコラムの内容は動画でもご覧いただけます。
水槽用ヒーターの正しい使い方やおすすめ機種を音声付きで解説します。
※この動画は2021年に制作したものです。
東京アクアガーデンではYouTubeチャンネル『トロピカチャンネル』を公開しています。
水槽の温度管理方法から熱帯魚・観賞魚の飼い方、水槽レイアウトなどを動画でわかりやすく解説しています。
チャンネル登録をぜひお願いします!
ワット数別!おすすめ水槽用ヒーター
プロのアクアリストが推奨するワット数別におすすめの水槽用ヒーターをご紹介します。
扱いやすいサーモスタット付きを中心に各ワット数ごとに選びました。
水槽用ヒーターの選定は水槽サイズと、最終的には好みで決めることが多いです。参考としてぜひご覧ください。
50W未満
■ 1.エヴァリス プリセット オートヒーター 10
消費電力が10Wの機種で、4~5Lの水量に向いています。
小型水槽で飼育する、メダカやベタ、アカヒレなどの飼育で活躍する水槽用ヒーターです。
■ 2. ジェックス セーフカバーオートヒーター SH20
8L以下の小型水槽に向いた機種です。
空焚き探知機能が付いていて、水量が少ない容器でも安心して使えます。
小型水槽のベタ飼育などにおすすめです。
■ 3. エヴァリス プリセットオートヒーター 鉢用 40
水量5~10L以下用の水槽用ヒーターです。
四角い水槽ではなく、鉢型の容器にも使用できます。
50W
■ 1. エヴァリス ダイヤルブリッジR AF 50W
25~30cm水槽に向いている小型水槽用ヒーターです。
ダイヤルで温度調節ができるので、生体のコンディションにあわせて使用できます。
■ 2.テトラ 26℃ミニヒーター 安全カバー付 50W
お手頃価格と機能の小型水槽用ヒーターで、取扱店も多く、購入しやすさが魅力です。
自動で水温26度をキープしてくれます。
アクアリウム初心者に、特におすすめな機種です。
100W
■ 1.エヴァリス マイクロセーフパワーヒータープラスNX 100
20~40Lの水量向きの温度調節機能付き水槽用ヒーターです。
エヴァリスの水槽用ヒーターは温度設定が正確なことから、東京アクアガーデンのスタッフからも信頼されています。
■ 2.ニッソー プロテクトPROヒーター 100W
サーモスタットとの接続が必要ですが、配置しやすいサイズの水槽用ヒーターです。
約30Lまでの水量に対応しています。
45cm水槽などで使いやすい規格です。
150W
■ 1.エヴァリス マイクロセーフパワーヒータープラスNX 150
30~60Lの水量に対応している機種です。
サーモスタットに繋げて使用しますが、ヒーターは別売りで購入できるため故障に備えられます。
60cm水槽で飼育を始める場合、選びやすい規格でしょう。
■ 2.ニッソー NEWプロテクトプラス 150W
サーモスタット付きの150Wヒーターです。60Lまでの水量に対応しています。
購入しやすい価格設定と使いやすさから定番の商品です。
200W
■ 1.エヴァリス ダイヤルブリッジR AF 200W
サーモスタット一体型では高出力な200Wです。
60~100Lまでの水量に対応しています。
■ 2.ニッソー プロテクトヒーター R-220W
ブラックのカラーで水槽内で目立ちにくく、レイアウト水槽で採用しやすい水槽用ヒーターです。
300W
■ 1:ニッソー プロテクトプラス R-300W
アクアガーデンでも良く採用する水槽用ヒーターです。100~150Lの水量に対応しています。
2台組み合わせることで、500Wが必要な300L近い水槽でも、余裕をもって水温維持できます。
■ 2.ジェックス セーフカバーナビパック 300
一体型としてはもっともW数の高い製品です。
簡単に設置できる手軽さと、購入しやすさが魅力です。
500W以上
■ 1.ニッソー プロテクトヒーター 500W
500Wを単体で担える水槽用ヒーターはほぼこちらの機種を採用します。
250L以上の大型水槽を保温する要となります。
2本使用すれば450Lほどまでの水量に対応できます。
水槽用ヒーターとは 種類と特徴を解説!
水槽用ヒーターとは
水槽用ヒーターとは、水槽の飼育水を加熱して水温の低下を防ぎ、飼育環境を一定に保つための装置です。
日本には四季がありますから、大体3ヶ月ごとに水槽内の水温も変化していきます。
また朝晩の温度差も、水温に敏感な熱帯魚や水草には大きな負担です。場合によっては活性が下がり、病気や命の危険すらあります。そのような事態を防ぐため、たくさんのアクアリウムメーカーは保温器具を開発・販売しています。
熱帯魚や水草の適水温は23℃以上が望ましく、26~28℃ぐらいまでの温度に設定しておきたいところですが、夏冬のある日本では水温の維持には保温機材が必要です。
水槽用ヒーターと水槽用クーラーはその役割を担っています。
水槽用ヒーターは発熱する都合上、化学物質の流出を懸念する方もいますが、近年は環境ホルモンを発生させない素材のキスゴムを使用している商品もあります。
さらに、表面温度が400℃以下程度に抑えられるものや、カバーが難燃性素材(V-0グレード適合樹脂)のものが登場するなど、安全性は飛躍的に向上しています。
デリケートな機材だからこそ、安全に使用できるのは嬉しいです。
水槽用ヒーターの種類(タイプ)と特徴
水槽用ヒーターには細かく水温を調節・指定できるものと、コードを電源に挿すだけで一定の水温に保温する手軽に使えるもの、などの種類があります。
■ サーモスタットとヒーターの一体型(温度調節型)
水槽用ヒーターとサーモスタットがセットになっているタイプです。
サーモスタットの制御機能で、温度の上がりすぎや下がり過ぎを防いでくれます。温度設定は1℃単位で調節できるため、生体に合わせたベストな水温を実現できます。
しかし、ヒーター部分が故障するとサーモスタットごと買い替える必要があるため、コストパフォーマンスはあまり良くありません。それでも、すっきりと1つにまとめられるのが魅力のタイプです。ヒーターを個別に選ぶ必要がないため初心者でも安心して使えます。
■ サーモスタットとヒーターの別売り型
※こちらの商品のヒーターは、サーモスタット(別売り)が無いと使用できません。
サーモスタットと水槽用ヒーターは単品で買うこともできます。
単品購入のメリットは、お好みの組み合わせにカスタマイズすることができることです。
後述しますが、水槽用ヒーターは消耗品の為、初期投資は高くても長い目で見るとこちらのほうが良いです。
別々のメーカーの製品を組み合わせ、お好みの設置方法を実現できます。
2本の水槽用ヒーターを同時に設置できるため、大型水槽にはこちらのタイプが一番向いています。
■ オートヒーター(温度固定型)
あらかじめ設定されている固定水温に昇温してくれるタイプです。
熱帯魚に最適な26℃固定や、金魚やメダカに最適な18℃や23℃固定のものなどがあります。
ヒーター内に温度感知センサーが埋め込まれているため、別売りのサーモスタットの装着はできません。
電源さえあれば機能するため、手軽に水温を維持したい場合におすすめです。
温度を管理する装置が内蔵されているためか、比較的大型のものが多い印象です。ヒーターを一つも持っていない場合は、まずこのタイプを導入することをお薦めします。
■ インラインヒーター
外部式フィルターのホースに接続できる水槽用ヒーターです。
水槽内に設置しないため、レイアウトをすっきり見せることができますし、生体がぶつかって火傷や怪我をすることもありません。
メリットの多い水槽用ヒーターなのですが、取り扱っているメーカーが少ないことや交換に手間がかかる・価格が高価であるというデメリットがあります。
■ パネルヒーター
ボトルアクアリウムなどの小型アクアリウムの保温器具に悩む方も多いです。水槽やボトル内に水槽用ヒーターが入らないことがほとんどだからです。
その場合は、パネルヒーターで保温します。
しかし、パネルヒーターは表面温度が25~45℃程で、さらに保温効果は外気温に左右されるため、一定水温の維持が難しいです。
それでも、ボトルで熱帯魚を飼育している場合には有効なヒーターです。
■ マイクロヒーター
小さな水槽で飼育していて、ヒーターの入るスペースがないけれどパネルヒーターではなく水中ヒーターで水温を安定させたい…、水量が10リットルにも満たない超小型水槽には『マイクロヒーター(水槽用超小型ヒーター)』を使用します。
小さな水槽を使用したアクアリウムは人気が上昇しており、各メーカーからも優秀なマイクロヒーターが発売されています。
小型で場所を取らないため、余裕の少ない超小型水槽でもすんなりと設置できます。
サイズが豊富にラインナップされているため、超小型~小型水槽のユーザーにとって使いやすいです。
小型水槽の需要に応じて、これからもマイクロヒーターは開発され続けると考えられます。
どんどん小型で高性能になっていくのが楽しみです。
水槽用ヒーターにカバーは必要?
「魚が火傷しないように…」と、水槽用ヒーターには樹脂製のカバーが必須、と思われる方が多いと思います。
しかし、飼育している熱帯魚の種類によっては、カバーは必要ありません。
それどころか、小さな魚や稚魚、エビなどがヒーターのカバーの隙間に挟まり、死んでしまうこともあります。小さな生体を飼育されている方は、カバーは付けないほうが良いです。
では、どんな時にヒーターのカバーは必要なのでしょうか。
それは、ヒレの長い生体(ベタや金魚など)を飼育する場合です。ヒレが触れて火傷してしまうのを防ぎます。
ベタは狭いところを好むという性質があるため、隙間のできるキスゴムのついたヒーターはおすすめできません。また、小さな水槽で単独飼育することがほとんどですから、小型水槽用の四角い形状の引っかかる箇所の少ないヒーターを使用されることをお薦めします。
ベタだけでなく、プレコなども狭い場所を好む生体です。
プレコはベタよりも大きくなりますから、それなりの大きさの水槽で飼育します。そうなると小型の水槽用ヒーターではパワー不足です。その場合は適合サイズでカバー付きの水槽用ヒーターを使用します。
このように、熱帯魚の個性によってカバーは必要です。飼育している生体を見て決めましょう。
水槽用ヒーターのサーモスタットとは
水槽用ヒーターの出力を制御し、飼育水の温度を管理するための機材です。単体では水槽を温める機能はありません。
単品タイプの水槽用ヒーターは、サーモスタットが無いと使用できません。
また、サーモスタットが壊れると水槽の水は設定温度よりも上昇、または低下(加温されない)を続けることがあり、生体たちにダメージを与えてしまうことがります。
そのため、扱いが難しいイメージがあり、別売りではなくサーモスタット機能を持っている水槽用ヒーターが人気です。
サーモスタットには、『バイメタル式』と『電子式』という種類があります。どちらも扱いやすさは変わりませんが価格に差があります。
■ バイメタル式サーモスタット
バイメタル式は、温度により収縮が変化する2枚の金属(バイメタル)により通電する方式です。このバイメタルの接触具合により、出力を調整し、水温を調節します。
あらかじめ設定しておいた温度になると接触点が自動的に開路・閉路するようになっています。アクア用品にしては湿度に強い特性があります。また、安価なのも嬉しいポイントです。
ただし、バイメタルは接触を利用するため、物理的な要素が大きいです。長期間使用していると汚れなどが溜まり接触不良を起こすことがあります。
上手く作動しなくなる可能性がありますので、定期的な掃除や点検が必要なタイプです。
■ 電子式サーモスタット
最近主流になりつつあるタイプです。
特殊半導体(IC)の小型センサーが水温を感知して、自動でダイヤル(入力)通りの設定温度に管理してくれます。
手軽で反応が早く正確なため、初心者でも安心して使用できます。デメリットとしては、バイメタル式よりも高価なことがあげられますが、安全性がより優れています。
■ 水槽用ヒーターの設定可能温度
市販の水槽用ヒーターで設定可能な温度の幅としては15℃~30℃程度です。
なかには35℃に設定できるものもあります。
サーモスタットを使用する場合、1℃ずつ設定できるため、熱帯魚や水草の種類に応じて変動させることができます。
病気の治療に適した水温へ上昇させることもできるため、特に水温が下がると発症しやすい『白点病』の治療では重宝する機材です。
また、熱帯魚や水草だけでなく金魚などの観賞魚も、水温を一定に保つことにより餌の消化を助け、1年を通じて安定した成長を促すことができます。
大きく育てたい場合は、こまめな餌やりと水換えの他に、水槽用ヒーターがあると良いです。
水槽用ヒーターと水槽用クーラーを併用して一定水温に維持できる
水槽用ヒーターは、水槽用クーラーに接続することができます。
水槽用クーラーには、水槽用ヒーターを接続できる『ヒーターコンセント』が付いています。
水温が設定より下回るとヒーターへ通電して作動、水温が上がると今度はヒーターが切れてクーラーが作動する仕組みを作れます。
これにより、水温を恒常的に一定に保てるため、クーラーも使用しているならばぜひ利用していただきたい機能です。
接続するヒーターはオートヒーター(温度固定型)かサーモスタットを使用できるタイプが良いです。
ちなみに、レイシー社製の水槽用クーラーの場合は、別売りのサーモスタットが必要です。クーラー単体で使用する際にも別売りのサーモスタットを使用しますのでセットでご利用ください。
水槽用ヒーターを選ぶ時の注意点とは
水槽用ヒーターを選ぶ際の注意点をまとめました。
基本ポイントは『ヒーターに無理をさせないこと』です。電子機器ですから、無理な荷重は故障へつながります。水量に合った機種を選びましょう。
■ヒーターの種類や特性を考えて選ぶ
さまざまなタイプのある水槽用ヒーターですが、それぞれの特性で選ぶのが良いです。
メリット | デメリット | |
---|---|---|
サーモスタットとヒーターの別売り型 | 容量以内なら好みのヒーターを接続できる | 単品では機能しない |
サーモスタットとヒーターの一体型 | 手軽に設置できて、温度調節が可能 | 買い替えにコストがかかる |
オートヒーター | 簡単に設置できる温度固定式 | 温度の変更はできない |
インラインヒーター | ホースに接続できるため、レイアウトに影響しない | 交換に手間がかかり、高価 |
パネルヒーター | 容器の外側から保温。ボトルアクアリウムにも使用可能 | 環境によって保温にむらができる |
マイクロヒーター | 小型水槽に最適なオートヒーター | 温度調節はできない |
急激に水温が上がると体調を壊す魚もいますが、オートヒーターやパネルヒーターでは段階的に昇温させるのは不可能です。
1度ずつ温度を設定可能な温度調節式やサーモスタットが確実性が高くおすすめです。
■飼育水の水温を上げる目安
1日で最高3℃程度までの昇温に抑える
※理想は1日1℃です。
これを超えて水温を上げるのは控えたほうが良いです。
■水槽用ヒーターのパワー容量を守る
容量が水槽の水量と適合していないと必要以上に通電してしまい、ヒーターの寿命を縮める原因になります。必ずワット数と適合水量を確認して購入しましょう。
水槽用ヒーターは水槽用機材のなかでも、突然故障しやすい部類のアイテムです。
急な故障に備えて、2本用意しておくのが望ましいです。
例えば、水量100Lで200Wのヒーターが必要な水槽なら100Wを2本設置するなどが良いです。そうすれば一つ故障しても急激な水温低下は避けられます。
しかし、残った1つに過剰な負荷をかけているわけですから、故障した際はすぐに新しいものを装着しましょう。
■コンセントの容量を守ろう
熱帯魚水槽の運用には多くの電源を必要としますので、大抵の場合はタコ足を使用されているかと思います。
濾過フィルターやLEDライト、エアレーション…と繋げていくうちに、つい容量をオーバーしてしまうことがあります。きちんと電気の容量を計算したうえで機材を選定されることを推奨します。
水槽サイズ別ヒーターのワット数一覧
水槽用ヒーターは、パワー(ワット数)ごとに適合する水槽サイズが違います。
水槽サイズごとに必要な、電力のワット数は下記のとおりです。
このように、水量により必要なワット数が変わっていきます。
基本的に、50W上がるごとに、20Lずつ適合水量が増えます。水槽用ヒーターは水槽に入っている総水量を確認のうえで選びましょう。
水槽に対してあまりに水量が少ない場合、水槽用ヒーターの空焚きや故障の原因になる場合がありますので、使用は控えたほうが良いです。
その場合は水槽サイズでなく水量にあったワット数の製品を選ぶようにしましょう。
水槽用ヒーターの正しい置き方や取り付け方法とは
水槽用ヒーターには『横置き』と『縦置き』が可能な機種が存在します。
ここでは、水槽内のレイアウトを邪魔しない設置方法なども考えていきます。
■横置き(通常設置)
ヒーターを水槽に対して水平に取り付ける方法です。
水槽用ヒーターのほとんどが、横置き設置には確実に対応しています。
水は温かくなると上へ向かって流れていく性質があるため、縦に設置すると効率が悪いからです。また、コードの傍には温度感知装置が内蔵されていることがあり、温まった水がそこへあたるのは、うまく動作しない原因になります。
水槽用ヒーターは基本的に、水流のある場所に設置します。温められた水が水槽にいきわたるからです。キスゴムでの固定を確認し、ずり落ちないようにしましょう。
横置き専用のヒーターは必ず横にして、底面近くに設置してご使用ください。
底面が良くても、水槽用ヒーターを底砂の中へは絶対に埋めないでください。
底砂の中では水流がないため、熱がヒーターの周囲に滞留します。それにより、ヒーターは満足に水が温められたと勘違いして、動作を止めてしまうことがあります。
結果、飼育水は温まらないということになります。
さらに、底砂内に過剰に熱がこもり、ヒーター自体の故障や水槽を傷める原因にもなります。
■縦置き
近年は縦置き可能な機種も多数開発・発売されています。
発熱管と温度制御部分を分けることで、縦置き可能な構造となっています。こちらは横置きとは違い、コードを上にして、水槽に対し垂直にキスゴムで固定し、使用します。
一番のメリットとしては、設置スペースを少なく抑えられることです。
水槽用ヒーターは、意外と横に長かったりしますから、縦置きは水槽内をスッキリと見せることができ、横幅が狭く縦の高さがあるような小型から中型水槽に向いています。
こちらも底面付近でなおかつ水流のある場所に設置するのが、効率が良いです。
水槽の水が循環していない場合、温められた水が一範囲にとどまり全体の水温を均一にすることができませんのでご注意ください。
■水槽レイアウトを邪魔しないヒーターの置き方
ヒーターはそのまま設置していると水槽内で目立ち、レイアウトの雰囲気を左右することもあります。
レイアウトを重視する場合は、流木や石、水草を使ってヒーターを隠して仕上げます。
発熱器具ですので、水草ではなく岩や流木で隠します。
同じワット数の製品でも、メーカーや商品によってヒーターの長さが違うのでよりレイアウトを邪魔しない製品を選びましょう。
また、ワット数を下げて短いものを選定し、既定の水温になるように2本設置する方法もあります。
ワット数を下げる場合は合算して水量に見合ったパワーになるように水槽用ヒーターを組み合わせて設置しましょう。
また、カラーはシルバーよりもブラックが目立ちにくいです。塗装されているものは、耐腐食性(サビ止め)を備えている場合があり、おすすめです。
水槽用ヒーターを使用するうえでの注意点
発熱器具ですから、取り扱いには注意が必要です。
水槽用器具ですが表面温度は意外に高く、水上で触ると火傷をしてしまいます。
水槽用ヒーターを使用するうえでの注意ポイントをまとめました。
■水温計を必ず設置・水温を目視しよう
水温を上昇させる機材ですから、きちんと目標の水温に留まっているかを監視する必要があります。水槽用ヒーターは故障すると際限なく水温が上昇したり、まったく作動せず無加温状態になってしまったりしてしまいます。
それを防ぐには、実際に水温を水温計で目視するのが一番です。
ただ、水温計もまれに故障することがあります。売り場で他の水温計と違う温度を指していないか、チェックしてから購入しましょう。
水温を正しく観測するポイントとしては、水温計は水槽用ヒーターから離して配置するのが良いです。水温計は水槽用ヒーターの傍に置きすぎると、水槽全体の水温が判断できないです。
ヒーターは底に、水温計は水面に近づけて設置しましょう。
■空気中での電源はオフに!水槽用ヒーターの空焚きは厳禁
水換えなど、水槽をメンテナンスする際に手間を感じるのが、アクアリウム機材の電源オンオフです。
水槽用ヒーターは、ON/OFFライトのついていないものは起動させても一見、何も変わりません。特に、サーモスタットのついていないタイプは、コードに挿しただけでそのまま加温します。
水槽に水を入れる前に起動させてしまうと『空だき』となり、火傷の危険だけでなく、ヒーターやその他機材を故障させてしまいます。
空焚きは火傷や火災の原因にもなる大変危険なことです。アクリル水槽などは焦げて使い物にならなくなることもあります。
説明書にもある通り、空気中での使用は厳禁です。必ず通電していないか、チェックしてから水面に出しましょう。
■水槽用ヒーターも定期的に清掃しよう
水槽用ヒーターにも汚れはたまっていきます。
特に、飼育水に含まれる『炭酸カルシウム』は白くこびりつきやすく、時間が経つほど除去しにくくなります。
こびりついた汚れはヒーターの故障の原因になります。その他にも、魚のフンや餌の食べ残しなどが積もる場合があるので、定期的にスポンジできれいにしましょう。
余談ですが、色がブラックのヒーターは、炭酸カルシウムの付着がわかりやすいため、掃除時期が分かりやすいです。
■故障!水漏れ・老朽化に注意しよう
水槽用ヒーター内部でも、水漏れが起こることがあります。
特にオートヒーターの場合、すべてが1つのケースに詰まっているため、もし水漏れしたらショートしてしまいます。
そのため、何年も使用することは避け、定期的(1年程度)に新品と交換しましょう。少しでも様子がおかしかったり、劣化してきたと感じたりしたら、交換するのが賢明です。
それほど、水槽用ヒーターによる事故は多く、危険だからです。
■プラスチック水槽(バケツなど)では使用禁止!
水槽用ヒーターは水槽以外、特に発泡スチロールやプラスチック素材のものには使用できません。
これは、各メーカーが必ず提示している使用上の注意です。
プラスチックなどは高温に弱く、溶ける・変形する・割れる・発火するなどの危険性があるからです。それほど高温に感じられなくても、熱が当たり続ければプラスチックは変質をおこします。
よく、熱帯魚を隔離する都合で、バケツやプラスチック水槽でヒーターを使用したい、というお話を聞きますが、絶対に使用しないでください。
とはいえ、実際にプラスチック水槽で使用されている方もいます。その場合は、使用は自己責任で、ということになります。18℃設定のオートヒーターなど、あまり高温にならないタイプなら、使用は不可能ではありませんが、危険ですので推奨はできません。
そのため、隔離やトリートメントは、ガラス水槽をご用意いただいたほうが良いです。
なぜガラス水槽かというと、着色性の薬(メチレンブルーなど)にも強いからです。
■屋外で水槽用ヒーターを使用してはいけない!
水槽用ヒーターは、室内での使用を前提に作られています。
屋外では急激な気温の変化により、水槽用ヒーターの保温性能が保てませんし、雨や雪などが電源を直撃したらショートは避けられないです。他にも強風や直射日光など、水槽用ヒーターに負担をかける原因がたくさんあります。
事故を防ぐためにも、屋外での水槽用ヒーターの使用は絶対に避けましょう。
水槽用ヒーターの電気代を計算してみよう
アクアリウム用品を使用していて気になるのが、電気代です。
実は、水槽の運用費用の中でも突出して料金が高いのが、水槽用ヒーターをはじめとする保温機材です。
水槽用ヒーターを使用する際の、電気代を算出してみましょう。
■電気代の計算方法
こちらの計算式で水槽用ヒーターの電気代を算出できます。
■水槽用ヒーターの電気代計算式
(ワット数×24時間)÷1000×31円=一日の使用電気代
例えば、100Wのヒーター1本なら下記の計算式です。
(100×24)÷1000×31=74.4
1日の電気代は約74.4円で、1か月(30日)あたりの電気代は約2232円です。
こちらで算出した電気代は『公益社団法人 全国家庭電気製品公正取引協議会』の目安単価(約31円)をベースにした、あくまでも目安です。
地域や使用状況により、電気代は増減します。
1か月単位で見ると、なかなかの電気代がかかっていることが分かります。
水槽用ヒーターの電気代を安くする節電方法
上の項目の通りに、熱帯魚用の水槽用ヒーターは1か月間の通常使用で、安く見積もっても電気代約1000円~程度かかります。
寒い冬などは、私たちも暖房機器を使用するため、無視できない金額ですので抑えたいところです。
水槽用ヒーターの電気代を下げる手軽な対策としては、水槽自体を保温する方法があります。
断熱シートや発泡スチロールを水槽に巻きつけることで水槽を保温し、水槽用ヒーターの稼働を減らす方法です。
外部フィルターの場合は外部フィルター本体にも同じように保温材を巻き付けます。シンプルながら、とてつもなく寒い季節には、かなり有効な方法です。
水槽と、ろ過フィルターを繋ぐホースに断熱材を巻き付けるのも効果が高くおすすめします。
また、保温する場合は、水槽のフタは必ずしめて水面からの温度変化を減らしましょう。
フタをすることで+2℃程度の保温効果があります。水は蒸発すると温度を奪ってしまうので、保温が目的なら飼育水が蒸発しないようにすると良いです。
この方法は、水槽用クーラーの使用時にも有効です。
水槽用ヒーターの節約方法について!動画で解説!
また、2024年5月以降には政府の補助金が終了することもあり、今後さらに値上がることが予想されます。
そこで肝心なのが電気代の節約です。
水槽用ヒーターや水槽用クーラーは生き物の命を守る大切な機材ですが、電気代が最もかさんでしまう設備でもあります。
効果的な方法としては、ろ過フィルターに保温材を巻き付けるなどの、保温材を使用したものや、エアコンと併用して稼働率を下げる方法があります。
水槽用ヒーターの節約方法は動画でもご覧いただけます。
効果的な使い方を音声付きで解説いたします。
水槽用ヒーターの寿命とは
水槽用ヒーターの寿命はメーカーにもよりますが、『約1年』です。
短く感じますが、水中で発熱させ使用するものですから、どうしてもゴム部分などが劣化していきます。オートヒーターの場合は、ヒーター内に水漏れが起きるなどの“老朽化”が起きることがあります。他のタイプの水槽用ヒーターも1年を超えると通電不良などを起こす確率が上がりますので、まだまだ使用できると感じても安全を考慮すると、1年での定期的な交換が望ましいです。
各メーカーも通常の保証対象期間は1年間に設定しています。
近年では2年間保証が付いている商品もありますが、その場合も保証期間内で使い切るようにしましょう。
『水槽用ヒーターは、基本的に1シーズンだけの消耗品』と位置付けて管理するのが良いです。
しかしサーモスタットは何年も使用できます。
このことからアクアリウム上級者の方は、サーモスタットとヒーターは『別売り型』を使用するケースがほとんどです。東京アクアガーデンでもそのように管理しており、水槽用ヒーターが壊れたらヒーターだけ補填し、無駄をなくしています。
とくに、大型水槽で何本ものヒーターが必要な場合は効率が非常に良いです。
夏でも水槽用ヒーターを付けておく?
意外かもしれませんが、夏でも水槽用ヒーターは付けておくの良いです。
室内のエアコン使用や朝晩の気温変化で、水槽用ヒーターの設定温度より、水温が下回る可能性があるからです。
水温変化が激しいと、熱帯魚たちは体力を消耗し、病気を発症してしまうことがあります。病気は薬で治療できますが、薬は使いすぎると効かなくなったり、魚にも悪影響を与えたりしますので、なるべく使用しないのが一番です。
また、病気は魚たちの成長具合を鈍らせる原因にもなります。
そして、水草と熱帯魚を同時に飼育していて水槽に病気が蔓延した場合、水草を諦めて薬浴やリセットをしなければいけません。
そうしたトラブルを防ぐために、夏でも水槽用ヒーターの使用を推奨しています。
ヒーター本体は設定温度に達すると通電しなくなるので故障していなければ、水温が熱くなりすぎる心配はありません。
夏の外的要因による暑さ(気温、日光)には対処できないので、水槽用クーラーや冷却ファンを併用しましょう。
常に一定の水温を保ち、安定した水槽環境を作り上げることができます。
日本の夏は年々暑くなってきていますから、水槽を日陰に置くなどでは対処できなくなっています。
エアコンを使用する機会が増えたことで、室内の水槽は以前よりも水温が変動しやすくなっている、と言えます。
水温対策は、熱帯魚やエビ・水草たちのためにもしっかりと行います。
まとめ:2024年【完全版】水槽用ヒーターのすべて!おすすめ商品、電気代、置き方も解説
水槽用ヒーターといっても、使い方や製品は多種多様です。
熱帯魚水槽や水草水槽では、必ず使用するものだからこそ自身の水槽にあったものを選定したいです。
生体の健康にかかわる水槽用ヒーターは本体の寿命が約1年と短く、定期的な交換が必要とされる機材であるため、常に最適なパフォーマンスが発揮できているかを注視する必要があります。
交換用の予備ヒーターやサーモスタットは、ストックして不慮の事故を防ぎましょう。
水槽用ヒーターについて良くあるご質問
水槽用ヒーターの役割はどのようなことですか?
温度変化を防ぐことで、生体の体調を整えることが出来ます。
水温が下がり過ぎると病気が発生するリスクが上がりますが、水槽用ヒーターで予防が可能です。
昇温させることで白点病治療にも有効です。
水槽用ヒーターにはどんな種類がありますか?
固定式は規定の水温に維持するタイプで、熱帯魚飼育に最適な26度のものが多いです。
可変式は、用途(季節による温度変化・一部の病気治療など)に応じて1度単位で温度調節できます。
水槽用ヒーターを選ぶ基準を教えてください
水槽サイズよりも飼育水の量で、適合する機種が変わってきます。
プラティなどの小型魚は26度固定の機種で問題ありませんが、30度以上の高水温を好むアロワナやディスカスなどを飼育する際は、サーモスタット付きの温度可変式をご選定ください。
水槽用ヒーターの正しい置き方とは?
横置きは効率良く水を温めることが可能で、縦置きは水槽レイアウトをすっきり見せることが出来ます。
水流付近に設置すると、温まった水が水槽全体に行きわたり効率が良いです。
縦置きは、水面に露出しないように注意します。
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お手持ちの水槽をプロのアクアリストがメンテナンスしてくれる水槽メンテナンスサービス、
水槽リニューアルサービスや水槽引っ越しサービスなど様々なサービスがございます。
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3リットルの水槽を38度で維持したいです。
どんな商品を購入すればよいでしょうか。
ちなみに 生き物を飼う為ではありません。
水槽の温度管理の商品がいっぱいありすぎてわからないのでアドバイスいただけると助かります。1.3リットルの本槽と2.3リットルのサブ槽を循環している装置です。よろしくお願いします。
コメントありがとうございます。
アクアリウム用の製品では35℃までの加温が一般的です。少量の水を38℃に維持する機材については存じ上げません。
このような回答になり、申し訳ございません。
何卒、宜しくお願いいたします。
エヴァリス マイクロセーフパワーヒータープラスNX 100を購入検討してますが、ネットでは100Wタイプより、200Wタイプが安く販売されています。
200wのものでも、問題ないでしょうか??電気代もフルパワーで使わないので、100Wと差ほど変わらない認識であってますか?
水槽用ヒーターはW数が高いものでも、問題なく使用できます。
ただ、100Wよりもサイズが4cmほど大きいため、水槽サイズによってはかさばる可能性があります。
W数と製品サイズは比例しているので、レイアウトに無理が出る場合は適合サイズの購入がおすすめです。
電気代は稼働時間にもよるので、正確にはお答えできませんが、少し高い程度に収まると考えられます。
こちらのコラムもご参照ください。
水量別!水槽用ヒーターの選び方!適合水量にあわせて正確に機種を選ぼう
https://t-aquagarden.com/column/aquarium_heater_l
よろしくお願いいたします。