野生のメダカを見つけたら!絶滅危惧種!なぜ減ってしまったのかも解説
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メダカは日本人にとって、とてもなじみ深い魚です。
童謡「めだかの学校」の題材にもなっているように、かつては小川をのぞけば当たり前のようにメダカがいました。しかし、近年では野生のメダカを見る機会がほとんどありません。
メダカはもともと、水草や水生植物が豊富で、護岸などがされていない水辺に生息しています。開発が進み、メダカが好む環境が少なくなり、メダカ自体も減ってしまっているのです。
今回は、野生のメダカについて解説していきます。野生のメダカがなぜ減ってしまったのか、また野生のメダカを見つけた時の対応についても紹介しますので、参考にしてください。
目次
プロアクアリストたちの意見をもとに野生のメダカを解説
このコラムは、東京アクアガーデンスタッフであるプロのアクアリストたちの意見をもとに作成しています。
野生のメダカは、いつの間にか絶滅危惧種となってしまいました。
そんな中、最近はメダカブームで、お店に行けば色とりどりのメダカが販売されています。元をたどればこれらの改良メダカは、野生メダカから変異した「ヒメダカ」なのです。
そもそも、野生メダカがいなければ、現在のメダカブームも存在しません。メダカが流行っている今こそ、野生のメダカのことにも目を向けてみましょう。
ここでは、実務経験から得た知識をもとに、野生のメダカを解説します。
野生のメダカとは
日本に生息する野生のメダカはミナミメダカとキタノメダカの2種類です。
どんなメダカなのか、それぞれ解説していきます。
ミナミメダカ
『ミナミメダカ』は、日本の主に太平洋側に分布している野生メダカで、青森県東部から沖縄県までで見られる魚です。
ミナミメダカは地域ごとにさらに9つのタイプに分けられ、遺伝的に差異があることが分かっています。
タイプによっては生息域が非常に限られており、絶滅の恐れもあり厳重に保護されていることもあるほどです。
身体的には、背びれの切れ込みが深く、体側部がキタノメダカより白っぽい特徴があります。
キタノメダカ
『キタノメダカ』は、日本海側に生息している野生メダカです。青森県から京都府の丹後半島東部辺りまで見られます。ミナミメダカと比べると生息範囲が狭く、個体数はさらに少ないと考えられている品種です。
背びれの切れ込みがミナミメダカより浅く、体側部に黒い網目模様があります。
2012年まで、キタノメダカとミナミメダカと同一の種類とされていました。しかし、実は400〜500万年前には、遺伝的に別種として確立されていたことが分かっています。
ミナミメダカやキタノメダカをまとめて、「ニホンメダカ」と呼ぶことも多いです。また、これらの野生のメダカを元に繁殖させたものが、「黒メダカ」として流通しています。
黒メダカについては、こちらのコラムも参考にしてください。
野生のメダカはなぜ減ってしまったのか
野生のメダカがなぜ減ってしまったのかを解説します。
原因や理由を知ることは、メダカを保護するうえでもとても大切なことです。
メダカが生息できる場所が激減
メダカはかつて、日本全国の小川やため池などに生息していました。
しかし、農業の変化や事業開発などによって、生息地が大幅に減少してしまったのです。
農業では昔と比べて農薬や肥料がたくさん使われるようになり、それらが流出することによって水質が汚染されます。
また、用水路の整備や護岸工事によって、水辺の環境が変わってしまいました。コンクリートで固められた護岸では水草や水生植物が減り、卵を産み付ける場所も減ってしまったのです。
最近では環境に優しい農薬や肥料が開発されたり、環境と安全性を両立させた工事をしたりと、新たな動きもあります。
しかし、一度失ってしまった環境はなかなか取り戻せないのが現状です。
生存競争の激化
野生のメダカを取り巻く環境は、この50年ほどで大きく変わってしまいました。
もともと野生メダカは大人しい小魚であり、食物連鎖の中では決して上位の存在ではありません。
生息場所も個体数も減る中で、鳥類などに捕食されることでさらに減ってしまいます。
また、外来種が増えたことで生存競争がさらに激化しているのです。
定着はしていないにしろ、さまざまな外来魚が放流されることで、強い種類によってメダカが追いやられてしまうこともあります。
野生メダカの天敵
野生メダカにはどんな天敵がいるのか紹介します。
もともと野生メダカを捕食していたものもいれば、外来種として新たな脅威となっているものまでさまざまです。
サギなどの鳥類 | もともとメダカを捕食していました。メダカの個体数が減ったことで、さらに深刻な敵となっています。 |
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カエル | ウシガエルやアフリカツメガエルなど、繁殖力が強い外来種が増加しています。生息地に侵入されると、メダカはひとたまりもありません。 |
ザリガニ | アメリカザリガニは、水路などで増え続けています。繁殖力と雑食性が強いため、メダカの天敵です。 |
外来魚 | ブラックバスやブルーギルなどの肉食魚の増加により、捕食圧が強くなっています。また、カダヤシなどの小型の外来魚もメダカの稚魚や卵を食べるので問題です。 |
改良メダカ | 飼い切れなくなった改良メダカが放流されてしまうことも。野生メダカを食べることはありまんが、遺伝的交雑が起き、純粋な野生メダカが減少します。 |
個体数が十分にいた頃は、メダカが捕食をされることも含めて、食物連鎖のバランスが保たれていました。
しかし、メダカの個体数が減ることでバランスが崩れ、悪循環となっているのです。
野生のメダカが減っていますが、実はそれ以外の生き物も減っており、環境が崩れています。
メダカとカダヤシの違いなどについては、こちらのコラムも参考にしてください。
野生のメダカを見つけたら
野生メダカの個体数が減ってはいても、ひっそりと生息している場所もあるでしょう。
ここでは、そんな野生メダカを見つけた場合の注意点を紹介します。
思わぬトラブルにつながることもありますので、しっかりと守ってください。
無断で採取することは厳禁
野生メダカが数を減らしている現状では、保護などの正当な理由がない限り、採取は控えるべきです。
地域によっては、生息環境が非常に限られている場合もあります。貴重な個体を採取することで、その地域の野生メダカが途絶えてしまう可能性もあるでしょう。
また、地域の方々によってその水域が保護されているケースもあります。場合によっては、せっかくの保護活動が台無しになってしまうことも。
「自分だけが採るなら大丈夫」とは考えず、優しく見守ってあげてください。
なお、生息場所の川などの土地には必ず持ち主がいます。
環境を破壊しないように注意を払おう
例えば水辺の植物を踏みながら歩いたり、石をひっくり返してそのままにしたりするのはやめてください。
こういった行動の積み重ねが、少しずつ環境破壊につながっていくのです。もちろん、ゴミなどを投棄するのは絶対にいけません。
メダカをはじめ、すべての生き物が棲みやすい環境を大切にしましょう。
むやみに生息場所を公開しないようにしよう
野生のメダカを見つけるとやはり嬉しくなりますが、むやみやたらに生息場所を公開したり広めたりしないようにしましょう。
昨今はSNSで情報が瞬く間に広がるため、軽い気持ちで情報をアップすると、心無い人によって採取されてしまうことも考えられます。
また、採取とまではいかなくても、不特定多数の人が訪れることによって、紹介したようなさまざまなトラブルが起こる可能性も。
貴重な野生メダカを保護するためにも、小さなことから気を付けましょう。
まとめ:野生のメダカを見つけたら!絶滅危惧種!なぜ減ってしまったのかも解説
野生のメダカについて解説しました。
身近な存在であったはずの野生メダカも、今では絶滅の危機に瀕する魚です。
開発事業による生息域の減少、外来種の増加、さまざまな要因が重なって絶滅危惧種になってしまいました。
メダカブームの今だからこそ、野生メダカにも目を向けて、できることをしていきましょう。
実際のところ、昔のように野生メダカがたくさんいる環境に戻るのは難しいかもしれません。
しかし、これ以上野生メダカが減らないよう、守っていくことはできるはずです。
もし野生メダカを見つけても、大切にそっと見守ってあげましょう。
ほかにもさまざまなコラムがありますので、ぜひ読んでみてください。
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