日本ザリガニ(ニホンザリガニ)とは!特徴と減ってしまった理由を解説
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日本ザリガニ(ニホンザリガニ)は、絶滅が危惧されている日本の固有種です。
今では水が冷たくきれいな河川や沼にしか生息しておらず、環境開発や採集、外来種の影響などから個体数が激減してます。
ニホンザリガニとはどんな生き物なのかの解説から、自然界での役割り、なぜ絶滅危惧種になってしまったのかの原因から他種のザリガニとの関係までご紹介します。
水辺の生き物について少し詳しく知りたい方は、ぜひご一読ください。
目次
プロアクアリストたちの知識をもとにニホンザリガニについて解説
このコラムは、東京アクアガーデンスタッフであるプロのアクアリストたちの知識をもとに作成しています。
ニホンザリガニはかつて北海道や東北のさまざまな河川に生息していましたが、今ではほとんど目にすることのなくなった生き物です。
ここでは、ニホンザリガニの特徴や生息地、減ってしまった理由、外来ザリガニとの違いや問題についてを解説します。
ニホンザリガニとは
日本の固有種であるニホンザリガニの特徴や自然界での役割りなどをご紹介します。
ニホンザリガニの特徴
2000年に絶滅危惧種に指定された日本在来のザリガニです。
外来種のアメリカザリガニとは異なり、自ら獲物を襲うことのない大人しい性格とされています。
北海道と東北地方の限られた場所にしか生息しておらず、関東などでは実際に姿を見る機会はほぼありません。
「男鹿水族館」など一部の施設で、少数匹が展示されています。
寿命は約10年ほどで、寿命が3~5年程度のアメリカザリガニよりも長生きです。
しかし、生態がよくわかっていないことと、成長が遅く繁殖可能に成熟するまで約5年程かかることから、個体数を増やすのが難しいとされています。
ニホンザリガニは生息地が天然記念物に指定されるなど、豊かな自然のなかで生息している生き物です。
ニホンザリガニの自然界での役割り
ニホンザリガニは自然界のお掃除屋さんとしての役割を持っています。
『水草や水中に落ちた枯葉、虫・小魚の死体を食べる』ことから水辺の清浄化につながっており、「日本ザリガニのいる場所はきれいだった」と言われることもあったようです。
アメリカザリガニのように小魚を積極的に捕食したり、水草を切り取ることがないため、水辺の環境保全にもつながっている生き物と言えるでしょう。
ニホンザリガニの生息地
全国的に広まったアメリカザリガニとは反対に、ニホンザリガニはごくわずかな生息地を残すのみとなっています。
ニホンザリガニは湧水に生息している
ニホンザリガニは13~20度以下の低水温でしか生きられないため、気温の低い地域のみに分布している状況です。
普段は岩の隙間に隠れており、展示水槽でもその姿を見つけるには、じっくりと探さなければいけないことも。
温和でゆっくりした動きなので、鳥や獣などの外敵が比較的少ない、穏やかな場所で生息が確認されているようです。
ニホンザリガニの主な分布
北国の清流に分布しています。
- 北海道
- 青森県
- 秋田県
- 岩手県
これらのなかでも水質の良い場所でしか生息が確認されておらず、保護を目的とした生息地の調査が進められています。
かつては、食用や薬用になるほど、人間の生活区域に近い川でも生息してたのですが、河川の開発や汚染で姿を消していきました。
ニホンザリガニが減った理由
- 環境の開発
- 水質汚染、水温の変化
- ウチダザリガニなど、外来種に生息地を奪われる
- 人間による乱獲 など
ニホンザリガニはひっそりと暮らしている大人しい生き物です。
正確な分布が分からないことが保護を難しくしており、ニホンザリガニが好むような環境でも、開発は行われています。
河川工事や排水溝・住宅の建設などで河川の水質が変化してしまうこともあり、清流を好むニホンザリガニが適応できなくなるケースもあるようです。
そして、近年まで採集個体が売り買いされていたこともあり、これには2023年より政令が出されました。
売買には懲役5年以下、罰金500万円以下の罰則があります。
また、特定外来生物の『アライグマ』などに襲われたり、病原菌を持つ『ウチダザリガニ』に生息地を追われてしまうこともあり、問題になっています。
ニホンザリガニと外来種について
日本にはアメリカザリガニやウチダザリガニなどが生息していますが、ニホンザリガニ以外はすべて外来種であり、在来種を捕食する・田んぼを荒らすなど問題になっています。
ニホンザリガニとアメリカザリガニの違い
アメリカザリガニは日本全国の田んぼや川、沼、池、用水路などで見つけることができます。
日本に生息しているザリガニ類の中で最も繁殖していると言えるでしょう。
その名の通りにアメリカから輸入された外来種で、水辺の環境を破壊することから2023年6月1日より『条件付特定外来生物』に指定されました。
体長約7~10cmほどと、ニホンザリガニより大型で強力なハサミと赤褐色~赤黒くごつごつした殻を持ちます。
たまに茶色っぽい小柄なザリガニが一緒に暮らしていますが、アメリカザリガニの幼体でありニホンザリガニではありません。
アメリカザリガニが生息している場所では、基本的に同一種しかいないと言えます。
大人しい性格で水辺の環境とともに生息するニホンザリガニとは異なり、自ら餌を捕獲するのが得意です。
メダカやモツゴなどの在来種だけでなく水草や水生植物もハサミで切り落としてしまいます。
水草や水生植物は、水質の清浄化には欠かせない存在です。さらに、沢山の個体が巣穴を掘ることで、アメリカザリガニが増えた水辺は環境が変わってしまうことが多いです。
ウチダザリガニの問題
「ウチダザリガニ」という日本風の名前ですが、北米から帰化した外来種で、「シグナル・クレイフィッシュ」とも呼びます。
日本での呼称は、北海道大学教授の内田亨氏が由来です。
ウチダザリガニは北海道の川で生息域を広めており、ニホンザリガニを脅かす存在として警戒されています。
体長は約15cmほどになり、ニホンザリガニのほぼ倍近いサイズの大型種です。繁殖力が旺盛で数が増えやすく、ニホンザリガニの生息地を奪ってしまっています。
さらに、ニホンザリガニに耐性がない病気(水カビの一種)を持っています。
ニホンザリガニを保護するうえで、対策を強化していかなければならない生き物です。
まとめ:日本ザリガニ(ニホンザリガニ)とは!特徴と減ってしまった理由を解説
日本の絶滅危惧種『ニホンザリガニ』について解説しました。
いまでは数少ないですが、かつての東北ではただ「ザリガニ」と呼ばれるような、ありふれた生き物であったことを覚えておきましょう。
ここまで数を減らしてしまったのには、外来種や環境の変化など、さまざまな要因が重なった結果です。
ニホンザリガニだけでなく、こうした変化で数を減らしてしまう生き物は多く存在しています。
原因は人間の生活様式だけでなく、天候の変化や他生物の分布によっても、生物の生きやすい環境でなくなることがあります。
乱暴な言い方になりますが、年代によって逆らえない変化も存在するのです。
個人としては、それに拍車をかけてしまわないように行動することが大切です。
どんなに身近な生き物でも、大切にしていきましょう。
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