メダカの飼い方
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観賞魚を川や池に放流するリスク!自然の河川へ放してはいけない理由!

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熱帯魚や観賞魚が飼いきれなくなってしまったとき、皆さんならばどうしますか?

アクアリストならば最後まで責任を持って飼育するか、譲渡先を探すのが正しい選択です。
しかし、中には手に負えなくなった魚を川や池に放流してしまう方も。

飼育されていた魚や水草は外来種といって元々日本にはいない生き物のことも多く、自然に返してしまうと環境に適応できず死んでしまったり、本来の生態系を壊してしまったりといった問題になります。
また、ルールを守らない行為が続くとアクアリウムに関わる深刻な規制がされてしまう可能性もあるのです。

ここでは、観賞魚を川や池に放流するリスクについて解説します。魚を飼育する上での大切なお話ですのでしっかり確認しましょう。

※このコラムはアクアリウム情報サイト・トロピカの記事に、最新の情報を加えて再構成したものです。

プロアクアリストたちの意見をもとに観賞魚を川や池に放流するリスクについて解説


このコラムは、東京アクアガーデンスタッフであるプロのアクアリストたちの意見をもとに作成しています。

飼いきれなくなったからといって熱帯魚を川や池に放つのは、絶対にやってはいけない行為です
生態系を壊してしまう可能性がありますし、生き物によっては発覚すると罰則が科せられることもあります。

ここでは、実務経験から得た知識をもとに、観賞魚を川や池に放流するリスクについて解説します。

観賞魚は絶対に放流禁止!


観賞魚が飼育しきれなくなって自然の河川に逃がしてしまう人が後を経ちません
予想以上に大きくなってしまった大型魚や、どんどん繁殖してしまう熱帯魚に多いケースで、手に負えないからと適当な水辺に放流してしまうのです。

しかし、この放流という行為は絶対にやってはいけないこと。

放流するリスクはとても大きく場合によっては、

  • 法律違反として罰せられる
  • 改良品種は自然で生きていけないものもいる
  • 日本の自然破壊につながる

など、取り返しのつかない事態になることもあります。

リスクを避けるためにも、どのような問題につながるのか把握しておくことが大切です。

特定外来種の飼育や放流は法律違反!

特定外来種とは、海外から輸入された生き物(外来種)のなかでも、日本の生態系や農林水産業に悪影響を与える可能性が高いと判断された生き物です。

特定外来種に指定されると、放流だけでなく販売や飼育も規制されるため、あまり見かけることはなくなりますが、まれに河川で捕まえた特定外来種をそれとは知らずに飼育してしまい、罰則を受ける事例もあります。

魚類では、

  • オオクチバス
  • コクチバス
  • ブルーギル
  • チャネルキャットフィッシュ
  • ガー科全種

あたりが有名です。

もしこれらの魚を許可なく輸入や飼育、放流などすると、外来生物法に従い、個人の場合は「3年以下の懲役または300万円以下の罰金」、法人の場合は「1億円以下の罰金」に科せられる可能性があるため注意しましょう。

アカミミガメとアメリカザリガニも規制対象になる!


2023年6月1日から、新たにアカミミガメとアメリカザリガニが条件付特定外来生物に指定されることになりました

条件付きの指定のため、捕獲や飼育、無償譲渡については規制されませんが、一度飼育したものを販売したり川に逃がしたりといった行為は罰則の対象となります。

この2種は身近な河川でよく見かけますし、子供が捕まえて遊ぶことも多いです。捕まえたその場で逃がす(キャッチ&リリース)なら問題ありませんが、家に連れ帰って飼育する場合は、これまで以上に取り扱いには注意が必要です。

外来種や改良品種の中には日本の自然に馴染めないものもいる

特定外来種の放流が禁止されているとお話ししましたが、実のところ、飼育用に輸入される熱帯魚のほとんどは普通の外来種で法規制されているわけではないため、自然に返したところで罰則を受けることはありません。

しかし、だからと言って放流して良いというわけではないのです。

外来種の熱帯魚は本来、東南アジアや南米などの日本より暖かい地域に生息しています。
そのため、飼育する場合は必ず水槽用ヒーターで加温をしますが、これらの生き物を川に放ってしまうと当然のことながら寒くて生きていけません。気温をクリアしたとしても水質や生態系が異なる地域では、長く生きることは難しいでしょう。

また、たとえ日本に昔からいる魚であっても、鑑賞用に特化した金魚や改良メダカは野性では生きていくことができません
派手な見た目は外敵に見つかりやすく、長いヒレは敵から逃げるのに不向きですぐにターゲットにされてしまうからです。

良心から「川に放してあげる」という方も稀にいますが、魚のことを思うなら絶対にやめましょう


日本の自然破壊につながる


観賞魚の多くは本来日本に生息していない生き物、無暗に放流すると自然を破壊してしまうことにもなりかねません。

外来種を放流した結果、日本の魚(在来種)を食べてしまったり餌の奪い合いになったりといったことが実際に起こっています。
こういった悪影響は水辺だけにとどまらず、次第に周りの環境(鳥類、昆虫、植物など)にも広がり、連鎖的に被害が出てしまうことも。

また、放流した魚が日本の魚と交配してしまうと、交雑種が増えて本来の種に多大な影響を与える可能性もあります。

実例として、外来種の『タイリクバラタナゴ』が放流されて広まり、日本の在来種である『ニッポンバラタナゴ』と交雑した結果、純血のニッポンバラタナゴの絶滅が危惧されるようになりました

交雑は私達に身近なメダカでも起こることで、品種改良されたメダカが放流されて、在来の原種である『二ホンメダカ(クロメダカ )』と交配し問題になっています。野生の二ホンメダカは絶滅危惧種に指定されているため、交雑は深刻な問題です。

放流のリスク!規制に繋がる可能性も


様々な角度から飼育魚を河川に放流する危険性についてお伝えしていますが、それでも罰則がない魚ならば放流しても大丈夫、自分には関係ない、とどこか遠い出来事のように感じる方もいるでしょう。

しかし、放流のリスクは人ごとではありません

現在特定外来種でなはい観賞魚も、ルールを守らずに河川に放つ人が多ければいずれ特定外来種として規制されてしまう可能性があるのです。

近年では、古代魚として人気のあった『スポテッドガー』や『アリゲーターガー』を含むガー科の魚達が特定外来種に指定されて、無許可で飼育することができなくなり、多くのアクアリストに衝撃を与えました。
また、同様に外来種のザリガニやミドリガメなどの生き物の規制も強まりました。

このような規制が続けば、極端な話、一般人が自宅でアクアリウムを続けるのが難しくなる可能性もあるのです。

グッピーも危険視されている!?


アクアリウムの定番種グッピーは、卵胎生メダカの仲間で繁殖しやすい熱帯魚として知られています。

オスメスを水槽に入れておけば勝手に増えていくとも言われるほど繁殖力が高く、増え過ぎて飼いきれなくなってしまうこともしばしば。
やむ負えず河川に放流されたグッピーが、日本の各所に定着してしまい大問題になっています

本来ならば日本の水温はグッピーには過酷なはずなのですが、温暖な沖縄や冬でも水温が高く維持されやすい温泉地や工場の温排水が流れる場所では、グッピーが生き残りやすく、大繁殖して元々の生態系を脅かしているのです。

このような状態が続けば、いずれグッピーが規制されてしまうことも考えられます。

他の種も同様、飼育できない種類がどんどん増えてしまう状況になりかねませんので、アクアリウム業界の未来のためにも放流は絶対に止めましょう

水草の放流も危険!


放流は魚だけの問題ではありません。アクアリウムに欠かせない水草も特定外来生物に指定されることがあります
理由は魚と同様に、

  • 外来種が定着して在来種と競合する
  • 在来種と交雑して種の存続を脅かす

の2つが大きいですが、それ以外にも水草特有の理由として、強く大きな外来種が増殖して河川の水流を妨げる可能性があるといった事由が挙げられることもあるようです。

水草も特定外来生物に指定されてしまうと、輸入や育成が規制され、違反すると罰則・罰金が科せられますので、注意しましょう。

また、生態系の維持、特定外来生物への指定を避けるためにも、水草を自然に捨てるのは絶対に止めてください
植物の生命力は強く適当に地面に放っておくだけでも根づいてしまう可能性があります。トリミングの切りくずや不要になった水草は、必ず燃えるゴミとしてまとめて処分しましょう。

飼育しきれなくなったら引き取り先を探そう!


観賞魚に関わらず生き物を飼育するならば、終生飼育が鉄則です。まずはその生き物の寿命や成長後の大きさなどの情報を集めて、終生飼育が可能な場合にのみ飼育を始めるようにしてください

それでも、何らかの事情で手放さなければならなくなった場合は、引き取り先を探します
知人に相談するのも良いですし、引き取りをしているアクアリウムショップもあります。最近はSNSを利用して譲渡先を探す方も多いです。

譲渡までが責任です。間違っても河川に放流してしまうことがないよう、しっかり面倒を見てあげてください。

ちなみに、許可を得て飼育している特定外来生物については、譲渡も禁止されています。こちらは最後の時まで飼育を全うしましょう。

まとめ:観賞魚を川や池に放流するリスク!自然の河川へ放してはいけない理由!


今回は、観賞魚を川や池に放流するリスクについて解説しました。

  • 法律違反として罰せられる
  • 放流しても死んでしまう可能性が高い
  • 定着すれば生態系に悪影響がおよぶ

というように、観賞魚を放流する危険は私たちが考えるよりも大きなものです。

放流する人が後を経たなければ、その種が特定外来生物に指定されて飼育ができなくなってしまう可能性もあります。

飼育を始めたら責任を持って最後まで飼育する、もし飼育できなくなったら譲渡先を探すことを徹底することが大切です。

間違っても自然に放つことは避けましょう。ルールを守って楽しいアクアリウムライフをお過ごしください。

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執筆者 アクアガーデン

アクアガーデンのスタッフが水槽レンタル・リース、メンテナンス、引っ越しサービスなど様々なサービスを通して得たアクアリウムの経験や知識をコラムで発信しています。

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