フナとは!特徴から主な種類、金魚との違いや飼育のポイントを解説

コラムでは各社アフィリエイトプログラムを利用した商品広告を掲載しています。
日本の川や池に生息するフナは、昔から食文化や釣り、鑑賞など様々な方面で日本人の生活と密接に関わってきました。
見かける機会の減っている現在でも身近な魚であることに変わりはなく、子どものころに網ですくったり、学校の理科で観察したりと、一度は触れたことがある人も多いのではないでしょうか。
アクアリウムでは金魚の原種として名前が上がることが多い魚ですが、実は日本淡水魚水槽では鑑賞用として美しい銀色の個体が多数流通しており、その生命力の強さや繁殖の仕組みなど知れば知るほど奥が深い存在です。
この記事では、そんなフナの魅力をあらためて掘り下げていきます。
基本的な特徴や代表的な種類、金魚との違いから飼育のコツまで、初心者の方にも分かりやすく丁寧に解説していきますので、ぜひ最後までご覧ください。
目次
プロアクアリストたちの意見をもとにフナの特徴や飼育ポイントを解説

このコラムは、東京アクアガーデンスタッフであるプロのアクアリストたちの意見をもとに作成しています。
一見地味な印象を持たれることも多いフナですが、シンプルながら輝きのある美しい体色は見応え抜群。
流木や石、水草などでレイアウトした川風のレイアウトに良く合うことでしょう。
ここでは、実務経験から得た知識をもとに、フナの特徴や飼育ポイントを解説します。
フナ(鮒)とは

フナは、日本各地の淡水域に広く分布するコイ科の在来魚です。国内に生息しているのは6種類とされており、主に湖や池、水路などの止水~ゆるやかな流れを好みます。
食性は藻類やグリーンウォーターなどの植物から小エビ、昆虫の幼虫などの小動物まで何でも食べる雑食性です。
成魚の体長は一般的に20~30cmほどですが、環境が良ければ40cmを超える個体も見られます。
寿命は長く、野生個体で10年ほど、環境が整った飼育下では10年以上生きることも可能です。
またフナは古くから食用として利用されてきた歴史があり、鮒寿司などの郷土料理にも欠かせない存在でした。
観賞面では金魚の原種という点がフィーチャーされがちですが、フナ自体も淡水魚らしい見応えを持った観賞魚として昔から愛されています。
様々な面で日本人の生活と文化に深く根付いた魚といえるでしょう。
フナの特徴

日本人にとってとても身近な存在であるフナですが、近すぎるがゆえに意外とその生態について深く知る機会が少ないのも事実です。
そこでここからは、フナならではの特徴をご紹介します。
フナの体型と性質

フナは側扁(そくへん)と呼ばれる、やや平たい体をしています。基本的には体の高さがあるがっしりとした体形ですが、環境によって個体差が出やすいです。
環境面では、低酸素状態に強く止水域でもある程度は耐えられる丈夫さがあります。
また、低水温に適性があり水面が凍る環境であっても、水深のある場所でジッと耐えて冬を越すことが可能です。
性格は警戒心が強く、最初は人影に敏感に反応して物陰に隠れてしまうことも多いでしょう。ただ、飼育環境に慣れてくると餌をねだるように寄ってくる人懐っこさを見せてくれるようになります。
ちなみに、見た目が似ていることからコイと混同されがちですが、口元に注目してみるとフナにはコイのようなヒゲがない点で見分けることが可能です。
追星は繁殖期の生理現象
春先から初夏にかけて、オスのフナには”追星(おいぼし)”と呼ばれる小さな白い粒状の突起がエラ蓋に現れます。
まるでニキビのように見える粒々ですが、これは病気ではなく繁殖期に見られる生理現象の一つです。
初めて目にすると白点病などの病気と勘違いしてしまいそうですが、繁殖期が終わると自然に消えるので心配はいりません。
この追星はメスへのアピールや繁殖行動に関わります。金魚にも追星は受け継がれており、ブリードする際に繁殖可能な個体の目印として重宝されています。
フナの主な種類

ここからは、観賞魚としても流通している代表的なフナを4種類ご紹介します。
それぞれの特徴や分布、生態を理解すると、観察や飼育の楽しみがより深まるでしょう。
ギンブナ
日本でもっともポピュラーなフナで、銀灰色〜淡い金色のメタリックな体色をしています。単に”フナ”と呼ぶ場合は、このギンブナを指していることが多いです。
以前は用水路やため池など人間に密接した各所でもよく見られましたが、近年は環境変化により個体数が減少しています。
最大の特徴は、メスだけで繁殖できる雌性発生です。他種のオスと交配しても、自分の遺伝情報だけで子を残せる特殊な繁殖形態を持っています。
この性質により非常に繁殖力が強く、ギンブナを放流するとそのエリアの他種のフナがギンブナに置き換わってしまうこともあるほど。
そのため、本来の生息水域以外への放流は避けなくてはなりません。
ヘラブナ
ヘラブナは釣りを目的に改良・選抜された自然界には存在しない改良魚で、カワチブナとも呼ばれます。
主に植物プランクトンを食べる草食性で、体高が高く、丸みのある体型と口がすぼまっているのが大きな特徴です。
この小さな口は釣り針がかかりやすく、抜けにくくなっており、まさに日本の釣り文化が生み出した魚といえるでしょう。
各地で養殖された個体が放たれ、現在では主に釣り専用魚として全国に定着しています。
ゲンゴロウブナ

ゲンゴロウブナは琵琶湖水系に生息する、最大体長が60cm近くにも及ぶ大型種です。体高が高く堂々とした姿が力強い印象を与えます。
先程ご紹介したヘラブナの原種であり、食用などの目的で日本各地に放流されてその地に定着してしまったことから、一部の地域では国内外来種として問題視されていることも少なくありません。
一方、環境開発やブルーギル、ブラックバスと言った外来魚の影響、近縁種との交雑などにより純粋なゲンゴロウブナの生息数の減少が叫ばれており、種の保全が重要な課題となっています。
ニゴロブナ

ニゴロブナも琵琶湖周辺で知られるフナで、体長は35cmほどとゲンゴロウブナに比べるとやや小柄。口が大きく、スマートな体型をしています。
古くから鮒寿司の原料として利用されてきた魚で、滋賀県では伝統的な特産品です。
しかし、やはり環境の変化や外来魚の影響により数が減少し、現在では絶滅危惧種に指定されてしまいました。
琵琶湖での漁獲は続けられていますが、禁漁期の設定や小型個体の捕獲禁止など漁業規制をして種を守る活動が行われています。
金魚とフナの違い

フナは金魚の原種であるという話を耳にしたことがある方は多いかと思います。
元々は中国に生息するギベリオブナの中から、突然変異で赤くなった個体やヒレの長い個体を鑑賞用に厳選し、交配を繰り返したことで特徴が固定化されて生まれたのが金魚という説が有力です。
この歴史から両者には多くの共通点があり、例えば雑食性で大食漢なところや砂利をつつく習性、水流が穏やかな場所を好む点などは代表的な特徴でしょう。
一方、決定的に異なるのは体色やヒレと性格です。

鑑賞用に見応えを重視して改良されてきた金魚は、赤や白、黒などの華やかな体色に長いヒレを持ちます。また人に慣れやすく、餌をねだるなど愛嬌のある行動を取るところは、長い間人間に飼育されてきたからこその性格と言えるかもしれません。
片やフナは、自然に馴染むくすんだ銀色の体色に泳ぐのに向いたヒレや体型と、野生で生きていくために必要な要素を多く備えています。性格も警戒心が強く、慣れるまでは人前に姿を見せることも少ないです。
観賞魚としての金魚と野生味の残るフナ。どちらも異なる特徴を持った魚だからこそ、人を引き付ける魅力にあふれているのでしょう。
フナの飼育ポイント

フナは、自宅の水槽で飼育することができる観賞魚です。
丈夫で酸欠にも強いので比較的飼いやすい魚ではありますが、いくつか気を付けたいポイントもあるので、しっかり特徴を理解した上で環境を整えましょう。
ここでは、フナを飼育するためのポイントをご紹介します。
水槽サイズは90cm以上がおすすめ!
フナは品種にもよりますが、最大体長が30cmを超えることもある大きく成長する魚です。
匹数を抑えれば60cm水槽でも飼育可能ですが、可能であれば90cm~120cmの水槽を用意すると水量に余裕を持って飼育を楽しめるでしょう。
ろ過フィルターは上部フィルターが管理がしやすいです。
また金魚のようにトロ舟での飼育にも適しています。フナは大食漢で排泄量も多いため、水量を確保し、こまめな換水を心がけることが重要です。
底砂利で掘り返しに強いレイアウトを作ろう
フナは金魚と同じく砂利をつついて餌を探す習性があるため、底砂には細目の大磯砂などを使うことをおすすめします。
細かすぎる砂は濁りやすく、逆に粗すぎると口を傷つける恐れがあるからです。
また、体が大きく力も強いため、流木や水草レイアウトは崩されてしまいがち。
メンテナンスのしやすさも考慮して、できるだけシンプルなレイアウトにまとめる見た目がスッキリして管理も楽になります。
混泳は同種がベスト

ゆったりと泳いでいるイメージのあるフナですが、実は縄張り意識が強く他種との混泳ではケンカになってしまうことがあります。
特にギンブナのように雌性発生する種類は繁殖の影響もあるため、単種飼育が望ましいです。
もし混泳する場合は、同じ大きさの同種がよいでしょう。個体数に合わせて、水槽を大きくすることも忘れないでください。
在来種でも放流は厳禁!

日本の川に生息している魚だからといって、一度飼育をしたフナを適当な河川に放流するのは厳禁です。
別地域に放流すれば、国内外来種として在来生態系に悪影響を与える恐れがあります。
また、釣った魚を持ち帰る場合も注意が必要で、野生の魚は弱っていたり寄生虫を持っていたりすることがあるため、水槽に入れる前には必ずトリートメント期間を設けるなどの処置をしてから飼育をするようにしてください。
身近な魚だからこそ安易に飼育や放流をしてしまうのではなく、魚を愛するアクアリストとして良識を持った行動を心がけ、最後まで責任を持って飼育することを徹底しましょう。
まとめ:フナとは!特徴から主な種類、金魚との違いや飼育のポイントを解説

フナは古くから日本の淡水域に生息する、日本文化と深く関わってきた魚です。
ギンブナやヘラブナ、ゲンゴロウブナ、ニゴロブナなど多様な種類が存在し、どれも独自の生態を持っています。
また金魚の原種としての側面もあり、素朴ながらも奥の深い魅力を持つ魚です。
飼育する際は、大きめの水槽とろ過設備を用意し、水質管理をしっかりとすることがポイント。最後まで責任を持って育てましょう。
一見地味に見えるフナですが、静かな存在感や時折見せる人懐っこさは、フナならではの魅力と言えます。機会があればぜひ飼育してみてください。
お問い合わせ
水槽や機材、熱帯魚のレンタル・設置・メンテナンスがセットになった水槽レンタル・リースサービス、
お手持ちの水槽をプロのアクアリストがメンテナンスしてくれる水槽メンテナンスサービス、
水槽リニューアルサービスや水槽引っ越しサービスなど様々なサービスがございます。
お見積りは無料となっておりますのでお気軽にお問い合わせください。


水槽メンテナンス
水槽レイアウト
アクアリウムテクニック
水槽レンタルサービス・水槽リースサービス
メディア掲載
水槽器具類
ろ過フィルター
水槽用照明
水草
熱帯魚飼育
金魚飼育
メダカ飼育
エビ飼育
その他の生体飼育
水槽用ヒーター
水槽メンテナンス道具
水槽・飼育トラブル
お魚図鑑
水草図鑑
メダカ図鑑
お悩み相談
































