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タナゴとは!特徴から美しさ、飼育の難易度・コツ・繁殖についてを解説

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タナゴは日本在来の小型淡水魚で、昔から多くの愛好者がいます。

カラフルな熱帯魚とは異なり一見渋く思えますが、落ち着いた体色から婚姻色が浮き出る様子は、魅惑的な美しさと言えるでしょう。
また、日本淡水魚の中では比較的小柄・温和で水槽飼育がしやすい点からも、親しまれています。

このコラムでは、タナゴの美しさや婚姻色(体色の変化)についてや、飼育の基本、さらに繁殖に挑戦するポイントまで解説していきます。

プロアクアリストたちの意見をもとにタナゴについてを解説

このコラムは、東京アクアガーデンスタッフであるプロのアクアリストたちの意見をもとに作成しています。

タナゴは深い魅力を持った、日本の淡水魚です。
品種改良が盛んなメダカや金魚・錦鯉などよりもややマイナーですが、原種のままで神秘的な美しさを発揮する無二の存在でしょう。

また、俊敏に泳ぐ様子は川の情景を彷彿とさせるなど、日本人好みの趣があります。

ここでは、実務経験から得た知識をもとに、タナゴの特徴や飼育についてを解説します。

タナゴとは

タナゴの魅力をいくつかの観点から見てみましょう。

タナゴは日本在来の美しい小型淡水魚


タナゴはコイ科に属し、北海道と沖縄を除く日本各地の水辺に生息しています。

体長は平均して6~12cmほどと小ぶりですが、日本在来種ならではの表情と「川の宝石」と呼ばれるほど繁殖期になると鮮やかな色彩を放ち、水槽内でも目を奪われる美しさを発揮する魚です。

近年は生息地の減少などで保護対象になっている種も多く、採集の際には注意する必要があります
しかし、カネヒラなど一部の人気種は淡水魚に強いアクアリウムショップや通販でも購入できるため、安全に入手が可能です。

外来の熱帯魚にはない美しさや趣深さがあり、飼育を通じて日本の自然を改めて意識できるでしょう。

タナゴの体色が美しい理由

タナゴの大きな魅力の一つが、季節や繁殖期に応じて体色が変化する点です。
普段は落ち着いた銀色の種類がほとんどでも、春先や秋など繁殖シーズンが近づくと、オスは体の横腹やヒレがピンクや青紫など鮮やかに発色します。

青い光沢や赤みが増す種類が多いのですが、これは婚姻色であると同時に同種間で威圧の効果があると考えられています。
発色が良いオスほど健康でより強い個体であり、メスに選ばれやすいですが、これは優れた子孫を残すためのメカニズムのようです。

こうした色彩変化は、産卵に適した水温・環境になる4~8月に最も多くみられます。
四季がある日本だからこその楽しみといえるでしょう。

タナゴには種類によって繁殖期が異なるため、厳密には以下のような時期に婚姻色がでます。

  • 春型のタナゴ:3月下旬~7月ごろ
  • 秋型のタナゴ:8~11月ごろ

著しい水温低下がある12~3月上旬頃の冬季以外なら発色可能です。

タナゴの飼育難易度

(淡水魚)ゼニタナゴ(3匹)

タナゴは小型で丈夫なため、在来魚の中でも比較的飼育しやすい部類です。
なにより、日本の水質そのままで飼育できるため水換えで困ることはないでしょう。

しかし、やや神経質で臆病な性質だったり、独特の産卵行動があったりと、アクアリウム初心者には少しハードルが高い印象があることは否めません。

タナゴと言っても種類によって飼育難易度はさまざまです。
こちらは、ポピュラーなタナゴの難易度目安です。

バラタナゴの仲間(ニッポン、タイリクなど) 難易度★☆☆。水質適応力が高く、温和。タイリクは価格も控えめで挑戦しやすい。
ヤリタナゴ 難易度★☆☆。丈夫で長生きしやすく、安価だが婚姻色が美しい。
カネヒラ 難易度★★☆。ポピュラーなタナゴで、5年以上生きることも多い。
タビラの仲間(アカヒレ、シロヒレなど) 難易度★★☆。美しく高価なタナゴだが、丈夫で飼育しやすい。
ゼニタナゴ 難易度★★★。鱗が繊細で水質悪化に弱く、病気になりやすいため難易度度が高い。

タナゴは日本淡水魚であり、金魚やメダカ・錦鯉などの観賞魚と比べて取扱店舗も少ないですが、地域によっては日本淡水魚専門店などもあります。
レアなタナゴや美しく発色した個体を取り扱っている店舗もあるので、ショップを巡るのも楽しいですよ。

ゼニタナゴ以外はそれほど飼育難易度に差はないですが、スタッフに普段与えている餌や、難しさなどを確認して購入するのがおすすめです。

タナゴ飼育の基本とコツ

ここからはタナゴ飼育の「基本とコツ」を解説します。
初心者が気をつけるべきポイントなどをまとめました。

水槽と環境づくりのポイント

まずは水槽サイズです。

タナゴは8cm程度に育つものが多いので、45〜60cm水槽があれば複数匹でも飼育できます。

水を汚しやすいのでろ過フィルターは上部式、外部式がおすすめです。

水温は5~30度程度まで耐えられますが、適温は20~25℃ほどです。夏場は水槽用クーラーやエアコンなどを使い、水温30℃を超えないよう注意しましょう

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水質はpH6.5~7.5くらいが最適で、カルキ抜きした水道水を使用すれば大丈夫なため飼いやすいと言えます。

タナゴはやや臆病な性質を持つため、水槽内には水草や流木、石などを配置し、隠れ場所を作ることでのびのびとした泳ぎを見せてくれるようになります。

底砂は掃除しやすさなどから大磯砂がおすすめです。

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水槽用照明はタナゴたちの昼夜バランスを維持するうえで大切ですが、育成する水草に合わせて選定して良いです。

環境を整えると活発に泳ぎ回るようになり、美しい体色になります。


餌の選び方と与え方

タナゴは雑食性で、小さな水生生物や植物質もバランスよく食べる魚です。
とはいえ、市販の川魚用やタナゴ用の餌を与えれば大丈夫です。

Hikari(ヒカリ) ひかりタナゴ 200グラム (x 1)

食欲が旺盛なので、1日1~2回、2分程度で食べ切る量を与え、食べ残しは早めに取り除きましょう。

食いつきが悪い場合は、冷凍アカムシやブラインシュリンプなどの生餌を与えるのもおすすめです。
ただし与えすぎは水質を悪化させる原因になるため、ほどほどにしましょう。

タナゴの混泳について

タナゴは温和で、小型の日本淡水魚やメダカと混泳することが可能です。
タナゴよりも大型で動きの速い魚とは相性が良くありません。

基本的には同サイズほどの日本淡水魚と混泳ができます。

しかし、アクアリウムでおなじみのヌマエビなどの小型エビはタナゴに食べられてしまう可能性が高いです。
コケ対策としては、イシマキ貝やフネアマ貝などの貝類を導入するのが良いですよ。

また、繁殖期のオスは気が荒くなることがあるため、同じ水槽で複数種を飼う場合は隠れ家を増やし、水槽を最初から大きいサイズにするなど工夫しましょう。

タナゴの繁殖に挑戦するには

タナゴの最大の特徴ともいえるのが、二枚貝を利用した産卵行動です。
繁殖期のオスは鮮やかな婚姻色を発揮し、メスは産卵管を伸ばして貝の内部に卵を産み付けオスが放精します

卵は貝殻によって守られ安全に育ち、十分に成長すると稚魚が貝の外へ泳ぎ出します。

タナゴを繁殖させる際の注意点

春~初夏にかけて繁殖期を迎える種類が多いですが、中には秋に繁殖するものもいます。
繁殖期の飼育は、普段のおとなしいイメージとはかけ離れた攻撃性を発揮するため、注意が必要です。

繁殖させる場合は、かならず産卵管が出ているメス3に対してオス2の割合で隔離しましょう。

二枚貝の産卵床と注意点

【生体】イシガイ 3匹 石貝 二枚貝 emuwai

繁殖に挑戦する場合は、水槽内に健康な生きた二枚貝を入れます。
イシガイやカラスガイなどが代表的ですが、タナゴの生息する地域や種類によって好む貝は微妙に異なります。

■タナゴの産卵床に向く二枚貝

  • イシガイ
  • ドブガイ
  • カラスガイ
  • カワシンジュガイ
  • マツカサガイ など

実は、タナゴよりも産卵床の二枚貝のほうが、飼育が非常に難しいです。
そして現時点では代替の産卵床がないため、二枚貝を入手できなければ繁殖はできないと言えます。

二枚貝は酸欠や水質悪化に弱いため、こまめに水換えを行い、死んだ貝はすぐに取り出しましょう。
貝が弱ると卵や稚魚もダメージを受けやすく、繁殖の成功率が大きく下がります。

稚魚の育成と成功の秘訣

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産卵後、貝の中で孵化した稚魚は、小さな群れとなって水槽内を泳ぎ出します。
すぐに稚魚用水槽へ移して、親魚に食べられないよう保護しましょう。

稚魚は極めて小さいため、ブラインシュリンプの幼生やパウダー状の餌など、口に合ったサイズの食べ物をこまめに与えます
水質が悪化しやすいので、少量ずつの換水を日課にし、スポイトでゴミを吸い出すなど丁寧に管理してください。

やがて体形がタナゴらしく成長したときは、タナゴ飼育でもひときわ充実した瞬間でしょう。


まとめ:タナゴとは!特徴から美しさ、飼育の難易度・コツ・繁殖についてを解説

飼育の基本さえ押さえれば、タナゴは初心者からでも楽しめる魅力的な在来魚です。

繁殖には二枚貝が必要なため、ハードルは高いものの、そのことがかえってタナゴ飼育を奥深いものにしています。

タナゴたちの季節で変化する体色や、活発な泳ぎ、そして独特の繁殖行動を観察するうちに、きっとその世界に引き込まれるはずです。

ぜひタナゴ飼育に挑戦して、その魅力を存分に味わってみてください。



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投稿されたコメントやご相談と回答

  1. ナカニシ より:

    恐れ入ります。
    どぶ貝の飼育方法をお聞きしたいのですが、基本的な飼育方法と砂を水底に敷くのに何が良いのでしょうか?
    エサなどのおすすめはございますか?
    またどのくらい与えてよいものなのでしょうか?
    他の魚や海藻類など相性の悪いものはございますか?
    恐れ入りますが宜しくお願い致します。

    • アクアガーデン編集部 より:

      ドブ貝は濾過摂食する貝なので、グリーンウォーター飼育がおすすめです。常に食べられるようにしておくのが望ましいですが、それでも長生きは難しいです。
      プランクトンが主食のため、メダカのビオトープのようにソイルを敷くのが良いでしょう。
      淡水二枚貝なので、水草や日本淡水魚意外とは相性が悪いです。

      こちらのコラムもご参照ください。
      ・貝の飼い方とは!水槽で飼育できる貝と難しい貝、飼育のメリット
      https://t-aquagarden.com/column/shellfish_breeding

      よろしくお願いいたします。

  2. カネヒラ より:

    『敷居が高い』の意味を履き違えてる

執筆者 アクアガーデン

アクアガーデンのスタッフが水槽レンタル・リース、メンテナンス、引っ越しサービスなど様々なサービスを通して得たアクアリウムの経験や知識をコラムで発信しています。

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