金魚の歴史!起源から品種改良と輸入・輸出などについてをご紹介!
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金魚は日本の文化と言われるほど、私たちに馴染み深い魚です。
金魚すくいなどで目にする機会も多く、今では誰でも気軽に飼育することができますが、実は中国に起源があり、元々は富裕層しかお目にかかることができない高級ペットだったということをご存知でしょうか。
そんな外国原産の高級魚がどうして日本人の文化に浸透していったのか…それを読み解くには、金魚のルーツを探ってみるのが良いでしょう。
今回のコラムは、金魚の歴史についてです。金魚の起源から品種改良の歴史、そして現在の金魚事情まで詳しくご紹介します。
金魚の歴史を知ることで、金魚飼育の奥深さに触れることができますので、ぜひご覧になってみてください。
目次
プロアクアリストたちの意見をもとに金魚の起源と品種改良の歴史、現在の輸入出事情を解説
このコラムは、東京アクアガーデンスタッフであるプロのアクアリストたちの意見をもとに作成しています。
中国で生まれた金魚は日本に渡り、長い歴史を日本人と共に歩んできました。
各国で品種改良が繰り返され、現在では姿の違う様々な金魚たちが私たちの目を楽しませてくれます。
ここでは、実務経験から得た知識をもとに、金魚の起源と品種改良の歴史、現在の輸入出事情を解説します。
金魚の起源とは
金魚の起源とはどのようなものなのでしょうか?
まずは、金魚が生まれた由来と日本に渡るまでの歴史をご紹介します。
約2000年前に中国で見つかった赤いフナが起源
金魚の起源は、約2000年前に中国の長江下流で偶然見つかった、赤いフナとされています。
この赤いフナを元に繁殖、選別が繰り返された結果、970年代には観賞魚としての金魚のベースが出来上がりました。
ただ、当時は品種改良という概念がまだなく、それぞれの個体差や特徴をそのまま鑑賞していたようです。
また、この時代の金魚は数が少なく非常に高価でしたので、主に皇族や貴族の間でのみ楽しまれる贅沢品でした。
その後時間をかけて徐々に品種改良が進められていきましたが、1966年から始まった文化大革命の折に、中国で養殖されていた金魚は処分され一度断絶しています。
中国で金魚の養殖が復活したのは文化大革命後、日本に渡っていた金魚を親魚として再生産が始まり、現在に至るのです。
このような歴史を持つため、金魚は日本発祥と言われることもありますが、元をたどると中国で生まれた魚だということが見えてきます。
ただ、中国では一度断絶してしまっている背景を考えると、現在まで金魚の文化が続いているのは日本の養殖場の努力の賜物というのもまた事実です。
日本に伝わったのは約500年前
中国から日本に金魚が伝わったのは1500年代とされています。
しかし当時の日本は戦国時代真っただ中にあり、不安定な情勢から金魚を楽しむのは一部の貴族のみ、一般にはあまり浸透しませんでした。
また当時は飼育技術が確立されておらず、仮に飼育したとしても死んでしまうことが多かったようです。
戦国の世が終わりを迎え江戸時代に入ると、少しずつ金魚の研究が進み、飼育技術が確立されていきます。
庶民にも広がりを見せたのは、領地に池を持つ武士のサイドビジネスとして金魚の養殖が行われたことがきっかけで、流通量が増えて価格が下がり、一般の人々も金魚を飼育できるようになりました。
ただ、飼育のノウハウが浸透していたわけではないため、このころは丸いガラス容器に入れて短期間鑑賞するスタイルだったと言います。この丸いガラス容器が金魚鉢の由来で、日本人の金魚鉢に入れて金魚を飼育するのが粋だという感性は、このころから培われていたのでしょう。
現在、日本での金魚の三大産地は奈良県の大和郡山、愛知県の弥富、東京都の江戸川です。どの産地も150~200年の歴史があり、それぞれブランド化されていて海外でも人気があります。
金魚の品種改良について
金魚は長い歴史の中で品種改良が繰り返されて、現在までにとても多くの品種が生み出されました。
特に養殖が盛んな日本と中国では、それぞれ別の視点から品種改良が進められており、独自の品種が作出されています。
ここからは、日本、中国、その他の国々での品種改良の歴史ということで、各国でどの様な金魚の改良品種が生み出されているのかをご紹介します。
日本での品種改良
日本で金魚の品種改良が盛んにおこなわれるようになったのは、明治時代に入ってからのことです。
この頃には誰でも長期飼育できる環境が整い、庶民の娯楽として金魚が親しまれていました。
人気の高まりに伴い品種改良も進んでいきます。最初はフナに近い体型の『和金』から始まり、次に『琉金』や『丸子』が作出されました。
そこから更に改良を重ね『朱文金』『らんちゅう』が誕生したとされています。
天然記念物となっている『土佐錦』や、錦鯉と一緒に泳ぐ金魚として作出された『玉サバ』など、その地域の特色や風習に合わせた金魚が多数生み出されているのも、日本の金魚の特徴です。
また、日本の金魚は、濃い赤の体色をした質の良い個体が豊富で、見た目の美しさは諸外国産の金魚に引けを取らない魅力があります。
中国での品種改良
中国で金魚は宮廷への献上品として扱われることが多く、そのことから豪華な容姿を持つ品種が多数作出されました。
文化大革命で金魚の養殖が一度途絶えましたが、その後日本から渡った親魚をもとに現在まで品種改良が続いています。
中国で作出されたものの中では、『蝶尾』『丹頂』『ピンポンポンパール』『ショートテール』『黒らんちゅう』といった品種が代表的です。
中国作出の金魚の大きな特徴が丸さを重視した品種が多いこと。日本とは違った美観を持つ中国の人たちが作り出した金魚は、日本産の金魚とはまた違った可愛らしさがあります。
パッと見の華やかさや豪華さを兼ね備えている個体が多いのも、中国産金魚の特徴です。
最近は日本での人気も高く、多くの個体が輸入されています。
他国での品種改良
金魚の品種改良は、日本や中国にとどまらず、タイを中心とした東南アジアや、イギリス、アメリカなどの欧米でも盛んです。
特に東南アジアはもともと熱帯魚の養殖が盛んなため、独自のノウハウを駆使して、日本や中国とは違った品種を開発しています。
タイで作出された代表品種は『ローズテール』です。他にはない華やかな尾びれを持った品種で、日本でも高級金魚として人気があります。
アメリカ生まれの金魚といえば『コメット』です。コメットは和金型の体型に高い遊泳力が特徴ですが、実は日本から渡った琉金とフナが交雑したもの。アメリカでは庭に池がある家が多く、そこで自然交配して生まれた金魚を固定化したとされています。
またイギリスでは『ブリストル朱文金』などの高級金魚が作出されました。
日本では、多くの品種が上見での美しさを重視していますが、ブリストル朱文金は横見での美しさを重視したとされています。
その国独自の文化や美的センスの違いから、改良に際して何を重視するかが異なるため、同じ金魚でも全く違う見た目の品種が作出されているのが、非常に興味深い所です。
金魚の輸入・輸出について
最近は日本でもたくさんの外国産金魚が輸入されるようになりました。
この背景には、外国産にしかない独自の魅力を楽しむ飼育者が増えていることがあると考えられます。
例えば、国産の金魚は、どちらかといえば繊細な美しさを重視する傾向にありますが、外国産の金魚はパッと見てわかる豪奢さを持った個体が多いです。
また、同じ品種でも国産と外国産では選別基準が異なるため、微妙な特徴の違いが現れることも。そういった違いを楽しむことができるのも金魚の魅力の一つです。
特に一匹ずつ選別したうえで輸入される金魚は、高額な値段が付けられやすく愛好者の憧れです。中には高額にもかかわらず入荷と同時に売り切れてしまうほど、人気のある品種もいます。
リーズナブルな品種でも外国産の勢力が拡大しており、安価で流通する外国産金魚に、国内生産の金魚はやや押されつつあるのが実情のようです。
しかし、国産、外国産それぞれに良さがありますので、産地に惑わされず気に入った個体を選ぶのが良い金魚を手に入れる秘訣と言えるでしょう。
日本産金魚の人気
日本では外国産の金魚の流通量が増えていますが、反対に国外では日本産の金魚の人気が高まっています。
金魚への注目度が高まるとともに、日本の各養殖場から輸出される個体の値上がりが続いているのです。
昨今、海外の富裕層の間では錦鯉飼育がトレントなのですが、次は金魚ブームがくるのでは?とも言われています。
また、日本の金魚は品質管理が徹底しており、丁寧に養殖されているため、丈夫で育てやすくクオリティの高い個体が多いのも人気の理由です。
特にアジア圏では富裕層を中心に、1匹1匹こだわって飼育するスタイルが多く、愛情を込めた金魚を品評するコンテストも盛んに開催されています。
そのような背景から、日本の品評会で入賞経験のある系統の個体を育てる愛好者が増えているのです。
それに対して欧米では、和金タイプの良く泳ぐ金魚を池に入れて鑑賞するスタイルが主流です。泳ぎの得意な朱文金や池での飼育にも適した玉サバなど、遊泳力の高い品種が輸出されています。
まとめ:金魚の歴史!起源から品種改良と輸入・輸出などについてをご紹介!
今回は、金魚の歴史ということで、起源や各国の品種改良、現在の金魚事情についてご紹介しました。
金魚は、中国で見つかった突然変異の赤いフナを元に生まれた観賞魚です。
日本と中国を中心に、その人気は諸外国にも広まり、現在では各国で様々な特徴のある品種が作出されています。
品種改良の方向性に、お国柄が反映されていることも非常に面白いです。これから世界中で金魚がブームとなれば、さらに新しい品種も生まれてくるでしょう。
飼育している個体に隠された歴史や文化に思いをはせながら鑑賞するのも一つの楽しみ方。
最近はさまざまな地域、国からの金魚が流通して購入できますので、ぜひ自分好みのこだわりの1匹を探してみてください。
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