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ライブロックはバクテリアによる水質向上に期待ができたり、魚たちの拒食を防止する効果があるため、海水魚飼育には必要不可欠なレイアウトアイテムです。
しかし、はじめて海水魚を飼育する方からすれば、1kg数千円もするライブロックを購入するのにはかなりの勇気が必要だと思います。
単に「海水魚水槽にライブロックは必要です」と言われても、なかなか理解し難いことでしょう。
そこでこのコラムでは、ライブロックがもたらすさまざまな効果や、良質なライブロックを選ぶポイント、設置する際の注意点などについて解説していきます。
マリンアクアリウムを始めようかとお悩みの方は、ぜひ参考にしてください。
目次
プロアクアリストたちの意見をもとに解説
このコラムは、東京アクアガーデンスタッフであるプロのアクアリストたちの意見をもとに作成しています。
海水魚飼育には必要不可欠とも言えるライブロックですが、高価なうえに品質も重要なため、どうしても敷居を高く感じてしまう原因になりがちです。
しかし、水槽に入れることでマリンアクアリウムに良い様々な効果が期待できるため、東京アクアガーデンでも海水魚水槽を設置する際には積極的に取り入れているレイアウトアイテムでもあります。
そこで今回は、実務で得た経験を元にライブロックが海水魚水槽にもたらすさまざまなメリットや、鮮度の良いライブロックを選ぶポイントなどを解説していきますので、ぜひお役立てください。
ライブロックの特徴!魔法の岩と呼ばれる理由
そもそもライブロックとは、海で死んでしまったサンゴにさまざまな生物が付着し、繁殖した状態のものを指します。
ゴカイなどの生物が細かい無数の穴を開けて生息するため、多孔質な構造をしているのが特徴です。
さらに、ライブロックには多孔質な構造を好むバクテリアなどの生物が豊富に生息しているため、それらがろ過器の役割を果たし、海水魚水槽の水質維持に貢献します。
ここからさらに掘り下げて、ライブロックのメリット・デメリットを解説していきます。
ライブロックを入れるメリットとは
海水魚水槽でライブロックを使用すると、大きく分けて3つのメリットを得ることができます。
- ライブロックの付着生物による水質向上効果
- 拒食防止効果
- 水槽レイアウト効果
■バクテリアによる水質向上
ライブロックを導入する最大のメリットとも言えるのが、バクテリアによる水質向上効果です。
ライブロックに付着するバクテリアがろ過フィルターの役割をすることで、水槽内の有害な栄養塩を除去することができます。
特に、バクテリアの数が少ない水槽立ち上げ時にライブロックを導入すると、水槽内へ強制的にバクテリアが広がるため、比較的短時間で立ち上げを完了させることができます。
また、海水魚水槽は長年管理していると砂や岩が汚れてくることがあるのですが、このようなときはライブロックを新しいものに交換してみるのがおすすめです。
新鮮なライブロックと共に新しいバクテリアが水槽内に広がるため、水槽がリフレッシュされて汚れが軽減されていきます。
■ライブロックによる拒食防止効果
続いてご紹介するメリットは、ライブロックによる拒食防止効果です。
実は購入してきたばかりの海水魚は、新しい環境に慣れるまで人工餌を食べないことがあります。
そのようなときは新しいライブロックを水槽に入れてみましょう。
ライブロックに生息するゴカイなどの生物が魚たちの補助食となり、人工飼料に慣れるまでのつなぎの餌として活用することができます。
特に、人工飼料に慣れにくいヤッコ類・チョウチョウウオ類はライブロックをつつく習性があるため、拒食対策におすすめです。
■水槽レイアウト効果
3つめのメリットは、水槽レイアウト効果です。
ライブロックを組み合わせてレイアウトすることで、サンゴを置くスペースと、魚の隠れ家を作ることでできます。
■サンゴを置くスペース
サンゴは砂の上に置くと砂中に潜む微生物の影響を直に受けてしまうため、基本的にはライブロックの上に置いて育成します。
つまりライブロックを増やせば、その分サンゴを管理できる数も増やすことができます。
特に、サンゴを数多く管理するレイアウト技法で有名なのが、ライブロックをひな壇状に配置する方法です。
ライブロックをひな壇状にレイアウトすることで、より多くのサンゴを並べることができますし、水槽レイアウトとして美しく見せられる技法でもあります。
■魚の隠れ家
ライブロックで入り組んだレイアウトを作ることで、魚のストレスを軽減させることができます。
魚は意外にもストレスを受けやすい生き物のため、隠れ家の無い水槽ではストレスが原因で餌を食べることができず、最悪の場合餓死してしまうことも少なくありません。
このような事態を防ぐためにも、水槽にライブロックを導入して隠れ家を作ってやりましょう。
入り組んだレイアウトにすることで次第に環境に順応し、餌を食べるようになります。
ライブロックを入れるデメリットとは
一方、ライブロックの導入にはデメリットも存在します。
グレードの低い(鮮度の悪い)ライブロックを入れてしまうと、水質が悪化し、さまざまな悪影響が生じる場合があるのです。
ライブロックは生き物であり、状態が良いものと悪いものが存在するため、しっかりと見極めて購入しなければなりません。
ここで言うライブロックの良し悪しとは、付着している生物の生存率が関係しています。
付着する生物が元気であれば良質なライブロックと言えますし、多くの生物が死んでしまっていたら、悪いライブロックと捉えることができるでしょう。
以下からはライブロックの質が下がってしまう理由として、
- 運送問題
- キュアリング問題
- 長期在庫品
これら3つの問題点について解説していきます。
■運送問題
海洋で採取されたライブロックを店舗に運搬する際、もしくうは店舗で管理しているライブロックをお客様のもとへお届けする際は、ライブロックに付着する生物が乾かないよう慎重に梱包します。
多く採用されているのが、海水魚と同じようにビニール袋でパッキングする方法や、海水で湿らせた新聞紙で包み込む方法です。
このように梱包してから発送をし、翌日午前中に店舗へ届き開梱できれば、大抵の場合は問題ありません。
しかし、運送上のトラブルが発生し予定時間から大幅に遅れると、ライブロックの状態がどんどん悪くなっていきます。
ライブロックに付着した生物が乾いたり、酸欠を起こしてしまうと、生存率が下がるため、質の悪いライブロックになってしまうのです。
もし、通販で購入したライブロックが遅延した場合は、手元に届いたライブロックをご自身でキュアリングしてから使用することを強くおすすめします。
■キュアリング問題
アクアリウムショップでは、ライブロックを入荷したらすぐにキュアリングという作業をします。
キュアリングとは、ピンセットを使って不要なものを取り除いたり、強力なエアレーションを施して無数の穴の中を綺麗にしていく作業のことです。
ライブロックには有害生物が付着している可能性もあるため、注意深く観察しながら丁寧に作業を行ないます。
しかし、入荷したばかりのライブロックは、キュアリングが不完全な場合があります。
キュアリング済みかどうかは一見しただけでは判断しづらいため、ご自宅の水槽へ導入する前には、なるべくご自身の手でキュアリングを行ないましょう。
キュアリングが不完全なライブロックを購入し、そのまま水槽へ入れてしまうと、水槽内に悪影響をもたらす場合がありますので注意が必要です。
■長期在庫品
入荷してから数年経過した長期在庫商品は、ライブロック自体の色がくすんで悪くなっている場合があります。
ライブロック内の付着生物も減っている可能性が高いため、水質浄化効果が薄れている場合も多いです。
ただし、長期在庫品は価格が安くなっていることがあるため、購入する際は上述したようなデメリットがあるということをきちんと理解してから購入しましょう。
また、もし長期在庫品のライブロックを購入した際は、良質なライブロックの土台として使用するのがおすすめです。
土台であればくすんだ色味が目立ちませんし、水質浄化作用に関しては、一緒に導入した良質なライブロックで補うことができます。
良質なライブロックを選ぶポイント
ライブロックを選ぶポイントは下記3点です。確実に押さえておきましょう。
- 異臭の無いキュアリング済みのもの
- 石灰藻の付着した表面の色合いが赤みがかっているもの
- 入荷してから1週間以上6カ月未満なもの
異臭の無いキュアリング済みのもの
購入予定のライブロックは、キュアリングが済んでいるかどうかをしっかりと確認しましょう。
アクアリウムショップで現物を見て購入する場合は、ライブロックのにおいを嗅いで確認するのがおすすめです。
良質なライブロックであれば、ほんのりと磯の香りがします。
しかし、状態が悪いライブロックの場合は、硫黄のような臭いとともに、ツーンとした強い磯の香りがします。
異臭がするライブロックは絶対に避けましょう。
石灰藻の付着した表面の色合いが赤みがかっているもの
良質なライブロックには多くの石灰藻が付着しており、全体的にピンク~赤みがかった色をしています。
石灰藻が多く付着しているライブロックは、入荷から日の浅い、新鮮なライブロックです。
見栄えがよく、水質浄化効果にも期待ができるため、なるべく赤みがかったライブロックを選んで購入しましょう。
入荷してから1週間以上6カ月未満なもの
ライブロックを直接目で見て購入できる場合は、入荷してからどのくらいの期間が経過しているか、店内のスタッフに確認してみるのがおすすめです。
入荷後1週間未満だとキュアリングが不完全な場合があり、反対に入荷から半年以上経過していると、付着生物が減っている可能性があります。
なるべく、入荷から1週間以上6カ月未満のものを購入しましょう。
また、海水魚飼育やサンゴ飼育に精通している専門店では、ライブロックの質によってその後の水槽管理にどのような影響が起こるか熟知しています。
そのため、ライブロックを入荷した際には専用の水槽を作り、キュアリングを十分に施したライブロックをしっかりしたろ過装置で丁寧に管理しています。
管理にエアレーションやプロテインスキマーを使って、透明度の高い綺麗な飼育水で管理している店舗は、質の良いライブロックを取り扱っていることが多いです。
このような専門店で購入するのも、良質なライブロックを選ぶポイントです。
ライブロックに潜む危険な生物とは
ライブロックに付着する生物の中には、魚の拒食を防止したり、水質浄化に貢献するような良い生き物だけでなく、水槽にとって悪影響のある有害生物も潜んでいます。
素手で触れると怪我をするおそれのある危険な生物も存在するため、注意をしましょう。
ここでは、ライブロックに潜んでいることの多い代表的な危険生物を解説していきます。
カニ
海水魚水槽を観察していると、たまに姿を現すことが多いカニ。
カニは大きく成長すると魚を襲う場合があるので、心配であれば取り除くことを推奨します。
特に、毛がふさふさしているカニはサンゴをかじる習性があるため、サンゴ水槽を運用している場合は注意が必要です。
見つけ次第、速やかに取り除くようにしましょう。
シャコ
水槽からパチンパチンという音が聞こえたら、シャコがいる可能性が高いです。
シャコは見つけ次第、速やかに取り除きましょう。
その理由は、大きく分けて3つ挙げられます。
- ガラス水槽の場合、割れる可能性がある
- 魚を襲うことがある
- メンテナンス時に、人の手をパンチすることがある
ガラス水槽の場合、通称シャコパンチにより水槽が割れる可能性が非常に高いです。
魚を襲うこともありますし、シャコの存在に気づかず手を近づけると、シャコパンチを受けて怪我をすることもあります。
シャコの存在が疑われる際は、水槽メンテナンス時に十分注意しましょう。
ウミケムシ
ウミケムシに触れると透明な針が皮膚に刺さり、少し時間が経ってから痛痒いような症状が表れます。
見た目もよくありませんので、発見次第すぐに取り除きましょう。
どうしても不安な場合は、厚手の軍手を着用してからライブロックを取り扱うのがおすすめです。
ウニ
ウニは攻撃性が低く、何度も触れたり握ったりしない限りは、人間に危害を加えることはありません。
ただし、ライブロックの隙間にウニが入り込むと、持ち上げて崩してしまうことがあるので注意しましょう。
魚たちが崩れたライブロックの下敷きになってしまうこともあり、危険です。
ウニは動きが鈍く取り出すのも簡単なので、軍手やトングなどを活用しながら、見つけ次第取り除きましょう。
ライブロックを使用したレイアウト事例
最後に、東京アクアガーデンが設計した、ライブロックを使用した水槽レイアウト事例について2件ご紹介いたします。
美容サロン様 店内で輝く120cm海水魚水槽
左から右へと傾斜をつけた『三角構図』と呼ばれるレイアウトを採用し、ライブロックを組みました。
中央から左側は敢えてトンネル状にライブロックを組み合わせたため、トンネルの下をくぐり抜ける魚たちの姿を楽しむことができます。
オフィス 大型サンゴ水槽
横幅180cmの大型水槽に、三角構図でライブロックを配置しました。
水槽の前後どちらから眺めても美しく見えるよう、ライブロックやサンゴを両面仕様で配置しているのがポイントです。
まとめ:ライブロックが海水水槽に必要な理由!取り扱いからレイアウトまでご紹介
今回はライブロックを導入するメリットや、状態の良いライブロックの選び方、実際のレイアウト事例についてご紹介してきました。
海水魚飼育には必要不可欠と言われているライブロック。
鮮度の良いものを導入できれば、水質浄化作用に期待ができますし、人工飼料に慣れてない魚たちのつなぎの餌としても活用できるため、もし余裕があれば設置してみることをおすすめします。
魚たちの美しさを最大限に発揮させるには、飼育する魚が本来生息している場所を可能な限り再現してやることが大切です。
ぜひこの機会に、皆さまの水槽にもライブロックを取り入れてみるのはいかがでしょうか。
ライブロックについて良くあるご質問
ライブロックを使う理由とは?
- 海水水槽に有益なバクテリアを入れるため
- 水槽のレイアウト、生き物の隠れ家として
- サンゴ飼育のベースとして など
ライブロックはサンゴの骨格が年月を経て岩のようになったものです。
レイアウトに使うことで、海中の有益なバクテリアやプランクトンを水槽内に取り込むことができます。
また、サンゴ飼育のベースとしても必須です。
品質の良いライブロックとは?
また、臭いがきついライブロックは、古くなった状態です。
磯の臭いがするライブロックを選ぶようにしましょう。
ライブロックについてくる害虫とは?
ライブロックは海で採取または養殖されるため、自然に生きている、さまざまな生き物が混入することがあります。
- シャコ
- カニ
- ヒトデ
- ウミケムシ
- ウニ など
ライブロックはこれらの害虫の混入を避けるために、強いエアレーションの水槽へ一定期間入れておく『キュアリング』の作業が大切です。
ライブロックを長持ちさせる方法とは?
また、ライブロックの表面にゴミが溜まるのを防ぐ効果もあります。
石灰藻のための栄養剤を添加するのもおすすめです。
水質の目安は、サンゴ水槽を意識したものに設定すると状態を良く維持しやすくなります。
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