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海水魚水槽のレイアウトの定番といえば、真っ白なライブサンドにライブロック、そしてサンゴです。
しかし、生きたサンゴは育成環境が非常にシビアで育成難易度が高く、またサンゴに合わせた環境では飼育できる生体もかなり限られてしまいます。
そのようなときは『飾りサンゴ』をレイアウトしてみるのはいかがでしょうか。
飾りサンゴであれば混泳する生体を選びませんし、生きたサンゴもよりも手軽に、海水魚水槽を華やかに彩ることができます。
このコラムでは飾りサンゴの種類や水質への影響、レイアウト事例についてご紹介していきますので、ぜひお役立てください。
目次
プロアクアリストたちの意見をもとに飾りサンゴの種類やメリット、水質への影響とレイアウト例を解説
このコラムは、東京アクアガーデンスタッフであるプロのアクアリストたちの意見をもとに作成しています。
サンゴをレイアウトした海水魚水槽は雰囲気が出てとても素敵なものですが、生きたサンゴは育成難易度がかなり高く、気軽に取り入れられるものではありません。
そこでおすすめなのが、飾りサンゴです。飾りサンゴであれば、環境を気にすることなくレイアウトすることができます。
ここでは、実務経験から得た知識をもとに、飾りサンゴの種類やメリット、水質への影響とレイアウト例を解説します。
飾りサンゴとは
飾りサンゴとは、主に海水魚水槽で使用されるレイアウトアクセサリーの一つのことです。サンゴの形を模したレプリカや、化石化したサンゴなどが飾りサンゴとして販売されています。
生きたサンゴは見た目が美しく神秘的ではあるものの、育成難易度が高く、またポリプ食(サンゴを食べてしまう)の魚種とは混泳できないのがネックです。
その点、飾りサンゴであればわざわざ育成環境を整える必要がありませんし、ポリプ食の魚を飼育しながらサンゴの雰囲気を気軽に楽しむことができます。
複雑な形状のためコケを磨き落としにくいことがデメリットとして挙げられるものの、界面活性剤不使用のハイターやブリーチで定期的に漂白をすれば綺麗に保つことが可能です。
海水魚水槽をより一層彩るための重要なレイアウトアクセサリーとも言える飾りサンゴ。
皆さんもこの機会に、水槽へ取り入れてみるのはいかがでしょうか。
飾りサンゴの種類と水質への影響
飾りサンゴの種類は大きく分けて、
- 化石サンゴ
- 樹脂製のサンゴ
この2種類があります。
それぞれの飾りサンゴの特徴や水質への影響についてご紹介していきますので、ご確認ください。
種類1:化石サンゴ
まずは化石サンゴについて。
化石サンゴとは本物のサンゴの骨格が、長い年月を経て化石となったものを指します。
白く、自然な形状が楽しめる
化石サンゴ最大の特徴としては、自然な形状が楽しめるという点が挙げられます。
石灰質の硬い骨格をもったサンゴは、化石化しても崩れにくく、生きていたときの姿をほとんどそのまま保っていることが多いのです。
程よい重量感があることから水流にも強く、ライブロックに配置しやすいというメリットもあります。
また、真っ白な化石サンゴは、カラフルな海水魚の色味を邪魔することなく引き立ててくれます。海水魚を主役に据えて、背景をあまり目立たせたくないときには化石サンゴがおすすめです。
飼育水がアルカリ性傾向になる
一方デメリットとしては、化石サンゴは炭酸カルシウムを主成分としているため、水に浸すとカルシウム分が溶け出し、水質がアルカリ性の硬水傾向になってしまうという点が挙げられます。
海水魚全般や淡水フグなどアルカリ性を好む生体の水槽であれば使用できますが、弱酸性~中性を好む生体の水槽には多用しないように注意しましょう。
ちなみに、化石サンゴの水質を変化させる性質は一部の淡水魚水槽でも活用されています。例えばシクリッドや金魚の水槽では弱アルカリ性の水質を保つために、敢えて少量の化石サンゴをレイアウトして、水質のコントロールすることがあります。
白さを保つためには定期的な洗浄を行う
化石サンゴにも汚れやコケが付着します。
汚れが目立ってきたら、ブラシなどで洗浄しましょう。
細部の汚れは界面活性剤の入っていない塩素系漂白剤(衣類用ハイター、ブリーチなど)が効果的です。
漂白剤を使用した後はよくすすぎ、多めのカルキ抜き剤で中和します。
その後、天日干ししてから水槽に戻すと安全です。
種類2:樹脂製のサンゴ
続いては樹脂製サンゴについて。
樹脂製サンゴとはその名の通り、樹脂で作られたレプリカのサンゴのことを指します。
カラフルでデザイン性がある
樹脂製サンゴ最大の特徴といえば、豊富なカラーとデザイン性です。
現実では見ることのできないような色とりどりの商品が数多く販売されており、青い照明の海水魚水槽にとてもよく映えます。
大ぶりで複雑な形状をしたウチワサンゴのようなものから、小ぶりでレイアウトしやすい形状のものまで、水槽サイズや雰囲気に合わせて選ぶことも可能です。
水質への影響はない
樹脂製サンゴが化石サンゴと大きく異なるのは、水質への影響が無いという点です。
成分が溶け出す心配が無いため、中性~弱酸性を好む淡水魚の水槽にもレイアウトすることができます。
しかし、色味やデザイン性などを考慮すると、やはり海水魚水槽に向いていると言えるでしょう。
一方デメリットとしては、化石サンゴよりも浮きやすいという点が挙げられます。
どうしても狙った位置に固定しづらい場合は、アクアリウム用ボンドで接着してしまうのもひとつの方法です。
ただし、接着してしまうと汚れを洗浄することが難しくなります。
なるべく、岩などの重みで固定して配置しましょう。
飾りサンゴのレイアウト例
続いては、飾りサンゴを使った水槽レイアウトについて見ていきましょう。
私たち東京アクアガーデンで設置させていただいた水槽の中から、
- リビングの30cm小型海水魚水槽
- パロットファイヤーの円柱水槽
- クリニックの円柱海水魚水槽
- 披露宴のウェディング水槽
- 2m40cm!大型壁面水槽
今回は上記5つの事例についてご紹介していきます。
リビングの30cm小型海水魚水槽
まずご紹介するのは、品川区にある個人宅様のリビングに設置した、30cm海水魚水槽です。
幅30cmと省スペースながらも海水魚水槽ならではの幻想的な雰囲気が楽しめるよう、ハイタイプの水槽を採用しました。
アーチ状に組み上げたライブロックの周囲に化石サンゴを配置し、色味のアクセントとして暖色系の樹脂製サンゴを右手前にひとつ植えています。
今回は水槽台や背後の壁が白色であることや、淡い色の魚を多く導入していることなどから、統一感を出すために白色の化石サンゴを多めに配置しました。
パロットファイヤーの円柱水槽
続いてご紹介するのは、渋谷区にあるオフィス様に設置した円柱型水槽です。
こちらは、パロットファイヤーという鮮やかな淡水魚が泳ぐ水槽に化石サンゴをレイアウトしました。
一般的に中性~弱酸性を好むものが多い淡水魚ですが、パロットファイヤーや淡水魚ながらアルカリ性の水質を好む魚として知られています。
また、パロットファイヤーや海水魚に引けを取らないカラフルさが特徴の魚で、化石サンゴとの相性が抜群です。
今回はパロットファイヤーの淡いピンクの体色に合わせ、照明も暖色系のものを選択。
白の化石サンゴをふんだんに使用し、全体的な色味の統一感を演出しました。
クリニックの円柱海水魚水槽
続いてご紹介するのは、皮膚科クリニック様の待合室に設置した、円柱型の海水魚水槽です。
水槽の周径をぐるっと取り囲むように組み上げたライブロックの上に、色味やボリュームのバランスを見ながら樹脂製サンゴを配置しました。
円柱のように横幅が狭い水槽であっても、リズムを付けてアクセサリーを配置すれば、軽やかな雰囲気に仕上げることが可能です。
樹脂製サンゴの色味に負けないような鮮やかな生体を導入することも、ポイントとして挙げられます。
披露宴のウェディング水槽
続いてご紹介するのは、京都府の結婚披露宴会場様に設置した、90cm海水魚水槽です。
「熱帯魚が好きなので、披露宴に水槽を置きたい」というご依頼をいただき、上品さと高級感を意識した海水魚水槽に仕上げました。
水槽越しに見える新郎新婦様の姿をより一層引き立てるために、飾りサンゴは白の化石サンゴのみを選択。
結婚式に相応しい花束のような形状の飾りサンゴをレイアウトしました。
そしてもう一台、名古屋市の結婚式場様にも、60cm海水魚水槽を設置。
こちらは化石サンゴを積み上げて、海のダイナミックさと華やかさを演出しました。
レイアウトに淡い色のアイテムを選択することにより、魚のオレンジや青といった鮮やかな体色をさらに引き立たせることができます。
2m40cm!大型壁面水槽
続いてご紹介するのは、店舗様に設置した、240cm海水魚水槽です。
海の岩壁を模したバックボードや、ふんだんに配置されたライブロック。
まるでスキューバダイビングで自然な海の姿を目の当たりにしているかのような水景なので、その雰囲気を活かすために、飾りサンゴは自然に近い化石サンゴを選択しました。
照明が控えめな場所であっても、ポイントを決めて化石サンゴを配置することで白さが際立ち、ダイナミックで爽やかな海の様子を演出できます。
まとめ:飾りサンゴとは!種類とメリット、水質への影響、レイアウト法を解説
今回は飾りサンゴの種類や水質への影響、レイアウトの仕方についてご紹介をしてきました。
飾りサンゴには大きく分けて2つの種類があり、自然な形状が楽しめる化石サンゴと、デザイン性の高い樹脂製サンゴが挙げられます。
それぞれ水質に対する影響やレイアウトした際の雰囲気などが異なりますので、取り入れる水槽に合ったものを選んで配置してみましょう。
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