水槽用ヒーターとクーラーの併用・調整方法!効率的な水温設定にしよう
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アクアリウムの水温は、一般的に水槽用ヒーターや水槽用クーラーを使って一定に保ちます。
水槽用クーラーは設置できる環境が限定的で高価な機材のため、誰もが使用しているわけではありませんが、最近は以前に比べて暑い日が増えているので、高水温対策に導入を検討する方も増えているようです。
しかし、実際に水槽用ヒーターとクーラーを併用してみると、希望する温度にならなかったり、効率の悪さを感じてしまったりといったトラブルに見舞われることも。
ヒーターとクーラーを同時に使うという行為は一見矛盾しているようにも思えますが、設定のコツをつかめば、かなり繊細な水温管理ができるようになるため、ポイントを押さえて飼育に役立てましょう。
ここでは、水槽用ヒーターと水槽用クーラーを使った水温の上手な調整方法をご紹介します。
目次
プロアクアリストたちの意見をもとに水槽用ヒーターとクーラーの併用した水温調整方法を解説解説
このコラムは、東京アクアガーデンスタッフであるプロのアクアリストたちの意見をもとに作成しています。
水槽用ヒーターと水槽用クーラーを同時に使用すれば、水温に敏感な熱帯魚の管理もしやすくなります。
また、コツを覚えればかなり効率的に水温調整ができるようになりますので、覚えておいて損はないでしょう。
ここでは、実務経験から得た知識をもとに、水槽用ヒーターとクーラーの併用した場合の水温調整方法を解説します。
水槽用ヒーターとクーラーを併用した設定方法
正しく水槽用ヒーターと水槽用クーラーを併用した場合、余裕を持って正確な水温に調整することができます。
しかし設定の仕方によっては本来の力が発揮できず、生き物の不調や電気代上昇の原因になることもあるため、設定のコツをしっかり確認しておくことが大切です。
ここでは、水槽用ヒーターとクーラーを同時に使用した場合の、設定方法や水温の考え方について解説します。
水槽用ヒーターより水槽用クーラーの水温を高めに設定する
水槽用ヒーターと水槽用クーラーを併用して水温を管理する場合、水槽用クーラー側の設定温度を2℃ほど高めに設定すると希望の水温に維持しやすくなります。
例えば水温を25℃に保ちたい場合、ヒーターを24℃、クーラーを27℃程度に設定すると中央値の25℃に合いやすいです。
これは、水槽用ヒーターとクーラーを接続するサーモスタットの感知温度が関係しています。
サーモスタットの感知温度は誤差が生じる可能性があり、ヒーター側とクーラー側で検知している水温が異なることも多いです。
このような状況で両者を同じ温度に設定していると、それぞれがバラバラに反発しあって水温が維持できなくなってしまいます。
せっかく水槽用ヒーターが温めた水を、水槽用クーラーで冷やしてしまい、水温を上げるためにヒーターがフル稼働…というイタチごっこのような状態になりかねませんので、あえて設定温度に差をつけておきましょう。
サーモスタットの感知誤差は±1.5℃程度と発表しているメーカーが多いので、2℃程度の差でちょうど良い塩梅になります。
損失熱量を考える
理想の温度よりも水温が高くなりやすいときは、水槽用クーラーのスペックが不足している可能性があります。
水槽用クーラーは水槽の総水量に合わせて選びますが、この時損失熱量を考慮しないとパワー不足になりやすいです。
損失熱量とは照明、ろ過フィルター、殺菌灯など水槽機材を稼働させた際に発生する熱のこと。
熱が発生するということは、それだけ冷やすのにパワーが必要です。
そのため水槽用クーラーは、総水量に損失熱量をリットルに変換した数値合わせた数を目安に機種を選ぶと、余裕を持って運用できます。
もし、ゆくゆくは「殺菌灯をつけたい」「強いライトに変えたい」などの拡張を考えているのであれば、それを加味してスペックに余裕のあるクーラーを選んでおくと買い直しを防げます。
損失熱量の算出方法と水槽用クーラーの選び方
損失熱量は1W=1Lとして計算します。
例えば照明48W、ポンプ20W、殺菌灯9Wのものを使用している場合、
で損失熱量は77Lです。
次に、水槽用クーラーの選ぶときの目安となるリットル数を算出します。
が基本的な考え方ですので、上記の機材を60cm規格(65L)のオーバーフロー水槽(ろ過槽10L)に取り付けている場合、
ということで、200L程度までカバーできる水槽用クーラーを選ぶと確実と考えることができます。
効率的な水温管理について
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続いては、効率的に水温を管理する方法についてです。
水温管理の効率が悪い水槽では、水槽用ヒーターや水槽用クーラーが必要以上に稼働して、電気代が上がったり機材が壊れやすくなったりといったトラブルに見舞われやすくなります。
また、結果的に水温が維持できず、生き物の不調につながる可能性もありますので、効率よく水温を管理するコツを確認してみてください。
適合水量に余裕を持とう
水槽用ヒーターも水槽用クーラーも、スペックに余裕のある機種を選びましょう。
適合水量ギリギリの環境では、水温を維持するのに常に全力を出さなければならず、稼働率が高くなってしまいがちです。
外気温と水温の差が激しいなど、環境によっては水温を維持しきれなくなってしまうことも考えられます。
常にフル稼働の状態は電気代も上がりやすいので、最初からスペックに余裕を持たせるのが、効率よく水温を維持するコツです。
また、大型水槽の場合は水槽用ヒーター1台だと水温差ができやすいため、ヒーターを2台以上設置して複数個所から水を温めると効率よく水温を維持できます。
アナログ水温計とデジタル水温計について
水温管理に必需品の水温計ですが、効率的に水温を管理するならば、より正確に測れるものが向いています。
水槽用の水温計には、アナログ水温計とデジタル水温計の2つのタイプがあります。
アナログ水温計は安価でよほどのことが無い限り壊れないのがメリットです。昔から変わらないシンプルな作りなので、信頼性も高いでしょう。
ただ、針を見て水温を読み取らなければならないため、読み間違いや小数点以下の細かい水温がわからない危険があります。
対してデジタル水温計は、デジタル表示で直感的に水温がわかるのが利点。小数点以下まで表示されるのでより精密な数値まで測定できます。
しかし、その分アナログ水温計に比べると高価な商品が多く、電池交換が必要なのでランニングコストがかかる点にも注意が必要です。
また、デジタル水温計は計測方法のタイプが2種類あり、水中に端子を入れて水温を計測するものはかなりの精度で水温を検知することができます。
もう一つは本体に温度センサーが付いていてガラス越しに水温を感知するコードレスタイプで、こちらは鑑賞の邪魔にならないスタイリッシュさが売りですが、水の外から水温を測るため誤差が出やすいです。
このような特徴から、厳密な温度管理を求められるときは端子付きのデジタル水温計、コスパ重視ならばアナログ水温計がおすすめです。
温度センサーの適切な配置場所
水槽用ヒーターや水槽用クーラーの動きを制御するサーモスタットの温度センサーの設置場所は、効率的に水温を管理する上でとても重要です。
まず、水温の誤認を防ぐため、温度センサーを水槽用ヒーターの近くや水流の届きにくい場所に設置するのは止めましょう。
ヒーターの近くでは温められたばかりの水温を感知してしまい、水槽全体が温まっていないのに設定温度に達したと判断してヒーターの動きを制御してしまう可能性があるからです。
水流がない場所は反対に適温になった水が回ってこないため、水槽用ヒーターが稼働し続ける事態になります。
以上のことから、サーモスタットのセンサーはヒーターから離れた場所かつ、適度な水流がある場所に設置するのが最適です。
また、万が一キスゴムが外れてしまった場合を想定して、水面に露出しづらい中層より下に設置すると安全に運用できます。
水槽用ヒーターは水流のある場所に設置する
続いて水槽用ヒーターの設置位置についてです。
水槽内に直接水槽用ヒーターを設置する場合は、設置場所を工夫するだけでかなり効率的に水を温められるようになります。
おすすめの設置場所は、ろ過フィルターの吐き出し口近く。温めた水が水流に載って水槽全体に行き渡りやすいです。
大型水槽の場合は、水流を強めるために水中ポンプも使用すると効率が良くなります。
また、複雑なレイアウトを施している水槽では水流が滞りやすいので、この場合も水中ポンプやエアレーションを併用して、なるべく淀みを解消してください。
淀みがあると水温の問題だけでなく、さまざまな弊害があるので、まずは淀みのない水槽づくりを心がけましょう。
太陽光をあてないようにする
水槽用クーラーを効率的に利用するためには、外的要因による水温の上昇に注意してください。
室内でも水槽に直射日光が当たる場所では水温が上がりやすく、いくら水槽用クーラーを稼働させても水が冷えない原因になります。
特に西日が差し込む場所では遮光カーテンを引くなどして、水槽に日光が当たらないよう工夫をするのが良いです。
太陽光は水温上昇以外にもコケの発生や、水槽・機材の劣化などを招く可能性がありますので、しっかり対策をしましょう。
また、このことから室内水槽で水草やサンゴに光を当てたいときは、日光ではなく水槽用照明に使って照射時間を管理するのが、状態よく水槽をキープするポイントです。
蓋はしっかり閉めよう
最後に、水槽の蓋はしっかりと閉めるようにしましょう。
あまり水温と関係ないように感じるかもしれませんが、水槽の蓋をすることで水の蒸発を防いで、外気温の干渉を抑えることができます。
水槽用ファンを使用している場合は、水面に風を当てて気化熱で水を冷やすために上部を開放しておきますが、水槽用クーラーを使用している場合は、蓋をして外気温の影響を抑えたほうが効率的です。
まとめ:水槽用ヒーターとクーラーの併用・調整方法!効率的な水温設定にしよう
水槽用ヒーターと水槽用クーラーを併用した場合の水温管理方法と、効率的に管理するポイントをご紹介しました。
水槽用ヒーターと水槽用クーラーを上手に併用すると、水温管理がとても楽になります。
また、効率的に管理するポイントを意識すれば、電気代を節約できたり、機材の稼働率を下げて寿命を延ばせたりといった良い効果を生み出すことが可能です。
水温を正確に管理することは、生き物の健康を守るためにも欠かせません。
水槽用ヒーターと水槽用クーラーを併用することでより繊細な水温管理も可能となりますので、ぜひこの機会に機材を組み合わせた水温管理を実践してみてください。
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