冬に水槽用クーラーは必要なのか?寒い時期も使い続けるメリットとは
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夏の高水温対策に設置した水槽用クーラーを冬になると取り外している、という方は多いのではないでしょうか。
確かに涼しくなったら今度は水槽を保温する必要が出てきますので、真逆の用途の水槽用クーラーはお役御免に感じます。
しかし、実は寒くなってきても水槽用クーラーを取り外す必要はなく、むしろ取り付けておいた方が都合の良いことが多いのは意外と知られていません。
また、季節ごとに取り外していると水槽用クーラーの劣化を早める可能性がありますので、できれば通年で使用し続けることをおすすめします。
ここでは、冬に水槽用クーラーを使う理由と寒い時期でも使い続けるメリットをご紹介します。
目次
プロアクアリストたちの意見をもとに冬に水槽用クーラーを使う理由とメリットを解説
このコラムは、東京アクアガーデンスタッフであるプロのアクアリストたちの意見をもとに作成しています。
水槽用クーラーは夏場限定の機材と考えている方もいるかと思いますが、実は冬でも使うことで得られるメリットがあります。
また、取り外してしまった水槽用クーラーは正しくメンテナンスをして保管しておかないと劣化してしまう可能性がありますので、寿命を延ばすためにもできたら使い続けたほうが良いでしょう。
ここでは、実務経験から得た知識をもとに、冬に水槽用クーラーを使う理由とメリットを解説します。
水槽用クーラーを冬に使う理由
水槽用クーラーは夏限定の機材ではありません。寒くなっても稼働させていて問題ありませんし、むしろ使うことが推奨されています。
水槽用クーラーを冬に使う理由は次の3つです。
- 使い続けないと劣化するため
- サーモスタットの代わりとして
- 水流の強さを維持するため
使い続けたほうが寿命は縮まるのでは…と思いますが、不適切な状態で保管するとかえって劣化して水槽用クーラーの寿命を縮める可能性があります。
また、主な用途は水温を下げることではありますが、水槽に与える影響はそれだけではないため、飼育環境を安定させるためには、通年で使用した方がよいでしょう。
冬でも水槽用クーラーを使うかどうかお悩みの方に、冬でも稼働させておく理由を解説します。
水槽用クーラーは使い続けないと劣化するため
冬でも水槽用クーラーを使い続ける理由の一つ目は、内部の劣化を防ぐためです。
水槽用クーラーの寿命の目安は4~10年ほどですが、冬になる度に取り外して保管、初夏に再接続していると、乾燥と湿潤状態が繰り返されて内部が劣化しやすくなります。さらに、内部にゴミがたまっていたり、保管場所が多湿だったりすれば再接続した際に故障してしまうことすらあるでしょう。
とくに海水水槽で使っている水槽用クーラーは顕著で、内部に残ってしまう塩分が悪影響を与える可能性が高いです。保管する前に中までしっかり洗浄すれば確立は低くなりますが、故障する可能性は避けられませんので、冬でも取り外さずに使用することをおすすめします。
飼育生体が変わるなど、水槽用クーラーを使用しなくなる場合には、吸気口・排気口の掃除や内部を徹底的に洗浄してから保管するようにしてください。
水槽用クーラーのメンテナンス方法は、こちらの記事で詳しく解説しています。
サーモスタットの代わりとして
水槽用クーラーは、水槽用ヒーターのサーモスタットとして使うことができます。
例えば、ゼンスイの『ZCシリーズ』は水槽用ヒーターを接続するためのコンセントが付いていますので、サーモスタット付きのヒーターを買ったり、コンセントを1口用意したりする必要がありません。
また、後ほど詳しく解説しますが、水槽用ヒーターの故障対策にもなるため、ヒーターと合わせて水槽用クーラーを使うメリットは多いです。
水流の強さを維持するため
水槽用クーラーの有無は水流に影響します。
水槽用クーラーはポンプや外部式フィルターに接続して使いますが、これが水流を弱める抵抗になっているからです。
もちろん、ポンプや外部式フィルターを選ぶときには水槽用クーラーの抵抗を加味して、通常よりもパワーのある物を選んでいるはずですので、水槽用クーラーを外してしまうとバランスが崩れて水流が強くなってしまいます。
海水魚など水流調整が大切な生体だったり、強い水流が苦手な種類だったりする場合はもちろんのこと、その他の生き物も水流の変化が負担になることがありますので、安定した飼育環境を維持するためには、通年で水槽用クーラーを使い続けるのがおすすめです。
冬に水槽用クーラーを使うメリット
続いては、冬でも水槽用クーラーを使うメリットを3点ご紹介します。
- 水槽用ヒーターのトラブルを減らせる
- 常に一定の水温・環境を維持できる
- 接続を取り外さなくていい
水温を一定に維持し飼育環境を安定させるのに、水槽用クーラーが果たす役割は大きなものです。
冬場でも稼働させることで得られるメリットがありますので、ぜひご覧になってみてください。
水槽用ヒーターのトラブルを減らせる
水槽用クーラーは、ヒーターが故障してしまったときの安全策として機能します。
水槽用ヒーターの寿命は約1~2年と短い消耗品で、突然故障してしまうことも少なくありません。そして故障してしまったときに、水温の上昇が止まらなくなってしまうことが良くあるのです。
水槽用クーラーを稼働していればヒーターが故障した時に起こる、この急激な水温の上昇を防ぐことができます。
常に一定の水温・環境を維持できる
1年を通して水槽用クーラーを使用していたほうが、飼育環境が安定します。
一番大きいのが水温で、水槽用ヒーターと水槽用クーラーを併用していたほうが水温が安定しやすいです。 水槽用ヒーターは水温を上げることはできますが下げられませんので、室内の暖房器具などによって水温が上昇しやすい場合は、冬でも水槽用クーラーが活躍します。
夏のような高水温にはならないため、ほんの少しの変化ではありますが、それでも熱帯魚や繊細な生体を長期飼育する際には、安定した環境を維持することがとても大切です。
また、先述した通り、水槽用クーラーは水流にも影響しますので、無暗に取り外さないほうが飼育環境も安定します。
接続を取り外さなくていい
水槽用クーラーを通年で使用していれば、取り外したり再接続したりといった手間や負担がかかりません。
というのも水槽用クーラーは保管の仕方や接続がとても重要で、取り外したら必ず、内部までしっかり洗浄しなければなりませんし、再設置する際にはその都度、接続して水漏れや不具合の確認をしなければなりません。
1年に1~2度程度のこととはいえ、この作業をアクアリウムを続ける限り繰り返さなければならないのは、なかなかの負担です。
手間を考えると、水槽用クーラーを通年で使用するメリットは大きいと言えるでしょう。
水槽用クーラー効率よく使うコツ
水槽用クーラーは通年で使い続けたほうが劣化を防げるとお話ししましたが、効率良く使うことも寿命を延ばす重要なポイントです。
ここでは、効率よく水槽用クーラーを使うためのコツを3つご紹介します。
ホース・配管を短くする
水槽用クーラーに接続するホースや配管は、無理のない程度に短くしましょう。
ホースや配管が長いと抵抗になって流量が落ちてしまいますし、水槽用クーラーに余分な負荷がかかります。
反対にホースや配管が短ければ効率良く通水できて、冷却効率も上昇しますので、程よくカットするのがおすすめです。
水槽台内にサーキュレーターを付ける
水槽用クーラーから出る熱をうまく換気できないと、冷却効率が落ちるだけでなく寿命を縮める可能性があります。小型のものでかまいませんので、水槽台にサーキュレーターを設置して換気しましょう。
また、水槽用クーラーの吸気口と排気口にホコリがたまっていると、いくら換気しても効果が半減するため、合わせてブラシや掃除機などで定期的に掃除することをおすすめします。
ポンプの選定をしっかりする
飼育水を効率的に冷却するためには、水槽用クーラーを接続するポンプの選定がとても重要になります。
水の冷却は水槽用クーラーが行いますが、その冷やした水を効率よく水槽に送る役割はポンプが担っているからです。
基本的には、少し余裕のある流量を確保できるポンプを選びましょう。流量は水槽用クーラーだけではなく配管やろ材、殺菌灯などの抵抗によって減少するため、接続する機材を加味して選んでみてください。
オーバーフロー水槽の場合は、パワーのあるマグネットポンプなどを採用すると、効率良く循環させられます。
ポンプの選び方とおすすめの製品は、こちらの記事で解説しています。
まとめ:冬に水槽用クーラーは必要なのか?寒い時期も使い続けるメリットとは
今回は冬に水槽用クーラーを使う理由と寒い時期でも使い続けるメリット、効率良く使うコツをご紹介しました。
水槽用クーラーは飼育水を冷やす機材ですので、冬は必要ないと思われがちですが、
- 使い続けないと内部が劣化する
- サーモスタットの代わりや水槽用ヒーターの故障対策になる
- 水温や水流が安定する
- 取り外して掃除・保管する手間がかからない
といった観点から通年で使用することをおすすめします。また、ホース・配管の長さや水槽台内の換気、ポンプの流量に配慮することで冷却効率が上がるだけでなく、水槽用クーラーの負荷が減り寿命が延びやすいです。
水槽用クーラーは高価なうえに故障すると飼育生体への影響がとても大きい機材ですので、劣化や消耗につながることを少しでも減らしつつ大切に使い続けましょう。
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