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ツリガネムシとは!金魚のエピスティリス症の治療・対策についてを解説

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金魚が感染する寄生虫由来の病気にはいくつか種類がありますが、その中でも病気の進行とともに見た目が痛々しく変化していくのが、ツリガネムシです。

エピスティリス症とも呼ばれるこの病気は、始まりは良くある寄生虫感染と同様に体表に白点が付く程度ですが、放っておくと皮膚がただれたように赤く充血して、穴あきや尾ぐされのような症状を呈し、最悪の場合命を落としてしまう危険もあります。
一方、早期発見と適切な治療薬を用いれば完治させることができる病気ですので、ただの虫と侮らず、初期段階でしっかり治療をしていくことがとても大切です。

今回のコラムでは、金魚が罹患しやすいツリガネムシについて、効果的な治療法と予防対策をご紹介します。

プロアクアリストたちの意見をもとに金魚のエピスティリス症(ツリガネムシ)を解説


このコラムは、東京アクアガーデンスタッフであるプロのアクアリストたちの意見をもとに作成しています。

ツリガネムシは金魚の感染が多い寄生虫の一つで、罹患すると体表の異常や食欲不振などの不調が見られます。
早期発見早期治療で十分に完治が可能な病気ですので、病気の特徴や治療法を頭に入れておきましょう

ここでは、実務経験から得た知識をもとに、金魚のエピスティリス症(ツリガネムシ)を解説します。

金魚のツリガネムシ(エピスティリス症)とは


金魚が感染する可能性があるツリガネムシは、淡水性の繊毛虫に分類される原生生物です
その名の通り釣鐘に似た姿形をしており、金魚や鯉、熱帯魚に寄生してエピスティリス症という病気を引き起こすことで知られています。

自然環境では水流の弱い水辺に生息していることが多く、アクアリウムにおいても池やビオトープ、水流の穏やかな水槽内で発生しやすいです。

枯れた水草などを食べてくれるなどお掃除生体のような働きをする面もありますが、魚に寄生すると死に至らしめてしまう危険性がある上駆除に時間がかかるため、アクアリウムでは基本的に厄介な病原体として扱われます

ツリガネムシ(エピスティリス症)の主な症状


ツリガネムシに寄生されることで発症するエピスティリス症は、無加温飼育では水温が上がり始める梅雨ごろ(5月下旬〜7月頃)に発症しやすいとされています。
ただ、ツリガネムシ自体は水温12℃〜30℃程度の環境で活性化するため、保温をしている水槽では一年を通して罹患する危険があるでしょう。

ここでは、 エピスティリス症の主な症状を病期に分けて解説します。

初期:体表やヒレに大きな白点がつく

エピスティリス症の初期症状で多いのが、体表に大きな白点が現れることです。

最初期は体表やヒレの粘膜がわずかに盛り上がり、水カビ病のような白い綿のようなものが付着して見えますが、やがて白点病よりも大きな米粒状の白点が出現します。

中期:白点の数が増えて患部が充血する

中期になると、白点の付いていた患部が荒れて充血し、赤く出血したような斑点が浮かぶようになります。

また、進行とともに白点の数が増えて全身に病気が広がっていくのもこの時期の特徴です。

後期:穴あきの症状が出る

金魚の体表がツリガネムシに食べられてしまうと筋肉が露出し、やがて潰瘍化していきます
この段階になるとヒレにも症状が出てボロボロになるため、進行した尾ぐされ病や穴あき病と見間違えてしまうことも少なくありません

しかし、尾ぐされ病や穴あき病はカラムナリス菌という細菌感染症で、エピスティリス症とは発症のメカニズムが異なるため、誤診したまま治療をしても思ったような成果が出ない可能性が高いです。

これらの病気と見分けるには、初期症状の白点を見逃がさないことが重要で、白点の有無から、

  • 白点が出ていた:エピスティリス症
  • 充血から始まった:カラムナリス菌などの細菌感染

のように判断できます。

エピスティリス症の治療法


ツリガネムシに寄生されてエピスティリス症を発症した場合は、薬浴で治療をします。

ここでは、どのような薬品がツリガネムシに効果的なのか、症状に合わせて解説しますので確認していきましょう。

アグテンなどのマラカイトグリーン溶液が有効

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ツリガネムシに最も有効なのが『アグテン』や『ヒコサンZ』などのマラカイトグリーンを含む魚病薬です。
マラカイトグリーンは、還元作用という物から酸素を奪う特性を持った緑色の合成色素で、この作用を利用してツリガネムシを窒息・駆除することができます。

エピスティリス症に対する薬浴は、3~5日程度の薬浴を計3回、約1ヶ月ほどの期間をかけてじっくり行うのがおすすめです。

用法通りにマラカイトグリーン溶液を添加した薬液に病魚を隔離して、3~5日薬浴をします。
日数が経過したら隔離したまま普通の飼育水に戻し、1週間程度症状を確認してください。必要に応じて同様の治療を繰り返します

ただし、マラカイトグリーン溶液はとても薬効の強い薬のため、衰弱が進んでいる個体や体力に乏しい小さな魚を薬浴するときは、病魚に負担を掛けづらいメチレンブルー水溶液が安全です。

また、同じ水槽からエピスティリス症と思われる病魚が複数出ている場合は、水槽を丸ごと薬浴するか、生体を別容器に隔離して薬浴をしつつ本水槽はリセットすることを検討してください。

中期以降は抗菌薬も併用しよう

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エピスティリス症が進行して、体表に赤斑や穴あき症状が出ている場合は『グリーンFゴールド顆粒』や『観パラD』といった抗菌薬による薬浴をしましょう。

抗菌薬には細菌の増殖を抑える効果があるため、エピスティリス症で体力が落ちた金魚が別の細菌に感染するのを予防します

ただし、抗菌薬に含まれるオキソリン酸は細菌を攻撃すると同時に魚にも負担を掛ける可能性があるため、病魚の体力や状態をよく確認した上で、推奨されている濃度を守って使用するようにしてください。

また、ツリガネムシの治療と並行するからといって薬を混ぜて使うのも厳禁です。
一つの薬をワンクールずつ分けて行うことのが基本ですが、もしツリガネムシと細菌を同時に治療したいのならば、複数の病気に効果が期待できる『アグテンパウダー』がおすすめ。
ツリガネムシを駆除するマラカイトグリーンとスルファジメトキシンナトリウムという抗菌成分が両方含まれているため、金魚へのダメージを最小限に抑えつつ治療を進められます

ツリガネムシの感染・蔓延を予防する対策


ツリガネムシは一度水槽内で増殖してしまうと完全に駆除することが難しく厄介なため、侵入させないことが重要です。
その上でツリガネムシが増殖しない、金魚が病気にかからない環境を整えましょう。

ここでは、エピスティリス症の予防策をご紹介します。

新魚のトリートメント期間を設ける

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ツリガネムシは水中に自然発生する生き物ではありません
突然現れたように見えますが、そのほとんどは生き物や水草と一緒に水槽に混入して蔓延することがほとんどです。

そのため、新たに魚や水草を導入する前にトリートメント期間を設けることで、エピスティリス症の発生をかなりの確率で予防できます

新魚の場合は水槽に入れる前に必ず1週間ほど別容器に隔離して、体調に異変が無いか、泳ぎ方や体表のぬめり、鱗やヒレの状態などを観察しましょう。『グリーンFゴールド顆粒』を使ってトリートメントを行うと、さらに安全性が増します。

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水草の場合は目視で虫や卵、異物が付いていないか確認し、水道水で良く洗浄します。その後『水草その前に…』などの薬剤を使って消毒をしてください。

最近は無菌状態で栽培された水草や、しっかりトリートメントがされたものが流通しているので、以前よりも異物の混入は起こりづらくなっています。一
方で、野生から採取してきた植物、生き物には様々な原生生物が付着している可能性がありますので、水槽に入れる場合は念入りにトリートメントを行いましょう。

ツリガネムシなどの侵入を徹底的に防ぎたい場合には、野外で採集したものは導入しないよにするのが無難です。

水槽メンテナンスを徹底する

水作 プロホースエクストラ S

水槽のメンテナンスを徹底することも、エピスティリス症の予防に効果的です。

エピスティリス症は、金魚の免疫力が低下している状態で感染すると重症化するリスクが跳ね上がります。
また、ツリガネムシは水槽内の有機的な汚れを餌としているため、水質が悪い環境では爆発的に増殖して病気が発生しやすいです。

このような金魚の免疫低下や水質の悪化は、どちらもメンテナンスが足りていない水槽で起こるため、こまめな水換え掃除を心がけることが非常に重要です。

1~2週間に一度の水換えコケ掃除はもちろん、クリーナーポンプを使った底砂の掃除ろ過フィルターのメンテナンスを怠らないことで清潔な環境を維持できます。

水槽内がクリーンな状態に保たれていれば、万が一エピスティリス症が発症したとしても治療が進めやすいです。

まとめ:ツリガネムシとは!金魚のエピスティリス症の治療・対策についてを解説


ツリガネムシに寄生されることで発症するエピスティリス症の治療や予防法を解説しました。

ツリガネムシは金魚や熱帯魚の体表に寄生して、異常を引き起こす厄介な原生生物です。
エピスティリス症を発症すると、大き目の白点や赤斑病のような充血がみられるようになり、最終的には筋肉が露出して命を落とす危険もあります

一方、早期に治療を開始できれば感知する可能性は十分にありますので、白点などの異常を見逃がさないようにしましょう。
治療には『アグテン』を使った薬浴が有効です。

エピスティリス症の予防対策としては、新魚を導入する前にトリートメント期間を設け、日頃から水槽メンテナンスを徹底することが効果的です。

金魚の状態を日頃からよく観察することで、ツリガネムシのリスクを最小限にできます。適切な飼育でエピスティリス症を防ぎましょう。

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執筆者 アクアガーデン

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