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実は、金魚に寄生し得る寄生虫は結構な種類が存在しています。寄生虫に寄生されることで発症する種々の「寄生虫症」を治療するためには、その寄生虫がどのような種類なのかを特定することが重要です。なぜなら、寄生虫の種類によって効果的な治療・駆除方法が異なるからです。
寄生虫症治療のポイントとしては、その寄生虫がどのような生態を持つか、脱皮をするか否かの2点が挙げられます。ここでは、金魚に寄生し得る寄生虫の種類を紹介するとともに、それらが原因で発症する寄生虫症の対処法について解説していきます。
目次
観賞魚・熱帯魚の寄生虫についてを動画で解説!
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金魚などの観賞魚や熱帯魚につく寄生虫を音声付きで解説します。
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寄生虫駆除のポイントについて
まず、なぜ寄生虫の生態を知ることが重要かというと、魚病薬は一般的に卵に対しては効果がなく、幼生時のみ、あるいは成虫時のみに薬効を発揮する物だからです。
そのため、寄生虫の繁殖サイクルに応じて投薬をし続けなければ、生き延びた寄生虫が繁殖してしまい、駆除ができないので注意してください。
次に、脱皮するか否かが重要な理由は、脱皮するタイプの寄生虫に対しては効果的な薬剤があるからです。それは「デミリン」と呼ばれる薬剤で、これは昆虫類の脱皮を阻害する効果があるので、害虫駆除を目的とした農薬として一般的には用いられています。
しかし、魚には比較的毒性が低いことから、金魚にも使用が可能です。さらに、デミリンは卵・幼生・成虫と全ての時期において効果が確認されている点もメリットです。
では、次からは代表的な寄生虫を挙げて、それぞれの特徴と症状に加えて具体的な対処法をご紹介していきます。
こちらもご参考にしてください。
金魚の代表的な寄生虫と対処法
イカリムシ(イカリムシ症)
寄生虫の特徴と症状
イカリムシは甲殻類に分類される寄生虫で、成虫の体長は5~9mm前後です。大きさから分かる通り、病魚の体表をよく見ると透明や白色、または灰色や黒色のひも状の物体として、イカリムシが確認できます。イカリムシに寄生されると体液を吸い取られ続け、やがて衰弱して死に至ります。
対処法
肉眼で見える大きさの成虫は、毛抜きなどで引っこ抜いてしまうことが効果的です。ただし、刺さっている頭部を残すと再生してしまうので注意してください。
また、金魚に大きなダメージを与えてしまうので、しっかりと刺さっている場合は無理に引き抜こうとはせず、薬浴による治療を行います。水中に幼生が漂っていることを考慮して、薬浴はいずれにせよ行う必要があります。
効果的な魚病薬としては、「ムシクリア液」と「レスバーミン」が挙げられます。イカリムシは脱皮して成長するので、卵などにも効果を発揮する薬が特に有効です。
これらの脱皮阻害薬は、脱皮を行う虫や甲殻類にのみ効果があり、魚には影響がありません。
しかし、エビにも影響が及ぶため、使用時には注意しましょう。
ムシクリア液は液状で計量しやすいためおすすめです。
レスバーミンは計量しやすいのですが、希釈がやや手間な点には気を付けましょう。
ツリガネムシ(エピスティリス症)
寄生虫の特徴と症状
ツリガネムシは繊毛虫類に分類される寄生虫で、名前の通り釣鐘のような形状をしています。初期症状は白点病に似ており、金魚の体に白点が現れますが、白点病のものよりは大きいです。
その白点はツリガネムシの集合体で、放っておくと体表組織が侵されて体内に侵入され、筋肉も破壊されてしまいます。病気が進むと、「尾ぐされ病」や「穴あき病」と見分けがつきにくくなるので注意してください。
対処法
治療は薬浴により行います。有効な魚病薬は『ヒコサンZ』や『アグテン』などの「マラカイトグリーン」が挙げられ、ツリガネムシによる傷に2次感染することを防ぐために、「グリーンFゴールド」を併用することも効果的です。投薬の間隔は10日おきに3回ほどで、塩浴と並行することも早期治療に有効です。
ウオジラミ(ウオジラミ症)
寄生虫の特徴と症状
ウオジラミは甲殻類の1種で、3~5mm程度の平たい楕円形をしている寄生虫です。同寄生虫は金魚の体表に付着して体液を吸って増殖するので、多数のウオジラミに寄生されると衰弱したりストレスにより死亡する危険があります。
対処法
イカリムシと同じく、ムシクリア液で駆除できます。
ウオジラミも成虫は肉眼で確認できるので、イカリムシと同様に毛抜きやピンセットで除去することが効果的です。また、卵や微細な幼虫が飼育水中に存在することを考慮して薬浴も行います。
ウオジラミもイカリムシと同様、脱皮をする生態を持つので、有効な魚病薬としては「レスバーミン」も挙げられます。
ウオノカイセンチュウ(白点病)
寄生虫の特徴と症状
ウオノカイセンチュウは繊毛虫の1種で、水中に常在しているので完全に駆除することは不可能です。とは言え恐ろしい寄生虫ではなく、金魚にとっては風邪のウイルスのような存在で、免疫力が正常であれば病気に至ることはありません。
初期症状としては、0.5~1mmほどの白点が魚体に散在しているのが確認できる程度ですが、病気が進行すると白点が全身に広がり、エラにまで及ぶと呼吸困難に陥り死亡する恐れがあります。
対処法
ウオノカイセンチュウは高水温下では繁殖できなくなるので、水温を30℃程度にまで上昇させます。そのうえで、「アグテン」や「メチレンブルー系」の薬剤を用いて薬浴させます。
メチレンブルーを主成分とする代表的な魚病薬としては、「グリーンF」や「グリーンFゴールド」などが挙げられます。メチレンブルー系の薬剤は薬効が切れてくると色が薄くなるので、白点が消失するまで投薬を続けてください。
ダクチロギルス・ギロダクチルス(ダクチロギルス症・ギロダクチルス症)
寄生虫の特徴と症状
これらは扁形動物の単生類で体は長楕円形をしています。前端には口が、後端には鉤が付いた円盤状の器官(固着器)があり、その鉤を金魚の体表に打ち込んで体を固定、寄生します。
ダクチロギルスは主にエラに、ギロダクチルスはエラの他にヒレや体表にも寄生し、寄生された場所は赤く充血します。粘液の分泌が多くなるのも特徴で、エラに寄生された場合は呼吸困難になってしまうため、早期の治療が重要です。
対処法
吸虫症を治療するためには、魚病薬を反復散布することが必要です。有効な魚病薬は、「トリクロホルン系の魚病薬」です。しかし、現在トリクロホルン系の魚病薬(マゾテン、トロピカルN など)は流通していません。
「レスバーミン」が若干の効果があるといった意見もありますが、決定的な治療薬とは言えません。レスバーミンは脱皮をする寄生虫に効果があるため、ダクチロギルスなどに有効かは疑問だからです。
しかし、ダクチロギルス・ギロダクチルスも、寄生虫なので高濃度での塩水浴(0.8%~0.9%の塩水)の効果が見込めます。
※ただし、金魚の状態は随時確認しながら行ってください。
高濃度塩水浴は、弱り切った金魚ではかえってダメージを深刻にしてしまう危険があるため、解決策とは言い切れませんが、トリクロホルンが手に入らない現状では効果が高い駆除方法と言えるでしょう。
エラへの寄生が見られた場合は、酸欠にならないようにエアレーション行いましょう。
トリコディナ(トリコディナ病)
寄生虫の特徴と症状
トリコディナは原生生物の繊毛虫に分類される寄生虫で、「サイクロキータ」とも呼ばれています。同寄生虫は円盤状の体を持ち、体の周囲にはたくさんの繊毛が付いており、肉眼では見えないほど小さいです。
初期症状としてはヒレの付け根などが充血する程度ですが、病気が進むと充血が全身に及び、粘液の異常分泌などが見られます。エラに寄生された場合は呼吸困難になる恐れがあるので、やはり早期の発見・治療が重要です。
対処法
同寄生虫も水中に常在しており、金魚の免疫力が正常であれば病気にはなりません。白点病と同様に風邪のような病気なので、水温を30℃ほどにまで上昇させて金魚の代謝を良くすることで早期治療につながります。
有効な魚病薬としては「グリーンF」や「ニューグリーンF」などが挙げられ、初期段階であれば塩浴も有効です。投薬の目安としては1週間おきに3回程度です。
ミクソボルス(ミクソボルス症)
寄生虫の特徴と症状
ミクソボルスは粘液胞子虫とよぼれる原生生物の1種で、現在までに千種類以上が報告されています。体表やエラ、体内に浸入するものなど様々なタイプが存在しており、中でもエラに寄生するタイプは致死率が高いことで知られています。
症状としては、寄生箇所の体組織が変質させられ、患部に白点が現れます。その白点は5mm前後にまで大きくなることもあり、この状態になってしまうと内臓やエラ蓋などが圧迫されて機能不全を起こし、死に至ることも多いです。
対処法
残念ながら現在のところ、効果的な魚病薬ならびに治療法がありません。紫外線や抗生物質に弱いという報告もありますが、金魚の体内にそれらの効力を届けることは困難です。
しかし、寄生虫の生態の関係で、ある時期が来ると金魚から離れ、自然治癒することもあるので金魚が衰弱死しないように環境を整えることが重要です。特に、エラに異常が見られた場合は、酸欠にならないようエアレーションを強化してあげましょう。
また、発症してしまった場合は感染の拡大を防ぐために、水槽のリセットや設備の買い替えを行うことをおすすめします。
寄生虫症治療の注意点と予防について
リフィッシュなど魚病薬の中には水温28℃以上で毒性が強くなるものがあるので、パッケージや説明書をよく読んで水温に注意して薬浴させてください。特に、初夏から初秋にかけては、ヒーターを使わずとも水温が高くなるので気を付けてください。
また、いずれの寄生虫も水質が悪化していると増殖してしまうので、常日頃から水換えなどのメンテナンスはしっかりと行いましょう。
そして、季節の変わり目は水温が変化しやすいため、金魚も体調を崩しやすい季節と言えます。冬から春などは寄生虫も活発になる時期なので、日頃からよく観察して異常にいち早く気付けるようにすることが重要です。
それから、寄生虫は外部から持ち込まれることが多いので、新しい金魚を迎える時は必ずトリートメント期間を設けるようにしましょう。
まとめ・金魚の寄生虫の種類と対処法について
寄生虫を駆除するためには、その寄生虫がどのような種類なのか特定することが重要です。治療のポイントとしては、その寄生虫がどのような生態を持っているか、脱皮をするか否かの2点が挙げられ、脱皮をするタイプの寄生虫にはデミリンが特に効果的です。
季節の変わり目は水温の変化が大きく、金魚も体調を崩しやすい時期なので、水質の管理にはいつも以上に注意してください。また、寄生虫は外部から持ち込むことが多いので新しい個体を迎える時は、トリートメントをしてから水槽などに入れるようにしましょう。
金魚の不調に関してはこちらもご参考にしてください。
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このコラムへのコメントやお悩み相談に届いた質問の回答
出目金が1匹逆さまでフラフラしながら辛うじて泳いでいます。原因は何でしょう、治療法は?教えて下さい。
実際に拝見しておりませんので正確な回答ではないことをご了承ください。
おそらく転覆病と考えられます。
転覆病についてはこちらの記事をご覧ください。
・金魚が浮く・沈む?!転覆病と便秘・消化不良の関係と対処法とは!
https://t-aquagarden.com/column/capsizing
金魚水槽の上部濾過マットに黒く2mmぐらいの細い虫が
マットについて動いています。先日、タニシを水槽に入れました。
寄生虫だったらどんな薬を使えば良いか教えてください。
実際に拝見しておりませんので、正確な回答ではないことをご了承ください。
チョウバエの幼虫ではないかと考えております。
マットを交換し、掃除を徹底すると発生を抑えられます。
こちらの記事もご参照ください。
・上部フィルターの虫対策!コバエの駆除と最適なメンテナンスの頻度とは
https://tropica.jp/2018/12/04/post-24213/
※外部サイトが開きます。
薬が掲載されていますが、掃除のみでも撃退は可能です。
何卒よろしくお願いいたします。
尾のつけ根に1つ白い点が出てきました。白点病より大きいようにおもいます。塩浴を今してるんですが、1週間ぐらい様子見たほうがいいですか?
薬浴もしたほうがいいですか?
実際に拝見しておりませんので、正確な回答ではないことをご了承ください。
様子を見て大きくなるようでしたら薬浴、急激な変化がない場合はそのまま飼育するのが良いと考えています。
できものとしては、ポックス病・ツリガネムシ・細菌感染症などが考えられます。
しかし、ポックス病は急激に進行するわけではないため様子を見るのがおすすめです。
こちらは熱帯魚の記事ですがご参照ください。
・熱帯魚の病気を症状別に解説!魚の泳ぎ方・体表の変化と治療・対処法
https://t-aquagarden.com/column/tropical_fish_treatment
よろしくお願いいたします。
金魚が水泡のようなコブが出来ています。塩水で治った時もあるのですが今では大きくなって来ています。薬で治療できますかか?
実際に拝見していませんので、正確な回答ではないことをご了承ください。
一度小さくなったことから、腫瘍ではなくエロモナスの感染かと考えています。
エルバージュエース、パフラジンF、観パラDのいずれかで薬浴を行うのが良いですが、同時にこまめな換水を行うと症状を抑えやすいです。
薬浴中の水換えは、同じ濃度になるように薬を添加して行います。
こちらのコラムもご参照ください。
https://t-aquagarden.com/column/tropical_fish_treatment
よろしくお願いいたします。
10年以上池で飼っている、体長が20センチ位の和金です。
体に5ミリ位の白いカサブタと頭に小さいコブのようなものが、たくさんできています。
尾ひれには小豆ほどの脹れもあり、その状態で3年以上生きています。
大変元気ですが、仲間の金魚に感染します。
感染した金魚を水槽に移してグリンFゴールドやヒコサンZ、ブルーメチレンなど薬浴させましだが効果がありません。
病名もわからず、治療方法や薬もわかりません。
お知恵を拝借したいので、よろしくお願がいします。
実際に拝見していないため、正確な回答ではないことをご了承ください。
おそらく寄生虫ではないかと考えています。
クリノストマムという寄生虫の症状に近いです。
薬浴は効果が無く、薬に反応した幼虫が体外に飛び出す危険性があるため、控えるのが良いです。
治療法は残念ながらまだありません。新しい金魚を導入する場合は、別の飼育環境で飼育すると感染を予防できます。
このような回答になり、申し訳ございません。
他の病気の可能性がある場合は、こちらのコラムをご参照ください。
・【金魚の病気まとめ】金魚の飼育で気をつけたい病気とその対策とは
https://t-aquagarden.com/column/goldfish_sick
何卒、よろしくお願いいたします。
いつも参考にさせていただいております。
先日飼っているメダカのエラがいつもより開いており、フィルターの吐水口付近によく浮いていた為、エラ病を疑い隔離水槽で5%の塩水浴を開始しました。3日経ち元気にはなったのですが、症状が改善しなかった為、グリーンゴールドF顆粒での薬浴も併用しました。薬浴から5日経っても改善していないのですが、今よく見ると、体表に赤い点がある気がします。もし寄生虫性のエラ病の場合、こちらに記載されている高濃度の塩水浴はメダカにやっても大丈夫なのでしょうか?
また、その場合元いた水槽は大幅な換水を行った方がいいのでしょうか?
実際に拝見していないため、正確な回答ではないことをご了承ください。
高濃度塩水浴は、金魚や錦鯉など体力がある生体向けの治療方法です。メダカにもできますが、弱っており体力があまりない場合は行わないのが良いです。
赤い班点がある場合は、赤斑病の可能性が高いので、水を一旦すべて入れかえて、再度塩と薬を添加しましょう。
3日たっても改善しない場合は、薬を切り替えるのが良いです。
・エルバージュエースとは!細菌症状に効果がある強力な魚病薬を解説
https://t-aquagarden.com/column/elverge_ace
よろしくお願いします。