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アクアリウムを管理していると、魚の体調不良に直面することがあります。
なかでも寄生虫や菌に感染して起こる病気は、対応を誤ると深刻な状態になりかねませんので、適切に対処していきたいところ。そんな熱帯魚の病気の治療には、魚病薬が効果的です。
しかし、魚を飼い慣れていない初心者の方にとって魚病薬はハードルが高く、液体・粉末タイプの違いや薬浴中のエアレーション・治療中の餌の有無など、取り扱いに困ってしまうポイントが多いのも事実です。
そこで今回は、使用法と薬浴中の対応をふまえて、魚病薬の使い方を解説します。
魚病薬は用法・容量を守り正しい治療を行うことで効果を発揮しますので、ぜひご一読ください。
目次
プロアクアリストたちの意見をもとに魚病薬の使い方と治療中に守りたいポイントを解説
このコラムは、東京アクアガーデンスタッフであるプロのアクアリストたちの意見をもとに作成しています。
水槽を管理していると避けて通れないのが魚の病気です。
寄生虫や菌による病気は、魚病薬で治療を行いますが、症状によって選ぶべき薬が異なりますし、薬の使い方や薬浴中のエアレーション、餌やりの有無など、正しい知識の元で治療を行うことで効果が表れます。
ここでは、実務経験から得た知識をもとに、魚病薬の使い方と治療中に守りたいポイントを解説します。
正しい用法・用量を守り、魚の治癒を目指しましょう。
魚病薬とは
魚病薬は、その名の通り魚の病気を治療するための薬です。各社から複数種類販売されていますので、人間と同じく症状によって薬を使い分けましょう。
基本的には薬のパッケージに書かれた用法・用量に従って治療を行います。
魚病薬のメリット・デメリット
魚病薬は病原菌を殺菌したり、寄生虫を殺虫したりして、病気を快方に向かわせる効果が期待できます。
その反面、薬を使った治療は魚にも負担をかけますし、病気の進行状況によっては完治しないこともあります。魚の体力が無い状態で薬を使うと、薬の副作用に耐えられない可能性も否定できません。
魚病薬を使う時には、この2面性を念頭に置いて、常に魚の様子に配慮しながら治療を行うことが大切です。
魚病薬を使える生体について
魚病薬は”魚のための薬”ですが、全ての水生生物に使用できるわけではありません。
まず、アロワナなどの古代魚やナマズのようなエラが大きい魚種は薬成分を吸収しすぎてしまうことがあるため、魚病薬の使用は推奨されていません。
エビ類や薬剤に敏感な魚にも逆効果になってしまうことがあります。
これらの魚が病気にかかった時には、症状に応じて濃度薄めた薬を使って慎重に治療するケースもありますが、これはメーカーが推奨する使い方ではないため、効果のほどは自己責任です。
まずは病気の予防を意識しよう
いざ病気になったときに頼りになる魚病薬ですが、薬自体が生体に負担を掛けることがあったり、使えない生体がいたりと万能なわけではありません。
そのため、「病気になったら薬を使えば良い」と考えるのではなく、あくまで魚病薬は保険として、日ごろから病気にならない水槽作りを意識して予防に励むことが大切です。
また魚に体調不良の兆候が見えたときにも、安易に薬に頼るのではなく、その症状と原因を見極めましょう。魚の不調は消化不良やストレスなどが原因となっていることも多く、これらは薬を使わなくても、一時的な絶食や塩水浴で回復する可能性があります。
とはいえ、どんなに予防をしていても病気になってしまうことはありますので、病気だと判断した時には速やかに薬による治療を開始しましょう。早期に治療を開始できれば、それだけ回復できる可能性が高くなります。
タイプ別!魚病薬の基本的な使い方
ここからは魚病薬を3つのタイプに分けて、基本的な使い方をご紹介します。
- 液体タイプ
- 粉末タイプ
- 複数の症状に効果があるタイプ
使い方や使用上の注意点が少し異なりますので、それぞれの特徴を把握しておくことで実際に薬浴する際に失敗するリスクが少なくなります。
液体タイプ
ボトルに入った液体タイプの魚病薬は、水に添加して使います。
具体的には以下のような魚病薬が有名です。
- メチレンブルー水溶液
- 観パラD
- アグテン
- ヒコサンZ
- グリーンFクリア
- グリーンFリキッド
- グリーンFゴールドリキッド
溶け残る心配がありませんので、比較的扱いやすいタイプです。
新しい水に溶かして使おう
液体タイプの魚病薬は、直接水槽に添加せず、病魚をバケツなどに移して使いましょう。
殺菌作用のある魚病薬は病原菌だけでなく、水槽に棲みつく有益なバクテリアなどにも影響を及ぼすため、直接水槽に添加すると水槽内のろ過バランスが崩れてしまう可能性があります。
水草が枯れてしまう原因になることも少なくありません。また、魚病薬の種類によっては、水槽内のものが薬の色に染まってしまうことがあります。
もし水槽全体に添加する必要がある場合は、『グリーンFクリア』など無色で水草にも使用できる種類を選ぶようにしましょう。
別の容器に隔離して治療を行う場合は、カルキを抜いて水温を合わせた水を張った容器を用意します。病気の魚を隔離容器に移動させるときには、水合わせするようにしましょう。
薬の効果を考えるとバクテリアによる生物ろ過は期待できないことから、基本的に隔離中の容器にはろ過フィルターは使いません。そのため、できるだけ生体に負担を掛けない清潔な水を用意することが重要です。
必ず添加量を守ろう!
すべての魚病薬に共通することですが、添加量を必ず守るようにしましょう。
濃度が低いと効果が薄れますし、高すぎれば魚にとって毒になります。添加量と使用方法は、パッケージや説明書に書いてありますので必ず従ってください。
どうしても薬効や使用方法で不明な点がある場合は、メーカーのホームページを確認したり、直接連絡したりする方法が確実です。
粉末タイプ
粉末タイプは粉や顆粒状の魚病薬で、次のような種類が有名です。
- グリーンFゴールド顆粒
- エルバージュエース
- レスバーミン など
粉末を溶かす必要があるため、液体タイプよりも少し手間がかかります。
十分に溶かした水で薬浴させる
粉末タイプは液体タイプよりも溶けにくいため、十分に溶かしてから使うことが大切です。
溶け残りがあると、濃度にムラができて正しい効果が発揮されないことがあります。
特に水温が低い冬は溶け残りが出やすいので、水を温めるなどして本来の飼育水に近い温度にしてから溶かすようにしましょう。
分量の調整が難しい場合は希釈しよう
粉末の魚病薬は分量の調整が難しいため、規定の濃度にするには多量の水が必要な場合があります。
隔離容器として使うことが多いバケツや小型水槽は、多くとも10~20Lですので、濃度を調節するためとはいえ、それ以上の容器に魚病薬を溶かして必要な水量だけ使うのは面倒です。
魚病薬の分量が難しい場合は、計算しやすい水量に溶かして希釈する方法がおすすめです。
粉末の魚病薬を希釈する方法は、こちらの記事で詳しく解説しています。
複数の症状に効果があるタイプ
魚病薬のなかには、複数の症状に効果的なタイプがあります。
たとえば、『ヒコサンZ』は『マラカイトグリーン』を配合した魚病薬です。
- 白点病
- 尾ぐされ病
- 水カビ病
など細菌感染症に効果があるため、1本あると様々な病気に対応できます。分量も粉末タイプの中では扱いやすいですし、水草のある水槽に使うこともできます。
ただ、マラカイトグリーンの効果で水槽はやや青緑色に染まる点には注意しましょう。
薬に迷った際に使おう
複数の症状に効果がある魚病薬は、病気の判断が難しい場合に扱いやすいです。
病気の現れ方は魚種や個体によって様々ですし、初期症状では判断が難しいことも少なくありません。とはいえ、病名がはっきり特定できるまで様子を見ていては手遅れになることもありますので、迷った際に使える魚病薬として重宝します。
症状が治らない場合は薬を切り替える
複数の症状に効果的な魚病薬を使っても症状が改善しないときは、薬の種類を切り替えることを検討しましょう。
症状が進んでいると『観パラD』や『グリーンFゴールド顆粒』など、より強い薬が必要です。
魚病薬を切り替える際は、一度淡水に戻してから新しい薬を使うようにしてください。そのままでは薬の成分が混ざり濃度も正しくないため、本来の効果が期待できない可能性があります。
薬浴中の対応
ここからは、どの薬にも共通する薬浴中の対応と悩みやすいポイントをご紹介します。
- エアレーションの必要性
- 餌の有無
- 水換えの頻度
など、薬浴中の魚に配慮した世話の方法について解説しますので、ぜひ、ご覧ください。
エアレーションは必要!
薬浴中は、エアレーションで酸素を供給することが大切です。
隔離容器では水量を確保できないうえに、ろ過フィルターも使わないため酸欠になりやすいです。
また、バクテリアによる水質浄化能力は、
- 薬浴用の新しい水にはバクテリアが定着していない
- 魚病薬によってバクテリアがダメージを受ける
といった理由で期待できないため、エアレーションすることで急激な水質悪化を防ぎます。酸欠と水質悪化は病気で弱っている魚には大きな負担になりますので、エアレーションで対策しましょう。
また、病気が発生した本水槽については、病気に応じてろ過フィルターの掃除や水換えなどのメンテナンスを行ってから、通常通り稼働させてください。
治療中は絶食しよう
薬浴では餌を与えない絶食が基本です。
そもそも病気で弱った魚は餌を食べないことが少なくありませんし、水量が少ない隔離容器ではフンや餌の食べ残しによってすぐに水が汚れてしまうからです。
ただし、薬浴期間が長かったり、体力低下が心配だったりする場合は、食べることを確認したうえで1日1~2粒程度であれば与えても問題ありません。食べ残した餌は、網を使って除去しましょう。
水換えは症状を確認しながら行う
水換えは、魚の症状を確認しながら無理のない範囲で行います。
新しい水が入ることで水温が少しでも変われば魚には負担になりますので、魚が餌を食べず弱っている場合は控える方が無難です。餌を与えるのであれば、水換えできれいな水質を維持しましょう。
水換え用の水はカルキ抜きと水温調整を済ませた水を使います。ただ、そののまま水だけ入れてしまうと薬剤の濃度が薄まってしまいますので、適切な濃度になるよう計算した薬を合わせて追加してください。
遮光するのがおすすめ
『メチレンブルー』や『マラカイトグリーン』などの着色された薬は光で分解されますので、遮光した方が薬効が持続します。
また、魚の体力を消耗せずに安静にするのにも良いため、カーテンなどは閉めて照明にも気を付けて、静かな環境を整えてあげましょう。
着色性の薬は水槽が染まる!
着色系の薬を使う注意点として、魚病薬によっては水槽やアクセサリー、熱帯魚に薬の色が移ってしまうことがあります。
『メチレンブルー』は青色に染まりやすいですし、『マラカイトグリーン』も青緑色に着色します。色移りすることで害があるわけではありませんが、思った以上に色づいて見映えに影響が出ることがありますので、薬浴は隔離容器で行う方が安全です。
まとめ:魚の薬・魚病薬の使い方!守りたい使用法・ポイントと薬浴中の対応
今回は、使用法と薬浴中の対応をふまえて、魚病薬の使い方を解説しました。
魚病薬は魚の病気を治療するために欠かせませんが、使い方や濃度を間違えると毒にもなりますので、取り扱いには細心の注意を払う必要があります。
病気が特定できる場合は、液体・粉末タイプから最適なものを選択できますが、判断が難しいときは複数の症状に効果がある魚病薬から始めて、必要に応じて薬を切り替える方法がおすすめです。
また、薬浴中は水が汚れやすいため、基本的にエアレーションと断食で管理しつつ、魚の状態に合わせて水換えと給餌を行うことが大切です。
病気は予防することが一番重要ですが、魚の体調や水質に気を遣っていても発症してしまうことがあります。いざというときに慌てないためにも、魚病薬の使い方と薬浴中の対応を把握しておきましょう。
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このコラムへのコメントやお悩み相談に届いた質問の回答
はじめまして。
縁日で和金を2匹連れ帰り、一週間経って顔やひれなどに白い点が着いていました。1匹はもう1匹の体をついばんだり寄り添ったりしていましたが、そのあと死んでしまいました。近くのアクアリウム売り場で白点病の薬でグリーンFリキッドと金魚塩を水槽に入れてみては、とアドバイスされ、入れましたが、ろ過装置やセルロイド入りの底砂利はそのままでした。
ずっと水面近くでとどまっている状態で口はパクパクしていますが、別容器で薬浴した方がよかったでしょうか。
また、その場合は水槽の水は使わず新しくメンテナンスした水を別容器に入れて薬を入れた方がいいのでしょうか。
いまの金魚の状態は、いつまでもってくれるか、という状態です。
グリーンFリキッドで薬浴を行う場合は、バケツなど別の容器で行います。
着色性の薬なので水槽が染まりますし、また、光で薬効成分が分解されてしまうためです。
ろ過フィルターに活性炭、底砂にゼオライトなど吸着成分がある場合はそちらに薬が吸着されてしまうため、すべて外しましょう。
薬浴は水槽の水は使わず、新しくカルキ抜きした水で行います。
そのため、毎日2/3程度の水を交換しつつ、その都度同じ濃度になるように薬を添加して治療します。
グリーンFリキッド(メチレンブルー)の薬浴についてはこちらのコラムもご参照ください。
・メチレンブルーとは!白点病に効果がある魚病薬の使い方や注意点を解説
https://t-aquagarden.com/column/what_methyleneblue
よろしくお願いします。