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どんなに大切に育てている魚でも、病気にかかって体調を崩してしまうことがあります。
皆さんは魚が病気にかかってしまったとき、隔離水槽で薬浴させたり、薬を餌に混ぜて与えたりという方法が一般的です。
しかし実は、餌を一時的に断つことで病気に抵抗する体力を温存させたり、水温を上げて寄生虫を弱らせるなど、薬を使わずに魚を治療する方法もいくつか存在するのです。
「できるだけ薬を使わずに病気を治したい」
「薬の作用によって水槽内のバクテリアが減るのを防ぎたい」
今回はこのようなお悩みを抱えている方に向けて、魚の病気を薬以外で治療する方法をご紹介していきます。
目次
プロアクアリストたちの意見をもとに薬浴以外にできることを解説
このコラムは、東京アクアガーデンスタッフであるプロのアクアリストたちの意見をもとに作成しています。
病気になってしまった魚の治療方法は、薬を使わないと無理なんじゃないか?と思われがちですが、ごく初期であったり軽度の症状であれば薬を使わなくても改善できることがあります。
ここでは、魚病薬を使用する考え方や、薬なしの治療方法をご紹介します。
薬浴の前にできること
「魚が病気になったら薬で治療する」という考えが一般的ではありますが、薬はメリットばかりではなくデメリットも存在します。
たとえば薬を投与し続けると魚の体力を奪うことにつながりますし、耐性菌という薬が効かない菌を作ってしまう可能性もあるのです。
最終的に病気を治すことができるかどうかは、魚自身の自己治癒能力によって左右されます。
目に見えて症状がひどいときや寄生虫に感染した場合は薬を使うこともやむを得ませんが、軽い感染症の場合は魚のコンディションを高めてやれば、自然に治癒することも珍しくありません。
例えばエラの大きなドジョウやナマズ類は薬を過剰に吸収してしまいやすく、ショックで弱りやすいです。
こうした魚種には1/3~1/2程度の薄い濃度で薬浴を行うことが多いですが、薬のメーカーが推奨する治療法ではありません。
そこで今回は薬浴前に是非試していただきたい、魚の自己治癒能力を高める方法についてご紹介をしていきます。
治療の基本1:絶食
魚の病気を治療するためにあえて絶食させることは基本です。
まずは絶食させる期間や理由について解説をしていきます。
1週間を限度に餌を与えないようにする
薬を使う・使わないに関わらず、魚にあえて餌を与えず絶食させるのは魚病治療の基本です。
それまで普通に餌を食べていた魚であれば5日~1週間の絶食は何の問題もないので、安心してください。
やり方としてはまず3日~1週間を限度に絶食させ、その後は状況に応じて薬浴させたり、回復が見込める場合はそのまま様子を見守るなどの処置を行ないます。
絶食後はいきなり普段の量の餌を与えることはせず、1粒から給餌をスタートし、体調にあわせて餌の量を増減させましょう。
餌の消化=体力を消耗する
そもそもなぜ治療前に絶食させるのかと言うと、餌を消化するという行為は体力を消耗するからです。
病気のお魚は体力がない状態なので、餌の消化にエネルギーを使うと消化不良を起こしたり、病気を悪化させるなど追い打ちをかけてしまうことがあります。
いかに魚の体力を温存させるかが、治療における最大のポイントとなるのです。
治療の基本2:水換え
絶食の次に大切なのが、こまめな水換えです。
水換えは飼育水の有害物質を取り除くための行為と思われがちですが、実は病気を回復させる重要な役割も担っています。
刺激を与えて回復を促す
代謝が促進されると回復力が向上するため、自然治癒する可能性が高くなってくるのです。
どんな病気も薬を使うにしろ使わないにしろ、最終的には魚の自己治癒能力で回復します。
水換えは病気治療のかなめとも言える自己治癒能力を高める、とても重要な役割を果たしているということです。
調子を崩したお魚のいる水槽は、いつもより頻度を増やして水換えをしましょう。
強い水流は体力を奪ってしまうので、水を注ぐときは優しく入れるのがポイントです。
菌や寄生虫を排出する
水換えをこまめに行えば当然、水を清潔に保つことができます。
これはつまり、病気で抵抗力が落ちてしまっても新たな感染を防げるということです。
また、水換えには寄生虫や菌を排出する役割もあります。
症状の軽い初期の感染症であれば、適切な水換えだけで症状が改善することも多いです。
治療の基本3:水温を上げる
水温を上昇させることも、病気の治療に対して有効に働く場合があります。
その理由や具体的な方法について解説します。
魚の活性を上げる
魚は変温動物なので、適度に水温を上昇させると活性が上がります。
水温の目安は魚種にもよりますが、28~30℃が適温です。
普通の感染症なら26℃程度でも問題ありませんが、大切なのは水温を安定させること。
急に水温を上げたりせず、徐々に慣れさせて一定の水温に保つことが肝心です。
ただし、注意が必要なのがエロモナス系の病気の場合。
エロモナス菌の中でも運動性エロモナス菌は高水温に強く、25~30℃の水温で繁殖しやすいです。
もともとそのくらいの水温で管理している魚にエロモナス系の症状が出た場合は運動性エロモナス菌が関与している可能性が高いので、その場合は水温を少し低めにしてやりましょう。
低温が平気な魚種(金魚など)であれば18~23℃を限度に水温を低く固定した方が良いことがあります。
見極めが難しいですが、状態を見てケースバイケースで対処してください。
昇温で寄生虫を弱らせる
水温の上昇によって魚の活性が上がれば消化不良を防げますし、白点虫のような高温に弱い寄生虫も弱らせることができます。
薬なしで駆除することはほぼ不可能なので、薬浴を行いましょう。
寄生虫駆除薬(トロピカルゴールドなど)は28℃以上で毒性が増しますので、水温を上げた場合は使用禁止です。
白点病を昇温治療する場合はメチレンブルー系(グリーンFリキッドなど)で行いましょう。
塩水浴について
最後は塩水浴について、効果や正しい手順を解説していきます。
ネオンテトラなど、南米系の魚種は耐塩性が無いことが多いので、まずは塩水浴に耐えられるかを確認してから行いましょう。
塩水浴の効果
水分は塩分濃度の低い方から高い方へ移動する性質をもっているため、塩分の低い飼育水は常に魚の体内に侵入しようとします。
一方、魚は飼育水が体に入らないよう体表に粘膜を作ったり余計な水分を排泄することで体内の塩分濃度を調節しているのですが、飼育水の塩分濃度を魚の体内と同じにすれば、水分調節の機能を休ませて体力を温存・回復させることができるのです。
また、塩は魚の粘膜を剥離させる効果があるため、エラ病の場合はエラの粘膜が適度にはがれて菌を押し出すことで、治療効果を上げることもできます。
塩水は毎日水換えしよう
魚の体内とほど近い0.5%塩水で行いますが、塩の殺菌作用で飼育水をきれいにする硝化バクテリアの働きはかなり鈍くなります。
とはいえ、塩水浴は隔離容器で新しい水を使用して行うことが一般的なため、もともとバクテリアがいません。
しかし、バクテリアがいないということは、魚が排出するアンモニアを分解できない状態のため、常に清潔に維持するには毎日の水換えが必要です。
もちろん、水換えのときに入れる水にも塩を溶かしておきます。
詳しいやり方については以下のコラムもご確認ください。
まとめ:魚の病気を薬を使わないで治療する方法!薬浴以外にできることを解説
今回は魚の病気をなるべく薬を使わずに治したいと考えている方に向けて、魚の自己治癒力を高める方法を解説してきました。
病気の治療は薬を使うにしても、使わないにしても、結局は魚の体力や自然治癒力の高さが肝となります。
また、魚が病気をわずらうのには必ず原因があるため、飼育環境から病気の原因を取り除くことも大切です。
居心地の良い飼育環境を目指し、病気知らずの丈夫な魚に育てましょう。
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