魚の水カビ病とは!症状と原因から薬浴などの治療法・予防方法を解説
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飼育している魚を見たら、体に白い綿のようなゴミが付着していた…それは、水槽内の真菌に感染する水カビ病かもしれません。
水カビ病は金魚や熱帯魚がかかりやすい病気の1つで、ケガや体調不良により体力が落ちている魚が発症します。
症状が見られたら薬浴や塩水浴を用いた治療と並行して、病気の蔓延を防ぐために水槽内の環境改善に取り組むことが重要です。
今回のコラムでは、水カビ病の症状や原因、感染してしまったときの治療法を詳しく解説します。
また、水カビ病に限らず、水槽内で病気を発生させないためには予防が最も大切です。
コラムの後半では水カビ病を防ぐ予防方法についても触れていきますので、ご覧になってみてください。
目次
プロアクアリストたちの意見をもとに水カビ病の原因や治療法、予防法を解説
このコラムは、東京アクアガーデンスタッフであるプロのアクアリストたちの意見をもとに作成しています。
水カビ病は、フワフワとした綿のようなものが体表に付着する観賞魚や熱帯魚に良く見られる病気の一つです。
症状が進行すると命に関わることもあるため、見つけ次第治療を開始しましょう。
ここでは、実務経験から得た知識をもとに、水カビ病の原因や治療法、予防法を解説します。
水カビ病とは
水カビ病は、水槽内に常在する真菌に感染することで発症する魚病の一種です。
健康な魚ならば感染することはありませんが、ケガやストレスで抵抗力が落ちていると感染して様々な症状を引き起こします。
ここでは、水カビ病の主な症状や原因について解説します。
水カビ病の症状
水カビ病は体に傷ができてしまった魚に発症することが多いです。
初期の段階では傷の周りが充血したように赤くなり、時間がたつにつれて白い綿のようなものが見られるようになります。この綿がまさに真菌で、白い綿が増えていくのは感染した魚の中で菌が増殖している証です。
症状が進行するにつれて、綿は全身に広がっていき、体力の低下や食欲不振を引き起こしたのちに命を落とすこともあります。
水カビ病は魚の浸透圧調節機能に影響を及ぼすと考えられており、これが重篤な症状をきたす大きな要因です。
また、症状の重さは水カビ病の罹患原因によっても左右される面があり、単なる傷から発生した場合は初期段階で治療を開始すれば完治しやすいです。
一方、尾ぐされ病や穴あき病といった他の病気を併発している場合は、症状が進行しやすくかなり根気のいる治療が必要となります。
水カビ病の原因
水カビ病を引き起こす原因は、水槽内の常在菌であるワタカビ属やアファノマイセス属の真菌です。
健康な状態の魚は、ぬめりのある粘膜で体全体が覆われており、水カビ病の原因となる菌類が体内に入り込むことはありません。
しかし、魚同士の小競り合いや輸送中の擦れなどによって体表に傷があり、抵抗力が弱まっていると、傷から真菌が侵入して水カビ病に感染してしまうことがあります。
また、穴あき病や尾ぐされ病などの病気によって体が傷ついている場合、その患部から水カビ病が広がる二次感染が発生することも。
水カビ病を発症した魚が一匹のみならばその個体が体調を崩していたと考えられますが、複数匹が水カビ病の症状を呈した場合は、水槽全体の環境が悪化している可能性がありますので、治療と合わせて水質の改善を図りましょう。
水カビ病の治療法
水カビ病を発病した場合、自然治癒する可能性は極めて低いです。
放っておくとどんどん病気が進行してしまいますので、見つけ次第適切な治療を開始しましょう。
ここでは、水カビ病の治療法を解説します。
薬浴を行う
水カビ病の治療には、魚病薬を使用した薬浴が効果的です。
他の病気の症状が無く、まだ初期の段階であれば『メチレンブルー水溶液』や『グリーン F リキッド』を使用します。
症状が進行している場合や水槽内で感染が広がっているときは、殺菌消毒作用があるマラカイトグリーンが配合された『アグテン』や『ヒコサンZ』が有効です。
尾ぐされ病や穴あき病など他の病気と水カビ病を併発している場合は、これらすべての病気に対応できる、緑色の箱が目印の『グリーンF』で治療を行います。
また、水カビ病に効果がある薬は着色性のものばかりなので、水槽や機材、レイアウトが染まってしまうのを防ぐため、基本的には病魚を他の容器に移して治療をします。
エアレーションを設置したプラケースやバケツに病魚を隔離し、薬剤を適量添加してください。
塩水浴を行う
水カビ病の初期段階や外傷があって水カビ病を予防したいという時は、塩水浴で回復が望めます。
バケツなどの容器に塩分濃度0.5%の塩水(水1Lに塩5g)を用意し、エアレーションを設置した上で病魚を隔離してください。塩水浴中は基本的に毎日2/3~全量の水換えを行い、水質をきれいに保ちながら回復を待ちます。
塩水浴は塩水の浸透圧を利用して魚の体力を温存し、自己治癒力を高める治療法です。
薬浴のように病気に直接作用するわけではありませんが、魚の体力を温存できる上に、頻回の水換えが刺激となって魚の回復力が高まると考えられています。
特に水カビ病は感染すると浸透圧の調整機能にダメージを受けて体力を奪われてしまうため、塩水でこの部分をサポートしながら回復を待つのは理にかなった治療法と言えるでしょう。
しかし塩水浴はあくまで魚自身の自己治癒力に頼った治療法なので、症状が進行した水カビ病や別の病気を併発している場合は、塩水浴だけでは思ったような効果は得られません。この場合は速やかに薬浴を行ってください。
ちなみに、薬浴と塩水浴を併用するとより効果を高めることができます。
こまめな水換えを行う
先程も軽く触れましたが、薬浴や塩水浴で治療を行う時は、基本的に毎日水換えを行い、清潔な環境を維持するよう心がけましょう。
水質を保つのはもちろん、水中に排出される真菌を物理的に洗い流すことができます。
また、こまめな水換えは魚の交感神経を刺激するため、代謝や自己治癒力を高めるのにも効果的です。
ただし、水換えで薬剤や塩分の濃度が変わってしまうと治療効果が得られないため、新しい水にも必ず適量の薬や塩を添加して、濃度を維持することを忘れないようにしてください。
水カビ病の予防方法!
水カビ病はケガや体調不良、ストレスなどが原因で体力が落ちた魚が感染します。
水槽内の環境が良く魚が健康であれば発症することはありませんので、こまめな水換えや水温調整をして水カビ病を予防しましょう。
ここでは、水カビ病予防で重要となる3つの大切なポイントを解説します。
魚の健康状態をチェックする
水カビ病を予防するには、魚の健康状態を常に気にかけて、適切な環境を整えることが大切です。
水カビ病を引き起こす真菌は水槽の常在菌で、本来は特に悪さをする菌ではありません。
その真菌に感染して水カビ病が発生するということはつまり、魚の体調や飼育水のバランスが何らかの原因で崩れていると考えられます。
まずは魚を毎日観察し、
- 食欲はあるか
- 元気に泳いでいるか
- ケガはしていないか
などをチェックしてみてください。異変があるようならば、病気を発症する前でも隔離して塩水浴で様子を見ます。
また、水質を維持するため日々のメンテナンスを怠らないことも重要です。
水カビ病の原因菌は底砂やろ過フィルターに潜んでおり、水質や水温の変化で爆発的に増殖することがあります。
そのため、水換えはもちろん、定期的な水質チェック、底砂やろ過フィルターの掃除も水カビ病の予防に有効です。
餌の与えすぎを防ぐ
どの病気にも言えることですが、餌の与え過ぎは良くありません。
餌が多すぎると魚が消化不良を起こして、病気になりやすくなります。
また餌の食べ残しが出ると、そこから水中に養分が溶けだして水カビ病などの原因菌の餌となり、大増殖を引き起こす可能性も。
飼育水を汚さないためにも、餌は一日1~2回、数分で食べきれる量を目安に与えてみてください。
水温を一定に保つ
水中で生活する魚たちは急激な水温変化に弱く、水温が低すぎる・高すぎるとストレスから体調を崩してしまいやすいです。
メダカや金魚、鯉などの日本の気候に馴染んでいる魚種以外は、基本的に保温器具を使用して、一年を通して水温を一定に保ちましょう。
ベタなど丈夫で小さな容器で飼育できるとされる熱帯魚も低水温には弱いので、水槽用ヒーターやボトル用のパネルヒーターを使って保温をします。
また、夏の暑い季節は反対に高水温に注意が必要です。
熱帯魚とはいえ水温が28℃を超えると体調を崩してしまいますし、高水温環境では水質の悪化も懸念されます。
必要に応じて冷却ファンや水槽用クーラーの導入も検討してみてください。
最後に、水温の管理には水温計が欠かせません。水槽にはかならず水温計を設置して、常に水温を確認する習慣をつけましょう。
まとめ:魚の水カビ病とは!症状と原因から薬浴などの治療法・予防方法を解説
今回は、魚の水カビ病について原因や治療法、予防法を解説しました。
水カビ病の原因は水槽の常在菌で、外傷があって体力が落ちた魚が感染します。
初期症状は患部の周りの充血と体表に付着する白い綿状のカビです。症状が進むと衰弱して命を落とすこともあるので、早期発見治療を心がけましょう。
また、水カビ病は適切な環境で飼育している健康な魚ならば発症することが無いため、魚の体調や水質に気を配ることで予防ができます。
水カビ病に限らず、病気や感染症は予防が重要です。
今回のコラムを参考に、魚を健康的に飼育するためのポイントをぜひ復習してみてください。
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