オーバーフロー水槽は最も能力が高いろ過システムなので、海水水槽や大型淡水魚の飼育においては一般的に採用される形式です。しかし、ろ過能力が高い反面デメリットも存在し、その1つに静音性の欠如が挙げられます。
オーバーフロー水槽は構造上どうしても水が落ちる音がするうえに、大型水槽では強力なポンプを導入しなければならないので動作音が大きくなり、うるさいと感じるレベルの音がしてしまうことも普通です。
ここでは、オーバーフロー水槽が発する音にお悩みの方のために、家庭でもできる消音対策についてご紹介します。
目次
オーバーフロー水槽の音の原因
オーバーフロー水槽は生体を飼育するための水槽とろ過槽が独立しており、通常の構造であれば飼育水槽の下部にろ過槽が設置されています。
水槽には一定の水位を超えるとろ過槽に水が落ちるように配管が成され、ろ過槽でろ過された飼育水はポンプで汲み上げられて水槽に戻ることで、循環する仕組みになっています。
さて、オーバーフロー水槽から発せられる音の原因は、主に2つあります。1つは飼育水がろ過槽に落ちる際に、周囲の空気を巻き込んで落ちることで発せられる落水音で、もう1つは(揚水/エアー)ポンプの動作音です。
そのため、オーバーフロー水槽の消音対策は、落水音によるものかポンプによるものなのか原因を特定し、それぞれに合った対策を施すことが重要です。
オーバーフロー水槽の落水音対策
ここでは、落水音対策のための具体的な方法をご紹介します。家庭でもできる簡単な方法を中心にご紹介するので、オーバーフロー水槽の落水音にお悩みの方はぜひお試しください。
水槽内の落水配管からビニールひもを垂らす
この方法は、古紙をまとめる際や引っ越しの時に用いるビニールひもを、水槽内の落水配管の入り口に結び付けて出口に向けて垂らすだけです。こうすることで、飼育水がビニールひもを伝ってろ過槽に落ちていくようになるので落水音の緩和が可能です。
デメリットとしては、ろ過前の飼育水にビニールひもが常にさらされることになるので、すぐにビニールひもが汚れてしまって小まめな交換が求められることが挙げられます。しかし、コストパフォーマンスが高く、準備が容易なのでおすすめの対策方法です。
水槽内の落水配管に輪切りにした塩ビ管を取り付ける
これは、水槽内の落水配管の入り口に、使用していない塩ビ管を長さ数cmになるよう輪切りにし、切れ込みを入れて「C」字型にしたものを取り付ける方法です。
落水配管の入り口の縁部に切れ込みを入れた塩ビ管をはめ込むことで、飼育水が溢れて落ちる際に水流にねじれが生まれ、空気の巻き込みを少なくすることが可能で、落水音の発生を抑制できます。
この方法もコストパフォーマンスに優れますが、取り付けた塩ビ管はやがて汚れます。その際は、ブラシなどで擦って掃除をすると良いでしょう。
水槽外の配管にグラスウールを巻き付ける
グラスウールは繊維状のガラスで構成されたフワフワとした塊で、断熱材や吸音材などに利用されています。これを、水槽下部からろ過槽につながる落水配管に巻き付けることでも消音対策が可能です。
グラスウールは基本的には安全な素材ですが、素手で触ると繊維状のガラスが刺さり、敏感肌な方は炎症を起こす場合があるので注意してください。
グラスウールを購入しなければならないので、これまでの方法よりもやや高くつきますが、その分効果が高いので非常におすすめできる対策法です。
水槽台の内部に吸音・防音シートを貼り付ける
ろ過槽が収納されている水槽台の内部に、吸音または防音シートを貼ることも効果的です。しかし、この方法だけでは落水音の根本を放置することになるので、効果が薄くなってしまいます。よって、同手法は前述の落水音対策と並行して行うと良いでしょう。
落水配管の径を小さくする
前述したように、落水音は飼育水が周囲の空気を巻き込んでろ過槽に落ちることが原因です。そのため、落水配管の径を小さくし、飼育水がろ過槽に落ちる時に空気を巻き込みにくくすることでも、落水音を軽減できます。
ただし、落水配管の径を小さくしすぎると、落水スピードが低下して水槽から飼育水が溢れてしまうので注意してください。
オーバーフロー水槽におけるポンプの動作音対策
こちらでは、オーバーフロー水槽で使用する(揚水/エアー)ポンプの、動作音に対する消音対策をご紹介します。
エアーポンプの下に防振パットやスポンジなどを敷く
オーバーフロー水槽は大型水槽で採用されることが多く、広い飼育スペースに酸素を行き渡らせるために、エアーポンプも強力なものが要求されます。エアーポンプが強力ということは、その分だけ動作の際に振動音が大きくなり、うるさく感じることが起こり得ます。
エアーポンプがうるさい場合は、ポンプの下に防振パットを敷くことがおすすめです。他にもスポンジなどでも代用が可能ですが、ポンプ自体を覆ってしまうことは避けてください。特に排熱口を覆ってしまうと火災の危険があります。
エアーポンプを吊るす
エアーポンプの振動音は主に設置面とのぶつかり合いで発生します。そのため、エアーポンプをひもなどでくくって吊るしてしまえば、設置面との振動音は無くすことが可能です。
なお、エアーポンプを使用する際は、必ず逆流防止弁を組み込んでください。さもないと、エアーポンプが停止した時に飼育水が逆流し、ポンプ内に浸入して故障の原因になってしまいます。
揚水ポンプを交換する
揚水ポンプについても下部に防振パットを敷くことは有効です。しかし、それでも改善しないのであれば、ポンプを交換すると良いでしょう。
オーバーフロー水槽で用いられる揚水ポンプには、水中ポンプとマグネットポンプの2種類があります。一般的にマグネットポンプの方が動作音が大きいので、能力的に代用可能であれば水中ポンプに交換すると効果的です。
能力の関係で水中ポンプを採用できないのであれば、DC(直流)マグネットポンプを使用すると良いでしょう。ポンプはAC(交流)とDCで動くものが存在し、DCの方が一般的に動作音は静かです。その分、ACよりも値が張りますが、うるさい動作音に対して非常に効果的な対処法になり得ます。
まとめ:オーバーフロー水槽の簡単な消音対策について
オーバーフロー水槽は強力なろ過システムではありますが、その構造上どうしても落水音がしてしまいます。また、大型水槽で採用される場合は、強力なポンプを導入しなければならないので、その分だけ動作音が大きくなり、静音性に欠けることがデメリットです。
落水音に対してはいかにして空気の巻き込みを防ぐかが重要で、落水配管にちょっとした工夫を施すだけでかなり改善される場合もあります。ポンプの場合は振動音を抑えるための工夫やポンプの交換が効果的です。
ご自身の環境での音の原因を特定し、それぞれに効果的な消音対策を講じてください。
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