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熱帯魚水槽と砂糖!砂糖が水槽に与える影響とおすすめしない理由を解説

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塩分を多く含む海水で暮らす海水魚や、塩水浴で調子を取り戻す淡水魚など、アクアリウムで塩は、淡水・海水を問わず出番のある馴染み深い存在です。
一方で、塩と対のような存在の砂糖を使ったアクアリウムの話は、ほぼ耳にすることがありません

話に上がらないということは、砂糖は水槽で使う機会がないということ。では、なぜ魚の飼育で砂糖を使用することはないのでしょうか。
また、もし水槽に砂糖を入れた場合どのような影響が出るのかも気になるところです。

そこで、今回のコラムでは水槽と砂糖の関係について解説します。
砂糖が水槽に与える影響やおすすめできない理由、わずかながら使用することがある場面などをご紹介しますので、ご覧になってみてください。

プロアクアリストたちの意見をもとに熱帯魚水槽と砂糖の関係とおすすめしない理由を解説


このコラムは、東京アクアガーデンスタッフであるプロのアクアリストたちの意見をもとに作成しています。

アクアリウムで塩を活用する機会が多い一方、砂糖を飼育に利用することはほとんどありません
養分を多く含む砂糖は水槽内のバランスを崩して、水質の悪化や最近の増殖といった悪影響を及ぼす可能性が懸念されるからです

ここでは、実務経験から得た知識をもとに、熱帯魚水槽と砂糖の関係とおすすめしない理由を解説します。

砂糖を熱帯魚水槽に入れてはいけない理由


砂糖に含まれる糖質は、人間にとってはエネルギーの源となる重要な成分です。
このことから、水槽に砂糖を添加すれば魚や水草の良い栄養となるのではないかと考える方もいるでしょう。

しかし、実際に砂糖を水槽に添加した場合、飼育する生き物の栄養になることはほとんどなく、むしろ水槽全体に悪影響を及ぼす可能性があります。
ここでは、砂糖を熱帯魚水槽に添加した時に起こることや影響を解説します。

砂糖は水中では菌類やバクテリアに分解される

まず、砂糖は水槽に投入したとしても魚や生き物が食べることはほとんどありません。食いつく前に水に溶けてなくなってしまいます。

では、溶けた砂糖はどうなるかというと、フンや餌に含まれるでんぷんと同様に菌類によってブドウ糖に分解された後、バクテリアのエネルギーとなって最終的に水とCO2に変化します

バクテリアには水の汚れを分解してくれる有益なものも含まれているので、糖質が適量であればバクテリアの繁殖を促すなどの良い効果が得られることもあるでしょう。

しかし、このサイクルはわざわざ砂糖を使わなくても普段の魚の餌などで十分に成り立つもの。
砂糖のような糖質の塊を添加してしまうと、むしろ水槽に悪い影響を及ぼす雑菌の増殖を招いて、水中のバランスを崩してしまう可能性が高いと考えられます。

砂糖が水槽に及ぼす影響

砂糖に含まれる糖質は、水中では菌類やバクテリアのエネルギーとなって増殖を招きます。
では、これによって水槽にどのような影響を与えるのでしょうか

ここからは、砂糖が水槽に与える影響を具体的に解説します。

雑菌が増えて水質悪化や酸欠を引き起こす

砂糖のような養分の塊は、バクテリアや菌類の格好の餌となります
その結果、水質に影響を及ぼす微生物の働きが活性化して、水質の悪化や酸欠の原因になることも。

飼育水にぬめり白濁が見られたり、嫌気性菌が増殖して異臭がしたりと鑑賞性が大きく損なわれるため、アクアリウムのクオリティに大きく影響します。

また酸欠は、水をきれいにしてくれる硝化バクテリアの活動を低下させてしまうため、水質が急激に悪化することもあるでしょう。
酸素不足の状態が長く続けば、飼育している熱帯魚にも影響が出て、最悪の場合命を落としてしまうことも考えられます。

実際にアメリカの国立公園では、観光客が落としたお菓子が生態系に深刻な影響を与えたという事象がニュースになりました。

熱帯魚のストレスの原因になる

養分過多による水質の悪化は、水中に暮らす熱帯魚や生き物にも大きなストレスです。

水質が急変することで体調を崩したり、最悪の場合pHショックなどの重篤な症状を引き起こしたりすることがあります。

また、雑菌の中でもエロモナス菌カラムナリス菌といった病原菌が増殖した場合、ストレスで体調を崩した個体から病気を発症してしまう可能性も高まるでしょう。

水草にダメージを与える

砂糖は水草にも悪影響です。

砂糖を添加したことで水槽内の環境のバランスが崩れると、葉が枯れたり溶けたりする原因になります。特に調子を崩していた葉や茎は影響を受けやすいでしょう。

ちなみに、地上の植物でも植木鉢に砂糖水を撒くと菌類が増殖して、カビが発生することがあります
水槽も同様に、砂糖が原因で水草の健康が損なわれるため、砂糖の使用は避けてください。

熱帯魚水槽で砂糖を使う例


飼育水のバランスを損なう恐れのある砂糖を、水槽に直接投入するようなことはほぼありません。
しかし、アクアリウムを続けていく過程で間接的に砂糖を使用する場面は、わずかですが存在します

こちらでは、熱帯魚水槽で砂糖を使うタイミングをご紹介するので、使い方を確認してみてください。

CO2の発酵式

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水草水槽でCO2を添加する方式の一つ、発酵式は、砂糖、イースト菌、ぬるま湯を混ぜて培地を作り、発酵させてCO2を発生させます
これは、水槽内で糖質が菌類によって分解されるのと同じ仕組みです。

直接水槽に砂糖を入れるわけではありませんが、砂糖をアクアリムで使用する唯一の場面と言っても良いでしょう。

砂糖添加水槽

これまで、水槽に砂糖を添加するのはリスクが高いと解説してきましたが、悪影響を理解した上で、あえて砂糖を添加して水質を管理する”砂糖添加水槽”という方法も存在します。

砂糖を餌に脱窒菌などのバクテリアを増殖させて、硝酸塩を始めとした栄養塩を減少させる仕組みで、理論上は水をきれいに保ちやすくなるといったメリットがあります

具体的には、400Lの飼育水に対して1g以下ほどの砂糖を添加し、白濁りが発生しないよう注意深く観察します。酸欠を防ぐためエアレーションも強化しましょう。
また、バクテリアは硝酸塩だけでなくリン酸塩も消費していくので、水中の栄養バランスに注意します

ただし、この方法は先述の通りかなりリスクが高く、管理するには慎重なモニタリングと経験が必要不可欠で、素人が無暗に実践できるような方法ではありません
淡水よりも海水水槽の方が砂糖添加に適しているとされますが、その場合でも高性能なプロテインスキマーが必要です。

生態への悪影響も懸念されますので、専門的な知識と設備がないならばよほどのことがない限り、他の方法で水質を管理しましょう

熱帯魚水槽に安全に養分を添加・活用する方法


水草の育成やバクテリアの定着などが目的で水槽に養分を補給したいときは、アクアリウム専用のソイルや添加剤を使うと、安全に栄養を行き渡らせることができます。

砂糖を使うよりもリスクなく、確実に効果が期待できる方法ですので、必要に応じて実践してみましょう。

ソイルを使う

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淡水水槽で養分を補給したいときは、栄養系ソイルがおすすめです。

栄養系ソイルには、水草や生き物が成長するのに必要な養分がたっぷりと含まれていて、時間の経過とともにジワジワと水中に栄養が溶けだします
特に水草を育成している水槽では、栄養系ソイルを底砂に使うと成育が促進されて葉の色艶が良くなるため、積極的に活用しましょう。

また、ソイルは水質を弱酸性に調整してくれる効果もあるため、南米産の熱帯魚やシュリンプ類などの弱酸性を好む生体の飼育にも重宝されています。

コンディショナーや水草用肥料を使う

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必要な栄養素を選んで添加したいときや水質の調整には、コンディショナー水草用の肥料が効果的です。

水槽用のコンディショナーには栄養を補給できるものや、pHやKHなどの水質を調整するもの、バクテリアを増やす効果のあるものや熱帯魚の粘膜を保護するものなど、製品によって様々な効果があります。
水槽の状態や目的に合わせて使い分けると、理想的な水槽環境に近づけることができるでしょう。

また、水中に養分を届けるならば水草用の肥料も有効で、特に水草の成長に必要な栄養素(窒素、リン、カリウムなど)をバランスよく補給できます。

ただし、コンディショナーや肥料もやり過ぎると水槽内のバランスを崩してしまう危険があるのも事実。心配な場合は、定期的に水質検査薬を使用したり水草・生き物の状態を観察したりして、飼育水の状態を把握しながら添加する量や頻度を調整すると管理がしやすいです。

最適な照明を設置する

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熱帯魚水槽に添加した養分を効率よく活用するためには、適切な照明の設置が欠かせません。
光は水草の光合成を促進し、魚の活性を高める重要な要素となるからです。

主に水草に向けて養分を添加しているときは、光合成を促す色や光量を照射できる植物育成用のライトをセットで使用するのがおすすめで、水草の鑑賞性が高まって美しい水景を表現できるようになります。
熱帯魚や生き物がメインの水槽でもLEDライトを使用して一日の昼夜の変化をつけることで、バイオリズムが整い栄養の吸収や消費が促進されて、より健康的な姿を楽しめるでしょう。

最近は日の出から日没までの太陽の光を再現できるなど、高性能な照明が増えているので、必要に応じて導入してみてください。

まとめ:熱帯魚水槽と砂糖!砂糖が水槽に与える影響とおすすめしない理由を解説


熱帯魚水槽と砂糖の関係について解説しました。

人間にとっては良いエネルギーとなる糖分ですが、熱帯魚水槽に添加するのはおすすめできません
水に砂糖を入れるとバクテリアや雑菌が増殖して、水質の急変や酸欠を招く危険があります
生き物にも水草にも悪影響となるため、砂糖は添加しないよう注意してください。

もし水槽に養分を補給したいときは、アクアリウム専用のソイルやコンディショナー、水草用の肥料を使用するのが安全で効果も高いです。
さらに照明を設置して適切な光量を照射することで、添加した養分を効率よく吸収・活用できるようになります。

塩とは違い、砂糖の使用にはあまり良いことがありません。砂糖による養分の補給や脱窒を期待するのであれば、別の方法をおすすめします。

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執筆者 アクアガーデン

アクアガーデンのスタッフが水槽レンタル・リース、メンテナンス、引っ越しサービスなど様々なサービスを通して得たアクアリウムの経験や知識をコラムで発信しています。

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