熱帯魚水槽の酸欠とは?酸欠が起きると魚はどうなる?対策方法も!
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水槽の中の熱帯魚が水面近くに顔を出して口をパクパクさせているのを見たことはありませんか?
餌をねだっているようにも見えますが、実はこの仕草が酸欠のサインかもしれません。
魚はエラを使って水中の酸素を取り込みますが、閉じられた空間である水槽では、水温の変化や魚の飼育数、水草の量などの影響で酸素が少なくなってしまうことがあります。
また、水草水槽でCO2添加を行っている場合も酸欠になりやすいです。
水中の酸素が不足すると、水質の悪化や魚の体調不良を引き起こし、最悪の場合、生き物が突然死してしまう可能性もありますので、早急に対処しましょう。
ここでは、熱帯魚水槽が酸欠になる原因や解消法について解説します。
目次
プロアクアリストたちの意見をもとに熱帯魚水槽が酸欠になる原因と対策を解説
このコラムは、東京アクアガーデンスタッフであるプロのアクアリストたちの意見をもとに作成しています。
熱帯魚水槽の酸欠は、エアレーションや水温の管理で解消することができます。
酸欠が起こると、魚の体調や水質に影響が出ますので、酸素不足のサインが見られたら早急に対策をしましょう。
ここでは、実務経験から得た知識をもとに、熱帯魚水槽が酸欠になる原因と対策を解説します。
熱帯魚水槽の酸欠対策を動画で見る!
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アクアリウムで起こる酸欠の原因と対策を音声付きで解説します。
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水槽の酸欠とは?酸欠のサインと影響
私たち人間は水の中では息が出来ないため酸素が無いと思いがちですが、水中にも酸素があり、不足すると魚や水草、飼育水に影響が出ます。
ここでは、水槽の酸欠について解説します。
水生生物も呼吸をしてる
酸素は魚やその他の水生生物にとっても必要不可欠なものです。
水中に暮らす魚や生き物は、水の中に溶け込む酸素をエラなどの器官を使って体内に取り込んでエネルギーに変えており、酸素が無くなったら人間と同様に生きていくことができません。
これは植物も同様で、水草は日中、水中で光合成をして酸素を生み出していますが、日が当たらなくなると水中の酸素を消費して呼吸をするのです。
酸欠が水槽に与える影響
水槽内の酸素が不足すると熱帯魚が酸欠になり、最悪の場合命を落としてしまう可能性があります。
病気の兆候が無いのに飼育していた魚が立て続けに死んでしまった、というのは酸欠が疑われるケースです。
また、水中にいる硝化バクテリアが死滅してしまうのも酸欠の時に見られる症状の一つ。
バクテリアは水の中の有害な成分(水の汚れ)を分解して無害な成分に変える働きをしているため、酸欠でバクテリアが減ると水質が急激に悪化して、熱帯魚の病気や飼育水の異変を引き起します。
水槽が酸欠になっている兆候
以下のような現象がみられたときは、水槽内の酸素が不足している可能性があります。
- 熱帯魚が鼻上げをしている
- 朝になると熱帯魚の元気がない
- 飼育水にとろみや油膜、異臭などの異変が出る
熱帯魚が水面付近まで上がってきて口をパクパクさせる、通称鼻上げと呼ばれる行為が見られるのは酸欠の代表的なサインです。
水草を植えている水槽では、植物が光合成をしない夜の間に酸素消費するため、朝になると生き物の元気がないのも酸欠の可能性があります。
また、水にとろみや油膜が張る原因は硝化バクテリアの死骸であることが多いため、酸欠でバクテリアが大量に死滅した時にはこのような異変が表れやすいです。
バクテリアが減少することで、水が汚れて異臭がすることもあります。
水槽内が酸欠になる原因
海や河川ならば、水面が大きく開かれている上に水に動きがあるので、水中に酸素が取り込まれやすく、酸欠になることは滅多にありません。
しかし、閉じられた空間である水槽は、そもそも酸素が供給されるルートが限られているため、ちょっとしたことで酸素が不足しやすいです。
ここでは、水槽内が酸欠になる原因を5つご紹介します。
生体が大きすぎる・多すぎる
水槽の大きさに対して熱帯魚が大きい、数が多すぎると酸欠になりやすいです。
体の大きな魚は酸素を多く消費しますし、小さくても数が多すぎると水中の酸素が足りなくなってしまいます。
飼育できる熱帯魚の数や大きさは水槽の総水量によって変わりますが、大体魚1cmにつき1Lが目安です。
これを超える状態は過密飼育と言って、酸欠以外にも様々なトラブルが起こりやすいので、一度飼育数を見直してみましょう。
水草が多すぎる
水草も酸欠の原因です。
水草は光合成をして水中に酸素を供給するため、酸欠の解決策になると誤解されがちですが、日が当たらない夜間は逆に酸素を消費してしまうため、量が多すぎると酸欠を引き起こします。
日中は問題ないが、朝なんとなく熱帯魚の元気がない、という場合は水草が原因の夜間酸欠を疑いましょう。
水温が高い
水温の上昇も酸欠に繋がります。
まず、水温が上がると溶存酸素量(水に溶け込む酸素の量)が減って、水中の酸素量が減少します。
例えば、水温25℃の場合、水1L辺りの溶存酸素量は8.84mgですが、水温が30℃になると7.53mgまで減少するのです。この差は水量が増えれば増えるほど顕著になります。
また、水温が上がると生き物や水草の酸素消費量が増えるのも、酸欠に拍車をかける要因です。
特に夏場の高水温には注意しましょう。
CO2の濃度が高い
水草の育成のためにCO2を添加している水槽では、CO2の濃度によって酸欠に似た状況を引き起こすことがあるため、過剰添加に注意が必要です。
魚はエラから酸素を取り込みCO2を排出するのですが、水中のCO2の濃度が高いとCO2を排出することが出来ず、呼吸困難のような症状が出ます。
人間でいうと息をはきづらい状況といえばわかりやすいでしょう。
水中のCO2の濃度は、pHとKHを測ることでおおよその数値を算出できます。
■pH6.0の場合はKHの約30倍のCO2値
- KH0.5のとき、CO2はおおよそ15
- KH1.0のとき、CO2はおおよそ30
- KH2.0のとき、CO2はおおよそ60
■pH7.0の場合はKHの約3倍のCO2値
- KH0.5のとき、CO2はおおよそ1.5
- KH1.0のとき、CO2はおおよそ3.0
- KH2.0のとき、CO2はおおよそ6.0
■pH8.0の場合はKHの約0.3~0.4倍のCO2値
- KH0.5のとき、CO2はおおよそ0.2
- KH1.0のとき、CO2はおおよそ0.3
- KH2.0のとき、CO2はおおよそ0.6
CO2の値が30を超えると過剰と言われていますので、添加量を減らしたり水換えをしたりなどして、酸欠を予防してください。
ちなみに、日本の水道水のKHはおよそ2~3°dkHで、淡水魚水槽の場合は3°dkH、水草水槽の場合は2°dkHに維持するのが理想的とされています。
そのため、KHを測定して2°dkHを下回る場合は水換えをしてKHの値を増やしましょう。
pH・KH・CO2の関係性について
pHとKHの値を知ることでCO2の濃度がわかるとご説明しましたが、ここで簡単にこれらの物質の関係性について触れておきましょう。
pHは水の酸性・中性・アルカリ性を示す数値で、CO2が多いと酸性に傾くため数値が低くなります。
KHは炭酸イオン濃度の値や水のアルカリ度を示すものです。KHには水質の変化を緩衝する効果があるため、KHが高いほど他の成分の影響を受けづらくなります。
CO2は二酸化炭素のことです。文字通り酸性の物質ですので、水に添加すると水質を酸性に傾ける力があります。
水にCO2を添加すると、本来ならば水質は酸性に傾きpHの値が低下しますが、KHの値が高ければKHの効果で急激なpHの低下が起こることはありません。
しかしKHの緩衝効果にも限度がありますので、CO2の量が一定量を超えるとpHが低下していきます。
つまり、KHの値が同じなのにpHの急低下が起こっているときは、それだけ水中のCO2が過剰になっていると判断することができるのです。
ただし、実際の水槽では水の汚れなどもpH低下の要因になるので、CO2添加のせいだと決めつけずに水槽全体の状況を多角的に見て判断するのが良いでしょう。
水流が不足している
ろ過フィルターから発生する水流は、新鮮な酸素を乗せて水槽内をめぐるため、水流が滞る場所は酸欠になりやすいです。
このような場所は汚れが溜まりやす上に、酸欠でバクテリアが死滅してしまうので、水の汚れや病気の原因となる菌の温床になります。
水槽内の酸素量を保つには
水槽内の酸欠を防ぐため、どのようにして水槽内の酸素量を保てば良いのでしょうか?
水槽内に酸素を供給する方法には以下のようなものがあります。
エアレーションをする
一番手っ取り早いのがエアレーションです。
ろ過フィルターとは別に、エアレーションを設置すれば水中の酸素供給量が増えて、酸欠を解消することができます。
エアストーンには様々な種類がありますが、酸素をより多く取り込むためには水面を動かすことが重要なので、可能であれば大き目の泡が出る物を使うのがおすすめです。
小型容器には酸素の出る石がおすすめ
エアレーションやろ過フィルターを設置できないような小型容器の場合は、酸素の出る石といった便利アイテムを使うと水中の酸素量を増やすことができます。
酸素の出る石は水中に沈めると少しずつ酸素が溶け出すアイテムで、効果は大体1ヶ月程度のものが多いです。
ただ、酸素を出す石を使うと水質がアルカリ性に傾きやすくなるので、定期的に水質を確認しながら使用しましょう。
ろ過フィルターなどで水を上から落としこむ
ろ過フィルターは水をろ過するとともに新鮮な酸素を水中に送り込む役割を果たしますが、その酸素供給量はフィルターの種類によって異なります。
そのため、酸欠が気になるときはエアレーション効果が高いろ過フィルターに変える、または併用するのがおすすめです。
エアレーション効果が高いフィルターは、上から水を落とし込む上部フィルター、エアーポンプに接続して使うスポンジフィルター、投げ込み式フィルターの3種類が挙げられます。
水換えをする
水換えをするだけでも酸欠の解消になります。
水換えは酸素を供給できるだけでなく、pHやKH、CO2などの水質異常や水の汚れも改善できるので、水槽に異変が見られたらまず水換えをしてみるのが良いでしょう。
水温の上昇を防ぐ
先ほどお話した通り、水温が上がると酸欠になりやすくなります。
特に夏場は管理していても水温が上がってしまいやすいので、高水温を防ぐ対策をしましょう。
水温の上昇を防ぐには、以下の3つの方法が有効です。
- エアコンで室温を下げる
- 冷却ファンを使う
- 水槽用クーラーを設置する
水温は外気の温度に影響を受けますので、暑い季節は水槽を設置している部屋のエアコンを24時間稼働させて室温を一定に保つのがおすすめです。
冷却ファンは一番取り入れやすい高水温対策で、水面に風を当てて水を冷やします。
水槽用クーラーは、高価な機材であることと、接続できるろ過フィルターが限られることがネックなのですが、確実に水を冷やすことができるため、条件が合うようであれば導入を検討してみてください。
水草や熱帯魚の数、水槽サイズを見直す
夜間の酸欠が疑われる場合は、水草が多すぎる可能性がありますので少し量を減らして様子を見るのが良いでしょう。
熱帯魚の数が多すぎたり、大きな魚を飼育している場合も同様に現在の状況が適正かどうかを確認してみてください。
水槽内の飼育数が過密気味の場合はもう一つ水槽を用意して分けるか、この機会に水槽のサイズアップを検討します。
間違っても飼育しきれなくなった熱帯魚や水草を河川に放流することはしないでください。
まとめ:熱帯魚水槽の酸欠とは?酸欠が起きると魚はどうなる?対策方法も!
今回は、熱帯魚水槽が酸欠になる原因と解決策を解説しました。
水中の酸素が不足すると、バクテリアが死滅して水が汚れやすくなったり、魚が酸欠で突然死してしまったりなどのトラブルに繋がります。
過密飼育や水草の量、水温の上昇など様々な要因が重なって起こることが多いので、酸素不足の兆候が見られたら早急に対処することが大切です。
皆さんも、このコラムを参考に酸欠を予防して、快適なアクアリウムを維持しましょう。
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