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熱帯魚水槽のソイルを選ぼう!タイプ別のメリット・デメリットを解説

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ソイルは、アクアリウムの底砂用に加工された特殊な土で、「水草を使った水槽では必須」といわれるほど人気の高い底砂です。

アクアリウムに使う底砂には、ソイルの他にも砂利や砂など、さまざまな選択肢があります。

その中でもソイルが人気な理由は、

  • 水草の育成に最適
  • 水質維持や改善効果が期待できる
  • 水の濁りを改善する

など、水草や水槽にとってメリットが多いからです。

今回は、ソイルの特徴と種類、そして実際に使用する際のメリット・デメリットを解説します。

※このコラムはアクアリウム情報サイト・トロピカの記事に、最新の情報を加えて再構成したものです。

プロアクアリストによるソイルの解説


このコラムは、東京アクアガーデンに在籍するアクアリストたちの経験・意見をもとに作成しています。

東京アクアガーデンでは水槽設置・メンテナンス業務に15年以上携わっておりますので、数多くのソイルを扱っています。

実務から得た知識と経験をもとに、おすすめのソイルや粒の大きさによる使い分け、掃除方法など、ソイルについて深く解説しますので、ご参考になさってください。

アクアリウム用のソイルとは?ソイルの特徴について


ソイルとは、アクアリウム用に土を粒状に焼き固めたものです。
水に溶けないよう加工されているほか、水草に必要な栄養や水質の調整剤などが含まれており、水草を育成したり、水中にある余分な栄養を吸着してくれたりと熱帯魚水槽に良い作用をもたらしてくれます。

土といえば、園芸用を思い浮かべますが、園芸用の土をアクアリウムの底砂として使用することはできません。ソイルには、園芸用の土にはないアクアリウムに適した特徴があります。

ソイルの特徴

アクアリウム用のソイルには、アクアリウムに使うのに最適な3つの特徴があります。

■ソイルの特徴

  • 水草育成に必要な肥料が含まれている
  • 水質(pH)を一定に保つための調整剤が含まれている
  • 水が濁りづらく作られている
  • 柔らかく、水草が根を張りやすい環境を作れる

水草は砂利ではなかなか育ちづらいことがありますが、ソイルには元から水草育成に必要な肥料が含まれているため、比較的容易に水草を育成することができます。

さらに、多くの水草が好む弱酸性の軟水に傾ける作用を持つ種類もありますので、水質を一定に保つのに効果を発揮します。

砂や砂利は水を入れたときなど、何かの拍子に舞いやすく、水が濁ってしまうことも少なくありません。ソイルはその形状から、水中で舞うことがなく水がクリアに保たれます。

これらの特徴から、アクアリウムの中でも特に水草を育成する場合には、砂利・砂ではなくソイルを選択する人が圧倒的に多いです。

ソイルの種類について


たくさんの商品が販売されているソイルですが、「能力」と「粒の大きさ」で分類することができます。

自分の水槽に合ったソイルを見つけるには、この2つのポイントを考慮して選んでいくのがおすすめです。

能力別に分類する(2種類)

ソイルの能力は、選択する上でとても大切な要素です。

能力は主に「栄養系」・「吸着系」の2種類に分類することができます。

注意事項として覚えておいていただきたいのが、どちらのソイルも一方の能力しかないわけではありません。より効果を高めて特化した製品もありますが、両方の能力を兼ね備えたソイルもありますので、選ぶ際はよく確認するようにしましょう。

■栄養系ソイル

栄養系ソイルは名前のとおり、栄養が豊富なソイルで水草を育成するのに最適です。

購入した段階で栄養が最大限に含まれており、使用を続けていくと時間とともにソイル内の栄養が減っていきます。水草が栄養を吸収するたびに、ソイルが栄養を吐き出していくイメージです。

ソイルに含まれる栄養が減っていくと、栄養がなくなった隙間に水の汚れや水質の悪化につながる有害な物質が吸着されるようになりますので、水質改善の役目も果たすようになります。
これが、先ほどの解説の中にあった「両方の能力を兼ね備えたソイルもある」ということです。

■吸着系ソイル

吸着系ソイルは、熱帯魚や水草にとって有害な物質を取り除くことに適したソイルです。

栄養系とは反対で、元々ソイルに含まれる栄養が少ないため、導入当初から有害物質を吸着していきます。水槽立ち上げ直後でバクテリアが少なく水の汚れやすい状態の時に使用すると、水をきれいに保ちやすくなります。

水槽立ち上げ時には、水質が安定せず水が汚れたり濁ったりするトラブルに見舞われがちですが、吸着系ソイルを使うことで回避できることも少なくありません。

粒の大きさ別に分類する(2種類)

ソイルを選定するうえで、粒の大きさで悩まれる方も多いです。

粒の種類に応じた特徴を簡単にご説明していきますので、ソイル選びの参考にしてみてください。

■ノーマルタイプ

マーフィード 水質調整底床 コントロソイル ノーマル 3L

よく見かける丸い粒状のソイルが「ノーマルタイプ」のソイルです。

一般的には、こちらのソイルを使用されることが多いでしょう。パウダータイプと比較すると、こちらの方が価格も控えめで扱いやすいです。

特にこだわりがない場合は、ノーマルタイプをおすすめします。

■パウダータイプ

マーフィード 水質調整底床 コントロソイル パウダー 10L

「パウダータイプ」は、ノーマルタイプと比較して粒が細かいソイルです。

メーカーによって、同じパウダータイプでも粒の大きさに違いがありますので、購入する際には注意しましょう。スーパーパウダーと呼ばれる、さらに粒の細かい種類も存在します。

パウダータイプのソイルを選ぶ理由としては、水草の根張りが関係します。例えば、水槽手前に植え込む前景草など根が短く抜けやすい水草の場合にパウダータイプのソイルを使うことで抜けづらくなります。

ノーマルタイプと比較すると価格は高めですが、粒子が大きいと水草を植え直しする際に根が傷付きます。
草丈が短く、抜けやすい水草を植える場合はパウダータイプを使用しましょう

ソイルを長持ちさせる方法

費用を抑えながら、よりソイルを長持ちさせる方法として、ノーマルタイプを敷いた上にパウダータイプを覆うように敷く方法があります。この方法を使えば、水草が植えやすくコストも安い上に、見た目もきれいに仕上がります。

ソイルを使用するメリット


ソイルの主なメリットは次の3つです。

  • 水草の育成に最適
  • 水質の維持や改善効果が期待できる
  • 水の濁りを改善する

ソイルの持つ栄養分や効能から水草を育成している水槽で、特に効果を発揮します。

■水草の育成に最適

ソイルは水草を育成するのに最適な底砂です。

ソイルはもともとが自然の土ですので、植物である水草の育成に必要な栄養が含まれており、水草をスムーズに育てることができます。これは、ほかの床材にはないソイル最大のメリットです。
柔らかい底床を作れるため、細い・小さい水草も根を張ることができます。

■ソイルは水草と共存できる熱帯魚や生き物と相性が良い

ソイルは水草と共存できるタイプの熱帯魚や生き物の飼育に向いています。

  • テトラ類
  • ラスボラ
  • 小型シュリンプ
  • メダカ

テトラ類やラスボラなどは、水草が茂った環境で映えますし、弱酸性の水質を好みますのでソイルと相性が良いです。小型シュリンプにも向いていますので、チェリーシュリンプやビーシュリンプなどを飼育する場合に、ソイルを使うことも多いです。

一方で、金魚は底砂をつついてしまうため、粒が崩れるソイルでの飼育は向きません。また、底物(ドジョウ、コリドラス、プレコなど)も崩しやすいことから、別の底砂を使うことをおすすめします。

■水質の維持、改善の効果が期待できる

ソイルには、水質を弱酸性の軟水に傾ける効果を持つ種類があります。

水質を変化させ一定に保つことが比較的容易になりますので、弱酸性や軟水を好む生体が飼育しやすいです。また、多孔質のソイルには、水をきれいにしてくれる有用なバクテリアが住み着きやすくなるため、たくさん定着することで水質が改善します
実際に、養分よりもこの多孔質の効果を重視しているアクアリストもいます。水槽の長期維持に、こうしたバクテリアの水質改善効果は大切な要素だからです。

さらに、ソイルに空いた無数の穴には、水に含まれる有害物質を吸着する効果もあります。
コストやデメリットがあっても、採用されるのには理由があるということです。

■水の濁りを改善する

吸着系ソイルは水質だけでなく、水の濁りを改善する効果も期待できます。

水中に流木をレイアウトしている場合、流木を入れることでアクが発生して水が濁ることがあります。アク以外にも、水中に含まれる不純物などが原因で濁ることがありますが、このような濁りの原因物質もソイルは吸着してくれます。

水の濁りでお悩みの場合は、吸着系のソイルの使用もおすすめです。

ソイルを使用するデメリット


ソイルのデメリットは、

  • 定期的な交換が必要
  • コケが生えやすい

の2つです

床材の交換は手間がかかりますので、メリットだけでなくデメリットも確認してから使用することをおすすめします。

■定期的な交換が必要

ソイルは焼き固められた土です。
長期間使いつづけると、栄養がなくなり泥状に形が崩れてしまうため、1年に1回程度の頻度で交換する必要があります

大磯砂などの砂や砂利は半永久的に使用できますので、これはソイルの大きなデメリットです。泥状に崩れてしまったソイルを使用しつづけると、水草は根を伸ばすことが困難になり次第に枯れてしまうため、定期的に交換するようにしましょう。

■コケが生えやすい

ソイルを使用することで、コケが生えやすくなる場合があります。

ソイルには水草に必要な栄養が含まれていますが、この栄養は微量ながら水中に溶け出しています。水草がたくさん生い茂っているような水槽でしたら、溶け出した栄養も水草が吸収してくれますが、余剰な栄養は、自然に生えたコケが消費していくことがほとんどです

水草の少ない水槽でソイルを使用すると、コケの繁殖を促して水槽内がコケまみれになってしまい、水槽内部が観賞しにくくなることもあります。
コケの繁殖を抑えるためには、水草の量に合わせてソイルの使用を検討するなど対策が必要です。

ソイルのおすすめ商品


ソイルにもたくさんの種類がありますので、初めて使う場合にどれを選ぶべきか迷ってしまうことも多いです。

ここでは、プロが選ぶおすすめのソイルをご紹介します。どれも入門編として購入しやすい分量・価格の商品ですので、ソイル選びの参考にしてください。

■ドクターソイル

寿工芸 ドクターソイル 2kg

ドクターソイルは、水質維持・改善効果の高いソイルです。

ソイルの中でも特に多孔質で、吸着効果に優れます。水質が安定しやすいため、やや繊細な熱帯魚やシュリンプにも使うことができます。水草も十分育成できますが、水草の数や種類が多い場合は、必要に応じて肥料を添加すると繁茂しやすくなります。

■水草一番サンド

ジェックス 水草一番サンド 4kg

水草一番サンドは、その名のとおり水草の育成に向いたソイルです。

栄養系ソイルですので、本格的な水草水槽を作りたい場合におすすめします。栄養が豊富で扱いにコツがいるソイルではないため、初心者の方でも安心して使うことができます。

熱帯魚水槽から初めて水草水槽に挑戦する場合に使ってみてください。

■プラチナソイル(スーパーパウダータイプ)

ジュン (JUN) プラチナソイル スーパーパウダー ブラック 3L

吸着系のソイルで、扱いやすさに定評があります。

吸着性に優れるため、水質の安定はもちろん、水の透明度を維持しやすい、水槽の立ち上がりが早いといった特徴があります。スーパーパウダータイプは粒が非常に細かいことから水草の根張りが良く、根が短く抜けやすい種類でも安心して使うことが可能です。

■マスターソイルネクスト HG パウダー

ジュン (JUN) マスターソイルネクスト BR(ブラウン) パウダー 3リットル

プラチナソイルと比較して栄養が多く、より水草向けのソイルです。

栄養系とはいえ、吸着能力もありますので、水槽の立ち上げやソイルの交換時の濁りを抑えられます。熱帯魚やシュリンプなど、生体重視でしたらプラチナソイル、水草重視の場合はマスターソイルを使うことをおすすめします。

■コントロソイル

マーフィード 水質調整底床 コントロソイル 10L

リーズナブルで利用しやすい、吸着系のソイルです。

定期的に交換する必要があるソイルで安価な点は、費用を抑えたい方におすすめです。また、大型水槽にソイルを入れる場合にも良いでしょう。

■アクアソイル アマゾニア

アマゾニアは栄養系ソイルの中でも、特に栄養が豊富な種類です。
現在、長期欠品中ですが、養分や機能性から根強い人気のあるソイルです

水草がよく育ちますので、水草水槽やネイチャーアクアリウムの底床材として採用されています。
水草が少なかったり、生体が多かったりする場合は、栄養過多でコケが発生することがありますので、水槽内のバランスには注意しましょう。

ソイルのお手入れについて


ソイルの掃除の必要性と頻度は悩みやすいポイントです。

バクテリアの減少と粒がくずれることを考慮して、「掃除をしない、もしくは頻度を下げるべき」といった話も耳にします。

ここでは理由をふまえて、ソイルの掃除の必要性と頻度について解説します。

ソイルの掃除は必要か

「ソイルの掃除は必要ない」といった話も聞かれますが、結論としてソイルは掃除したほうがよいです。

ソイルは意外とフンや餌の食べ残しなどで汚れるため、そのまま使いつづけることで水質の悪化などを引き起こします

「掃除をすることで有用なバクテリアを一緒に吸い出してしまう」という意見もありますが、バクテリアを吸い出してしまうことよりも、汚れたソイルが及ぼす悪影響のほうが深刻と考えられます。ソイルの掃除は、ぜひ行ってください。

ソイルの掃除の頻度と掃除の仕方

ソイルの掃除は水換えを行うタイミングで行うと良いです。

ソイルを観察して、汚れが目立つようでしたら掃除を行いますが、あまり汚れていないようでも底床には意外と汚れが堆積していますので、1か月に1回は掃除するようにしましょう。

掃除の方法は、専用のクリーナーを使って汚れを吸い出す方法が簡単でおすすめです。

スドー ソイルの目詰まり用クリーナー

掃除の際に余計な力を加えると、ソイルの形が崩れて寿命を縮める原因となってしまいます。ソイルをつぶさないように優しく扱いましょう。

まとめ:熱帯魚水槽のソイルを選ぼう!タイプ別のメリット・デメリットを解説


今回はソイルの特徴と種類、そしてメリット・デメリットについて解説しました。

ソイルを選ぶ目安としまして、水草を育成するときにはソイルを選ぶことをおすすめします。

ソイルは定期的な交換が必要で、コストや手間もかかります。しかし、水草を育成しやすかったり、水質改善効果が期待できたりなどメリットもあります。

交換の手間もレイアウトを変える良いタイミングと考えて楽しむのも、アクアリウムの醍醐味ではないでしょうか。水槽や飼育スタイルにソイルが合っていると格段に管理しやすくなりますので、ぜひ、使用してみてください。

水槽のソイルについて良くあるご質問

水槽のソイルとはどのようなものですか?

ソイルとは、土を焼き固めて作ったアクアリウム用の底砂のことです。水中の物質を吸着する吸着系と養分を豊富に含んだ栄養系があります。
栄養系は水草の育成やエビなどの繁殖に利用されています。柔らかく根が張りやすい点からも水草水槽と好相性ですが、崩れやすいため、定期的な交換が必要です。

ソイルの種類と向いている水槽とは?

  • 栄養系:水草水槽、エビ水槽、メダカ水槽
  • 吸着系:熱帯魚水槽 など

栄養系は弱酸性の飼育水を好む熱帯魚や生き物におすすめです。吸着系は水質を安定させる効果があるため、新しく立ち上げる水槽などで活用されています。
栄養系と吸着系の両方の効果を備えた製品もあります。

ソイルの交換時期の目安とは?

ソイルは底砂の中では脆く崩れやすく、約1年ほどでの泥状になるため交換をおすすめします。
ソイルはすべて交換する方法と、崩れた粒を取り除き新しいものを補充する方法があります。
補充する場合は、フルイにかけて粒状を保っているものを再利用します。

ソイルに向いているろ過フィルターとは?

  • 外部フィルター
  • 上部フィルター
  • スポンジフィルター

ソイルは型崩れすると泥状になるため、底面に設置するタイプのフィルターでは目詰まりするため向いていません。
ソイルに干渉しない位置から給水可能なろ過方式のフィルターがおすすめです。

 

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このコラムへのコメントやお悩み相談に届いた質問の回答

  1. Ts より:

    質問失礼します。

    現在新しい水槽を立ち上げようと思い、低床にADAのベーシックサンドを敷き、その上にバクター100、クリアスーパー、トルマリンBCを適量まぶし、アマゾニアを入れました。
    そこに流木や石のレイアウトの仮組みをしている最中なのですがまだなかなか植栽する水草を買いに行けません。

    そこで質問なのですが、低床に上記のものを入れたまま水草や水をいれず、どれくらい放置してもいいのでしょうか?
    1ヶ月前後放置してもいいものなのでしょうか?

    ご返答お待ちしております。

    • アクアガーデン編集部 より:

      実際に製品を使用していないため、正確な回答ではないことをご了承ください。
      水を入れなければ基本的に休眠バクテリアが活動することもないですし、養分も出ていくことはないでしょう。
      そのまま放置しても問題ないと考えています。
      しかし、放置期間後に確実に効果を発揮するかは分かりかねますので、詳しくはメーカーへお問い合わせをお願いいたします。

      こちらはバクテリア剤についてのコラムですが、良ければご参照ください。
      ・水槽用バクテリア剤の必要性・メリットやデメリットを解説します
      https://t-aquagarden.com/column/bacterial_liquid

      よろしくお願いいたします。

執筆者 木下 裕人

熱帯魚業界歴もうすぐ20年!
海水やアクアテラリウムなど、さまざまな水槽を担当してるアクアリストです。
アクアリウム専門のYouTubeチャンネル『アクアリウム大学』も配信中!よろしくお願いいたします!

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