水槽の飼育水を混ぜてはダメな理由!魚追加の注意点と種水について
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水槽を複数設置している場合、ほかの水槽の飼育水を混ぜたら楽に管理できるのでは…と考えたことはありませんか?
魚の飼育をしている水槽には、硝化バクテリアを初めとした有益な微生物がたくさん繁殖しているため、水換えや新たに水槽を立ち上げるときなどに飼育水をうまく活用すれば、バクテリアを移築する種水のような役割を果たします。
この方法ならばバクテリア剤を購入せずにすむためコスパが良いですが、飼育水を混ぜるときは元の水槽の状態に十分注意が必要なことも。
水槽の飼育水には有益な微生物以外にも、汚れや病原菌、寄生虫などが潜んでいる可能性があるため、飼育水を混ぜた結果他の水槽まで病気を広げてしまうといったリスクがあるからです。
そこで今回は、別の水槽の飼育水を混ぜてはいけない理由を解説します。
目次
プロアクアリストたちの意見をもとに別の水槽の飼育水を混ぜてはいけない理由を解説
このコラムは、東京アクアガーデンスタッフであるプロのアクアリストたちの意見をもとに作成しています。
水槽を新たに立ち上げるときなどに、すでに運用している水槽の飼育水を混ぜて、早く水槽を立ち上げようと考える方もいるでしょう。
しかし、水槽の飼育水を混ぜるのは熱帯魚に様々な影響を及ぼすリスクがあるため、慎重に行う必要があります。
ここでは、実務経験から得た知識をもとに、別の水槽の飼育水を混ぜてはいけない理由を解説します。
水槽の飼育水を混ぜてはダメな理由
運用中の水槽の飼育水を他の水槽に混ぜる行為は一見メリットがあるように思いますが、それ以上のリスクが伴う可能性が高く推奨されていません。
ここでは、水槽の飼育水を混ぜてはいけない理由を解説します。
飼育水を混ぜたからといって、その影響は見た目にはとても分かりづらいもの。だからこそ、どんな変化が起こるのかをしっかり確認しておきましょう。
水質が異なるから
別の水槽の飼育水を混ぜてはいけない理由としてまず挙げられるのが、水質の違いです。
閉鎖空間である水槽の中の環境は水槽ごとに完結しており、たとえ同じ魚を同じように飼育管理していても全く同様の水質になるということはありません。
ここでいう水質の違いとは、pHだけでなく水の汚れ具合や硝化バクテリアの数など目に見えない細かい部分までを含みます。
そのため、安易に飼育水を混ぜてしまうと水のバランスが崩れて水質が不安定になってしまうことがあるのです。
水質に変化があれば当然、生体のコンディションにも影響を及ぼします。
元から不安定な水槽に安定した飼育水を混ぜるのなら問題ないと思われるかもしれませんが、この場合もやはりリスクは伴いますので、一つ一つの水槽が別物であるということを意識して管理をしましょう。
汚れが混ざるから
飼育水を混ぜることで単純に不要な汚れが混入する可能性があります。
生き物を飼育する水槽には多かれ少なかれ汚れがあるものですが、それまでなかった汚れが急に入ってくると生体がストレスを感じて免疫力が低下し、病気にかかりやすくなる恐れがあるのです。
また、コケが多い水槽から飼育水を持ってくるとコケの胞子や養分が移って、別の水槽でもコケが繁茂してしまうリスクもあります。
菌や寄生虫が混ざるから
病原菌や寄生虫が混入するリスクも見逃せません。
一度でも病気や寄生虫感染が発生したことがある水槽の飼育水は特に危険で、病気が収まっているように見えても水中に原因菌が潜んでいる可能性が高く、移築先へ病気を広げる原因になります。
中でもエロモナスやカラムナリスといった細菌症状や、水カビ、寄生虫の発生が確認された水槽の水は、絶対に他の水槽に混入しないよう注意してください。
そもそも上記のような病気が発生した水槽は、水槽をリセットしてすべての水を入れ替えるぐらいの大規模な改善を検討するべき状態です。
病気の再発を防ぐため、対応を確認しましょう。
魚・水槽を追加する際の注意点
既存の水槽に新しく熱帯魚を追加するときや、もう一台新たに水槽を立ち上げるときなどは、特に別の水槽の飼育水が混入しやすいタイミングです。
ここでは、熱帯魚を購入してきたときの袋の水の扱い方と、新水槽に既存の水槽の飼育水を入れる方法などを解説します。
袋の水は捨てて魚だけ導入しよう!
アクアリウムショップで熱帯魚を購入すると、必ず魚と飼育水を一緒に袋詰めしてくれますが、この袋に入った水は水槽に入れないよう注意してください。
先述の通り、水質の違いや寄生虫・病気を持ち込む危険があります。
プロが管理している飼育水ならば問題さそうに感じるかもしれませんが、お店の水槽は魚の数が多く出入りも激しいので、自宅の水槽よりもトラブルになりやすいです。
新規に立ち上げたばかりの水槽ならば、水質的な問題が起こりにくい面はありますが、それでも袋の水は入れないに越したことはありません。
新規で魚を購入してきたらまずトリートメント期間を設けて問題ないことを確認した後に、水合わせをしてから魚だけを網ですくって水槽に入れるのが、安全な導入方法です。
少し手間ではありますが、魚の健康のためにしっかり手順を踏んで導入しましょう。
安定している水槽の飼育水ならば種水として利用可能
新規に水槽を立ち上げる際に、既存の水槽の水を少し混ぜることで種水として活用できます。
種水にできるのは、
- 病気が発生したことがない
- 今現在体調を崩している魚がいない
- 水質が安定している
の3点を最低限クリアしている水槽の飼育水です。
このような調子が良い水槽には水をきれいにしてくれる硝化バクテリアなどの有益な微生物がたくさん住みついているため、新しい水槽に少し飼育水を混ぜるだけで立ち上がりやすくなるなどの良い効果をもたらしてくれる可能性があります。
反対に、水が汚れやすい水槽や、寄生虫・細菌由来の病気が発生したことがある水槽の水は、水中に有害な微生物や物質が潜んでいる可能性があるため、種水には適しません。
このような水槽の水はいかなる理由があっても、他の水槽に飼育水に混ざらないように注意しましょう。
種水については後述します。
種水について!混ぜてもいい飼育水とは
種水は新しい水槽を立ち上げるときに活用すると、バクテリアが定着しやすくなるなどの良い効果をもたらしてくれるものです。
ここでは種水について、種水の役割や活用できる飼育水、アイテムなどをご紹介します。
種水はバクテリアを含んだ水
種水とは、新しく設置したばかりの水槽を素早く立ち上げるためのバクテリアを含んだ水のことです。
状態がよく十分にバクテリアが定着していると考えられる水槽の飼育水や、運用中の水槽のろ材や砂利も種水と同じように利用できます。
市販のバクテリア剤も似た役割を果たしますが、種水はすでに活性化したバクテリアが含まれているので即効性・安定性が高いです。
バクテリアは、生き物が排出するフンや餌の食べ残しといった有機物を分解して比較的無害な硝酸塩に変えてくれる、生物ろ過に欠かせない微生物です。
バクテリアが充分に定着した水槽は、水が汚れづらくなり2週間に一度の水換えや掃除だけでも水質がしっかり安定します。これが水槽が立ち上がった状態です。
設置したばかりのまだバクテリアがほとんどいない状態から完全に水槽が立ち上がるまで、通常は約1ヵ月ほどかかると言われていますが、種水を入れて直接バクテリアを添加すれば、この期間が大きく短縮できる可能性があります。
種水の使い方
他の水槽の飼育水を種水にするときは、種水の量を新しい水槽の水量の2~3割程度に抑えて、残りは新しくカルキ抜きをした水を用意してください。
種水をたくさん入れた方がバクテリアが早く定着するのでは、と思われるかもしれませんが、やはり菌などの持ち込みが心配です。
一方新しい水は、魚に有害な菌やコケの胞子がいっさい入っていない、非常に安全な水ですので、水槽の水のメインは新しい水にするのが適切でしょう。
ろ材や砂利を流用する場合も、同じように新しいものに少量混ぜる程度で大丈夫です。
また種水を入れた後も、しっかり立ち上がるまではこまめに水換えをして、水質を維持します。
バクテリアの流出を気にして水換えを控えてしまうと、水が汚れて水質の急変などを招く危険がありますので、注意しましょう。
水質検査薬で亜硝酸塩やアンモニアなどの濃度をチェックしながら、適切な頻度で水換えをしてください。
まとめ:水槽の飼育水を混ぜてはダメな理由!魚追加の注意点と種水について
他の水槽の飼育水を混ぜる危険性や、新しい水槽の種水として活用する方法を解説しました。
基本的に、他の水槽の飼育水を混ぜるのはあまり推奨されていません。
飼育水の中には、病気の原因となる菌や寄生虫、汚れ、コケの胞子などが潜んでいる可能性があり、不用意に混ぜると病気などの感染を広げる原因になることがあるからです。
一方で、状態が良く安定している水槽の飼育水には、水をきれいにしてくれる有益なバクテリアが大量に繁殖しているため、新しい水槽に種水として少量混ぜると、水槽の立ち上がりが早くなるといったメリットがあります。
十分にリスクを理解した上で、飼育水を有効に活用してみてください。
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