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川と海では大きく水流が異なります。
川は上流から下流まで、単一方向で水流が流れていることに対し、海は強弱が付いたランダムな水流が流れています。
そのため、海水魚水槽を設置する上では水槽内にランダムな水流を作る必要があります。
しかし、ランダムな水流を作るには何よりも経験が必要です。
水槽サイズに対して、水流ポンプや水流の向きを考えることは勿論ですが、水槽内をレイアウトする際も、水流を考慮して構成する必要があるからです。
ベテランのアクアリストは水流にこだわるため、水槽の水流を見ただけで水槽のレベルが分かる方もいます。
そこで、わたしが考える海水魚にとって最適な水流が必要な理由と作り方について解説していきます。
目次
海水魚における最適な水流の理由1:デトリタスの除去
ライブロックを使用し複雑なレイアウトする海水魚水槽では、止水域といって水槽内で水が停滞しデトリタスが溜まりやすくなる場所ができてしまいます。
そこで水流ポンプを使い、止水域が生まれるのを防ぎます。
ろ過フィルターから排出される水流+水中ポンプの水流でランダムな水流を起こし、水槽全体に淀みが出ない、つまりデトリタスが溜まらないように循環させるのです。
『デトリタスが溜まらない場所を作る=最適な水流を作る』のが海水魚水槽を維持する上で大切なポイントです。
海水魚における最適な水流の理由2:海水魚の健康維持
すべての海水魚にはやや強い水流が必要です。その理由として、強い言い方になりますが強制的に泳がせる必要があるからです。
強制的に見えますが、適度に泳がせることで、魚は適度に疲労し空腹となり餌を食べます。
これは飼育につながるポイント大切なポイントです。
海水水槽では、水が緩やかに動いているような弱い水流だけではデトリタスが溜まってしまいます。
かといって強すぎる水流は魚の体力を必要以上に奪うため良くありません。
ただし例外もいるから要注意です。
例を上げると、最も有名なのはユウゼンというチョウチョウウオが代表的です。
特にユウゼンは日本が誇る固有種で主に小笠原諸島に生息しています。
このユウゼンは小笠原に流れる激しい潮流で有名な黒潮に乗り、凄まじい勢いで泳いでいます。
そのために、水槽内で強い水流を再現できなければたちまち調子を崩し、抵抗力が落ち結果として寄生虫が付着しやすいように感じます。
もしかしたら、自然界の激しい水流のある場所では、そもそも寄生虫が付着することが難しいという理由から健康が保たれているのかもしれません。
他にもニザダイと言われるハギ類、そしてハナダイやハナゴイなどのドロップオフと言われる強い潮流があるところで生息している種には、相応の水流が必要です。
しかし、最適な運動量などの関係から、ユウゼンはパワフルな水流で管理してあげると良い結果に繋がります。
上記種類を含む流れが強い種を飼育する際は、生息地を参考にした強い水流を意識して、水流ポンプやフィルターの吐出口をセットしましょう。
海水魚における最適な水流の理由3:サンゴの健康維持
サンゴ水槽を上手に管理する上で大切なのは、光、水質、水流の3つが重要と言われています。もちろん、私もその通りだとおもいます。
サンゴ水槽に水流が必要な2つの理由
- サンゴの隙間に溜まるデトリタスの除去
- サンゴに生えるコケの除去
はじめに、サンゴの隙間に溜まるデトリタスの除去です。
サンゴは基本的に自ら動くことができないため、サンゴの隙間に溜まるデトリタスは、水流で吹き飛ばす以外に除去できません。
写真はサンゴ飼育難易度が高いと言われるミドリイシの仲間で、飼育下5年を超えた個体です。
SPSと言われるミドリイシ類はとくに敏感で、デトリタスが少しでも溜まるとそこから衰弱し白化現象を起こしてしまいます。
また、スターポリプもデトリタスが溜まることでポリプを出しづらくなり、どんどん衰弱してしまいます。
つぎに、サンゴに生えるコケを除去する理由です。
サンゴの生態には、健康維持のために粘液を分泌して汚れやコケを取り除いたり、余分な褐虫藻を吐き出すという一連の流れがあるためです。
しかし、十分な水流がないと分泌した粘液がいつまでもサンゴに付着したままとなり、やがて窒息してしまうのです。
これが、サンゴに水流が必要と言われる理由です。
ただし、一部例外なサンゴも存在します。
上の写真のようなアザミハナガタサンゴやバブルコーラルなどの共肉が大きいサンゴは、水流が強すぎると悪影響を受けることがあります。
強すぎる水流が当たると、サンゴの共肉が剥がれてしまい死んでしまうのです。
そのため、これらのサンゴは、水槽内でもなるべく水流が緩やかな場所へ配置しましょう。
海水魚水槽・サンゴ水槽における最適な水流の作り方
つぎは、最適な水流の作り方を解説していきます。
海水魚水槽とサンゴ水槽の水流を作る上で大切なのは、オーバーフロー式ろ過の循環ポンプや、外部フィルターの選定です。
写真の水槽は、横幅60×奥行45×高さ45cmの水槽で、外部フィルター(エーハイム2217)を使用しています。
一般的に横幅75~90cm水槽用として推奨されているろ過フィルターですが、最適な水流を作れることから良く採用しています。
さらに、ろ過フィルターの吐出口とは反対方向に、水中ポンプを沈めて水流を作ります。
今回使っている水中ポンプは、ナプコリミテッドのマキシジェットですが、排水口にエーハイムのシャワーパイプを接続し、水槽下から上に向かって吹き上げることで、全体的に淀みなく水が流れるようにしています。
そうすることで、エーハイム2217から排出される水は水槽上で循環し、マキシジェットで水槽底辺の水を回して淀みを無くす工夫をしています。
この様に、淀みを無くし水槽全体を回してあげることがとても大切です。
オーバーフロー水槽でもそうですが、水中ポンプを付ける場合は、ろ過器から排出される水流と反対方向に、水中ポンプを設置しましょう。
もし、ろ過器から排出される水流と同じ流れで水中ポンプを設置してしまうと、単一方向の流れになり川の流れになってしまいます。
油膜ができるということは、そこに汚れが残ってしまっているというサインで、循環がうまく出来ていない証拠です。
そのため、単一方向の水流ではなく2方向以上の水流、いわゆるランダムな水流が必要なのです。
最近ではサンゴ水槽用の水流ポンプが多く発売されており、ほとんどの機種は「太い水流」が売りとなっています。
これは、水槽全体を回すことを意識していますよということなのです。
まとめ:海水魚水槽に水流ポンプを入れて最適な水流を作ろう!水流の作り方も解説!
海水魚水槽・サンゴ水槽において、水流がとても重要なウエイトを占めている理由を解説しました。
わたしが、サンゴ飼育を初めて実践したのが今から約19年前です。
当時の水流ポンプはすべて直線的に出るものしか無かったため、120cm程度の水槽に水中ポンプを4台程度設置・さらにそのポンプを間欠運転させてランダムな水流を作っていました。
しかし、時代の進化とともに良い水中ポンプが現れて、最近では造波装置同様な自然の潮流をモードで選定できるようなポンプまで商品化されており、誰でも最適な水流が作れる時代になってきています。
水流についてお悩みの方は、本記事をご覧になっていただき一度見直してみてはいかがでしょうか。
みなさまの少しでもお役に立てれば幸いです。
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