
水槽の全換水はいつするのか?水槽の水を全部抜くときの疑問を解説
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アクアリウムで日常的に行う水換えでは、一度に換える水の量は全体の1/3程度に留めるのが一般的です。
これは、水換えによって水質や水温が急変するのを抑えるためであり、それ以上の水を交換すると魚に負担を掛けてしまう可能性があるとされています。
しかし、水槽を管理していると部分換水ではなく、すべての水を抜いての全換水が求められることがあるのも事実です。
では、リスクを押してでも全換水をする場面とは、具体的にどのようなケースが該当するのでしょうか。また、全換水をすることで魚や水草に与える影響や注意点も気になるところです。
そこでこのコラムでは水槽の全換水について、よくある疑問や具体的なタイミング、手順、注意点などを解説します。
目次
プロアクアリストたちの意見をもとに水槽の全換水をするタイミングや疑問を解説
このコラムは、東京アクアガーデンスタッフであるプロのアクアリストたちの意見をもとに作成しています。
病気の蔓延や水槽環境が著しく悪化した時など、通常の水換えでは対応しきれないトラブルに見舞われた際は全換水をして、水槽全体をクリーンな状態に戻すことがあります。
ただし、全換水をすると水質が急変して魚に負担を掛ける可能性があるため、リスクを知ったうえで行うかどうかを判断するのが良いでしょう。
ここでは、実務経験から得た知識をもとに、水槽の全換水をするタイミングや疑問を解説を解説します。
全換水の疑問3選!
アクアリウムの管理において、一度にたくさんの水を換えてはいけないというのがセオリーのため、いざ全換水をするとなるとどのように対応したらよいのか、生き物やバクテリアに与えるダメージは大丈夫なのか、など様々な疑問が湧いてきます。
そこでまずは、全換水を考えたときによく挙がる3つの疑問について解説します。
特に初心者の方は、疑問を解消してから全換水を行うと安心です。
疑問1:全換水したらバクテリアはいなくなる?
水槽の飼育水には、水の汚れを分解してきれいにしてくれる硝化バクテリアが棲み付いています。
そのため、全換水をしたらこのバクテリアがいなくなってしまうのではないかと疑問に思われる方もいるでしょう。
結論から言うと、全換水をしてもバクテリアが全滅するようなことはありません。量は減ってしまいますが、水を換えただけならばろ過フィルターの中や底砂に定着したものが残っているため、時間が経てばまた元通りに増殖します。
ただし、全換水直後はバクテリアが減少した影響で水質が不安定になりやすいので、こまめに水換えをするなどして水質の安定に努めましょう。
また、フィルターや底砂を洗浄するときは水道水ではなく、カルキを抜いた水ですすぐ程度にすると、バクテリアの過度な減少を抑えられます。
疑問2:水を抜いたら水槽を洗うべき?
全換水で水槽の水をすべて抜いたタイミングで水槽の中をしっかり洗浄するのは、非常に効果的です。
詳しくは後述しますが、全換水をするタイミングというのは病気やコケの蔓延など何らかのトラブルが起こっていることがほとんどで、このトラブルの元が水槽内に残っていると、全換水をしてもすぐに再発してしまう可能性があります。
また、水槽の臭いやコケ汚れは水が張ってあると緩和されるため、水をすべて抜くと普段は気にならなかった汚れが目につくこともあるでしょう。
このようなトラブルやコケ、悪臭は水槽のガラス面や底砂、レイアウトなどに溜まった汚れが原因となっていることが多いので、全換水のタイミングで水槽の壁面や隅の汚れをしっかり落としておくと、トラブルが改善するばかりか、その後の水質が安定しやすくなり美観も維持できます。
水槽の掃除には洗剤は使わず、スポンジやスクレーパーなどを使って優しくこそぎ落としましょう。
疑問3:水草があるけど水を抜いていいの?
底砂に水草を植えこんでいる場合、簡単に移動することができないため、水草を入れたまま水を抜くことになります。
水草へのダメージを不安に思われるかもしれませんが、基本的には短時間であれば、水草が外気にさらされても大きな問題になることはありません。
ただし、何らかの理由で注水まで時間がかかる場合は、水草が乾燥しないように濡らしたキッチンペーパーや新聞紙をかぶせて保湿するといった対策をすると安心です。
注水する際はキッチンペーパーを外し、水草に負担を掛けないよう優しく丁寧に水を注ぎます。
また全換水のタイミングでレイアウトを変更したり、トリミングしたりするのも良い方法です。
水槽を全換水するタイミングとは
水槽に大きな影響を与える可能性がある全換水は、しかるべきタイミングを見極めて行うことがとても大切です。
ここでは、水槽の全換水を行うタイミングを具体的にご紹介します。
水槽全体が調子を崩しているとき
全換水を行う一つ目のタイミングが、あらゆる対策を行っても水質が改善しないときです。
- 白濁りが数日たっても消えない
- 魚が鼻上げしている(酸欠症状)
- pHが安定しない
- アクが大量に出ている
- 飼育水が臭う
といった症状がみられるときは、水槽全体のバランスが崩れていると考えられます。
特に鼻上げといった魚に明らかな不調が出ているときは、早急な対処が必要です。
まずは、通常量の水換えをこまめに行ったりエアレーションや添加剤、活性炭を使用したりといった対策を行い、状況が改善するかを確認してください。
もし、効果が一時的ですぐに同様のトラブルが起きるようならば、思い切って全換水を行い環境をリセットすることで状況を打破できる可能性があります。
同じ病気の魚が複数出たとき
同じ水槽から同じ症状を呈する病魚が複数出ているときは、全換水をすることで病気の蔓延を食い止められます。
特に白点病などの寄生虫感染症や、水中の常在菌であるカラムナリス菌やエロモナス菌に感染して起こる病気は、水槽内に病原体が残りやすく、病気の治療を行っても水槽側の環境を改善しない限り、再発を繰り返す可能性が高いです。
これらの病気が発生しているときは症状が出ている魚を隔離して治療を行っている間に、水槽の全換水をして水槽環境を改善しましょう。
また、全換水と合わせてろ材の交換や底砂、レイアウト素材の消毒をするとさらに病気のリスクを抑えられます。
金魚などの成長を促したいとき
金魚やベタなどの丈夫な魚種を、小型の飼育容器でろ過フィルターを使わずに飼育する場合、こまめに全換水を行って水質を維持することがあります。
全換水をすることで水質の悪化を防ぐのはもちろん、換水による刺激が魚の代謝を促進して、健康的な成長をサポートする効果があると考えられているのです。
ただ、とても画期的にも思えるこの飼育法ですが、有効なのは水質の変化に強い魚種限定で、多くの熱帯魚は全換水のメリットよりもデメリットの方が強く出てしまう点にはご注意ください。
また、有効とされる魚種でも状態を見極める経験が必要なため、初心者の型は通常のろ過装置を使った飼育に慣れてから挑戦するのがおすすめです。
水槽を移動させるとき
水槽を移動する場合は、安全のため水をすべて抜いてから持ち運ぶのが適切です。
水を張ったままだと、水の重みや揺れによって水槽に過度な負担がかかり、最悪の場合ガラスが破損する恐れがあります。
引越しや設置場所の変更で水槽を移動する際は、飼育している生体や水草を別容器に移し、水をすべて抜きます。
流木や岩といったレイアウト素材、ろ過フィルタ―や水槽用ヒーターなどの機材もいったん外に取り出しましょう。
水槽が完全に空になったら新たな場所に移設し、水を張って再び水槽を立ち上げます。
水を「交換」するための対応ではありませんが、事故を防ぐために移動する際は全換水を行いましょう。
水槽の全換水をする方法
水槽の全換水を決めたら、以下の手順で行うとスムーズです。
- 飼育水を入れたバケツ等の容器に、すべての生体を移動する
- クリーナーポンプや水中ポンプを使って水をすべて排出する
- 水槽壁面や底床、装飾品、ろ材などを掃除する
- カルキ抜きを抜いて水温を合わせた新しい飼育水を注水する
- 水合わせをして生体を戻す
生体を隔離している容器は、酸欠や急激な水質の悪化を防ぐために必ずエアレーションを設置してください。
水温が変動しないよう、直射日光を避けてできるだけ室温が安定している場所に置いておくことも大切です。
ろ材や床材の洗浄では、付着しているバクテリアを流し過ぎないよう、カルキを抜いた水で優しくすすぎ洗いをします。目に見える汚れを落とすイメージで優しく洗い流しましょう。
最後に新しい飼育水は、水温をしっかり合わせて生体の負担を軽減します。
まとめ:水槽の全換水はいつするのか?水槽の水を全部抜くときの疑問を解説
水槽の全換水について解説しました。
大量の水を頻繁に交換するような管理法は魚に負担を掛けますが、病気の蔓延や水質の悪化などやむを得ない事情がある場合は、状況を打破するために全換水を行うことがあります。
大切なのは、全換水を非常時の対処法として正しく理解し、適切なタイミングで安全に行うことです。
初めてだと不安に感じるかもしれませんが、知識を持って作業すれば大きなトラブルになることはありません。
むしろ水質の悪化や病気の蔓延をそのままに中途半端な対応をすると、状況が深刻化してく可能性もあります。通常の水換えや工夫で改善が見込めない場合は、思い切って全換水に挑戦してみてください。
手遅れになる前に、水をリセットしてクリアな環境に戻し、魚の健康を守りましょう。
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