メダカの飼い方
野良グッピーとカダヤシの違いとは!混合しないための確認方法と採集の注意点のサムネイル画像

野良グッピーとカダヤシの違いとは!混合しないための確認方法と採集の注意点

コラムでは各社アフィリエイトプログラムを利用した商品広告を掲載しています。

海外の熱帯魚というイメージの強いグッピーカダヤシは、気候変動や人為的な持ち込みの影響から、近年、日本の河川に定着している姿を見かける機会が増えています

グッピーとカダヤシは同じ卵胎生メダカの仲間すが、品種としては別物です。
法律上の扱いも異なるため、もし採取した個体を飼育したいと考えているならば、混同しないように注意しましょう。

熱帯魚ショップで販売されているグッピーは、鑑賞用に華やかに改良された個体が多いので違いが明確ですが、自然に放流されたいわゆる”野良グッピー”は、外見がメダカやカダヤシとそっくりなので、一目で見分けるはかなり難しいです。
交雑の心配もありますし、確認せずに飼育していると気付かずに法律違反となることもあります

そこで今回のコラムでは、野良グッピーとカダヤシの見分け方と採集した際の注意点について解説します。

プロアクアリストたちの意見をもとに野良グッピーとカダヤシの違いを解説


このコラムは、東京アクアガーデンスタッフであるプロのアクアリストたちの意見をもとに作成しています。

野良のグッピーとカダヤシは、日本の河川に定着する事例が増えており、川遊びなどの際に捕まえて遊ぶことができます
しかし、実はカダヤシは特定外来生物に指定されている飼育ができない魚のため、もし採取して連れ帰るならば、しっかり品種を見極められるよう特徴を把握しておくことが大切です。

ここでは、実務経験から得た知識をもとに、野良グッピーとカダヤシの違いを解説します。

野生化したグッピーやカダヤシが増えている!


日本の河川で見かける小魚と言えばメダカが一般的でしたが、最近は本来日本にはいなかったグッピーやカダヤシが河川に定着しており、日本全国で見かける機会が増えています

野生化したグッピーやカダヤシはメダカと同じような薄茶色っぽい色に変化するため、メダカだと思っていた魚が実は野良化したグッピーやカダヤシだったということも少なくありません。

ここで問題になるのが、川遊びで魚を採取したり飼育目的で連れ帰る場合です。
見た目こそよく似ている3種ですが、メダカとグッピー・カダヤシでは繁殖や飼育の仕方に違いがあるため、適切な環境を用意するには種を見分けることが必須です。

またグッピーとカダヤシは、一緒に飼育すると交雑することがあるほか、そもそもカダヤシは特定外来種に指定されているため飼育をすることが禁止されていますし、自治体によっては採取するだけでも条例違反になる可能性があります。

このような事情があることから、川遊びをする際は、野良グッピーとカダヤシの違いや特徴をよく理解しておく必要があるのです。

野良グッピーとカダヤシはどこが違う?


野生化したグッピーとカダヤシは、生態が似通っている上にどちらも稚魚を生む卵胎生メダカの仲間です。
外見もそっくりですが、よく観察すると体型や泳ぎ方に違いがあるため、ポイントを覚えておけば誰でも見分けることができます。

ここでは、野良グッピーとカダヤシの違いをご紹介します。

野良グッピーとカダヤシの簡単な見分け方!

野良グッピーとカダヤシの見分け方のポイントは、主にヒレ・体色・泳ぎ方の3つです。
採取した個体をプラケースなどに入れて確認すると、違いをしっかり観察できるでしょう。

ヒレや体型の違い

グッピーとカダヤシを見分けるポイントの一つ目が、ヒレと体型です。
流通しているグッピーが大きな尾ビレを持つように、野良のグッピーも尾ビレは大きめ。また、背ビレの位置が尻ビレと一直線に揃うのもグッピーの特徴です。

まとめると、

グッピー:尾ビレが大き目で扇形・背ビレと尻ビレの位置が揃っている
カダヤシ:尾ビレが小さくて丸みを帯びている・背ビレは尻ビレより後方に付く

といった体型の違いがあるため、グッピーとカダヤシを見分けるときはヒレの形や位置に注目してみましょう。

体色の違い

アクアリウムショップの華やかなグッピーに比べると、野良のグッピーはかなり原種に近い地味な色をした個体が多いです。
しかしよく見てみると改良品種由来の模様や色味が部分的に残っていることがあります。

一方カダヤシは、体全体が灰褐色で目立つ模様などはありません。

泳ぎ方の違い

グッピーとカダヤシには泳ぎ方にも違いがあります。

グッピーは群れを作る習性があり、まとまって穏やかに泳いでいることが多いです。

一方カダヤシは単独行動を好む魚で、泳ぎが素早くて活発。他の魚を追い回すといった攻撃的な一面を見せるのも特徴です。

グッピーは寒さに弱く、カダヤシは耐寒性がある

(熱帯魚)ブルーグラスグッピー(国産グッピー)(1ペア) 北海道・九州航空便要保温

グッピーとカダヤシは適応できる水温が異なることから、日本国内の分布にも違いがあります

グッピーは南米原産の熱帯魚で、適水温は25℃前後。高水温には比較的強いですが、寒さに弱く、自然だと日本のほとんどの場所で冬を越すことができません
そのためグッピーが野生化して定着しているのは、沖縄県や温泉地、工場などから温排水が流れ込む一部の川といった、一年を通して水温が高めの川に限定されています

一方カダヤシは北米原産の、耐寒性を持った非常に丈夫な魚です。
低水温に強いため日本いたるところで越冬が可能。池や用水路など場所を問わず、各地に定着しています。
そもそもカダヤシは、蚊の幼虫であるボウフラを食べることから人為的に各地の河川に放流された歴史があります。そのことからも、グッピーよりも日本に定着しやすい性質を持っていることがわかるでしょう。

性格や繁殖力の違い


どちらも似たような性質を持つグッピーとカダヤシですが、野生化した時により危険視されているのはカダヤシです。
この理由は両者の性格と繁殖力の違いにあります。

グッピーはとても温和な性格の魚で、ほかの魚を傷つけるようなことはほとんどありません。約4週間ごとに数十匹の稚魚を産みますが、暖かい地域でしか生きられないことから、日本での繁殖状況は限定的です。在来種と交雑することもないので、生態系への影響も今のところ少なくすんでいると考えられます。

一方カダヤシはグッピーよりも活発で、様々な地域で積極的に繁殖する傾向が強いです。
短期間で爆発的に殖える繁殖力がある上に性格も攻撃的なため、メダカなどの在来種の住みかを奪う危険性がグッピーよりも高いとして、特定外来生物に指定されました。

野良グッピーとカダヤシの飼育について


じっくり観察しないと見分けが難しい野良グッピーとカダヤシですが、知らずに飼育していると法律違反になってしまう危険があります。

ここからは、野良グッピーとカダヤシの飼育について解説しますので、見分けることの重要性を改めて確認してみてください。

野良グッピーは飼育OK!カダヤシは飼育NG!

野良グッピーとカダヤシで最も注意しなければならないのが、法律上の扱いの違いです。

グッピーは外来種ではありますが、特定外来生物に指定されているわけではないので、採取した個体を家に連れて帰って飼育することができます

しかし、カダヤシは採集しても飼育することができません
カダヤシは法律で特定外来生物に指定されており「生きたまま運ぶ、飼育する、別の場所に放流する」といったことが固く禁じられています。
カダヤシの無許可飼育は違反に当たるため、採集しても決して持ち帰らないようにしましょう。

ちなみに自治体によってはカダヤシの採取や、再放流(捕まえたものをその場で逃がす)自体が禁止されていることもあります
川遊びをするときは、必ず自治体の決まりも確認するようにすると安心です。

グッピーとカダヤシは交雑する危険がある


卵胎生の仲間同士であるグッピーとカダヤシは、同じ環境にいると交雑してしまう可能性が高いです。
交雑は遺伝的に不安定な雑種が誕生しやすくなるため、水槽内はもちろん、自然でも生態系への影響が未知数なことから避けるべき事象とされています。

ただ最近は交雑する習性を利用して、増え過ぎたカダヤシをグッピーと交配させることで個体数の減少に成功したという研究結果が出ているので、一概に悪いことと言い切れないのも事実です。

とはいえ、このような研究は専門機関によるものですし、そもそもカダヤシの個人での飼育は禁止されていますので、自宅で行うのは絶対にやめましょう

野良グッピー採集の注意点


現時点では、野生化した野良のグッピーならば、採取をして自宅で飼育することができます
ただし、一度野生化した個体であることに変わりはありませんので、流通しているグッピーと混泳させるときなどは少し注意が必要です。

最後に、野良グッピーを飼育する注意点を解説します。

再放流は厳禁!最期まで飼育しよう

GEX ジェックス グラステリアスリム450 6点セット DCポンプ フレームレス水槽 W45×D20×H22cm 約17L【EC】

採集した野良グッピーを再放流することを禁じる法律はありませんが、アクアリウムを楽しむうえで、一度飼育した生き物を自然に放流するのはルール違反です。
たとえ野生の生き物を捕まえてきたのだとしても、飼い始めたからには必ず最後まで責任を持って飼育を続けましょう

もし野良グッピーがカダヤシと同じように特定外来生物に指定されれば、現在アクアリウムショップで販売されている観賞用のグッピーの飼育も規制されてしまいます。
飼育魚の放流はアクアリウムの幅を狭める可能性がある危険な行為だということを、肝に銘じておくことが大切です。

寄生虫などがついている可能性がある

薬動物用医薬品 病魚薬 魚病薬 メチレンブルー200ml

野良グッピーは自然の河川で生活しているため、寄生虫や病気を持っている可能性があります。
既存の水槽に野良グッピーを追加するときは、導入する前に必ずトリートメント期間を設けてから、水槽に入れるようにしましょう

メチレンブルー』や『グリーンFゴールド顆粒』などを使って薬浴をした後、1週間ほど別容器に隔離して様子を見ます。
隔離期間中は餌を少なめに与え、泳ぎ方や目に見える寄生虫が付着していないかをよく観察してください。

餌を積極的に食べてキビキビと泳いでいることが確認できたら、本水槽に移動しましょう。

鑑賞用グッピーと野良グッピーの混泳について

一般的に流通している鑑賞用のグッピーと野良グッピーを混泳させる場合は、こちらも交雑に注意してください

見た目が多少違っていてもグッピー同士です。同じ水槽に入れていれば、かなりの確率で交雑します。
野良のグッピーは元は改良品種の華やかなグッピーであったものが多く、鑑賞用グッピーと交配することで思わぬ形質を持ったグッピーが生まれてくることがあるでしょう。
しかし、その一方で原種の要素が色濃く出て、子供世代がどんどん地味になっていってしまう可能性もあります。

これは野良グッピーに限らずどの品種にも言えることですが、現在持っている形質を守りたいのであれば、品種ごとに分けて飼育するのが良いです。

まとめ:野良グッピーとカダヤシの違いとは!混合しないための確認方法と採集の注意点


野良グッピーとカダヤシの違いや、飼育する上での注意点などをご紹介しました。

放流などの影響で近年見かける機会が増えている野良グッピーやカダヤシですが、カダヤシが特定外来生物に指定されていて採取や飼育が禁止されているため、捕まえて楽しみたいときはしっかり区別する必要があるでしょう。

どちらも卵胎生の仲間で似たような性質を持ちますが、尾ビレの大きさや背ビレの位置、体色のわずかな違いや泳ぎ方などをじっくり見比べると、見分けられます。

野良グッピーは採取して自宅で飼育ができますが、一度飼育した個体を再放流するようなことは絶対にやめてください。

野良グッピーもカダヤシも本来は日本に生息していなかった外来生物です。
日本固有の在来種であるメダカの生息地域を守るためにも、野良グッピーとカダヤシをしっかり見分けて適切に扱いましょう

コメントする

コメント時の注意事前にご確認ください
  • 商品・製品に関するご質問はメーカーや販売店にお問い合わせください。
  • アクアリウムの管理、熱帯魚に関するお電話でのご質問は承っておりません。
  • 魚の病気・トラブルに関するご質問は、飼育環境ごとに対策が異なるため、正確にお答えすることはできません。
  • 1つのご相談内容につき、1回のご返信とさせていただきます。
  • コメントへの回答はお時間をいただく場合がございますので予めご了承ください。
  • 返信はコメントをご投稿いただいたページ上でさせていただきます。
  • ご入力いただいたメールアドレスは、サイト上に掲載されることはありません。
  • お名前はニックネームでも大丈夫です。サイト上に掲載されますので、ご希望のお名前をご入力ください。

執筆者 Hara.kazu

子どもの頃から魚や昆虫を飼育し、アクアリウム歴は約30年になります。
グッピーやプラティ、ネオンテトラなどの入門魚飼育から始まり、シクリッドのブリーディングなどを経て、最近ではアクアテラリウムのレイアウトを楽しんでいます。

facebook twitter instagram youtube tropica

お問い合わせ

サービスのお問い合わせ・見積依頼

水槽や機材、熱帯魚のレンタル・設置・メンテナンスがセットになった水槽レンタル・リースサービス お手持ちの水槽をプロのアクアリストがメンテナンスしてくれる水槽メンテナンスサービス 水槽リニューアルサービス水槽引っ越しサービスなど様々なサービスがございます。
お見積りは無料となっておりますのでお気軽にお問い合わせください。