
塩水浴の失敗例5つ!魚が塩水浴で弱ってしまう原因をケースごとに解説
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浸透圧を利用して魚の体力の回復を図る塩水浴は、思い立った時に家にあるもので実践できるポピュラーな魚の治療法です。
薬剤と違って魚に負担を掛ける心配がないので、初心者の方でも安心して実行できますし、体調不良の原因に関わらず一定の効果が期待できるため、魚が体調を崩したらとりあえず塩水浴で様子を見るという方も多いのではないでしょか。
しかし、その一方で塩水浴をしたらかえって魚が弱ってしまった、調子が回復しないといった声が上がることも。
これは、もしかしたら塩水浴の方法が間違っているのかもしれません。
今回はそんな塩水浴で起こりやすい失敗について解説します。
よくある失敗例とポイントを具体的にご紹介しますので参考にしてください。
目次
プロアクアリストたちの意見をもとに塩水浴の失敗例5つの原因をケースごとに解説
このコラムは、東京アクアガーデンスタッフであるプロのアクアリストたちの意見をもとに作成しています。
様々なケースで汎用的に使える塩水浴は、魚飼育の強い味方です。
しかし、正しい方法で行わないと思ったような効果が得られず、かえって症状が進んでしまうこともあります。
ここでは、実務経験から得た知識をもとに、塩水浴の失敗例5つの原因をケースごとに解説します。
塩水浴の失敗例5つ!魚が弱る原因とは
塩水浴は初心者の方でも比較的実践しやすい治療法ですが、正しい方法で行わないと思ったような効果が得られないことがあります。
塩水浴を成功させるためには、失敗例やその原因を知っておくことが大切です。
そこでまずは、塩水浴でよくおこる失敗例を5つご紹介します。
失敗1:塩分濃度が適切ではなかった
塩水浴がうまくいかない原因で最も多いのが、塩分濃度が適切ではなかったケースです。
塩水浴で使用する塩水は塩分濃度に明確な基準があり、基本的には0.5%、水1Lに5gの塩を溶かした濃度の水を使用することが推奨されています。
この0.5%は、治療に用いる浸透圧の効果を最大限に活かしつつ淡水魚でも耐えられる絶妙なバランスの濃度で、これより高いと塩水に耐性の無い淡水魚はダメージを受ける可能性も。
反対に低すぎても効果が得られないので、しっかり分量を量って正しい塩分濃度の水を用意することが大切です。
塩水の浸透圧とは
魚の体内の塩分濃度は約0.7~0.9%、対して淡水は0%なので、水中では浸透圧の原理に従い、常に魚の体の中に水が侵入してこようと圧がかかっています。
健康な魚は体表の粘膜で水を防いだり余分な水分を尿として体外に排出したりして体内のバランスを保ちますが、体調を崩しているとこの行為すら体力を削る負担になることも。
そこで、飼育水を0.5%の塩水に変えることで体内バランスに使用していた体力を温存し、体調回復に努める、というのが塩水浴の基本的な考え方です。
失敗2:水換えが足りなかった
塩水浴期間中に水換えをしていなかった、回数が足りなかったというのも、よくある失敗の一つ。体調を崩している魚に水換えは負担になると考える方もいますが、塩水浴中はこまめに水換えをするのが正しいやり方です。
塩水浴は、基本的に本水槽とは別の容器に魚を隔離して行いますので、水をきれいにするバクテリアが不足しています。また、塩に含まれるミネラル分により水質がアルカリ性に傾きやすいため、アンモニアの毒性が強くなりやすいです。
このような環境では水が汚れて魚に負担を掛けてしまいますので、しっかり水換えをして環境を整えましょう。
塩水浴中は毎日2/3~全量の水換えが基本です。換水に使用する水も塩分濃度0.5%の塩水を用意し、濃度が変わらないよう気を付けてください。
また、水換えをすることで雑菌も排出できて、治療効果の向上も期待できます。
失敗3:エアレーションをしていなかった
塩水浴では塩水によってバクテリアがダメージを受けるのを避けるため、基本的にろ過フィルターを使用しません。
しかし、フィルターの無い環境では水流が滞り、酸欠や水が淀んでしまう心配がありますので、エアレーションをして最低限の水流を起こすと良いでしょう。
エアストーンを使った単純なエアレーションがあれば十分ですが、投げこみ式フィルターやスポンジフィルターなどのエアーポンプに接続して使う簡易的なフィルターを設置するのも良い方法です。
簡単なろ過フィルターでも塩水の劣化を遅らせる効果が期待できます。
失敗4:塩に弱い魚種・生き物だった
様々な淡水魚に活用できる塩水浴ですが、中には塩水やアルカリ性気味の水質が苦手で塩水浴による治療ができない魚種もいます。
有名なところでは、弱酸性の水質を好むネオンテトラを始めとしたカラシン類、南米原産の熱帯魚、体が小さくて水質の変化に弱いビーシュリンプなどの小型エビ類です。
これらの魚種を治療するときは、薬浴や水温調整など他の方法で対処するようにしましょう。
また、一部の古代魚も塩水浴は避けたほうが良いという意見があります。
ただ、古代魚は薬にも耐性が無い場合があるので、どの治療をするかをよく考えた上で塩水浴を行うのも一つの方法です。心配な場合は0.3%程度の低濃度から始めて、注意深く様子確認するようにしてください。
失敗5:餌を与えすぎてしまった
体力を回復してもらおうと多めに餌をあげてしまっていた、というのも塩水浴失敗の原因です。
魚は餌を食べるのにも消化するのにもエネルギーを使うため、体力が落ちている塩水浴中に餌を大量に与えるとかえって症状を悪化させてしまう危険があります。
また、先ほどもお話した通り塩水浴をしている環境は水が悪くなりやすいので、餌やフンによって水が汚れて水質の急変を招く可能性もあるのです。
このような理由から塩水浴中は絶食が基本、与えるならばごく少量に制限して、食べ残しはすぐにすくうなどの工夫が必要となります。
失敗しない!塩水浴のポイント
塩水浴の失敗例を確認したところで、続いては塩水浴を成功させるポイントをご紹介します。
失敗の原因を踏まえながら、ポイントを押さえて効果的に塩水浴を行いましょう。
塩を計測するコツ
塩分濃度を確実に調整するには、塩の量を正確に量る必要があります。
普段、料理をするときなどは計量スプーンで量ることが多いと思いますが、計量スプーンだと塩の状態で密度が変わってしまい、常に一定の量を量るのが難しいです。
そのため、塩水浴用の塩を計量するときは、キッチンスケールといった重さを正確に量れる機材を使うことをおすすめします。
水1Lに塩5gを基準に水量に合わせて塩の量を調整してください。
塩はご家庭にある食塩で問題ありませんが、新たに購入するならば塩水浴用の塩が販売されています。
専用品には魚に良いミネラル分が配合されているものや、計量不要のタブレットタイプのものなどがありますので、お好みで選べるのも嬉しいです。
ただし、にがり入りや味付きの塩は思わぬ水質変化を招く可能性があるので使用しないようにしましょう。
塩水浴の容器は2つ用意しよう
塩水浴をする際は、隔離用の容器を二つ用意しておくと便利です。
上記でも触れましたが塩水浴中は毎日全換水が基本になるので、換水中に病魚を避けておいたり、同じ大きさの容器ならば日替わりで交互に使用したりといった使い方ができます。
換水用の新しい塩水はカルキ抜きや水温調整が必要なため、必ずしも作ってすぐに魚を入れられるというわけではありません。
そういう意味でも予備の容器を用意しておくと安心です。
ちなみに、換水中に魚の行き場がないからと言って、本水槽に戻のはやめましょう。
魚病薬と併用するには
一部の魚病薬は、塩水浴と併用すると効果を高めることができます。
以下が併用できる魚病薬です。
- グリーンFゴールド顆粒
- メチレンブルー
- 観パラD
- アグテン、ヒコサンZ(マラカイトグリーン)
- エルバージュエース
- レスバーミン
薬の殺菌効果に塩水の体力温存効果が加わることで、自己治癒力が高まって症状が早く改善する可能性がありますので、併用方法を覚えておくと良いでしょう。
ただしいくつか注意点もあります。
まず塩水と薬浴を併用した場合も毎日全換水が基本となるため、換水のたびに塩分と薬の濃度を調整しなければなりません。
また、毎日添加する分薬の使用量が増えるので、魚病薬は多めに用意しておきましょう。
それから、基本的には塩水と薬の併用は問題なことが多いですが、魚種や症状、体調によっては逆効果になる場合もありますので、しっかり状態を把握したうえで、状況に応じて臨機応変に対処法を変えていくことも必要です。
まとめ:塩水浴の失敗例5つ!魚が塩水浴で弱ってしまう原因をケースごとに解説
塩水浴での失敗についてご紹介しました。
多くの魚種、症状に対応できる塩水浴は、初心者でも取り組みやすい魚の治療法です。
しかし、やり方を間違えると効果を得られないどころか症状を悪化させてしまう可能性もあるため、慎重に行いましょう。
特に塩分濃度と水換えは重要です。
塩分濃度は少し濃くなるだけで、魚へダメージをあたえてしまいますので、水と塩の量をしっかり計量して、正確な濃度に調整しましょう。
また塩水浴中は水が悪くなりやすいので、毎日全換水をして常に清潔な環境を維持してあげることも大切です。
せっかく塩水浴をするのであれば最大限の効果を引き出したいもの。今回紹介した失敗例を参考に、塩水浴を実践してみてください。
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