CO2添加の影響とは!魚・水草など生体や水槽へのメリット・デメリット
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淡水アクアリウムを続けていると、誰しも一度はCO2を添加するかどうか検討したことがあるのではないでしょうか。
確かに、水草をきれいに茂らせたり、難しい水草を育成したりするにはCO2が欠かせません。本格的な水草水槽を作りたいと考えるならば、CO2添加は避けては通れない道です。
しかし、CO2は水草だけでなく、水質や生き物に影響を与える可能性があるため、少し注意が必要な機材でもあります。
影響の範囲を確認せずに実行してしまうと、生き物が体調を崩してしまうことがありますので、CO2を添加することで起こる変化を確認しておきましょう。
今回は、CO2添加による影響を解説します。
魚や水草、そして水槽全体にどのようなメリット、デメリットがあるのかをご紹介しますので、参考にしてください。
目次
プロアクアリストたちの意見をもとにCO2添加が魚や水草に与える影響についてを解説
このコラムは、東京アクアガーデンスタッフであるプロのアクアリストたちの意見をもとに作成しています。
水草を本格的に育成するためには、CO2添加が欠かせません。
しかし、CO2がもたらす影響は良い面だけでなく、魚や水質にとってはあまり良くない結果になることも。
効果的にCO2を添加するためにも、CO2にはどのような効果があるのかや、生き物に与える影響を知っておきましょう。
ここでは、実務経験から得た知識をもとに、CO2添加が魚や水草に与える影響についてを解説します。
CO2添加を行う影響・メリット・デメリット
CO2添加は水草のために行うため、つい水草の成長にばかり目が行ってしまいますが、実は同じ水槽で暮らす生き物や水質に、良くも悪くも様々な影響を与えます。
ここでは、CO2添加を行うことによる影響を解説します。
生体、水草、水槽全体に分けてそれぞれに与えるメリットデメリットをご紹介しますので、確認してみてください。
魚・エビへの影響
CO2が魚やエビなどの生体へ与える影響としては、水質や溶存酸素量の変化が考えられます。
上手く利用すれば、pHを管理するのに役立てることができますが、水質にシビアな魚やエビを飼育している場合は、影響を強く受けてしまう可能性がありますので、注意してください。
メリット:pHが下がる
CO2を添加すると、pHが低下します。
熱帯魚やエビ類は弱酸性を好む品種が多いので、この性質を利用して弱酸性の水質を保つことができるのは大きなメリットでしょう。
特にエビ飼育では、水質を弱酸性にするためにソイルを使用することが多いのですが、CO2添加でpHを管理できれば底砂の選択肢を増やすことができます。
ただし、アフリカンシクリッドなどの中性~アルカリ性寄りの環境を好む魚はCO2を添加した環境には適さないため、魚の特性を考慮して添加するようにしてください。
デメリット:酸欠になりやすい
CO2添加が原因で、生き物が酸欠やCO2中毒を起こす可能性がある点には、十分注意が必要です。
酸欠やCO2中毒は、水中の二酸化炭素量が多すぎることで発生します。
特にまだ水草が生えそろっていない環境では、CO2の消費量や光合成によって生み出される酸素量が少ないため、トラブルが起きやすいです。
また、水草は夜の間は光合成をせずに酸素を消費するため、CO2を添加していると酸欠に繋がります。朝の間だけ魚が鼻上げなど行動を見せるのが、夜間酸欠の典型的な症状です。
これらのトラブルを防ぐためには、まず育成している水草の量と添加するCO2の量のバランスを見極めることが大切です。
そして、夜の間はCO2の添加を止めて、念のためエアレーションをしておけば酸欠の心配はかなり減ります。
万が一酸欠になった場合は、大幅な水換えをして酸素を供給しましょう。
このような理由から、溶存酸素が豊富な強い水流を好むような魚を飼育する場合はCO2の添加を避けた方がよいです。
水草への影響
CO2添加は基本的に水草の育成のために行うもの。当然、水草に良い影響を与えてくれますが、実はデメリットが目についてしまうこともあります。
水草水槽だからと特に考えずに添加してしまうと、逆に管理がしづらくなる場合もありますので、しっかりデメリットも理解しておきましょう。
メリット:成長が良くなる
水草にCO2を添加するメリットは、何と言っても水草の光合成が活発になって、より美しく育成できるという点です。
光合成が活発になると成長が促進されて、早く繁茂するようになります。ただ成長が早くなるだけでなく、葉の色艶が良くなってより美しい姿を見せてくれるのもポイントです。
また、CO2を添加しなくても育てられる水草でも、CO2を添加するとかなり見応えある姿になるもので、葉の色が鮮やかになったり、大きく成長したりと、水草が本来持っているポテンシャルを最大限引き出すことができます。
もちろん、水草を良い状態で育成するにはCO2添加以外にも照明や肥料の力が不可欠です。
しかし、中でもCO2から得られる恩恵は多いので、添加することで水草育成のやりがいや醍醐味を感じやすくなるのではないでしょうか。
デメリット:こまめなトリミングが必要になる
CO2の添加により、水草の成長が促されるのは嬉しいことですが、成長が早くなる分、手入れの回数を増やさなければならない点は頭に入れておきましょう。
水草が繁茂しすぎるとレイアウトが崩れやすくなりますし、水流が滞って淀みが発生したり、光が水槽全体に十分届かなくなったりといった弊害も生まれます。
また、魚の遊泳スペースが減ってしまうのも地味に問題で、運動不足になった魚がストレスから体調を崩してしまうことがあるのです。
そのため、CO2を添加するときは全体のバランスを見ながらこまめにトリミングをして、レイアウトを整えることが大切となります。
生い茂る水草の隙間を熱帯魚が泳ぐ…そんな水景はとても美しく、SNSでも賞賛される傾向にありますが、このようなレイアウトはベテランのなせる業。絶妙なバランスで成り立っていることも少なくありませんので、まずは無理をせず、こまめにトリミングをして安定した環境を維持することを第一に考えてみてください。
水槽への影響
CO2の添加は水槽全体への影響も大きいものです。
水草の光合成が促された結果もたらせる良い影響は、アクアリウムの質を上げてくれますが、一方でコスト面などが負担になる可能性もあります。
メリット:昼間は酸素が発生しやすくなる
CO2を添加することで水草の光合成が促進されるので、日中は酸素が発生しやすくなります。
水中の酸素量が増えると生き物が元気に活動するようになるので、水槽全体が活気づくでしょう。また、酸素は水のろ過に欠かせないバクテリアの働きも活性化してくれるので、飼育水をきれいに維持しやすくなるのも利点です。
そして、水草の光合成が活発になると葉に気泡を付ける姿を鑑賞できるのも忘れてはいけません。これは、パールグラスなど一部の水草に見られる現象なのですが、葉の先に気泡が付いた水草はとにかく美しく、また葉から離れた気泡が上に登っていく姿も絶景で、この水景に憧れてCO2添加を決めるアクアリストも多いです。
しかし上記でも紹介したように、夜間は酸素の発生が止まるどころか酸素の消費が増えるので、その点は注意してください。
デメリット:コストがかかる
CO2添加は、導入にも維持するのにもコストがかかります。
CO2添加器はそこそこ値が張るものが多いですし、運用を始めた後も定期的にCO2ボンベを交換しなければなりません。
そもそも、CO2添加をするぐらい水草の育成に力を入れている水槽では、CO2添加以外にも肥料や照明などにお金がかかりますので、それらを総合的に考えながら、無理なく運用できるよう予算を決めておくと、長期的に管理がしやすくなります。
コストを抑えながらCO2を添加したい場合は、こちらのコラムも参考にしてください。
CO2添加時の水質維持について
CO2添加は水槽内の様々なものに影響がありますが、中でも深刻な問題に発展しやすいのが酸欠やCO2中毒です。
これらは熱帯魚の命に直結しますので、症状がみられる場合は早急に水換えやエアレーションをして対処してください。
また、酸欠やCO2中毒を防ぐにはCO2の添加量をしっかり調整することが大切です。
おおよそ30~40mg/Lが目安ですが、水槽内の状況によって適正量は変わりますので、水中のCO2量を見ながら調節するのが良いでしょう。
水中のCO2量は、pHとKHの量を計測することで大まかに判断することができます。
CO2の溶存量を知るためのpH、KHとの相関表もありますので、いつでも確認できるように用意しておくのがおすすめです。
■CO2とpH、KHの関係性
KHは水質の変化をやわらげる緩衝材のような役割があり、CO2を添加しても適正範囲内ならば急激なpHの低下は起こりません。
つまり、KHの値がいつもと変わらないのにpHが低下している場合は、CO2が過剰になっている可能性があると判断することができます。
pHは6.0~6.5程度であれば概ね問題ありません。
もし、pHを6.5以上に上げたい場合はKHも4以上になるよう調整すると、CO2とのバランスがとりやすくなります。
水草とKHの関係については、こちらのコラムも参考にしてください。
CO2添加しても水草の調子が悪いときの対処法
CO2を添加しても水草の状態が改善しないときは、その他の環境に要因があることが考えられます。
水草は、光、肥料、CO2に飼育水といった、水草を取り囲むすべてのバランスが整っていないと、本来の美しさを発揮することはできません。
例えば光量不足の場合は、
- 照明の光量が不足している
- 水草が陰になって光が当たっていない
といった原因が考えられます。トリミングやレイアウトを調整することで、水草全体に光が届いて調子が上がることもありますので、陰になっている個所が無いかも確認しましょう。
栄養不足が疑われる場合は、肥料を与えます。また、吸着系ソイルを使用している場合は、栄養系ソイルに変えるのも有効です。
いずれにしても、水草の調子が悪いと感じたら一つずつ時間をかけて原因を探ってみてください。
一気に手を入れると環境のバランスが崩れて、さらに調子を崩してしまうこともあります。
また、一つずつ原因を紐解いていくことで、何が原因だったのかが明確になって今後の水草育成に役立てることができます。
まとめ:CO2添加の影響とは!魚・水草など生体や水槽へのメリット・デメリット
CO2を添加した場合の影響について解説しました。
水草の育成を欠かせないCO2の添加ですが、やり方次第でよい方向にも悪い方向にも進みます。
特に生き物の酸欠やCO2中毒を引き起こす可能性がある点には、要注意です。
せっかく水草が美しく育っても、その他が調子を崩してしまっては意味がありませんので、水槽全体のバランスを見ながら添加量を調整しましょう。
どんな水草を育てるのか、水草中心のアクアリウムなのか、生き物の量などによって適したCO2の量や方法が変わってきます。
そのため、まずはどんな水槽を目指すのかをはっきりさせるのが成功させるポイントです。
今回の記事を参考に、美しい水草水槽づくりに挑戦してみてください。
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