アクアリウムコラム

水槽の保温トラブル!室温と水槽用ヒーターなど機材の管理!注意点を解説

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少しずつ朝晩の冷え込みが厳しくなってくる季節、アクアリウムでは水槽用ヒーターを本格稼働させる季節です。

熱帯魚などを飼育している水槽では、夏でも水槽用ヒーターを使用しているケースが多いですが、冬場は室温に低下に伴い水温も下がるため、冬を迎える前に一度動作チェックや設置の確認をしておくのがおすすめ。
周辺の温度が低いほど水槽用ヒーターの稼働率が上がり、機材にかかる負担も大きくなるため、故障などのトラブルに見舞われやすくなります。

また、飼育水の蒸発による空焚きやサーモスタットの故障、水温のムラなど、機材が原因となるトラブルにも注意が必要です。

この記事では、水槽用ヒーターや室温が原因で起こる保温トラブルと、その予防方法を詳しく解説します。
寒い季節も安定した水温で魚を飼育できるよう、冬本番を迎える前に準備を進めましょう。

プロアクアリストたちの意見をもとに水槽の保温トラブルを解説

大型水槽の設置作業を行う2人のスタッフの後ろ姿
このコラムは、東京アクアガーデンスタッフであるプロのアクアリストたちの意見をもとに作成しています。

冬の水温管理は、水槽用ヒーターを稼働したら終わりというわけではありません。
室温や機材の設置法、水位などをトータルで管理することで冬も安全にアクアリウムを続けられます。

ここでは、実務経験から得た知識をもとに、水槽の保温トラブルを解説します。

水槽の保温トラブルが起こる原因と影響

オレンジ色のベタと水温計の熱帯魚水槽
寒さが厳しくなる冬のアクアリウムでは、室内であっても水槽の保温が欠かせません。

水温を保つ対策としては水槽用ヒーターの使用が一般的ですが、ただ設置しただけではうまく水温を管理しきれなかったり、機材トラブルに見舞われたりと、不都合が出てくることも。

こうした水槽の保温トラブルは、保温機材の使い方や設置の仕方と水槽を置いている環境の管理不足が原因で起こることが大半です。

室温の低下に伴い保温器具の負担も増加する!

冬場に保温トラブルが起きやすい一番の原因として、水槽用ヒーターにかかる負担が増加することが挙げられます。

水温は周辺の外気温に合わせて変動する性質があり、暖房を使用しておらず室温が屋外レベルまで低下するような状況では、水の温度も連動して急降下しやすいです。
水槽用ヒーターは水温の低下を感知して水を温める機材なので、このような寒い環境では水温を保つために常にフルパワーで稼働を続けることになり、機材に負担がかかって故障しやすくなるでしょう。

また、水槽用ヒーターの設置の仕方にも注意が必要で、水面に露出していたり暖まった水がうまく循環していなかったりすると、火災や水温のムラにつながる恐れもあります。

水温低下による不調や火災に注意

水槽の保温トラブルで水温が低下すると、まず水中の魚たちに影響が出ます。

特に熱帯魚のような暖かい水を好む魚の場合、水温の変化に体がついていかず体調を崩し、最悪の場合命を落としてしまうこともあるでしょう。
金魚やメダカといった比較的低水温に強い生き物でも、一日に水温が乱高下するような環境では消化不良などを起こしやすいです。
また、水槽用ヒーターの設置場所によって水槽内で場所ごとに水温差ができてしまうのも、不調につながります。

さらに、水槽用ヒーターが水中から露出したまま通電すると空焚きとなり、本体の変形や事故につながる危険があるため注意が必要です。

冬場の水槽管理では、水温だけでなく、室温や水位、水流、水槽用ヒーターの状態までまとめて確認することが大切になります。

水槽用ヒーターが原因の保温トラブル

水槽内にいる数匹の魚と水槽用品
水槽保温の要となる水槽用ヒーターですが、使い方や設置場所に問題があると思うような効果が出ないばかりか、火災や水温のムラなどといったトラブルを引き起こす危険があります。

安全に使うためにも、水槽用ヒーターによる起こりやすい原因と対処法をあらかじめ確認しておきましょう。

飼育水の蒸発による空焚き

水槽用ヒーターに関連したトラブルで一番注意しなければならないのが、水面からヒーターが露出することにより起こる空焚きです。

冬は室内が乾燥しやすいうえに、ヒーターの熱で想定よりも早く水が蒸発してしまうことがあります。
いつの間にか水位が低下して水槽用ヒーターが空焚き状態になると、正確に水温を維持できないだけでなく、故障や火災の原因になるため十分注意が必要です。

特に一体型ではないサーモスタット単体の場合、水温センサーが空気中に出ると正確な水温を感知できません。室温を水温と勘違いしたまま加熱を続けて、水槽内が設定温度を超えてしまうことがあるでしょう。
さらに、水槽用ヒーター本体が露出したまま通電を続けると本体の温度が上がり続けて、故障や樹脂パーツの変形・溶損、最悪の場合は火災につながる危険もあります。

空焚き防止機能を備えたヒーターならば異常を察知しやすいですが、安全装置だけに頼るのではなく、普段から水位を確認しこまめに足し水をしたり、水換えの際は必ず電源を抜いてから作業してください。

サーモスタットの故障

コリドラスの仲間と水草の水中景観

水槽用ヒーターの動きを制御する、サーモスタットの故障にも注意が必要です。

サーモスタットは、センサーで水温を感知して水槽用ヒーターのON/OFFを自動で切り替える装置ですが、長期間使用していると内部部品に負担が蓄積して、金属部分などの劣化が進み、ヒーターの動作を正しく制御できなくなってしまいます。

水温が低下したときにヒーターのスイッチが入らず水温が低下したり、反対に設定温度を超えて過熱を続けたりと壊れ方はケースにより異なりますが、どちらも水中の生き物の命を脅かす危険があるトラブルであるのは変わりありません。

こまめにサーモスタットの動作状況を確認するとともに、水温計で実際の水温を計測して、安全に配慮しましょう。

ちなみに、水槽用ヒーターやサーモスタットは消耗品で、メーカーによっては一年を目安に交換することが推奨されています。ヒーター本体だけでなくコードが硬くなったり白く変色したりしている場合も、劣化のサインとして適切に対処してください。

水温にムラが発生する

水槽の場所によって水温にムラが出るのは、水槽用ヒーターの設置場所と水の循環ルートがかみ合っていない可能性が高いです。

水流が弱い位置に水槽用ヒーターを設置していると、暖かい水がヒーターの周辺に滞留しやすくなります。この状態が続くと、全体が温まっていないにも関わらずセンサーが設定温度に達したと誤判断してヒーターの動作を止めてしまい、水槽用ヒータから離れた場所との間に温度差が生まれてしまうのです。

また、暖かい水は上へ、冷たい水は下へ移動しやすいことも、水流で温度差が生まれる原因となります。

水温ムラを防ぐには、フィルターの吐出口付近など、飼育水がしっかり循環する場所へヒーターを設置するのがポイントです。
特に大型水槽では温か水が全体に行き渡りにくいため、水温計を水槽用ヒーターのすぐそばと少し離れた場所に二か所設置して温度を確認すると、水槽全体の状態を把握しやすくなります。

室温で起こる水槽トラブル

青とオレンジの縞模様のグラミーとネオンテトラ
冬場の水槽の水温は、室温の影響を大きく受ける点にも注意しなければなりません。
特に暖房を切った後の冷え込みは、水温の急変を引き起こす危険があります。

ここでは、室温が原因で起こりやすい水槽トラブルを3つ解説します。

暖房のON/OFFが水温に影響する

水槽を置いている部屋の室温の変化は、そのまま水温に影響します。

例えば昼間人のいる時間帯は暖房で部屋を暖めていても、外出時や就寝後は切っているという場合、暖房を切った後の部屋は室温が下がることが少なくありません。
特に深夜から明け方にかけての室温の低下はかなり厳しいため、水槽用ヒーターの過熱が追い付かず、水温が急低下してしまいやすいです。

さらに1日の中で水温が何度も上下する状態も要注意で、短時間で水温が変化するとストレスから、体調不良や白点病などの病気が広がるきっかけになります。

水槽を置く部屋は24時間エアコンをつけて室温を管理するのが理想ですが、難しいときは深夜から明け方に水温がどこまで下がっているか確認し、夜の間だけでも断熱シートなどで保温をするなどの工夫をするのがおすすめです。

室温が低くて水温が維持できない

水槽用ヒーターは水槽サイズや総水量に合わせてW数を選定するのが基本ですが、室温が10℃を下回るほど寒い場所ではパワーが足りず、設定温度まで水温が上がらないことがあります。

このような場合は、水槽用ヒーターのパワーを少し上のものに買い替えることで、水温を維持しやすくなるでしょう。ヒーターを買い替えた直後はこまめに水槽を確認し、適切な温度が維持されているか、水位の減りが早まっていないかなどを観察してください。

ちなみに、水槽用ヒーターの多くは室温15℃以上を使用環境の目安としており、ワット数だけで判断しないことが大切です。

水温と室温の温度差による結露

水温と室温の温度差が大きい冬は、水槽のガラス面やガラスフタに結露が発生しやすくなります。

結露が発生したときに注意したいのが、電源周りです。水滴が水槽の外側や電源コードを伝い、コンセントや電源タップまで達すると、漏電やショートなどの電気トラブルを起こす危険があります。
また、水分やほこりがコンセント周辺にたまると、トラッキング現象によって火災に発展するリスクにも注意が必要です。

そもそも水槽周りは結露以外にも、水が跳ねたりこぼれたりして濡れやすい環境のため、電源タップや配線の位置にはあらかじめ気を配りましょう。

さらに窓辺に置いた水槽では、コールドドラフト現象にも要注意です。冷えた窓付近から冷たい空気が流れ込むことで、水槽の背面だけが強く冷やされ、水温ムラが生じることがあります。
この場合もやはり、水槽の複数場所に水温計を設置してこまめに水温を確認することが安全な運用のポイントです。

水槽の保温トラブルを防ぐには

水槽内にネオンテトラの仲間が泳ぐ様子
水槽の保温トラブルを防ぐには、水槽用ヒーターだけに頼らず、水温や生体の様子、水槽まわりの環境まで総合的に整えることが大切です。
日々の観察に加え、断熱シートや水槽のフタを活用すれば、冬場の水温をより安定させやすくなるでしょう。

ここでは水槽の保温トラブルを防ぐポイントをご紹介します。

水槽や生体の状態をこまめに観察する

保温トラブルの早期発見には、水槽や生体の状態をこまめに観察し少しの異変を見逃さないことが第一です。

毎日の餌やりやお世話のときに、魚の動きが鈍くなっていないか、水槽の隅や底でじっとしていないかを確認しましょう。
合わせて水温チェックの習慣づけも大切です。普段の水温や時間による水温変化を知っておくことで、機材のトラブルやパワー不足にも気づきやすくなります。

直接確認が難しい外出時や深夜から明け方にかけては、最高水温と最低水温を記録できるデジタル水温計がおすすめ。一日を通しての水温変化を把握することが保温対策に役立ちます。

断熱シートなどを活用しよう

水温が上がりにくいときや一日の変化が激しいと感じるときは、水槽用ヒーターのパワーを上げる前に、水槽自体を物理的に保温する対策を検討してみましょう。

手軽なのは、ホームセンターや100円ショップなどで販売されているアルミ断熱シートを活用する方法です。水槽の背面や側面に貼るだけで冷たい外気の影響を受けにくくなり、熱を逃がさず水温を維持しやすくなります。

水温の低下が緩やかになればヒーターの稼働時間を少なく抑えることができ、消費電力の節約や、水槽用ヒーターの負担軽減につながるのもうれしいです。

見た目が気になる場合は、効果はやや薄まりますがバックスクリーンでも、同様の保温効果が見込めます。

冬こそ水槽のフタをしよう

魚の飛び出し予防に使用される水槽のフタも、冬場は立派な保温アイテムとなります。
水の熱は水面からも逃げていくため、フタをすることで飼育水の冷えを抑制できるからです。

さらに、水槽上部を覆うことで飼育水の蒸発を抑えられるのもポイント。過度な水位低下を予防して、センサーの認知異常や空焚きのリスクを軽減できますし、さらに、蒸発を抑えられる分水槽周辺の結露対策としても有効です。

コードや配管に影響がある場合は、無理のない範囲で開口部狭めて活用しましょう。
水槽のフタと断熱を組み合わせれば、水温を安定させながら水槽用ヒーターの負担も減らしやすくなります。

まとめ:水槽保温のトラブル!室温と水槽用ヒーターなど機材の管理!注意点を解説

水草と小石に囲まれたフグの仲間
水槽保温のトラブルについて解説しました。

室温が低下する冬場は、水槽の保温対策が必須です。
水槽用ヒーターやサーモスタットは、正しい使用法、設置法をよく確認しましょう。過度な動作は機材の故障を招く上に、センサーや本体が水面に露出すると水温の急変や火災につながる危険があります。水流不足による水温ムラにも要注意です。

また室温の管理も重要で、暖房を切ったままにしておくと深夜から明け方にかけて屋外並みに室温が下がって、水温が急低下することがあるため注意してください。
ヒーター以外の保温対策としては、断熱材や水槽のフタが有効です。

水温管理の要は水槽用ヒーターですが、設置しただけで適切な水温を維持することはできません。保温機材、水槽の設置場所、室温、水位など水槽周りの環境をトータルで管理することが重要です。

冬本番を迎える前に早めに準備・対策をして、安全な水温管理を心がけましょう。

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執筆者 のべじ

幼少の頃より生き物が大好きです。身近な川魚から熱帯魚、両生・爬虫類までさまざまな生き物を飼育してきました。大学で海洋生物学を学び、水族館で働いた経験も併せて、アクアリウムが楽しくなるようなコラムを紹介していきます

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