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水槽用ヒーターのパッケージにはW数と共に、設置できる水槽サイズと水量が明記されていますが、皆さんはどちらを参考に水槽用ヒーターを選んでいますか?
パッと見てわかりやすいのは水槽サイズですので、こちらを基準に選んでいるという方は多いかもしれません。
しかし、実は水槽用ヒーターは総水量を基準に選んだ方が、水槽に合った機種を選定しやすいです。
水槽サイズはあくまで水槽の幅を表記したものであり、奥行きや高さが異なる水槽では水量が変わってしまうため、より正確な基準となるのは総水量だと言えます。
そこで今回は、総水量を基準に水槽用ヒーターを選ぶ方法を解説します。水量に合わせたW数とヒーターの基本的な選び方を合わせてご紹介しますので、参考にしてみてください。
目次
プロアクアリストたちの意見をもとに適合水量別水槽用ヒーターの選び方を解説
このコラムは、東京アクアガーデンスタッフであるプロのアクアリストたちの意見をもとに作成しています。
水槽用ヒーターを選ぶときは、水槽の総水量がとても重要です。
水槽サイズでも大まかに選定することはできますが、水量が違うと水温が正しく保てないことがありますので、必ず水槽の総水量を確認しましょう
ここでは、実務経験から得た知識をもとに、適合水量別水槽用ヒーターの選び方を解説します。
水量別!水槽用ヒーターの選び方!
水槽用ヒーターを選ぶとき、水槽サイズを基準に選ぶ方は多いです。
もちろんこの選び方は間違いではないのですが、ここで気を付けていただきたいのが、水槽サイズと水槽の総水量はイコールではないということ。
水槽サイズは水槽の横幅を表記したものであり、例えば60cm水槽だけを見ても、
- 60cm規格水槽(W600×D300×H360mm)
- 60cmワイド水槽(W600×D450×H450mm)
- 60cmスリム水槽(W600×D200×H250mm)
- ハイタイプ(W600×D300×H450mm)
- ロータイプ(W600×D300×H230mm)
というように、高さや奥行きが異なるタイプの水槽が数多く販売されています。
水槽用ヒーターに書かれている水槽サイズは基本的に規格水槽のことを指しているため、その他のタイプの水槽だと、適合水量に合致しない可能性があるのです。
水量があっていないと、水温が上がらない、安定しないといったトラブルの原因になるため、水槽用ヒーターを選ぶときには、水槽サイズと合わせて総水量を確認することをおすすめします。
水槽の水量別の適合W数
ここからは、水量を~20L、~60L、~150L、200L以上の4つに分けて適合するW数を解説します。
水温は多くの熱帯魚水槽で基準となる26℃に設定すると想定した内容です。
~20Lの水槽用ヒーターは50Wまで
気軽にアクアリウムを楽しめることから人気のボトルアクアリウムや小型水槽は、適合する機材があまり無いのが悩みの種。
そのため、メダカやベタなどの丈夫な魚を飼育機材を使わずに飼育しているという方も多いと思いますが、寒い季節には小型水槽用のヒーターを設置した方が安定した飼育に繋がりやすいです。
~20Lまでの適切なW数は以下のようになります。
- 4Lまで:~15W
- 4~8Lまで:20W
- 8~12Lまで:36W
- 18~20L:50W
水量のだいたいの目安ですが、27cmのキューブタイプで約19L、30cmの規格水槽では約13Lです。
小型の水槽用ヒーターでは、10Wから展開されている『テトラ ミニヒーター』が定番で、水量に合わせた機種を選ぶことができます。
また、ボトルなど飼育容器の内部にヒーターが入れることができないものは、ペット用のマットタイプのヒーターを使うのがおすすめです。
~65Lの水槽用ヒーターは160Wまで
65LまでのW数は、以下です。
- 21~26L:80W
- 27~40L:100W
- 41~48L:120W
- 49~60L:150W
- 61~65L:160W
65Lは60cm規格水槽の総水量になります。
ここで注意していただきたいのが、水槽のタイプによって水量が大きく異なる点です。
30cm~60cm水槽の辺りは汎用性が高く、様々な規格の水槽が流通しているため水槽サイズでヒーターを選んでしまうと、パワー不足になってしまうことも。
例えば45cm水槽でもキューブタイプだと約91Lの水量が入りますので、必ず水量を確認してから水槽用ヒーターを選ぶようにしましょう。
~150Lの水槽用ヒーターは300Wまで
150Lの水槽に適切なヒーターのW数は300Wが目安です。
150Lまでの水量別の最適なW数は、以下のようになります。
- 61~100L:200W
- 101~150L:300W
この水量の水槽サイズとしては、60cmワイド水槽(約112L)や90cm規格水槽(約166L)辺りです。
200L~の水槽用ヒーターは500W以上
水量が200L以上の水槽に適切なヒーターとなると、最低でも500Wは必要になります。
120cm規格水槽で水量は約243Lですが、このサイズになると水槽幅広すぎて、500Wのヒーター一つでは水槽全体の水を温めきれないことも多いです。
そのため、120cm以上の水槽を使用しているときは、パワーに余裕のある1000Wタイプを使用するか、水量に合わせて水槽用ヒーターを複数本併用して水温を保つことになります。
水槽用ヒーター機種選びの基本
水槽用ヒーターを選ぶ一番の基準は水槽サイズと水量ですが、それ以外にもいくつか確認したいポイントがあります。
ここでは、水槽用ヒーターを選ぶポイントとして、
- 複数本設置する場合の考え方
- 水槽用ヒーターの設置場所と設置スペースについて
- 水温の誤差について
の3点についてを解説します。
複数本設置する場合の考え方
水量が200Lを超えるような大型水槽の場合、水槽用ヒーター1本で管理していると、水槽内に水温のムラができてしまったり、なかなか水温が上がりにくかったり、といった欠点が出てきてしまうことも。
そのため大型水槽では、水槽用ヒーターを複数本組み合わせて必要W数になるように調整するのが基本です。
例えば、水量が300L、450Lの場合だと次のような組み合わせになります。
- 水量が300Lの水槽:300W×2
- 水量が450Lの水槽:500W×2
複数本設置する場合は、水槽内で水温の差が起きないよう、水槽の端や中央に分けて設置するようにしましょう。
サーモスタットはヒーターを複数本繋げることができる『ニッソー シーパレックス V-1000』などを選ぶと、まとめて温度管理ができて便利です。
また、水槽用ヒーターは消耗品で突然故障してしまうことも珍しくないため、トラブルが起きたときに水温の急変を防ぐという意味でも、複数本で管理した方が安心です。
コスト面でもW数の高い高価なヒーターを一台買うよりも、W数を下げて複数台組み合わせた方が安くすみます。
水槽用ヒーターの設置場所と設置スペースについて
水槽用ヒーターを購入する際は、設置予定のスペースに収まるかどうかを確認することも大切です。
W数や水槽サイズを合わせても、レイアウトや水槽の仕様によってはスペースに収まりきらないという失敗もあり得ますので、本体のサイズも忘れずに確認してください。
また水槽レイアウトで水草を多く入れている場合は、ヒーターの設置場所が水草に近くなりすぎないかもポイントになります。
水草がヒーターに近すぎると枯れてしまうことがありますので、必要に応じてレイアウトの変更など調整を行いましょう。
オートヒーターでも水温誤差が出る
水槽用ヒーターの中には、設定温度が固定されている固定式のオートヒーターというものがあります。
設定いらずで、あらかじめ決められた温度に水温を維持してくれる便利な製品ですが、この固定式の水槽用ヒーターを使っていても、設定温度にならず誤差が生じてしまうことがあるのです。
この水温差は、使用している水槽内の水流の強さや水槽の形状に影響を受けて発生することが多く、水流が弱い、水面が細長いタイプの水槽ほど、水温が上昇しやすい傾向にあります。
また、外気温に左右されて水温がブレている可能性も考えられますので、この場合は、水槽を設置している(または設置予定)場所の気温と設定したい水温に合わせて、W数を変えるというのも一つの方法です。
例えば、4L水槽の場合、設置場所の室温が低い場合や、高めの水温に設定したいのであれば15W、26度程度に固定したいのであれば10Wのものを使用するというような考え方で、機種を選んでみてください。
固定式の水温の誤差については、商品パッケージに±1~2℃と注意書きしてあることが多いですが、記載がない商品でも1~2℃の誤差が出る可能性があることを承知したうえで購入しましょう。
まとめ:水量別!水槽用ヒーターの選び方!適合水量にあわせて正確に機種を選ぼう
今回は、水量に合わせた水槽用ヒーターの適切なW数についてと、ヒーターの機種選びのポイントについてお話ししました。
水槽サイズで選んでしまいがちなヒーターですが、水槽のデザインタイプによって水量が異なるため、思うように水温が上がらないなどのトラブルが起こることがあります。
そのため、より正確に水温を管理したいときは、水槽の総水量に合わせて水槽用ヒーターを選ぶのがおすすめです。
大きな水槽では、複数本を組み合わせて適切なW数になるよう調整すると、安全に管理できます。
また、水槽の設置場所の気温や、水槽内の水流の強さ、水槽の形状、水面の面積などといった使用環境によって水温が変化してしまうことがありますので、それらの外的要因も考慮に入れると、希望の水温に保ちやすいです。
適切な水槽用ヒーターを選んで、水温をしっかり管理しましょう。
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