【プロが教える】熱帯魚水槽をリセット・再設置する方法とは!
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水槽を長年管理していくと、水槽をリセットする必要が出てくることがあります。
水槽のリセットとは、通常のメンテナンスよりも多くの飼育水や底床材を入れ替えて、水槽の環境を整え直す作業のことです。
例えば水槽内で病気が蔓延してしまったときや、古くなったソイルをすべて交換するときなど、日常のメンテナンスでは対処が難しい場面では水槽のリセットが推奨されます。
リセットと言われるとなんだか大変な作業のように感じるかもしれませんが、正しい知識を持って行なえば、それほど難しい作業ではありません。
今回は水槽のリセットをするべきタイミングや方法、注意点などを解説していきます。
目次
プロアクアリストたちの意見をもとにご紹介
このコラムは、東京アクアガーデンスタッフであるアクアリストたちの意見をもとに作成しています。
「水槽のリセット」と聞くととても勇気の要る行為のように思えますが、実はリセットは日々のメンテナンスでは対処しきれないトラブルに対して、効果的な解決手段です。
このコラムでは経験や知識の豊富なアクアリスト監修の元、水槽のリセットをした方が良いケースやその方法、生体にダメージを与えないために知っておきたい注意点などをわかりやすく解説していますので、ぜひお役立てください。
水槽のリセットとは?どんなときに行うのか
水槽のリセットとは、飼育水や底床材などを入れ替えて、水槽内の飼育環境を整える作業のことです。
病気の蔓延や水質の悪化、ソイルの総入れ替えなどにより、普段行っている水換えやメンテナンスでは対処しきれなくなったときに行います。
飼育水や底床材を入れ替えるため、一時的に水中のバクテリアが減少し水質が不安定になることもありますが、飼育環境が崩れてしまったときには、一度リセットして水槽をやり直した方が状況が改善し、うまくいくことも多いです。
しかし、日常のメンテナンスのように定期的にやるものではありませんし、無闇にリセットしてしまうと逆効果になってしまう事もありますので、リセットするべきか状態をよく見極めてから行うようにしてください。
水槽のリセットが必要になるのは主に、
- 水槽内に病気やイカリムシやプラナリアが蔓延したとき
- ソイルが崩れて泥状になったとき
- 水換えをしてもpHが戻らなくなったとき
- 水槽レイアウトを大幅に変更したり、大掃除をしたりして環境が崩れたとき
の4つのケースが想定されます。ここからは、この4つのケースについて具体的にご説明していきましょう。
■水槽内に病気やイカリムシやプラナリアが蔓延したとき
水槽内に病気や寄生虫が蔓延し、生体を隔離や薬浴しても収拾がつかないような場合は、リセットが必要となることがあります。
特に、水中に常在しないタイプの病原体であるイカリムシなどが何度も再発生するような場合は、リセットが必須と言えるでしょう。
また、スネールやプラナリアなどの害虫が意図せず水槽に入り込んでしまったときにも同様に水槽のリセットが推奨されます。
このような場合、病原体や害虫、その卵などが水槽内全体に拡散している可能性がありますので、まずは魚に付着した病原体を魚病薬で治療しつつ、水槽本体や底砂、ろ過フィルターを洗浄します。
ただ水で洗浄しただけでは病原体が残ってしまう可能性がありますので、しっかり殺菌・消毒するようにしてください。
具体的な方法は、生体や水草をすべて取り出した水槽に50℃程度の熱湯を注いでフィルターを動かします。最後に天日干しをすれば殺菌・消毒が完了です。
熱湯に浸すことのできない水草にも、生物の卵や病原体が付着している可能性がありますので、可能な限り目視で取り除き、流水にさらして念入りに洗浄しましょう。
■ソイルが崩れて泥状になったとき
ソイルが崩れて泥状になってしまったときも、水槽のリセットが必要です。
泥状になったソイルは通気性が悪化し嫌気性菌が増えやすい状態なので、速やかに取り除きましょう。
ただし、単にソイルを交換するだけの場合は、病気が蔓延した水槽のように備品を消毒する必要はありません。
手順としてはまず飼育水を抜いて生体やレイアウトを取り出し、泥状になったソイルを新しいものと交換します。
もとの飼育水を注ぎ直してレイアウトを組み、生体を水槽に戻したら完了です。
ソイルを長持ちさせるコツや再利用の方法については以下の記事で解説していますので、ご覧になってみてください。
■水換えをしてもpHが戻らなくなったとき
水槽の周辺機器が正常に作動していれば、上下したpHは水換えをすることでもとに戻ります。
もしいくら水を換えてもpHが元に戻らない場合は、周辺機器に何かトラブルが起きている可能性があります。
特に経年劣化で機材の調子が悪くなっているようなときは、水換えを行なってもpHがすぐに低下してしまい、生体にとって適した環境を維持することが難しくなってしまいます。
水槽設置後5年以上経つとフィルターが目詰まりを起こしたり、ポンプの流量が低下するようなことが増えてきます。
調子が悪くなってきたなと感じたら水槽をリセットし、機材の交換をしましょう。
■水槽レイアウトを大幅に変更したり、大掃除をしたりして環境が崩れたとき
レイアウトの大幅な変更や大掃除など、水槽の中を大きくいじった後に、水質が急変してしまったり飼育環境のバランスが崩れてしまったりする事があります。
調子が崩れてしまったときには、まず原因を探るべきではありますが、一度崩れてしまったバランスはなかなか元には戻りませんし、探っている間に飼育している生き物がダメージを受けてしまう事も考えられます。水槽の中を変更した後は、少なからず生き物にもストレスが掛かっていますので、急激に調子が悪くなったと感じたら、思い切って水槽のリセットを行いましょう。
病気が蔓延していなければ飼育水やろ過フィルターはそのまま継続して使用できるので、バクテリアの減少も気にする必要がありません。
素早い決断で被害を最小限に食い止めることができます。水槽の中の環境を大きく変更した後は注意深く水槽を観察することが大切です。
熱帯魚水槽のリセット方法
さて、ここからは実際に熱帯魚水槽をリセットするための方法について解説していきます。
主な手順は以下の通りです。
- 生体を移動させる
- 周辺機器を取り外す
- 飼育水を水槽から汲み上げる
- レイアウトを取り出して水槽内を洗う
- ろ材を洗浄・交換する
- 水槽を立ち上げ、移動しておいた生体を戻す
先ほどご紹介したリセットする原因のうち、「水槽内に病気やイカリムシやプラナリアが蔓延したとき」が原因で水槽をリセットする場合は、手順が異なることがありますので注意してください。
特に病気や寄生虫が原因の場合は、飼育水やろ材などの再利用はできませんので、その点を頭に入れながら手順を参照してみてください。
■生体を移動させる
まずは水槽内の生体や水草を、バケツや予備の水槽などに飼育水ごと移動させます。
季節によっては水温が大きく変動することもあるため、温調機器で水温を調節しましょう。
低酸素状態に弱い生体の場合は、酸欠防止のためにエアレーションも行ないます。
■周辺機器を取り外す
次に、フィルターや照明などの電源を切り、水槽から取り外します。
安全のため、電源プラグは必ずコンセントから引き抜いておきましょう。
■飼育水を水槽から汲み上げる
続いて、ポンプなどを使って飼育水を水槽から汲み上げます。
寄生虫などが理由ではない通常のリセットであれば、汲み上げた飼育水はすべて捨てずに半分程度は残しておきましょう。ろ材を洗ったり、新しい飼育水に混ぜて水質が急変するのを防ぐのに使用します。
病気が蔓延して水槽をリセットする場合は、飼育水の再利用はできませんので、すべて捨ててしまって構いません。
■レイアウトを取り出し水槽内を洗う
水槽の中身をすべて取り出したら、水槽本体やレイアウト素材などを洗浄します。
寄生虫などが理由ではない通常のリセットであれば水槽本体は水道水で洗浄します。砂利や岩、流木などに関しては、取っておいた飼育水を使って洗浄してください。
病気や寄生虫、生物の発生に起因するリセットの場合は手順が異なります。まず水槽本体は、洗浄と合わせて50℃程度の熱湯で殺菌・消毒を行ってください。
レイアウト素材の洗浄は水槽本体と同じく熱湯を使うか、クエン酸を使用するか、界面活性剤が入っていない衣料用のハイターに浸してみるのも良いでしょう。
ハイターを使用した後は、すすぎを念入りに行ない、多めのカルキ抜き剤を入れた水に浸けて成分を中和させ、よくすすいだ後に、天日干しを行うと安心です。
この時使用するカルキ抜きはハイポがおすすめです。
また、このハイターを使った消毒・殺菌は流木などの内部に成分が浸透するような素材には使用できませんので、ご注意ください。
■ろ材を洗浄・交換する
フィルターからの流量が減ってきた、排水の汚れが気になるなどの機材トラブルや、病気や寄生虫による水槽リセットの場合は、ろ過フィルターも洗浄しましょう。
寄生虫などが理由ではない通常のリセットならば、飼育水を使用して洗浄し、ろ材を交換する際はバクテリアの減少を抑えるために、今まで使っていたものを少量混ぜておくのがポイントです。
病気や寄生虫などにより水槽をリセットしている場合は、飼育水を使わずに水道水や熱湯でろ過フィルターを洗います。
病原体や卵などが付着している可能性があるため、古いろ材はすべて捨てて新しいものに交換してください。
以下の記事では外部フィルターの掃除方法について詳しく解説していますので、参考にしてください。
■水槽を立ち上げ、移動しておいた生体を戻す
飼育器具の洗浄が完了したら再びレイアウトを組み直し、水槽を立ち上げます。
リセットにより生物ろ過に必要なバクテリアが減少しているので、立ち上げ直後は水質が不安定になりやすいです。
生体を戻したら1~2週間はこまめな水換えを行ないましょう。
また、生体を水槽に戻す際は必ず水合わせを行なってください。
リセットの注意点
最後に、水槽をリセットする際の注意点を解説していきます。
こちらの内容は、病気や寄生虫によるものではない通常の水槽リセットに関する注意事項です。病気などが原因の水槽リセットでは、この注意点は当てはまりませんのでご注意ください。
気をつけたいポイントは以下の3つです。
- 飼育水をすべて捨てることは避ける
- ろ材や底床材は水道水で洗わない
- ろ材を交換する際は古いものを混ぜる
順に解説していきます。
■飼育水をすべて捨てることは避ける
リセット前の飼育水をすべて捨てることは避けましょう。
ろ材や底床材を洗浄する際に使用できますし、新しい水と混ぜて使用すれば、飼育水のpHの急変を抑えることができます。
コケや病気が起因のリセットであればやむを得ませんが、それ以外の理由で水槽をリセットする場合は、もともと使っていた飼育水を半分程度残しておくのがおすすめです。
■ろ材や底床材は水道水で洗わない
ろ材や底床材を水道水で洗わないようにすることも重要です。
ろ材や底床材にはバクテリアが多く定着しているのですが、水道水で洗浄すると、塩素によって数が激減してしまいます。
バクテリアが減ってしまうと水質を安定させるのにも時間がかかってしまいますので、必ず飼育水を使って洗浄しましょう。
■ろ材を交換する際は古いものを混ぜる
ろ材を交換する際は古いものを混ぜておくことも大切です。
先述したように、ろ材には多くのバクテリアが定着しています。
そのろ材をすべて新しいものに換えてしまうと水質が不安定になり、立ち上がりにも時間を要するようになってしまうので、ろ材を交換する際は古いものを少量混ぜておきましょう。
まとめ:【プロが教える】熱帯魚水槽をリセット・再設置する方法とは!
今回は熱帯魚水槽のリセットが必須・推奨されるケースや、リセットの方法、注意点などを解説してきました。
水槽のリセットは、日々のメンテナンスでは対処しきれないトラブルに対して、効果的な改善策です。
しかし、誤った方法でリセットを行なうと、バクテリアの数が大きく減ってしまったり、生体に負担をかけてしまう可能性があります。
生体にとってどのような条件が負担になるか正しく理解し、できる限り負担の少ないリセット方法を実践してみましょう。
水槽のリセット(再設置)について良くあるご質問
水槽のリセット(再設置)とは?
どんなときに水槽は再設置したほうが良い?
- 飼育生体の変更にともなう最適化
- 寄生虫の蔓延などによるトラブル
など、主に飼育環境を改善するために行います。
変更する飼育生体の好む水質や環境が現状と異なる場合や、病気がどうしても減らない・魚が長生きしないなどの飼育環境に問題があると思われる場合に、最適化を行います。
水槽を再設置する際のポイントとは?
新しい環境に、いままで育んだバクテリアを持ち込むことができるからです。
照明など、水質に直接影響しない機材などはそのまま使用できます。
水槽設備を再利用できないケースとは?
他にも、稼働が不安定な機材(吐出量の弱まってきたエアーポンプなど)は、適宜新しい物へ交換を行いましょう。
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