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熱帯魚やメダカ、金魚、エビなど、すべての水生生物を飼育するためにまず知っておきたいのが『飼育水』のことです。
水の中で暮らす生き物にとって、水槽の飼育水は健康状態につながります。
このコラムでは、生き物に最適な『飼育水』とはどうやって作るものなのか、なぜカルキ抜きなどのアイテムが必要なのかを、アクアリウム初心者の方へ向けてご紹介します。
カルキや水温管理などの基礎知識から、飼育水を見直すことで良くなる水槽のトラブルを解説しながら、水槽の水作りについて考えていきましょう。
目次
プロアクアリストたちの意見をもとに飼育水について解説
このコラムは、東京アクアガーデンスタッフであるプロのアクアリストたちの意見をもとに作成しています。
アクアリウムを始めてみると、「水は透明なのになぜか魚が弱ってしまう…」というトラブルに陥ることがあります。
飼育水は水生生物にとって生活環境であり、人間でいうところの空気のようなものです。
このコラムでは、実務経験から得た知識をもとに、飼育水作りの大切さやアクアリウム初心者が覚えたい、水作りの基礎知識についてを解説します。
熱帯魚の飼い方はこちらのページでも詳しく解説しています。
飼育水とは
- 水槽の中の水
- ボトルアクアリウムの水
- ビオトープの水
- プラ舟の水
- 池の水 など
このように、生き物を飼育している容器の水は、すべて飼育水とくくれます。
水道水を生き物にあわせて調整したものを飼育水と呼びますが、管理が必要です。
ここでは、「なぜ飼育水の定期的な管理が必要なのか」を説明していきます。
飼育水の管理とは?
水の中に暮らしている生き物にとって、飼育水の状態はコンディションに直結します。
例えば、量が少なかったり、汚れていたりすると生き物が調子を崩してしまうことも少なくありません。
そこで、飼育水の状態を整えるために、水槽の掃除や水換えなどのメンテナンスを行っていきます。
飼育水は、基本的にカルキを抜いた水を使用します。飼育している生き物によっては、特定の栄養素を多く必要とするので、それぞれの生き物にあった水質に管理してあげることが大切です。
水換えを行うのはなぜ?
生き物を飼育していると、必ずアンモニアや硝酸塩といった汚れが水中にたまります。
アンモニアは排せつ物などから出るもので、生き物を飼育している場合はどうしても発生する物質です。
アンモニアをもとにバクテリアが発生し、水をきれいにしていくのですが、それでも『硝酸塩』という低毒性の物質がたまってしまいます。硝酸塩は、バクテリアには除去できないのです。
硝酸塩は水草や植物が消費してくれますが、完全に吸収し切ることは難しく蓄積していくため、一定間隔で水の交換を行います。
これが『水換え』という水槽メンテナンスです。
しかし、飼育水は生き物たちの生活空間なので、急に環境が変わってしまうと体調を崩してしまいます。
そのため、一度にすべての水を換えるのではなく、「1週間で1/3程度」や「3日に1回、1/5程度」など、割合を決めて行うのが一般的です。
水換えの頻度は、飼育している生き物の種類や数で変わります。最適な周期を割り出すために、水質検査紙などを使って汚れるサイクルを調べると分りやすいでしょう。
飼育水の作り方!カルキ抜きから水温・成分調整まで
飼育水の作り方は簡単で、大まかにいうと「水温を調整した水道水のカルキを抜くだけ」です。
さらに、養分やミネラルを添加することもあります。
こちらでは、飼育水にカルキ抜きや水温調整が必要な理由を解説します。
カルキ抜きが大切な理由
水生生物の飼育に、カルキ抜きは必須です。
日本の水道水は安全に飲めるようにカルキ(現在では次亜塩素酸ナトリウム)が含まれています。この殺菌成分は、水生生物や菌類のバクテリアに良くない影響を与え、環境を乱すことがあるのです。
そのため、塩素を中和する「中和剤(通称:カルキ抜き)」を使用します。ただし、カルキ抜き剤を入れすぎても、生き物にとって最適な飼育水にはなりません。
カルキ抜き剤の主成分は『チオ硫酸ナトリウム』という物質ですが、「水質に敏感な小型エビなどの生き物に良くない」という意見や、「魚のヒレにピンホールができる原因になる」という意見もあります。
とはいえ、入れすぎたからといってすぐに悪影響があるわけではなく、使用量によって寿命が大きく変わることもありませんのでご安心ください。
ただし、トラブルを防ぐためにも使用量を守って、飼育水を中和しましょう。
水温調整で魚を守る!
カルキ抜きの次に大切なのが、飼育水の『水温調整』です。
急激な水温変化は、魚などの水生生物の大きな弱点だと言えるでしょう。
魚などの水生生物は自分を取り巻く環境の温度で代謝を行う、『変温動物』です。
「水温=魚たちのコンディション」であり、低水温時には活性が下がり、高水温時には盛んに泳いだり餌を食べたりします。
飼育水の水温が急に変わってしまうと体がついてこれずに、ダメージを受けてしまうことがほとんどです。
特に小型魚や小型シュリンプなど、体力のない生き物に深刻な影響を与えます。
よく「熱帯魚は26度に維持するといい」と言われますが、温かい地域の生き物が落ち着いて暮らせるガイドラインのようなものなので、注意が必要です。また、高すぎる水温も水生生物たちを危険にさらします。
最適な水温で管理できるように飼育する生き物の特徴を調べ、必要に合わせて水槽用ヒーターや水槽用クーラー、冷却ファンを導入しましょう。
簡単な水温調節方法
「寒い季節の水道水が冷たすぎる!」というときには、水道の給湯装置を使います。
丁度よい水温になるように水と混ぜて調節し、カルキ抜きで中和するだけです。
注意点として、水温計で飼育水の水温と大きく違わないかを確認してください。
おおよそ-1度~+2度までならそれほど影響は受けませんので、これを目安に調整を行いましょう。
飼育水の成分は計測できる
水質検査薬や検査紙を使用すれば、飼育水の状態を数値として確認できます。
日本で流通している多くの淡水魚は、おおよそpH7.0の中性付近で飼育可能な種類です。
pH7.0というのは、日本の水道水の平均的なpHと同じで、水道水を使用すれば大体の淡水生体は飼育できます。
また、pH7.0は純水と同じ数値で、きわめて状態の良い水質になります。
日本はもともと水資源が豊富で、アクアリウムに適した土地です。
海水魚飼育では、pH8.3程度のアルカリ性に維持します。人工海水の素やサンゴ砂などミネラル分が豊富な素材を使ってpHを高めるのです。日本は水道水がもともと中性のため、pHをアルカリ性に傾けやすく、水作りがとても行いやすい環境だと言えるでしょう。
しかし、日本国内でも地域によっては中性ではなく、pHがやや高い弱アルカリ性傾向の水道水が出ることがあります。生き物飼育で水が汚れてくると純水から遠のいて、pHの数値が低く計測されるようになるのです。
水道水の特徴や飼育水の汚れ具合など、水の状態を計測することで、自分の水槽の最適な管理ペースや調整の必要性を把握できます。
飼育水を見直したい水槽トラブル
飼育水自体が魚たちの状態を左右する「環境そのもの」です。
ここでは、飼育水を見直せば解決する可能性が高いトラブルをご紹介します。
なぜか魚が死ぬ・病気になる
なぜか魚が死んでしまったり、病気になってしまったりするのは、水質の悪化が原因であることが多いです。
突然死んでしまったように見えても実は前兆がありますし、飼育環境に問題があったと考えられます。
- 呼吸が荒い:酸欠、アンモニア中毒、エラ病
- 底でじっとしている:アンモニア中毒、体調不良、ストレス
- 体にできものがある、ヒレが溶けている:病気、寄生虫 など
このように、魚の様子を観察すると、不調の原因が分かることもあります。
呼吸が荒い場合や、底でじっとしているときは、水換えを多めに行えば解決することもあります。
しかし、体にできものがあったり、ヒレが溶けたりしている場合は、水質悪化から体調を崩した状態ですので、症状に合った治療と環境改善が必要です。
飼育水の清浄化に努めると、このようなトラブルの予防につながります。
臭う・濁る
気温が高くなってくると、「飼育水が臭い」といったトラブルが起こることがあります。
また、「水換えしているのに濁る」という飼育初期に起こる悩みもあるでしょう。
このようなトラブルや悩みは、どちらも飼育水を見直すことで解決できます。
飼育水自体や底床材、ろ過フィルターが汚れていると「臭う・濁る」のような不調が起こりやすくなるので、掃除を徹底し、飼育水の清浄化をイメージして管理すると良いです。
白濁りする場合は、バクテリアが定着できずに死んでしまっていることもあるため、焦らずこまめな水換えを行い、バクテリアが定着するのを待ちましょう。
まとめ:飼育水の作り方とは!カルキ抜き、水温などの基礎を初心者向けに解説
飼育水についての考え方や作り方、カルキ抜きの必要性、飼育水の悪化で起こるトラブルをご紹介しました。
アクアリウムは飼育期間が長くなるほど、水質の大切さを痛感します。
「なぜ、この作業が必要なのか」を知ることで、メンテナンスの意味が理解でき、自分のペースで工夫することもできるでしょう。
水槽管理の基本として、コラムの内容をご活用ください。
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