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立ち上げたばかりの水槽に、ショップで選んだお気に入りの熱帯魚、こだわりを持ってレイアウトした水草…真新しいアクアリウムは、見ているだけでワクワクしてきます。
水槽の設置作業を終えると一段落した心地になるものですが、アクアリウムを続けていく上で大変なのはここから。
実は水槽を管理していく上で起こるトラブルの多くは、最初の1ヵ月に集中していると言われるほど、立ち上げたばかりの水槽は環境が安定しておらず、生き物や水草の命に関わる問題が起こりやすいのです。
これからの水槽に思いをはせるのももちろん良いですが、まずは最初の1ヵ月を乗り切ることを目標にしっかり水槽を管理しましょう。
今回のコラムでは、アクアリウムの最初の1ヵ月を乗り切るための5つのコツを解説します。
目次
プロアクアリストたちの意見をもとに水槽設置後の1ヵ月を乗り切るコツを解説
このコラムは、東京アクアガーデンスタッフであるプロのアクアリストたちの意見をもとに作成しています。
アクアリウムを始めて最初の1ヵ月は、魚も飼育者も変化に慣れておらず、とにかくトラブルが起こりやすい時期です。
水質も安定しづらいので、小まめに状態を確認しながら適切なメンテナンスを行う必要があります。
ここでは、実務経験から得た知識をもとに、水槽設置後の1ヵ月を乗り切るコツを解説します。
アクアリウムは最初の1か月が難関!
アクアリウムは設置してから最初の1ヵ月の管理が非常に難しく、最難関と言われるほど。
その理由として、生体を飼育する水の水質が安定していないことが一番にあげられます。
そこでまずは、最初の1か月で注意すべき3つの難関ポイントを確認していきましょう。
難関1:連れ帰った魚をすぐに水槽に入れてしまった
水槽に水をはったら、すぐにでも熱帯魚を泳がせてみたくなります。
しかし、だからと言って購入してきた魚をすぐに水槽に入れるのは良くありません。急な環境の変化で魚達が体調を崩してしまう可能性があるからです。
魚やエビなどの小さな生き物は水質や水温の変化にとても敏感で、少しの違いでもストレスになります。変化が大きいとショック症状を起こして命を落としてしまう危険も。
「水槽に入れた魚が翌日には死んでしまった」という話を聞くことがありますが、原因として最も可能性が高いのは、水質や水温の急変によるダメージです。
難関2:バクテリア不足で水質が安定しづらい
水槽立ち上げ初期にみられる「掃除から数日しかたっていないのに水が汚れてしまう」「生き物が体調を崩しやすい」というトラブルの多くは、バクテリア不足が原因です。
バクテリアは水中に自然発生する微生物で、魚が排出するフンや餌の食べ残し、それらの有機物から発生するアンモニアといった有害な成分を分解して、毒性の弱い硝酸塩に変える働きをしてくれます。
バクテリアは、ある程度の時間を置けば自然に増えていきますが、設置したばかりの水槽だとまだ数が少なく処理が追い付かないため、水が汚れて生き物が体調を崩してしまうのです。
市販のバクテリア剤を使えば、バクテリアの定着が多少は早まりますが即日効果があるわけではないので、やはり3~4週間程度は水質の悪化に十分に注意し、こまめなメンテナンスを心がける必要があります。
難関3:管理ペースがわからない
水槽の管理ペースを把握できていないというのも、最初の1ヵ月が難関と言われる理由の一つです。
水槽の管理には、日常的に行う水換えや水槽掃除以外にも、底砂、ろ過フィルターなど水槽に関連するあらゆるもののメンテナンスが含まれます。
立ちあげたばかりの水槽だと、水が汚れるペースが掴めず水換えが後手に回ることも多いです。だからと言って水の換え過ぎも魚の負担となるため、まずは水換えのちょうど良い頻度を探りましょう。
また、水槽を開始して1ヵ月が過ぎるころになると、今度はろ過フィルターや底砂の汚れが気になってくる頃です。
ろ過フィルターや底砂の汚れは病気の原因となる細菌の増殖に繋がりやすく、掃除が足りていない水槽では、この頃から魚のヒレが掛けたり体の一部に充血がみられたりといった異変がみられることも。
特に複数匹の生き物に同じような症状があらわれているという場合は、水槽管理のペースを掴めていない間に、飼育環境が悪化してしまった可能性が高いです。
最初の1か月を乗り切るコツ5選
水槽を開始して1ヵ月の間に起こりやすい難関ポイントは、しっかり対策をすれば無事に乗り切ることが可能です。
ここでは、最初の1ヵ月を乗り切るための5つのコツをご紹介します。
コツ1:水合わせを覚えよう!
難関1で解説した環境の変化による魚のショック症状は、
- 飼育する生体に合わせた水質、水温に調整すること
- 購入してきた魚は水槽に入れる前に水温合わせと水合わせをすること
の2点で回避できます。
水槽の準備
まず水槽側の準備です。
水槽を設置したら、カルキを抜いた水を注ぎ入れて、水槽用ヒーターとろ過フィルターを稼働させます。
次に、この状態で生体は入れずに一週間ほど機材を空回ししましょう。
一見無駄に思えるかもしれませんが、これだけでもバクテリアの数が増えてかなり水質が安定しやすくなります。また、機材の初期不良が無いか確認するのにも、この期間は重要です。
生体の水温合わせと水合わせ
一週間が経ったらいよいよ熱帯魚を購入します。
ショップでお好みの品種を探すのも良いですが、初めてのアクリウムでしたら事前に飼育方法などを下調べしたうえで、品種を決定するとスムーズでしょう。
家に連れ帰ってきたら、生体を袋のまま水槽に20分ほど浮かべて、ゆっくりと水温を合わせます。
水温合わせが終わったら、バケツなどの容器に袋の水ごと生体を移し替えてください。
次に、バケツの水を1/3程度捨てて、同量の水槽の水を少しずつ時間を置きながら注ぎ入れます。この作業を3~4回ほど繰り返して水合わせが完了です。
水合わせで水槽の水を一気に注いでしまうと水質の急変を招きますので、魚を水質に慣らすことをイメージしながらゆっくり時間をかけて行いましょう。
最後に、生体を網ですくって水槽に導入します。バケツの中に残った水は汚れている可能性があるので、極力水槽に入れないよう注意してください。
コツ2:4週目までは水換えをこまめに!
難関2のバクテリア不足については、こまめに水換えをして対処するのが一番です。
バクテリアが処理できない分の汚れを、水換えで水槽の外に排出しましょう。
安定した水槽の水換えの頻度は1~2週間に一回、1/3の量を目安に行いますが、設置してから4週間程度の間は、2~3日に1回、1/3~1/2程度の水量を目安に水換えをしてみてください。
バクテリア剤などを使用している場合は、水換えの時にも適量添加します。
水換えで水がきれいになり酸素が供給されると、既存のバクテリアの活性が高まって、水質の安定が早まる効果も期待できます。
特に水槽を設置した直後はこまめな水換えを意識して、バクテリアの活性を促すことが重要です。
コツ3:困ったら水質チェック!
難関3の管理ペースを掴むには、水質検査が有効です。
水質の悪化は見た目だけでは分からない場合もあるため、生体の調子が悪いと感じたら検査薬を使って水質をチェックしましょう。
また、水換えのタイミングを決めるのにも、水質検査薬を使って硝酸塩の値を確認するのが確実です。
病気が発生しやすい水槽はメンテナンスの不足から水質が悪化していることが多く、アンモニアなどの有害な成分が高く検出されます。
特に最初の1か月は、3日~1週間に1回程度を目安として定期的に水質を確認するようにし、必要に応じて水換えを行ってください。
コツ4:餌は与えすぎない!
バクテリアが少ない状況では、餌を与え過ぎないことがとても大切です。
餌が多いと魚のフンや食べ残しの量が増加して、水を汚しやすくなります。
バクテリアがしっかり根付いている水槽ならば多少多くても問題ないことが多いですが、立ちあげたばかりの水槽では、有機物から発生する物質を処理しきれず水質の急変につながりかねません。
また、まだ新しい環境に慣れておらずストレスを抱えやすい魚にたくさんエサを与えると、消化不良を起こすリスクもあります。
このような理由から、最初の1か月は一回1分程度で食べきれる量を目安に、通常よりも餌を少なめに調整してあげるのがおすすめです。
コツ5:ろ過フィルターの状態を確認しよう!
こまめに水換えをしているのに、水質が悪くなりやすいという時は、ろ過フィルターの状態を確認してみてください。
ろ過フィルターは水槽内の汚れをこし取るため、想像以上に汚れが溜まります。
病原菌の増加などの水質悪化を防ぐためには、1ヵ月に1回はろ過材を取り出して、汲み置きした飼育水で揉み洗いしましょう。
さらに、魚の種類によってはろ過フィルターの水流が強すぎてダメージを受けてしまうことがあります。
生体の状態をよく観察して、水流が強すぎる場合は別機種に買い替えるか、水流を調整して弱めるようにしてください。
また、ろ過フィルターと同じく汚れが蓄積しやすいのが底砂です。
底砂は2週間に一度程度、水換えのタイミングに合わせて掃除するのが基本。プロホースなどを使って水と一緒に砂の中の汚れを吸い出せば、時短になります。
ちなみに、ろ過フィルターと底砂にはたくさんのバクテリアが定着しており、メンテナンスをするとバクテリアが流れてしまいます。両方を同時にメンテナンスするとバクテリアが減り過ぎてしまう危険があるため、必ず日を分けて掃除をするようにしてください。
困ったときにおすすめのアクアリウム本
Web環境が発達した現代では、インターネットを調べれば大抵のことがわかります。
しかし、中には真偽不明の情報が紛れていることもあるので、生き物の命に関わるアクアリウムを進めていく上では、一冊Howto本を手元に置いておくと安心です。
ここでは、困った時に役立つおすすめのアクアリウム本をご紹介します。
私が魚を上手に飼える理由をすべて話そうと思う 生き物好きの視点から考える 姫式 淡水魚の飼育術
生き物を飼育する4つの基本と4つの死因を元に、アクアリウムのコツを解説している書籍です。
水槽の立ち上げ方法から餌の選び方などについて丁寧に説明されているので、初心者の方でも読み解きやすいでしょう。
分かりやすい表現で書かれているので、どんな年齢の方でも理解しやすい入門書です。
水草QA100-これから水草をはじめたい方に
本格的な水草水槽に挑戦したいという方に特におすすめの本です。
水草育成のために必要な設備から、水草水槽の立ち上げ方法・維持方法などについて、プロ目線の大切なポイントが丁寧に惜しげもなく書かれています。
メダカ・金魚・熱帯魚 DVDつき (小学館の図鑑NEO)
夏休みにピッタリのお子様と一緒に楽しめる、魚の図鑑です。
紙ベースの本には魚についての情報が満載。また、付属のDVDでも様々な魚種の特徴や、飼育するための基本ポイントを動画で分かりやすく学ぶことができます。
近年ブームとなっている改良メダカもたくさん掲載されているので、身近できれいな生き物を通じてお子様の魚への興味を育てるのにも最適です。
まとめ:アクアリウムの1ヵ月を乗り切る!水槽設置後はじめての難関とコツ!
水槽を設置してから最初の1ヵ月は、次々と問題が起こりやすいアクアリウムの最難関とも言われる期間です。
立ちあげたばかりの水槽はバクテリア不足で、水が汚れやすいためこまめな水換えで対応します。
新しい魚を水槽に入れるときは、水槽内の水温や水質を飼育する魚に合わせた上で、水温合わせと水合わせをしてから導入してください。
日頃から水槽を観察して、魚の泳ぎ方や呼吸のリズム、飼育水の透明度や臭いなどに常に注意を向ける習慣を身に付けると、異変にすぐに気づいて早めの対策ができるようになります。
最初の1か月を乗り切るコツを押さえれば、きっと安定した状態でアクアリウムを楽しめるはずです。
困った時には専門書や当サイトのコラムを活用しながら、ぜひアクアリウムを楽しんでください。
お問い合わせ
水槽や機材、熱帯魚のレンタル・設置・メンテナンスがセットになった水槽レンタル・リースサービス、
お手持ちの水槽をプロのアクアリストがメンテナンスしてくれる水槽メンテナンスサービス、
水槽リニューアルサービスや水槽引っ越しサービスなど様々なサービスがございます。
お見積りは無料となっておりますのでお気軽にお問い合わせください。
このコラムへのコメントやお悩み相談に届いた質問の回答
いつも拝見させて頂いております。
東錦を飼育して4年目になる者です。
3日前に、1匹の東錦がマツカサ病と思われる症状を
発症していることを確認しました。
まだ腹部周辺のウロコが逆立ちはじめている状態で
末期ではないかと思うのですが、
最良の対処法を教えて頂けないでしょうか?
60cm水槽に1匹のみ単体飼育しております。
全長は20cmほどです。
現在、塩浴2日目です。
水温は28℃にしております。
まだ諦めたくないので、
なんとか助けてあげたいです。
恐れ入りますが、ご教示お願い申し上げます。
実際に拝見していないため、正確な回答ではないことをご了承ください。
松かさ病はエロモナス菌に感染している状態なので、塩だけでなくグリーンFゴールド顆粒か観パラDなどの魚病薬も併用します。
松かさ病は、毎日水換えを行うことで症状を抑えやすくなりますが、完治は難しい病気です。
長期的な治療になるので、エサは絶食ではなく少しづつ与え、様子を見ましょう。
ただ、進行するとフンが出なくなるので、その場合は与えるのを控えましょう。
こちらのコラムもご参照ください。
金魚の松かさ病は不治の病なのか?原因と対策・治療方法!薬餌の有効性も解説
https://t-aquagarden.com/column/goldfish_dropsy
よろしくお願いいたします。