熱帯魚水槽の水作り!飼育生体ごとにおすすめの水質・水温と調整方法
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美しいアクアリウムを維持する上で欠かせないのが、熱帯魚や水草を育成するための水作りです。
水槽の中で暮らす生き物にとって水質や水温といった水の要素はとても重要で、更に淡水魚、海水魚、水草、サンゴなど生体によって好む水質がそれぞれ異なります。
そのため、飼育者は水槽全体のバランスをみながらちょうど良い水質、水温に調整し、維持していく必要があるのです。
そこで今回は、生体に合わせた熱帯魚水槽の水作りについて解説します。
淡水魚、海水魚から水草、サンゴまで、それぞれにおすすめの水質と水温、そしてその調整方法をご紹介していきますので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
プロアクアリストたちの意見をもとに熱帯魚水槽の水作りを解説
このコラムは、東京アクアガーデンスタッフであるプロのアクアリストたちの意見をもとに作成しています。
熱帯魚や海水魚、水草にサンゴなどにはそれぞれ得意な水質や水温があります。
水槽内でこれらを飼育する場合は、生体の得意な水質を考慮しながら、適切な値に管理することが大切です。
ここでは、実務経験から得た知識をもとに、熱帯魚水槽の水作りを解説します。
熱帯魚水槽の水作りとは
熱帯魚水槽の水作りとは、飼育水を生体にとって最適な状態に整え、維持することです。
アクアリウムで飼育する熱帯魚のほとんどは、元々日本には生息していない生き物のため、日本の環境や水質に適応できません。
そのため、日本の水道水を使って飼育するには、水質や水温を調整してその生き物が暮らしていた環境に近づける必要があります。
また、ひとくくりに熱帯魚飼育といってもその種類は多岐に渡りますし、魚だけでなく水草やサンゴを育成するならば、それぞれ合う環境が異なることもあります。
そういったバランスを考慮しながら全ての生き物が健康でいられる水質に調整するのが、熱帯魚水槽の水作りです。
水作りが十分にできていないと、せっかくアクアリウムを始めても、熱帯魚が体調を崩したり、水草がかれてしまったりといったトラブルにつながる可能性があります。
状態よく水槽を管理するために、しっかりと水作りをしましょう。
飼育生体ごとのおすすめ水質
ここからは、飼育する生体ごとにおすすめの水質と、その調整、維持方法を紹介します。
- 淡水魚水槽
- 水草水槽
- アロワナなどの肉食魚水槽
- 海水魚水槽
- サンゴ水槽
得意な水質が異なるもの同士を混泳させてしまうと、上手に水作りができませんので、混泳するならば水の相性も考慮しましょう。
また、最初にしっかり水を調整しても、飼育を続けるうちに水質が変化してしまうことがありますので、ご紹介する内容を参考に水質の維持にも気を配ってみてください。
淡水魚水槽
アクアリウムで最も多いのが、淡水の熱帯魚を飼育する水槽です。
淡水魚は種類が多く、南米や東南アジアを中心に、オーストラリアやアフリカなど様々な地域で採取されているため、得意な水質も品種によって異なります。
そのため、混泳するならば同じ川、同じ原産地の熱帯魚を組み合わせると上手くいきやすいでしょう。
ただ、アフリカンシクリッドなどの一部を除けば、似たような水質で飼育できる熱帯魚も多いので、混泳できる組み合わせはかなり自由が利きます。
淡水熱帯魚の水質・水温
pH | 6.0~7.0 |
---|---|
水温 | 26℃ |
GH | 6程度 |
品種によって得意な水質に差がある淡水魚ですが、他種を混泳させるならば概ね、pHを6.0~7.0辺りに調整するのがおすすめです。
例えばアクアリウムで最もポピュラーなネオンテトラなどのアマゾン川系の熱帯魚は弱酸性の水が得意ですし、初心者に人気のグッピーなどは弱アルカリ性が最適ですが、どちらも水質への適応力が高いため、徐々に慣らしていけば7.0の中性で飼育することができます。
もちろん同じ系統の熱帯魚を混泳する場合は、その品種が一番得意な水質に寄せるのが良いですが、熱帯魚の適応力を活かしていけば、必ずしも得意な水質で無くても混泳水槽で飼育することが可能です。
おすすめ調整方法
日本の水道水は大体中性付近に調整されているため、淡水魚の水作りはそれほど難しくありません。
カルキを抜いた水道水をそのまま使用しても飼育することができますが、より得意な水質に調整したいときは、水質調整効果があるソイルやろ材を使用するのがおすすめです。
ソイルでは『JUNプラチナソイル』、ろ材では『パワーハウス』や『リバース・グレイン』辺りが有名で、弱酸性に傾ける性質があるこれらを水槽内に入れることで、弱酸性~中性に水質を維持しやすくなります。
ちなみに水質調整効果を謳うものの中には、弱アルカリ性に傾けるものもありますので、水槽に入れる前に効果をよく確認しましょう。
水草水槽
水草の多くは淡水の熱帯魚と同じ環境で自生しているので、得意な水質も熱帯魚と同じものが多いです。
ただ、水草をより色鮮やかに育てるには、肥料やCO2添加が必要なため、水草をメインに据えた水槽では、より水草に合わせた水作りをするのが良いでしょう。
水草が良く育つ水質・水温
pH | 5.5~6.5 |
---|---|
水温 | 26℃前後 |
GH | 3程度の軟水 |
熱帯魚と大きく異なるのはGHの値です。水草は軟水を好むものが多いため、pHと合わせてGHも調整するとより良く成長します。
また、多くの水草は弱酸性の環境が最適です。CO2を添加することを考えても弱酸性の方が環境を維持しやすくなります。
おすすめ調整方法
水草におすすめの調整方法は、ソイルの使用やCO2添加です。
そもそもソイルは根が張りやすく、栄養も含まれているため水草の育成に最適です。水質調整効果があるものも多いので、水草水槽には水草育成用のソイルを使用しましょう。
また、水草は光合成をする際にCO2を吸収するため、効率よく育成するためにはCO2を添加する必要がありますが、CO2は水に溶け込むとpHを下げる効果があるため、水質を弱酸性に維持するという意味でも、CO2添加は効果的です。
また、水の硬度は、RO浄水器を使って調整する方法が注目されています。RO浄水器は水に含まれる全ての余分な成分を除去して純水を作り出す機材で、以前は海水魚水槽に用いられていました。
水草水槽ではRO浄水器で作り出した純水に必要な微量元素を添加することで、より理想的な水作りが可能になります。
アロワナなどの肉食魚水槽
アロワナなどの淡水肉食魚も、好む水質は他の熱帯魚と変わりません。
ただ、大柄で食べる量や排泄物が多く、水を汚しやすいという特徴から、同じように管理していても水質の変化が起こりやすいです。
特に肉食魚が好む活餌は水が汚れるため、なるべく水質を変化させない対策が必要となります。
肉食魚飼育で維持したい水質・水温
pH | pH6.5~7.0 |
---|---|
水温 | 25~30℃ |
GH | 6程度 |
肉食魚を飼育する環境は、水作りという観点から言えばそこまで難しい点はありません。pHもほぼ中性のため、カルキを抜いた水道水を使用することができます。
ただ、とにかく水をよごすためpHが酸性に傾きやすい点には注意が必要です。
特に複数の大型肉食魚を混泳している水槽は、飼育しているだけでもpHが下がってしまいます。
大型の肉食魚は、もともとの体力があるので簡単に弱ることは少ないですが、しっかりと対策をして水質を維持しましょう。
おすすめ調整方法
肉食魚の飼育環境を適切に維持するには、水をきれいに保つ工夫が何より重要です。
定期的な水換えや掃除はもちろんのこと、スペックの高いろ過フィルターと水質調整機能付きのろ材を使って、水質を維持します。
ろ過フィルターはオーバーフロー式が最適ですが、上部フィルターや外部フィルターでも飼育は可能です。この場合は適応水量よりもワンランク上のものを使用するのがおすすめです。
ろ材は、『パワーハウス』などの水質調整効果が高いものを選ぶのが良いのですが、pHが上昇するタイプを選ぶか低下タイプを選ぶかは、考え方や管理方法などによって異なります。
pH上昇タイプは水の汚れによるpHの低下を防ぐものです。その効果によって、水換えのペースを落とせます。
pH低下タイプは汚れを排出するために、水替えの頻度を増やす場合に使用します。水換えによるpHの変化を減らすのが目的です。
どちらを使用するかは、飼育者の考え方にもよりますが、東京アクアガーデンでは、pH低下タイプを使用して水換えのペースを上げることをおすすめしています。
海水魚水槽
人工海水を使って飼育する海水魚は、当然ながら淡水の水槽とは水質が全く異なります。
ただ、海水魚同士は、原産地に違いがあってもあまり得意な水質に違いがなく、大体同じ値で飼育することが可能です。
海水魚水槽で注意したいのが水質の変化で、年間を通して安定した海で暮らす海水魚は、水質の変化に弱い種類が多いです。
そのため、なるべく水質を一定に保つのが、上手に飼育するポイントとなります。
海水魚の水質・水温
pH | 8.1~8.4 |
---|---|
水温 | 25~27℃ |
KH | 7程度 |
pHを安定してい高い状態に維持する必要がある海水魚水槽では、pHと合わせてKHの値を重要視します。
人工海水には、pHやKHを調整する作用があるため、新しい水を更に調整する必要はありませんが、水槽の中の水は定期的に水質検査薬で検査をして、値を確認しましょう
人工海水はメーカーの注意書きを参考に、比重に注意しながら作ります。
水温は25℃を維持すれば、大丈夫です。
海水魚水槽で重要なのは、水作りよりも環境を変化させない工夫です。
水質の変化に弱い品種が多いので、日々の水質の変化や水換え時の急変には注意してください。
おすすめ調整方法
海水魚水槽でおすすめなのは、水換えやプロテインスキマーを使用して水をきれいに維持することと、底床やろ材にサンゴ砂を入れて水質を調整する方法です。
海水魚は淡水魚以上に硝酸塩に弱い傾向にあるので、定期的な水換えをして硝酸塩を除去しましょう。
水質に敏感な生体を飼育している場合は、それに加えてプロテインスキマーを使用するのもおすすめです。プロテインスキマーは海水専用のろ過装置で、海水を泡立てて有機物を吸着し除去します。高価な機材ですが、水換えの回数を減らし水質を維持するのに役立ちます。
また、pHの低下を防ぐにはサンゴ砂が効果的です。サンゴ砂に含まれるカルシウムがゆっくりと溶け出して、pHを上昇させます。
『カミハタ アラガミルク』などの添加剤を使って水質を改善する方法もありますが、時間が経つと少しずつ酸性に傾いていくので、常に水質を調整し続けるという面ではサンゴ砂が最適です。
底砂にはパウダータイプの、ろ材には粗目のサンゴ砂を使用しましょう。
サンゴ水槽
水作りで一番繊細なのがサンゴです。
サンゴにはソフトコーラルとハードコーラルの2タイプがあり、一般的にはソフトコーラルは比較的飼育しやすく、ハードコーラルは水質にうるさく飼育が難しいとされます。
中でもミドリイシは、アクアリウムの中でも最も水質管理にシビアで難しいです。
ただ最近では機材や添加剤が進歩し、ひと昔前に比べると飼育しやすくなってきています。
サンゴ飼育の水質・水温
pH | 8.1~8.4 |
---|---|
水温 | 23~27℃ |
GH | 8程度 |
まず、水温が28℃を超えるとサンゴが弱るので、夏の水温上昇には注意しましょう。
ハードコーラルを飼育する場合はKHの値を8と、高めに維持するのがコツです。ソフトコーラルではもう少し低くても問題ありません。
また、各微量元素のバランスを整えることで、より美しくサンゴが成長します。
おすすめ調整方法
海水魚水槽と同様に、底砂やろ材にサンゴ砂を使うのはpHの調整に有効です。
これに加えてサンゴ水槽では、プロテインスキマーやRO浄水器を使って不純物を除去したり、カルシウムリアクターでサンゴの成長に必要なカルシウムを補ったりといったことが必要になります。
水槽に入れる水はRO浄水器で水道水に含まれた上から不純物を除去したうえで、サンゴ用の添加剤を入れて微量元素のバランスを調整するのがおすすめです。
プロテインスキマーを使って水の汚れを取り除き、水換えの回数を減らして水質の変化を少なくするのも良いでしょう。
それから、ミドリイシなどのハードコーラルを育てるにはカルシウムリアクターが必須です。
ハードコーラルは成長に伴い水中のカルシウムを大量に消費するため、KHの値がどんどん低下してしまいます。KHが低下すると、pHが酸性に傾きやすくなりますので、カルシウムリアクターを使ってカルシウムを補い水質を保ちましょう。
また『カミハタ パープルアップ』や『カミハタ コーラルアップ』などの添加材を併用するのもおすすめです。サンゴに必要な微量元素やカルシウム、ヨウ素など供給できるので、サンゴの生育が良くなります。
また、底砂にはカルシウムサンドなどを使用すると、ミネラルを供給しやすくなります。
水槽の水作りには、実は底砂の選定も大変重要です。
生態に合った底床材を選定するようにしましょう。
まとめ:熱帯魚水槽の水作り!飼育生体ごとにおすすめの水質・水温と調整方法
今回は、熱帯魚水槽の水作りについて解説しました。
ひとくくりに熱帯魚水槽といっても、飼育する生き物の種類によって得意な水質が異なりますので、それぞれに合わせた水作りがとても大切です。
混泳水槽で魚や水草、サンゴの好む水質が違う時は、より繊細でシビアな方に合わせるのが良いでしょう。
熱帯魚は多少水質が違う環境でも適応できるものが多いので、水質にうるさい生体に合わせた方が管理がしやすいです。また、水質に気を使っている環境ならば、どの生体も大抵健康に育ちます。
ここで紹介したおすすめの調整方法を参考に、水作りをしてみてください。
そのほかにも水質管理などに関するコラムがありますので、そちらもぜひ参考にしてください。
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