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海水水槽にエアレーションは必要?酸素を供給するための3個の工夫とは!

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海水魚の飼育について調べていると、海水水槽にエアレーションは不要という記載を目にすることがあります。

「淡水魚よりも硝酸塩に敏感な海水魚を飼育する水槽ではハイスペックなろ過フィルターを備えていることが多く、水流も強めだから」というのがその理由ですが、では実際のところ本当にエアレーションは必要ないのでしょうか

結論から申し上げますと、海水魚水槽でもエアレーションは必要です。
ただし、エアレーションに変わる酸素供給システムが確立している水槽であれば、エアレーションが無くても管理ができます

今回のコラムでは、海水水槽にもエアレーションが必要な理由やおすすめの酸素供給方法について解説しますので、ぜひご覧ください。

※このコラムはアクアリウム情報サイト・トロピカの記事に、最新の情報を加えて再構成したものです。

プロアクアリストたちの意見をもとに海水水槽にエアレーションが必要な理由を解説


このコラムは、東京アクアガーデンスタッフであるプロのアクアリストたちの意見をもとに作成しています。

エアレーションは主に淡水水槽で活躍する設備と思われがちですが、ろ過フィルターの種類やその他の機材の組み合わせ次第では海水水槽にも必要な場合があります

ここでは、実務経験から得た知識をもとに、海水水槽にエアレーションが必要な理由を解説します。

海水水槽にエアレーションが必要な理由


海水水槽では、ハイスペックなろ過フィルターや水流ポンプを使って水槽を管理することから、あえてエアレーションをする必要はないという考え方もありますが、基本的には淡水水槽と同様に、エアレーションをした方が水槽全体の調子が上がりやすいです。

まずは、海水水槽にエアレーションが必要な理由と酸素不足におちいった際のリスクを解説します。

硝化バクテリアの働きが活発になる

淡水水槽と同様、海水水槽でも酸素が豊富な環境では硝化バクテリアの働きが高まって、きれいな水質を維持しやすくなります

海水魚は水の汚れを苦手とする魚種が多く水質の変化に弱いので、長期飼育につなげていくには生物ろ過の強化が非常に重要です。
特に外部フィルターで水槽を管理している場合は、酸欠を起こしやすい傾向にあるため、エアレーションをして酸素供給量を増やしてあげましょう。

酸欠になるリスク

では海水水槽の酸素供給が不足すると、水槽はどうなってしまうのでしょうか。

酸欠によって引き起こされる影響は、

  • 生き物が体調を崩す、死んでしまう
  • 水質が悪化する

2つが考えられます。どちらも生き物や水槽全体に深刻なダメージをあたえる問題です。

まず、海水魚は基本的に水中に溶け込んだ酸素をエラから取り込んで呼吸をするため、水中の酸素が不足すると酸欠になって、最悪の場合死に至る危険があります。

また、酸素不足により硝化バクテリアの活性が落ちたり、死滅して数が減ってしまったりすると、急激な水質の悪化や濁りなどが生じることも。
水質の変化は水槽内にいる魚たちの不調に繋がるため、酸欠のサインが見られたら早急にエアレーションなどをして水槽環境を改善しましょう

酸素が不足しているサインとは

水中の酸素が不足気味の水槽では、以下のような異変がみられます。

  • 魚が鼻上げをする
  • 水が臭う
  • 油膜が張る

魚が水面付近でパクパクと口を動かす鼻上げは、酸欠状態の水槽で良く見られる仕草です。
また水面の油膜や飼育水のとろみ異臭といった水の異常も酸欠のサイン。飼育水の異変はバクテリアが大量に死滅したことに起因して起こることが多く、特に水温が高くなっている水槽では症状が進みやすいです。

水槽の様子を小まめに確認し、異変に応じて対処をすることを心がけましょう。

エアレーションが不要なケースとは?


酸素を豊富に供給できるエアレーションは海水水槽でも有効ですが、別の方法で水中に酸素を取り込むことができる仕組みが整っている水槽ならば、エアレーションを設置しなくても水槽を管理できる場合があります

水流ポンプを設置している

hygger 水流ポンプ 小型 3000L/H 4w ウェーブポンプ 水槽ポンプ 循環ポンプ 静音 360°回転可能 マグネット式 流量調整56L水槽以下 淡水/海水用

自然環境に近いランダムな水流を再現するために水槽内に水流ポンプを設置している場合は、エアレーションをしなくても問題ないケースが多いです。

水槽内をしっかり水が循環していれば、その分水面から取り込める溶存酸素量が増えて水中の酸欠を予防できます
また、水流ポンプの強い流れは水槽内の死角に溜まるゴミや汚れを押し流してきれいにしてくれるので、清潔な環境を保つのにも非常に高い効果が期待できます

オーバーフロー水槽や上部式フィルタ―を採用している

酸素供給力に優れたろ過方式を採用している水槽ならば、エアレーションは不要です。
海水魚水槽でよく使用されるろ過方式の中で酸素供給力が高いのは、オーバーフロー水槽上部式フィルターが挙げられます。

一方外部フィルターは、ろ過槽が密閉されていて酸素を取り込む力が弱め。この場合は、別途エアレーションを設置してあげると魚たちの調子が上がりますし、バクテリアが活性化して外部フィルターのろ過能力を最大限に引き出しやすくなります

海水水槽に酸素供給をする工夫3個


海水水槽における酸素供給の重要性が確認できたところで、ここからは水槽に酸素送る工夫をご紹介します。

  • 淡水同様にエアレーションする
  • プロテインスキマーをつける
  • オーバーフロー水槽・上部式フィルタ―を設置する

という3つの方法についてご紹介しますので、しっかりと確認しておきましょう。

工夫1:淡水同様にエアレーションする

いぶきエアストーン セラミックエアストーン 直径23×220 #100 エアーストーン

一番簡単で確実なのが、淡水水槽と同様にエアーポンプとエアストーンを使ってエアレーションをすることです。

エアレーションの設備は扱いが簡単で安価なので、すでに出来上がっている水槽でも少ない負担で導入できます
魚の治療などで隔離する時などにも使えるので、酸欠予防以外でも一つ用意しておくと安心でしょう。

ただし海水水槽でエアストーンを使用する際に注意したいのが塩ダレです。
水面近くで跳ねた水が乾くと海水の塩分がこびりついてしまうので、気になる場合は以下のようなバブルストッパーの併用をおすすめします。

バイオラボトット (TOTTO) バブルストッパー ミニ

工夫2:プロテインスキマーをつける

ゼンスイ プロテインスキマー ナノスキマーコンパクト ~60cm水槽 流量調節可能 ベンチュリー式 水槽内設置

プロテインスキマーは海水を泡立てて水中の汚れを絡め取る、海水専用のろ過装置です。
実は酸素を取り込む能力にも優れており、ろ過フィルターと併用することで安定して水槽に酸素供給をすることができます

本来の水をろ過するという役割から、内部に汚れが溜まりやすく定期的なメンテナンスが必要ではありますが、水槽全体のろ過能力を高めつつ酸素供給力を強化できるのは嬉しいポイントです。

ただ、プロテインスキマーはとても高価な機材なので、エアレーション目的だけで設置するとなると少しコスパが悪く感じるかもしれません。
予算や目的によってエアレーションと使い分けるのがおすすめです。

工夫3:オーバーフロー水槽・上部式フィルターを設置する


ろ過フィルタ―を酸素供給力の高い、オーバーフローや上部式フィルターに変えるのもおすすめです。
どちらも飼育水が上から水槽やろ過槽へ落下するタイミングで空気に触れるため、大量の酸素を巻き込むことができます

上部式フィルターの場合は、さらに水流ポンプを併用することで取り込んだ酸素を水槽の隅々まで運ぶことが可能です。
オーバーフロー式は導入コストがかかりますが、酸素供給からろ過、水流の強化まですべてをカバーできるので、新たに海水魚水槽を立ち上げるのであれば選択肢に入れてみてください。

オーバーフロー式が海水水槽で選ばれる理由とは


海水水槽で導入される機会が多いオーバーフロー水槽は、最も酸素供給能力に優れたシステムで、多くの酸素を必要とする海水魚飼育にぴったり
しかし、多くの海水魚飼育者がオーバーフロー式を選ぶ理由はそれだけではありません。

ここからはオーバーフロー式が海水水槽で選ばれる理由ということで、

  • 設備をカスタマイズできる
  • 見た目がすっきりする
  • ろ材を大量に備えられる

こちらの3点について解説をしていきます。

設備をカスタマイズできる

レイシー マグネットポンプ RMD-201

好みに合わせて設備をカスタマイズできる点が、オーバーフローが選ばれる1つ目の理由です。

海水魚やサンゴといった繊細な生き物を飼育するには、水温を維持する水槽用クーラーや水質維持のためのプロテインスキマー、サンゴ用のミネラルを供給するカルシウムリアクターなど、様々な周辺機材が必要ですが、機材が多いほど水を循環させるポンプに負荷がかか水流が落ちてしまいます

その点オーバーフロー式は揚水ポンプの強さを選ぶことができるので、強力なポンプを選定すれば水を汚す生体が多かったり水槽用クーラーを取り付けるような場合でも問題なく水を循環させることが可能です。
水が滞りなく循環する=短時間で多くの水をろ過できるということなので、ろ過能力を落とさずに複数の機材を運用できるのはオーバーフローならではの魅力ではないでしょうか。

私は人生初の海水魚飼育をオーバーフロー水槽で始めた経験があるのですが、水が回る仕組みさえ理解できれば配管やポンプの選定はそれほど難しくない印象でした。
設置さえできれば管理はしやすいので、初めて海水飼育に挑戦する方にこそオーバーフロー式がおすすめです。

見た目がすっきりする


海水水槽におすすめの理由2つ目は、ろ過槽が水槽の下部にあるため水槽周りをすっきり見せることができるということです。

ろ過槽を水槽台で隠してしまえば、複雑な配管が人目に触れることもありません。
インテリア性が高まりますし、海水魚のカラフルで洗練されたイメージを崩すこと無く観賞できるのはかなり大きなメリットと言えます。

ろ材を大量に備えられる

ウォーターエンジニアリング リバース・グレイン マリン 200cc 2個入 海水魚とサンゴのためのベースろ過材 アルカリ性を好む魚・pHの下がりやすい大型魚にも

オーバーフロー式が海水水槽で選ばれる最大の理由が、ろ過槽の広さです。
ろ過槽が広いということはつまり、ろ材を大量に入れられるということ。

海水魚水槽は淡水魚水槽以上に硝化バクテリアの働きが重要となるため、ろ過槽が広くろ材が多ければ多いほど、バクテリアがたくさん定着できて水質の安定につなげられます

また、ろ過槽内にプロテインスキマーを設置すれば、ウールマットによる物理ろ過・多孔質なろ材によるバクテリアの確保・タンパク質の除去といった、複数のろ過システムを組み合わせた理想の環境を作り出すことも可能です。

まとめ:海水水槽にエアレーションは必要?酸素を供給するための3個の工夫とは!


今回は海水水槽におけるエアレーションの必要性や、酸素を供給するための方法について解説をしてきました。

様々な飼育ノウハウがありますが、基本的には海水水槽にもエアレーションは必要です。

オーバーフロー水槽やプロテインスキマー、水流ポンプなどの酸素供給力が高い機材を使っている場合はエアレーションが無くても管理できますが、それらの設備が故障で停止する可能性もゼロではありません。
これらのことを踏まえると、いざという時のためにもエアレーションを用意しておいた方が安心です。

「あのとききちんと対策しておけば…」と後悔しないように水槽の酸欠対策をしっかりと行い、健康なマリンアクアリウムを楽しみましょう。

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執筆者 井上あゆみ

金魚から熱帯魚・海水魚まで、全部で20種類程度のお魚を飼育してきました。お気に入りはイエローヘッド・ジョーフィッシュ。怒ったような顔をしているのに、実はかなり臆病というなかなか憎めない海水魚です。アクアリウム初心者の方でも楽しく読めるような記事を書いていくので、よろしくお願い致します!

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