
ベルリン式とは!メリットと必要な設備・立ち上げ方、添加剤について!
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ベルリン式は、マリンアクアリウムの中でもサンゴをメインに育成する水槽で用いられるろ過方式のことで、ろ材を使うことなくプロテインスキマーとライブロックによって水質を維持します。
硝酸塩がほぼ発生仕組みなので、ミドリイシなどの水質に敏感なサンゴを飼育するのに最適です。
しかし一方で、必要な機材が多く立ち上げ方も複雑なため、初心者の方にはハードルが高く感じてしまうことも少なくありません。
そこで今回は、メリットと必要な設備・立ち上げ方などをふまえて、ベルリン式について解説します。
本格的なマリンアクアリウムに挑戦したい、飼育の難しいサンゴを飼育してみたいという方は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
プロアクアリストたちの意見をもとに海水水槽におすすめのベルリン式を解説
このコラムは、東京アクアガーデンスタッフであるプロのアクアリストたちの意見をもとに作成しています。
水中にほとんど硝酸塩を発生させないろ過方式であるベルリン式は、うまく活用することで本格的なサンゴ飼育が可能となります
必要な機材が多く費用がかかることから気軽に挑戦できる管理法ではありませんが、ワンランク上の水槽を目指すならば検討する価値は十分にあるでしょう。
ここでは、実務経験から得た知識をもとに、海水水槽におすすめのベルリン式を解説します。
ベルリン式とは?
ベルリン式は、海水魚水槽の中でもサンゴを飼育する際に用いられるろ過方式なので、聞き慣れない方も多いのではないでしょうか。
ろ過フィルターを使った一般的なろ過方式とは一線を画す管理方法のため、まずは、
- 特徴とろ過の仕組み
- 飼育できる生き物
- メリットとデメリット
この3点を具体的に解説していきます。ベルリン式の水槽を立ち上げるために必要な内容なので、ぜひご覧になってみてください。
ろ材を使わないろ過方式
ベルリン式の大きな特徴がろ過フィルターやろ材を使わずに、プロテインスキマーをメインに水槽を管理する点です。
一般的なろ過方式ではろ材に定着した硝化バクテリアが、餌の食べ残しやフンなどの有機物をアンモニア→亜硝酸→硝酸塩の順に分解するサイクルを利用して水質を維持します。
最後に残る硝酸塩は定期的に水換えをして除去しますが、水質に敏感な海水魚やサンゴだと、少量の硝酸塩でも体調を崩してしまう原因になることも。
このようなときに活躍するのがベルリン式です。プロテインスキマーが作る微細な泡で、分解される前の有機物(タンパク質)やゴミを物理的に除去できるため、硝酸塩の発生を極力抑えることができます。
とはいえ、完全に取り除けるわけではないので、バクテリアの住処になるライブロックを入れて、硝化バクテリアによる生物ろ過と嫌気性バクテリアによる硝酸塩の分解を促すことも重要です。
- プロテインスキマーによる有機物の除去
- 硝化・嫌気性バクテリアによる生物ろ過と硝酸塩の分解
この2段階の仕組みで、水質浄化を実現します。
ベルリン式で飼育できる生き物
少々特殊なベルリン式を活用すれば、マリンアクアリウムの中でも特に飼育が難しいとされる、サンゴや海水魚の飼育が可能となります。
ミドリイシなどのサンゴ
ベルリン式を活用することで、サンゴやイソギンチャクといった無脊椎動物の飼育が可能となります。
サンゴなどは水質変化に特に弱いため、硝酸塩の蓄積が命取りになることも珍しくありません。
ベルリン式は、そのようなサンゴ類を飼育するために考案されたろ過方式でもあります。
なかでも微量の硝酸塩にも弱く、通常の海水水槽では育成が難しいミドリイシを始めとしたハードコーラルが飼育できるのは、ベルリン式だからこそです。
養分発生源としての海水魚
一般的なろ過方式で飼育できる海水魚も、飼育が可能です。
ただし、ろ材を入れずにプロテインスキマーと硝化バクテリアの力だけで管理するベルリン式では、処理できる汚れに限りがあるため、海水魚の飼育数は控えめにしましょう。
生き物を飼育することで発生する有機物はバクテリアの餌となるため、サンゴもメインの水槽でも数匹程度は飼育した方が水槽環境が安定しやすいです。
ベルリン式を採用した水槽は、海水魚よりもサンゴを育成するのに特化していますので、海水魚の飼育はあくまでオマケ程度と考えましょう。
ベルリン式のメリット
ベルリン式を使った水槽を管理する最大のメリットは、硝酸塩がほぼ発生しない所にあります。
有機物が硝酸塩に変わる前に取り除くことで水質の変化が起こりにくくなり、通常の海水魚水槽では飼育が難しいミドリイシなどのハードコーラルを安定して育てることができます。
また、硝酸塩の排出が主な目的である水換えの頻度を大幅に下げられるため、水槽管理にかかる手間を削減できるもの利点でしょう。
ベルリン式のデメリット
ベルリン式は主にサンゴを飼育する水槽をターゲットにした水槽管理術であることから、一度にたくさんの有機物を処理することができません。
そのため、飼育する生体の数がかなり限られるのは大きなデメリットです。
飼育数の目安は海水魚で1~2匹程度なので、サンゴ以外の飼育をメインに考えているならばそのほかのろ過方式をおすすめします。
また、オーバーフロー水槽やプロテインスキマーといった特殊で高価な機材が多く必要で、通常の海水水槽よりも初期費用がかかる点にも注意が必要です。
ろ材に頼らず硝化バクテリアを定着させるために、立ち上げに時間がかかる点もデメリットでしょう。
とはいえ、ベルリン式で水槽が上手く立ち上がると、サンゴの飼育に最適な環境になるので、サンゴ好きならば実現したい憧れのろ過方式です。
ベルリン式の設備と立ち上げ方
ここからは、ベルリン式の設備と立ち上げ方をご紹介します。
おすすめの機材例をふまえて解説するので、ベルリン式の立ち上げを検討中の方はご覧になってみてください。
ベルリン式に必要な設備
ベルリン式に必要な基本的な設備は次の7つです。
- オーバーフロー水槽一式
- ライブロック
- マグネットポンプと水流ポンプ
- プロテインスキマー・カルシウムリアクター
- 高照度のサンゴ用照明
- 水槽用クーラーと水槽用ヒーター
- 底砂・サンゴ用人工海水の素
通常の海水魚水槽とは異なる点も多いので、具体的に解説していきます。
オーバーフロー水槽一式
90~120cm以上のオーバーフロー式水槽に加え、水槽台とサンプ(ろ過槽)を用意しましょう。
ベルリン式はろ材がなく大量のバクテリアを定着させることができません。
水質変化を抑えるためにも、大型の水槽で水量を確保する必要があります。
水量はもちろん、ろ過の心臓部である強力なプロテインスキマーを導入するためにも、サンプはできる限り広いものを用意しましょう。
とはいえ、水槽とサンプがどちらも大型になるので、市販品ではバランス調整が難しい場合もあります。
理想的な水槽設備をまとめて一式そろえたい場合は、オーダーメイドもおすすめです。
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ライブロック
硝化バクテリアや嫌気性バクテリアを多く定着させるため、水槽内に多量のライブロックを配置します。
ピンクや紫色の石灰藻がたくさん付着したものが、良質なライブロックです。
石灰藻は良い水質が保たれている環境でないと繁茂しないため、ライブロックに石灰藻が繁茂する水槽=サンゴにとって良い環境が保たれている水槽、と考えることができます。
水槽の状態を見る際の一つのバロメーターとして覚えておくと良いでしょう。
また、ライブロックには害虫や意図しない生き物が付着している可能性があるので、水槽に入れる前に丁寧にキュアリングをしてください。
マグネットポンプと水流ポンプ
循環ポンプは、レイシー社の『マグネットポンプ』がおすすめです。
ポンプのパワーは、水槽の大きさや水量によって変わります。ライブロックを多量に入れることで水流が妨げられやすいため、水流ポンプを設置して水流が行き渡るようにしましょう。
プロテインスキマー・カルシウムリアクター
ベルリン式でメインのろ過器となるプロテインスキマーは、エアーリフト式ではパワー不足なので、水中式(ベンチュリー式)を用意しましょう。
レッドシーの『H&S』やゼンスイの『ジェネシス』などの機種は、高性能な上にメンテナンス性も高いので長期間の運用にも向いています。
プロテインスキマーの負担を減らすために、ろ過槽の落水地点にウールマットを設置してゴミを減らすのも良い方法です。
またミドリイシを飼育する場合は、サンゴの成長に必要なカルシウムを供給するために、カルシウムリアクターを導入することをおすすめします。
ミドリイシは成長が早く水中のカルシウムを消費しやすいため、カルシウムリアクターと後ほどご紹介する添加材を使って安定した飼育を目指しましょう。
高照度のサンゴ用照明
ベルリン式で使用する照明は、サンゴの育成に特化したものを選びましょう。
通常の水槽用照明では光量や波長が合わずサンゴが調子を落としてしまうため、必ず専用品を用意してください。
サンゴ用照明にはいくつか種類がありますが、サンゴをメインにした水槽ならば様々な種類に対応できるフルスペクトルの照明が最適です。
Aiの『Hydra』やEcoTech Marineの『Radion G5』、ボルクスジャパンの『グラッシーレディオ RX122 reef』などは、サンゴ愛好家の中でも特に評価の高く、初めてのサンゴ育成にもおすすめできます。
水槽用クーラーと水槽用ヒーター
ベルリン式で飼育するサンゴや海水魚は水温の変化にも敏感なため、水槽用ヒーターとクーラーを併用しましょう。
水槽用のクーラーとヒーターは、水槽の大きさと水量に合わせて選びます。
底砂・サンゴ用人工海水の素
バクテリアが定着する場所を増やすため、底砂を入れるのも良いでしょう。
元からバクテリアが付着しているライブサンドであれば、定着させる期間を短縮できます。
人工海水の素は基本的には何を使っても問題ありませんが、製品によって含まれている成分に微妙に違いがあるため、飼育している生体に合わせたものを選ぶのがおすすめ。
サンゴ水槽ならば『リーフクリスタル』や『コーラルプロソルト』などの、カルシウムやビタミンなどが含まれたものが最適です。
ベルリン式の立ち上げ方法
必要な設備を揃えたら、バクテリアの養分を生み出すための海水魚(丈夫なカクレクマノミなどが最適)を1~2匹ほど入れて、照明を十分に照射しながら運用を始めます。
サンゴは水槽が立ち上がってから飼育を始めるのが良いため、この時点ではまだ導入できません。
最初の頃は水質検査薬でこまめに水質を確認しながら、水質の安定を目指しましょう。
立ち上げて間もないとアンモニアや硝酸塩が検出されやすいため、適宜水換えをしながら立ち上がりを待ちます。
アンモニア・亜硝酸・硝酸塩が検出されなくなったら、水槽が立ち上がった目安。このタイミングでサンゴを導入します。
ベルリン式は立ち上げに時間がかかるため、安定まで数ヶ月を要することも珍しくありません。
慌てずにプロテインスキマーの動作と硝化・嫌気性バクテリアの働きが安定したことを確認できてから、サンゴを導入しましょう。
ベルリン式を維持する添加剤について
ベルリン式に限らずサンゴをメインに育成する水槽では、カルシウムを始めとしたミネラル分が不足しがちです。
健康的で美しいサンゴを育ているために、適宜添加剤を使って環境を整えましょう。
カルシウム剤・サンゴフードは必要!
サンゴはもちろんのことライブロックに付着する石灰藻を育てるにも、カルシウムは必須。
サンゴ水槽ではカルシウムを消費する生き物が多く不足しがちなため、カミハタ『パープルアップ』などのカルシウム剤を添加して補いましょう。
また、汚れが溜まると石灰藻の成長に悪影響が出るため、水流ポンプを使ってライブロックに水流が当たるよう調節しながら管理します。
その他のサンゴフードや添加剤は、水質や水槽の様子を確認しながら適切に添加してください。
RO浄水器を使ったほうが良い?
ベルリン式で水槽を運用する場合は、RO浄水器が効果的に活用できます。
水道水に含まれる余分な成分を除去できるため、コケの抑制や水質を安定させやすいです。
ミネラルなどの成分も一緒に除去されてしまうデメリットはありますが、これらの成分は人工海水の素にも含まれていますし、まっさらな状態に添加剤を添加してお好みの水質に仕上げることができるので、よりサンゴに適した環境を作りやすいでしょう。
RO浄水器は、マーフィード『エキスパートマリン』シリーズがおすすめです。
まとめ:ベルリン式とは!メリットと必要な設備・立ち上げ方、添加剤について!
今回のコラムでは、サンゴ育成に最適なベルリン式について、メリット・デメリットや必要な設備、立ち上げ方法などを解説しました。
ベルリン式はプロテインスキマーと硝化・嫌気性バクテリアの働きを利用して、硝酸塩を極力発生させずに水質を管理する特殊なろ過方式です。
ミドリイシなどの硝酸塩に敏感なサンゴ類は、ベルリン式だからこそ飼育できるといっても過言ではありません。
一方、処理できる汚れの量が限られるため、海水魚を大量に飼育するような場面では、その他のろ過方式をおすすめします。
ベルリン式は設備の用意や立ち上げに手間はかかりますが、様々なサンゴを育成できたり、水換えの頻度を減らせたりといった唯一無二のメリットが豊富です。
サンゴ水槽を立ち上げたい方はぜひ、ベルリン式に挑戦してみてください。
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