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海水魚やサンゴを飼育するマリンアクアリウムは、淡水水槽よりも難易度が高いと言われています。
その理由の一つが水質管理です。海水魚やサンゴは淡水の生き物に比べて水質の変化に弱く、硝酸塩に敏感なため、常に水をきれいな状態で維持し続けなければなりません。
このような繊細な水質管理が求められる環境で要となるのが、ろ過フィルターです。
適切なろ過能力を備えているかはもちろんのこと、水槽用クーラーやプロテインスキマーといったろ過フィルターに接続して使用する機材が必要になった時に設置できるかどうかなど、ポイントを押さえて選定していきましょう。
今回のコラムでは、海水魚飼育におけるろ過フィルターの重要性を改めて確認するとともに、水槽サイズ別におすすめのろ過方式をご紹介します。
目次
プロアクアリストたちの意見をもとに海水魚飼育におすすめのろ過フィルターを解説
このコラムは、東京アクアガーデンスタッフであるプロのアクアリストたちの意見をもとに作成しています。
水の汚れに敏感な海水魚の飼育では、しっかり水をろ過できるパワーを備えたろ過タイプを選ぶことが重要です。
また十分な水流が確保できるかや、接続が必要な機材の有無についても確認しましょう。
ここでは、実務経験から得た知識をもとに、海水魚飼育におすすめのろ過フィルターを解説します。
海水魚の得意な水質とろ過フィルターの役割
水槽で海水魚を飼育するには、淡水魚よりもさらに繊細な水質管理が必要となります。
とはいえ、海水魚が得意とする水質を理解して海水魚の弱点をろ過フィルターで補うことができれば、飼育自体が難しいわけではありません。
まずは、海水魚の好む水質とろ過フィルターの果たす役割について確認していきましょう。
海水魚は硝酸塩が苦手!
海水魚を飼育するのに最適な水質はpH7.8以上の海水です。
海水魚は淡水魚以上に水の汚れに敏感で硝酸塩を苦手としますが、硝酸塩はpH低下の原因にもなるため蓄積には注意が必要です。
水質が合わないと体色が黒ずんだり、目が白く変色したりなどの異変が現れるほか、食欲低下・排泄不全などにも繋がるためしっかりと対処しましょう。
硝酸塩は魚たちの餌の食べ残しや排泄物から発生する有機物がバクテリアによって、アンモニア→亜硝酸→硝酸塩と段階的に分解されたもので、アクアリウムでは水の汚れと呼ばれるものの主成分です。
淡水水槽では硝酸塩を水草に吸収させることで蓄積を緩和できますが、海水水槽ではこのような対応ができないため、ろ過フィルターなどの機材と定期的な水換えの力でしっかり除去しなければなりません。
ろ過フィルターの役割
ろ過フィルターは、「物理ろ過」「生物ろ過」「化学ろ過」の3つの役割があります。
物理ろ過はウールマットなどで、目に見える食べ残しやゴミなどを漉しとって飼育水を清潔に保つ階層です。
生物ろ過はろ材内部で繁殖したバクテリアの力で、アンモニアや亜硝酸などの有機成分を分解して水の汚れを取り除きます。
ろ過フィルターの中でも特に重要な部分です。
化学ろ過では活性炭や吸着ろ材などを用いて、水中の有害物質を吸着・除去します。
ろ過フィルターのこの3つの役割は、ろ材の組み合わせでパワーが大きく変わります。先ほどもお話した通り海水魚は水質の変化にとても敏感ですので、ろ過フィルターを最大限に活用して飼育水をきれいに保ちましょう。
海水魚におすすめのろ過方式とその特徴
ろ過フィルターの能力や使い心地はろ過の方式に大きく左右される部分です。
ここでは、海水魚飼育におすすめのろ過方式とそれぞれの特徴をご紹介します。
海水魚飼育では、水槽用クーラーやプロテインスキマー、カルシウムリアクターなどろ過フィルターに接続して使用する機材がたくさんあります。
これらの機材は接続できるろ過方式が限られますので、周辺機器の有無も考慮しながらろ過フィルターを選定しましょう。
外部フィルター
海水魚水槽で真っ先に候補になるのが外部フィルターです。ろ材を入れるろ過槽のスペースが広く、たくさんのろ材を入れることができるため、生物ろ過の能力が非常に優れています。
また、水を冷却して水温を保つ水槽用クーラーや、サンゴ飼育で使用するカルシウムリアクターを接続できるのも外部フィルターの利点で、飼育状況に応じて周辺機器の追加がしやすいでしょう。
小型水槽ならば1台で十分カバーできるろ過能力がありますし、水槽内で場所を取らないため小型のプロテインスキマーが設置しやすいというのもメリットです。
後述するオーバーフロー水槽に次いで海水魚水槽におすすめのろ過方式と言えます。
上部フィルター・外掛けフィルター
上部フィルターと外掛け式フィルターは、ポンプで水を汲み上げてろ過した水を循環させる仕組みです。
水槽の上部から落水させるので、酸素を取り込みやすいというメリットがあります。
上部フィルターはろ過フィルターの内部が広くとられており、ろ材をたくさん入れられるのが魅力です。
ろ材の組み合わせ次第ではかなり高いろ過能力を持たせることができます。
外掛け式フィルターは水槽のフチに引っ掛けて使うもので、水槽内のスペースを圧迫しないのが利点です。
ろ過能力は控えめですが、小型水槽ならば外掛けフィルター+プロテインスキマーの機能を併せ持つ機種(カミハタ海道河童)といった、海水魚水槽向けの製品も販売されています。
ただし、どちらろ過方式も水槽用クーラーなどの機材が接続できないため、別途外部フィルターを用意する必要がある点にはご注意ください。
また、大きな水槽ではパワー不足になりやすいので、外部フィルターのサブフィルターとするなど活用の仕方を工夫しましょう。
オーバーフロー式
本格的なマリンアクアリウムの設備を揃えたい方には、オーバーフロー水槽が一番人気です。
ろ過フィルターの中でも随一のろ過能力を備えており、海水魚飼育で重要な酸素供給力や水流を生み出す力にも優れています。
水流ポンプを使ってろ過槽と水槽で水を循環させる仕組みで、ろ過槽の内容や階層を好きなようにカスタマイズできるのが最大の特徴。
ろ材を入れるのはもちろん、水槽用ヒーターやクーラー、プロテインスキマー、カルシウムリアクターなどの機器までろ過槽に設置できるので、効率よく水質を管理できて、水槽の中もすっきり見せることができます。
一方オーバーフロー水槽は、水槽に穴を空けてろ過槽と配管で繋ぐ必要があるため、水槽設備一式、専用のものを用意しなければならず初期投資がかかるのがネックです。
ただ、水質を安定させるという点ではオーバーフローに勝るものはないので、長期的に水槽を管理していくならば、オーバーフロー水槽を導入する価値は十分にあります。
流動フィルター
ろ材を水流で撹拌し続ける、生物ろ過に特化したろ過方式です。
常に新鮮な水と酸素がろ材の中に満遍なく供給され続けるため、付着しているバクテリアの活性が高まってろ過能力がアップします。
一方、物理ろ過ができる階層は持ち合わせていないので、ほかのフィルターとセットで使用するのが一般的です。
最近は海水魚が苦手な硝酸塩を低減させる効果も期待できることから、マリンアクアリウムのサブフィルターとして外部フィルターと組み合わせて使用する方が増えています。
水槽サイズごとのおすすめろ過フィルター
海水魚飼育では、水槽の大きさによって使用しやすい・最適なろ過フィルターが異なります。
ここからは、海水魚水槽のごとにおすすめのろ過方式をご紹介します。
~45cm水槽
45cm程度までの小型水槽では、
- 外部フィルター
- オーバーフロー水槽
- プロテインスキマー機能付きの外掛けフィルター
がおすすめです。
最近は小型水槽の人気の高まりから、コンパクトながら高性能なろ過フィルターが数多く登場しています。
中でも、マメデザインの『マメオーバーフロー』は、水槽のフチに引っ掛けた本体とろ過槽に設置したポンプとホースで繋くだけで、 お手持ちの水槽に穴を空けることなくそのままオーバーフロー化できる画期的な製品です。
ろ過フィルターのろ過をサポートするプロテインスキマーも小型化しており、『ナノスキマーコンパクト』は、主に45cm水槽までのサイズを想定して設計されています。
ただし、どんなに性能が良くなっていても小型水槽の水量が限られていることに変わりはありません。小型水槽で海水魚を飼育するときは餌を控えめにして、こまめな水換えを心掛けましょう。
60~90cm水槽
60~90cmまでの中型水槽では、
- オーバーフロー式
- 外部フィルター
- 上部フィルター
が候補です。
一番のおすすめはオーバーフロー式で、飼育内容に合わせてプロテインスキマーやカルシウムリアクターなどを追加すれば、少し難しい海水魚やサンゴの育成にも挑戦できるでしょう。
外部フィルターをメインに管理するならば、上部フィルターや外掛け式などをサブフィルターとして組み合わせると、水質が安定しやすくなります。
120~150cm水槽
120cmを超える大型水槽では、
- オーバーフロー式
が本領を発揮します。
ろ過槽に十分なろ材スペースを設けて、プロテインスキマーや流動フィルターなどを組み合わせることで、水をしっかりろ過できます。
導入コストはかかりますが、安定した海水環境を長期的に維持するのに最もおすすめなろ過フィルターです。
まとめ:海水魚のろ過フィルターとは!水槽サイズ別おすすめタイプも紹介します
今回は、海水魚飼育に向いているろ過フィルターと、水槽サイズ別におすすめのろ過方式をご紹介しました。
海水魚は淡水魚に比べて水質の変化に弱く硝酸塩が苦手なため、定期的な水換えと強力なろ過フィルターで水をきれいに保つことが大切です。
水槽のサイズによって最適なろ過フィルターは異なりますので、適切なものを選びましょう。
小型水槽なら外部フィルターや外掛けフィルター、中型水槽なら上部フィルターや外部フィルター、大型水槽にはオーバーフロー式がおすすめです。
適合水槽サイズよりもワンランクろ過能力の高いフィルターを選択すると、より水質を維持しやすくなります。
海水魚飼育のポイントは、水槽内の硝酸塩をできるだけ溜めないようにすることです。
硝酸塩の除去と酸素供給量や水流を意識して、水槽サイズに合ったろ過フィルターを選びましょう。
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