メダカに水槽用クーラーは必要か？他の保冷器具との比較、おすすめ機種

古くから日本に生息しているメダカは、四季に伴う水温の変化にもしっかり対応できる魚です。
適水温の幅が広いことから、水槽用ヒーターや水槽用クーラーを使わなくても飼育することができます。

しかし近年の日本は、いまだかつてないほどの猛暑に見舞われることが多く、メダカ水槽の水温が30℃を超えてしまうような日も少なくありません。
このような高水温が続くとさすがのメダカも夏バテして、体調を崩してしまいますので、必要に応じて水温を下げる対策をしましょう。

水温を下げるには水槽用クーラーを使用するほか、冷却ファンやエアコンなどで水温を管理する方法もあります。

今回は、メダカ水槽における水槽用クーラーの必要性や他の保冷器具との比較、おすすめの水槽用クーラーなどについて解説します。

プロアクアリストたちの意見をもとに水槽用クーラーの必要性とメダカ水槽におすすめの機種を解説

このコラムは、東京アクアガーデンスタッフであるプロのアクアリストたちの意見をもとに作成しています。

屋外でも飼育ができるメダカは、室内水槽でも保温・保冷器具無しに飼育が可能です。
ただ、より健康に飼育を続けるならば、高水温対策として水槽用クーラーを導入した方が安定する場合もあります。

ここでは、実務経験から得た知識をもとに、水槽用クーラーの必要性とメダカ水槽におすすめの機種を解説します。

水槽用クーラーの特徴

水槽用クーラーは、汲み上げた飼育水を冷却して水槽に戻す、水槽用の保冷器具です。

サーモスタットが内蔵されている機種ならば水温の設定ができるので、希望の水温まで確実に冷却したいときや、厳密な水温管理が求められるときに重宝します。

一方で、他の機材に比べて高価で設置できる水槽が限られることから、導入のハードルはやや高め。飼育難易度が高い熱帯魚や海水魚の飼育では設置が必須と言われることもありますが、その他の生体での設置は任意です。

接続できるろ過フィルターが限られる

水槽用クーラーは、基本的に外部式フィルターかオーバーフロー水槽に接続して使用する機材です。
飼育水を汲み上げる機構が水槽用クーラーにはないため、これらのフィルターにホースで接続して水を循環させます。

外部式やオーバーフローは、メダカ水槽ではあまり馴染みがないかもしれませんが、どちらも非常にろ過能力が高く応用が利くので、「おいおい機材を追加したい」「アクアリウムの規模を拡大したい」などの構想がある場合は、水槽を始める段階でこれらのろ過方式を選んでおくのも良いでしょう。

また、すでに他のろ過フィルターで水槽を管理している場合でも、水槽用クーラーを設置する方法はあります。
最近徐々に増えてきている外掛け式の水槽用クーラーは、冷却パイプを直接水槽に差し込んで水を冷やすため、ろ過フィルターの種類に関わらず取り付けが可能です。

メダカ飼育で人気のスポンジフィルターや投げ込み式フィルター、底面式フィルターでも使用できるので、高水温対策の候補に入れてみてはいかがでしょうか。

メダカに水槽用クーラーは必要か

メダカ飼育の魅力の一つに、少ない機材で飼育できるというものがあります。
水温の変化に強いメダカは、保温・保冷器具が無くても問題ないことが多いからです。

しかし、いくらメダカでも限界はありますので、あまりに高水温が続くようならば水槽用クーラーの導入を検討しても良いかもしれません。

ここでは、メダカの飼育における水槽用クーラーの必要性について解説します。
水槽用クーラーと他の保冷器具の違いについてもご紹介しますので、参考にしてみてください。

メダカに水槽用クーラーはなくても飼育できるが、あると便利

結論から言うと、メダカ飼育において水槽用クーラーは必須ではありません。
無くても飼育はできますが、状況によっては設置を検討した方が良い場合もあります。

というのも、真夏の室内水槽は、屋外飼育の容器よりも水温が上がりやすいからです。
特に日中エアコンを消して閉め切ってしまった部屋は、風が通らない分熱がこもって、外気温よりも暑くなってしまうこともあります。

室温の上昇に伴い水温が30℃を超えるようなことも珍しくないため、日中外出することが多い方は、水槽用クーラーで水槽を保冷しておくと安心でしょう。

水槽用クーラーと他の保冷器具の比較

水槽の水温を下げるには水槽用クーラー以外にも、

• 冷却ファンを設置する
• エアコンで室温を管理する

といった方法があります。

どの方法も高水温対策に有効ですが、メリットデメリットが異なるため、ご自宅の水槽にどの方法が一番合っているか比べながら選択するのが良いでしょう。

ここでは、冷却能力や初期コスト、電気代などをそれぞれ比較していきますので、選定の目安にしてみてください。

冷却ファンと水槽用クーラーの違い

冷却ファンは小さな扇風機のようなもので、水面に風を当てて水温を下げる装置です。
安価で、ろ過方式や水槽の大きさに関わらずどんな水槽にも設置できるため、小型水槽や簡易的な飼育容器にも取り入れやすいでしょう。

ただ、きっちり水温を調整できるようなものではないため、設置環境によっては思うような効果を得られない場合があります。

水槽用クーラーと比較すると保冷力は劣りますが、ろ過方式を選ばずに設置できるので、メダカ水槽では冷却ファンの方が使いやすい場面も多いです。
電気代も冷却ファンの方が安く済みます。

ただ、やはり室温が高い環境では気休め程度にしかならないため、確実に水を冷却したいならば水槽用クーラーがおすすめです。

エアコンと水槽用クーラーの違い

エアコンを使って室温を下げて、水槽の水温の上昇を防ぎます。
エアコンが設置されている部屋ならば、機材を買い足さずに水温管理ができるので、手っ取り早く水温を下げたい時にチャレンジしやすいです。

一方で、終日に渡ってエアコンをかけっぱなしにしなければ効果が出ない点には注意してください。消灯後や外出時も基本的に、エアコンを稼働させ続ける必要があるため、電気代は上がりやすいです。

一見無駄が多いように見える管理法ですが、部屋全体を一気に冷やせるので、水槽を複数個設置している場合は一番コスパが良くおすすめです。

ただし、エアコンはあくまで室温を管理するもので水温を必ず下げられるわけではないので、定期的に水温計は確認するようにしましょう。

確実に水温を下げたいならばやはり水槽用クーラーが一番です。

メダカにおすすめの水槽用クーラー

ここからは、メダカの飼育におすすめの水槽用クーラーをご紹介します。

メダカは比較的小さな水槽で飼育することも多いので、今回は小型水槽にも設置しやすい水槽用クーラーを中心に選びました。
ぜひ、ご自身の水槽に合った水槽用クーラーを見つけてみてください。

ゼンスイ TEGARU II（テガル II）

『ゼンスイ TEGARU II』はクーラーとヒーターの両方の機能を兼ね備えた、小型水槽用クーラーです。
冷却と加温が可能なので水槽を冷やしすぎることが無く、一年を通しして安定した水温を維持できます。

水量約35L、40cm程度の水槽までで使用することができるため、小型のメダカ水槽でも扱いやすいでしょう。
本体自体も手のひらサイズで悪目立ちせず、狭い場所にも設置できるのもポイントです。

ただし、小型機種ゆえに排気口が小さく、ホコリにやや弱い面があるため、こまめにメンテナンスをして汚れを取り除いてください。

ゼンスイ KAKErU

『ゼンスイ KAKErU』は、外掛け式の水槽用クーラーです。

適応水槽サイズは30cm水槽までで、外部式フィルター以外のろ過方式でも使用できるため、小型のメダカ水槽にも導入しやすいでしょう。
ただし、冷却棒の長さの関係で、水深が190mm以下の水槽では使用できませんのでご注意ください。

シンプルなデザインで、設置に煩わしいホースなどが必要ないので、水槽周りをすっきり見せることができます。
水音の異常を感知する警報機能が搭載されているなど機能面でも充実しているので、しっかり水温を管理したいときにもおすすめの水槽用クーラーです。

ゼンスイ ZC-100α

『ゼンスイ ZCシリーズ』は水槽用クーラーの定番機で、中でも100αは30～60cm水槽向けの小型機としてプロの愛用者も多いです。
冷却力に安定感がありしっかり水を冷やすことができるので、東京アクアガーデンでも多くの小型水槽で導入しています。

サーモスタットが内蔵されているため、水槽用ヒーターを接続すればで温冷すべての管理をこの一台でまかなうことができます。
長時間連続稼働した場合や、水温に±2℃以上の変化があった場合などにお知らせしてくれる安全機能があり、トラブルを未然に防げるのも嬉しいです。

高性能がゆえにやや高価ではありますが、同等クラスの製品と比べて電気代が半分以下なので、長い目で見ればお得ではないでしょうか。

テトラ クールタワー CR-1NEW

『テトラ クールタワー CR-1NEW』は、小型水槽用のコンパクトな水槽用クーラーです。

水量約20L、40cm以下の小型水槽に対応した製品で、比較的安価で購入できるので、水槽用クーラーを初めて使う方やお試しで導入してみたい方などでも、手に取りやすい仕様となっています。
ジョイントホースが付属しているので、外部フィルターへの接続も簡単です。

本体は手のひらサイズで置き場所に困りません。見た目がスタイリッシュなので、同社の横置き可能な外部式フィルター『テトラ オートパワーフィルター』と組み合わせて、水槽横に設置するのもおすすめです。

まとめ：メダカに水槽用クーラーは必要か？他の保冷器具との比較、おすすめ機種

メダカ水槽の水槽用クーラーについて解説しました。

メダカはもともと丈夫で高水温にも強いので、必ずしも水槽用クーラーは必要ありません。
しかし近年は猛暑の傾向が強く、メダカにも過酷な環境となりやすいため、あまりにも高水温が続くようならば、水槽用クーラーの設置を検討してみましょう。

最近は小型水槽でも使いやすい機種が増えていて、ろ過フィルターの縛りも無くなってきているので、メダカ水槽でも活用しやすくなっています。
ぜひ、ご紹介した機種を参考に、予算や設置場所に合わせて水槽用クーラーを選んでみてください。