イカやタコは飼育できるのか?難しさや飼育可能な種類、設備を紹介
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釣りやダイビングが趣味の方にはお馴染みのイカやタコ。一般的には食材としてのイメージの方が強い生き物ですが、磯採取などで生きたものを採取できた場合、自宅で飼育することはできるのでしょうか。
結論から言うと、飼育難易度はかなり高いですが、機材を揃えて飼育環境を整えることができれば飼育は可能です。
ただし、イカやタコはアクアリウムでよく採用される魚や甲殻類とは異なる性質を持つため、通常のマリンアクアリウムとは違う注意点が多数あります。
特にストレスを感じると墨を吐く点には、しっかりと対策が必要です。
今回はそんなイカやタコの飼育について解説します。なぜ飼育が難しいのか、どんな設備が必要なのかなどをご紹介しますので、ご興味ある方はご一読ください。
目次
プロアクアリストたちの意見をもとにイカやタコの飼育について解説
このコラムは、東京アクアガーデンスタッフであるプロのアクアリストたちの意見をもとに作成しています。
磯釣りなどで稀に釣れることがあるイカやタコですが、機材を揃えれば自宅に連れ帰って飼育することが可能です。
ただ、水質の維持や餌などに注意点が多く、難易度高めの玄人向けの生き物なので、飼育を試みるならばしっかりと環境を整えましょう。
ここでは、実務経験から得た知識をもとにイカやタコの飼育について解説します。
イカやタコは飼育できるのか
品種にもよりますが、イカやタコは自宅で飼育ができます。
しかし、全般的に飼育難易度が高く、特にイカは水族館並みの設備が要求されることもあるため、気軽に飼育することができる生き物とは言えません。
ここでは、なぜイカやタコの飼育が難しいのかを解説していきます。
イカ飼育は難易度が非常に高い!
イカはタコと比べて格段に飼育難易度が高い生き物です。
水族館並みの設備を用意できれば長期飼育も可能ですが、家庭に設置できるサイズの水槽や機材で飼育するとなると、水質の管理や餌付けで色々と制約が出てきます。
イカは神経質!
イカはとても繊細で鋭い感知能力を持っています。
そのため良くも悪くも変化を感じ取りやすく、些細な事柄が大きなストレスとなりやすいです。
広い海から水槽に移されただけでも当然ストレスですし、これまでと異なる飼育環境で過ごすうちに、ストレスが蓄積して体調を崩してしまうこともあります。
また、人影に驚いて反射的に墨を吐いたり、逃げようとして勢いよく水槽の壁面に激突してしまったりといった事故も多いのも難点。
ドアの開け閉めといった振動にも弱いので、飼育をするならばできるだけ静かな場所に水槽を設置するなどの注意を払いましょう。
種類によっては飼育を続けるうちに多少人慣れすることもありますが、魚のように無警戒になるわけではないので、気を付けるに越したことはありません。
ちなみに、ここまで飼育環境を整えても寿命は一年程度と短く、長期飼育に繋がりにくいのもあまり飼育されない理由です。
墨は即換水!水質管理がとてつもなく大変
イカはちょっとしたことに驚いて墨を吐きますが、広い海とは違い、狭い水槽の中では墨がイカ自身にダメージを与えてしまう可能性があります。
イカの墨は粘度が高く水に溶けにくいという性質があるため、吐いた墨を放っておくとイカが窒息してしまうことがあるのです。また、墨は水質を急激に悪化させるためこの点でもよくありません。
自宅に設置するような水槽サイズで墨を吐いてしまったら、すぐに全換水で対応します。水族館のように大きな水槽と設備があれば、多少時間をおいても問題ないかもしれませんが、これはあまり現実的ではないでしょう。
墨を吐くという特殊な生態が、イカの飼育をより難しくしているのです。
餌は動く活餌のみ食べる
もう一つイカ飼育のハードルを上げる要因となっているのが、餌付けが難しいという点です。
イカは肉食性で、海では主に甲殻類や小魚を食べています。しかも基本的に動くものにしか反応しないため、水槽の中でも同様に活餌を用意しなければなりません。
しかし、海水魚用の活餌は取り扱いが少なく、餌を用意すること自体がとても困難なことも。
海が近い場合は餌を捕まえてくることもできますが、水槽内に入れる前にトリートメントをする必要があるなど、ひと手間かかるのがネックです。慣れれば冷凍餌も食べますが、最初は針金などに冷凍餌を付け、ユラユラ揺らすなどの工夫をして慣らしていかなければならず、個体によっては全く食べない可能性もあります。
また活き餌を与えると水質が悪化しやすくなるので、ろ過能力の高い機材を揃えなければなりません。
いずれにしても飼育初期は活き餌が必要ですし、餌に関してのハードルがかなり高いです。
タコ飼育は種類によっては可能
一方タコは、イカに比べればかなり飼育がしやすいです。
一般的な海水魚と比べると難易度は高めですが、比較的簡単な品種を選んで飼育すれば、家庭用のマリンアクアリウムの設備で管理ができます。
水質面などをこまめにメンテナンスすれば、長期飼育も可能です。
小型種が多く飼育しやすい!
イカと比べてタコの方が飼育しやすいポイントとして、小型種が多いという点が挙げられます。
また、タコはとても頭が良い生き物で、飼育環境が変わってもしっかり適応することができます。釣りで採取してきたタコを水槽に入れたとしても、問題なく飼育できることが多いです。
ろ過設備を充実させれば終生飼育可能
タコは無脊椎動物の中では比較的水質の変化に強く、タコの寿命とされる1~3年程度ならば、海水魚飼育用のろ過設備で飼育することができます。
とはいえ、アクアリウムでよく飼育される海水魚と比べてしまうと繊細な面があるため、十分なパワーを備えたろ過フィルターを設置したうえで、週一回程度のこまめな水換えをして水質を維持しましょう。
最近は高性能なろ過フィルターが手軽に入手できるので、タコなどの難しい生き物も格段に飼育しやすくなっています。
必要に応じてプロテインスキマーなど周辺機材を活用すると、より安定しやすいです。
冷凍餌・人工餌を食べることもある
タコもイカと同じく肉食性で、主に二枚貝やエビ、カニなどの甲殻類を好んで食べることで知られています。
活餌を好むのは変わりませんが、スーパーなどでも手に入る生きたアサリなどの貝類を餌として与えられるので、餌の入手に困ることはないでしょう。
また、タコは慣れれば冷凍餌や乾燥餌も食べるようになります。この点でも、かなり餌付けが楽です。
イカやタコを飼育するための設備
自宅で飼育ができるとはいえ、イカやタコの飼育はかなり難しいもの。挑戦するならば相応の飼育機材が必須です。
ここでは、イカやタコを飼育するための設備をご紹介します。
余裕あるサイズの水槽
イカやタコといった無脊椎動物は、一般的な魚に比べて水質の変化や環境の変化に弱い傾向があります。
またイカ、タコともに極度のストレスを感じると墨を吐くため、墨対策の意味でも、水量に余裕のあるできるだけ大きな水槽を用意しましょう。
イカ飼育で90cm以上、タコ飼育でも60cm以上の水槽が目安です。
イカは勢いよく泳いで水槽壁面に衝突してしまう危険があるため、水量だけでなく横幅にも注目して水槽を選ぶと安全に飼育できます。
一方タコは大人しいので、広さはあまり必要ありません。むしろ広すぎると落ち着かないので、狭めの水槽にタコつぼなどの隠れられる場所を用意してあげるのがおすすめです。
オーバーフローやプロテインスキマーは必要
活餌を食べるイカやタコは、水を汚しやすいためパワフルなろ過機材が必須。そこで一番おすすめなのがオーバーフロー水槽です。
オーバーフローは、高いろ過能力に加えて、ろ過槽の分水量を増やすことができるのがメリットで、もし墨を吐かれてしまっても、水量が多い分落ち着いて対処ができます。
水質維持の面では、ろ過フィルターに加えてプロテインスキマーも設置すると、さらに管理がしやすくなるでしょう。
また、必要に応じて、適切な水流を作る水流ポンプや、病気を防ぐための殺菌灯の設置も検討してみてください。
飼育が難しいイカやタコは、最初にしっかりとした設備を準備することが長期飼育に繋がります。
飛び出し・脱走防止にフタはしっかりしよう
イカやタコを飼育するときは、必ず水槽にフタをしましょう。
特にタコは脱走の常習犯で、少しの隙間からでも逃げ出してしまうほど器用なため、しっかりフタを固定しておく必要があります。
一般的な水槽用のフタは隙間ができやすいので、爬虫類ケージ用のフタに重石をしておくなどの対策がおすすめです。
とにかく隙間という隙間をすべて塞ぐつもりで、ちょっとしたすき間もウールマットや布の切れ端などを詰めるなどしてください。
オーバーフロー水槽などで水槽を特注するならば、フタをボルトで固定したうえで、餌やり用の穴開け加工を行うと、脱走対策は完璧です。
ちなみに、水槽にフタをすることで水の蒸発を防ぐことができるため、水質維持の効果も期待できます。
水槽のフタ選びについては、こちらのコラムも参考にしてください。
サンゴ用の人工海水・墨対策に活性炭
見た目はかなり異なりますが、イカやタコとサンゴは同じ無脊椎動物に分類される生き物ですので、人工海水には『リーフクリスタル』 といった、サンゴ育成用の栄養分の高い製品が最適です。
飼育者の中には栄養豊富な天然海水を使う方もいるようですが、製品を選べば人工海水で十分に飼育ができます。
イカやタコは、墨を吐いてしまったときなどに急な全換水を求められることも多いので、人工海水は多めにストックしておきましょう。
また墨を吐いた時の対策としては、活性炭が有効です。ろ材に活性炭を入れておくと、墨を吐いた後の急激な水質の悪化を防ぐことができますので必ず入れておきましょう。
まとめ:イカやタコは飼育できるのか?難しさや飼育可能な種類、設備を紹介
イカやタコの飼育について解説しました。
どちらかといったら食材のイメージが強いイカやタコですが、飼育設備を揃えれば、自宅でも飼育ができます。
飼育難易度がかなり高いため、アクアリウムの世界で登場することはあまりありませんが、飼育してみると魚とは全く違う魅力のとりこになる方も多いです。
イカやタコならではの行動を間近で見られるのも魅力的で見ていて飽きません。
アクアリウムショップでも稀に入荷されるほか、釣りや磯遊びで採取することもできるので、機会があったらぜひ、飼育にチャレンジしてみてください。
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このコラムへのコメントやお悩み相談に届いた質問の回答
タコ飼育には水槽天面は小穴がついた蓋はセットで
水槽についてるのですか?
タコの飼育セットでしょうか。
蓋がどのような形状かは、セットの内容によります。
東京アクアガーデンでも、水槽用のフタを特注制作することが可能です。
蓋にできる加工については、こちらのコラムをご参照ください。
水槽のフタ選び・ポイントと注意点!自作や特注など理想のフタを考える
https://t-aquagarden.com/column/aquarium_lid
よろしくお願いします。
タコの水槽には何匹ぐらいタコを入れていいんですか?
タコは1台の水槽に1匹までです。
よろしくお願いいたします。