ベタ飼育は難しいのか?必要な設備や寿命から難易度を解説します
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”コップで飼育ができる熱帯魚”として一世を風靡したベタ。
さすがにコップで長期間飼育するのは難しいですが、それでも小型の水槽とシンプルな設備があれば、誰でも飼育に挑戦できます。
しかしその一方で「すぐに死んでしまった…」「飼育が軌道に乗らない」という話を耳にすることがあり、本当に飼いやすいのか疑問に思う方も多いのではないでしょうか。
実際のところ、ベタは熱帯魚の中ではかなり飼育がしやすい魚です。
ただ、コップで飼えるというイメージに捕らわれて、必要な手をかけてあげないと残念な結果になってしまいます。
どんな生き物でも、飼育するならば必要な設備や環境を整えてあげることが大切です。
今回は、ベタの飼育は難しいのか?という疑問にお答えするべく、ベタのリアルな飼育難易度や飼育ポイントを解説します。
目次
プロアクアリストたちの意見をもとにベタ飼育は難しいのか?を解説
このコラムは、東京アクアガーデンスタッフであるプロのアクアリストたちの意見をもとに作成しています。
初心者向けの熱帯魚として紹介されることも多いベタですが、飼育環境が適切でないと体調を崩してしまいます。
ベタは酸欠に強いなどとても丈夫な魚というイメージがありますが、低水温などには弱いため、しっかり設備を整えてから飼育を始めましょう。
ここでは、実務経験から得た知識をもとに、ベタ飼育は難しいのか?を解説します。
ベタ飼育の難易度について
生き物の飼育難易度は、適した水槽の大きさや設備の揃えやすさ、価格、生体の丈夫さや餌付けのしやすさなど、様々な面からみて総合的に判断します。
ここでは、ベタの5つの項目について、
- 飼育設備
- 水槽メンテナンス
- 給餌
- 健康管理
- 繁殖
それぞれ難易度を付けながら、飼育のポイントを詳しく解説します。
飼育設備:難易度★☆☆☆☆
一つ目の項目は飼育設備についてです。
ベタは最大体長5~7cmほどの小型魚で、基本的に単独飼育になることから小型水槽で飼育ができます。
また丈夫で水を汚しにくい性質のため、それほど高価なろ過フィルターで無くても飼育ができるでしょう。
このことから設備面の難易度は1、初心者でも簡単に飼育設備を揃えることができます。
小型水槽で終生飼育できる
ボトルアクアリウムなどにも導入されるベタですが、安定して終生飼育を目指すならば20~30cmクラスの小型水槽が適切です。
とはいえ、一般的なアクアリウムの標準サイズが横幅60cmの水槽であることを考えると、20cm水槽はかなり設置がしやすいでしょう。
また、ベタは酸欠や水質の変化に比較的強いため、ろ過フィルターは必須ではありません。強い水流が苦手なこともあり、ない方が安定しやすい場合も多いです。
仮に設置するとしても大掛かりなものではなく、外掛け式やスポンジフィルターといった簡易的なろ過フィルターで十分に飼育ができます。
高額になりやすいろ過フィルターにお金がかからない点も、手軽な理由です。
ベタは品種によって700円~3,000円と価格に幅がありますが、安価でも美しい個体は入手できます。水槽や設備費を入れても初期費用を抑えられるのは、飼育のハードルが下がりやすいでしょう。
水槽用ヒーターは必須!
ベタを飼育する上で必ず用意していただきたいのが水槽用ヒーターです。
ベタは26~27℃程度のやや高めの水温を好むため、一年を通して加温した方が体調が安定します。
水温が低下すると一気に体調を崩してしまいますので、特に冬場は水槽用ヒーターで加温をしたり水槽を保温したりして、水温を一定に保ちましょう。
ボトルアクアリウムの保温について
ベタ飼育によく使われるボトルや金魚鉢などの水槽以外の容器では、水槽用ヒーターが設置できない場合があります。
最近は、ボトルにも使用できる水槽用ヒーターや水槽の外からじんわりと保温してくれるパネルヒーターなどが増えているので、以前よりは飼育環境が整えやすくなっていますが、それでも四角い水槽に比べると選択肢は少なめです。
ボトルアクアリウムはオシャレで手軽に設置ができるのが魅力ですが、ベタの飼育に特化した環境を作る上ではやはり四角い水槽の方が使い勝手が良いでしょう。
水槽メンテナンス:難易度★★☆☆☆
続いては水槽メンテナンスについてです。
ベタを飼育する小型水槽は、掃除や水換えが簡単で時間がかからないのが魅力ですが、一方で水量が少なく、気を抜くとすぐに水質が悪化してしまうという欠点があります。
ろ過フィルターの有無にもよりますが、水換えの頻度が多くなりがち。
決して管理が難しいわけではありませんが手は抜けないため、メンテナンスの難易度は2程度と考えるのが良いです。
水質と水温の維持がポイント
ベタは比較的水質の変化や酸欠に強く、多少の汚れならば問題ないことが多いです。
しかし、だからと言って水換えを怠ると、小型水槽はあっという間に水質の悪化が進んでベタの体調に影響が出てしまいますので、定期的なメンテナンスはしっかり行いましょう。
また、意外と盲点なのが水換えの時に起こる水温変化です。
飼育容器が小さい分、新しい水の水槽内の飼育水の温度差があると影響がダイレクトに出てしまいますので、必ず水温を調整してから新しい水を注ぐようにしてください。
飼育方法によって水換え頻度を変えよう
ベタ水槽の水換えの頻度は、ろ過フィルターを設置しているかどうかで変わります。
ろ過フィルターを使用する場合は、汚れがろ過されているため、1~2週間に一回、全体の1/3の量を目安に水換えをしてください。
ろ過フィルターを設置しない場合は、3日に一度、すべての水を交換します。
ろ過フィルターを使用するかしないかは、飼育者の好みによるところが大きくどちらが良いということはありません。
ろ過フィルターを設置すれば、水をきれいに保ちやすくなって水換えの頻度を減らせますが、フィルターが起こす水流がベタの負担になる可能性があります。
一方ろ過フィルターを使用しないと、ベタの好む波の無い穏やかな環境を作れますが、水質の変化に常に気を配る必要があるでしょう。
水槽にかけられる手間や飼育スタイルを考えながら、管理がしやすい方法を選んでみてください。
給餌:難易度★★★☆☆
給餌は、餌付けのしやすさ(人工餌を食べてくれるか、特殊な食性ではないか)や、消化不良の起こしにくさなどから判断します。
ベタの場合、口のサイズに合った人工餌ならば選り好みせずに食べてくれるため、餌やりはとても簡単です。しかし、やや消化能力が弱く便秘になりやすいため、総合的にみると難易度は3、少し注意が必要となります。
ベタは便秘になりやすい
ベタ飼育で意外とつまづきやすいポイントとなるのが、給餌関連です。
食欲旺盛で与えれば与えただけどんどん食べてくれるので、一見問題ないように思われがちですが、実は消化能力があまり高くなく便秘などの体調不良を起こしやすい性質があります。
餌の食べ過ぎから重度の便秘になると脱腸を起こしてしまう危険があるため、たかが便秘と侮らず、しっかり管理をしてあげましょう。
便秘を防ぐには何より給餌量を守ることが大切です。
1日1~2回、数分で食べきれる程度の量を心がけます。また、週に1度、絶食日を設けて消化器官を休ませるのも効果的です。
ベタにおすすめの餌
魚用の人工餌は数多く販売されていますが、ベタに与えるのであればやはりベタ専用のものを選ぶのがおおすすめ。
便秘を起こしやすいことを念頭に少量でもしっかり栄養が取れる高たんぱくな配合で、ベタの健康をサポートします。肉食傾向が強いベタに合わせて動物性のたんぱく質が豊富なので、食いつきもばっちりです。
各社から販売されている代表的なベタフードには、以下のようなものがあります。
キョーリン『ひかりベタ』 | ベタ用餌の定番で、成魚ならばこれ一つで終生飼育ができます。小粒で口が小さなメスが食べやすいのもポイントです。 |
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GEX『ベタフード』 | 色揚げ効果があるアスタキサンチンが豊富に含まれた人工餌で、ベタを美しく育てたいときに最適です。3つの善玉菌の働きでベタの健康をサポート。水を汚しにくいのも嬉しいです。 |
SUMA『シックビルダー スケール&テール』 | ベタの本場、タイで人気の高タンパクフードです。大きなヒレを作るために必要な栄養がバランスよく配合されていて、美しく迫力ある個体に育ちやすくなります。 |
冷凍赤虫 | 肉食のベタの大好物です。栄養豊富で食いつきが良いのでおやつに与えるのがおすすめ。ベタには少し大きめなので、与え過ぎには注意しましょう。 |
どの生き物にも言えることですが、同じ餌ばかりを与えていると栄養が偏ってしまいます。
定期的に餌を切り替えたり複数を組み合わせたりしながら、バランスの良い餌やりを心がけましょう。
健康管理:難易度★★★★☆
ベタは、熱帯魚の中でも丈夫で比較的飼育がしやすい魚です。
しかし丈夫というイメージが先行し過ぎてしまっているせいか、少々雑に扱われてしまうことも。
環境が適切でないと途端に体調を崩してしまうことから健康管理の難易度は4まで上昇しますが、環境さえ整えてあげれば長く楽しむことができます。
ベタがかかる病気
ベタは酸欠に強くエアレーションが無い小さな容器でも飼育ができますが、その一方で、水が汚れてストレスが掛かると、あっという間に病気になってしまいます。
以下は、ベタがかかりやすい代表的な病気です。
尾ぐされ病 | 白く濁ったヒレが少しずつ溶けてボロボロになる病気です。水槽の常在菌であるカラムナリス菌が原因で、ストレスから免疫力が低下すると発症します。 |
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白点病 | 白点虫と呼ばれる寄生虫が原因で発症します。体やヒレに白い点が現れたのちエラまで進行すると呼吸困難を起こすことも。低水温や水質の悪化が引き金となりやすいです。 |
水カビ病 | 体に白いカビのようなものは付着する病気です。こちらも水槽内の常在菌である真菌が原因で、ストレスなどで免疫力が低下した際に発症します。 |
ベタの大きな特徴である美しいヒレは、病気やストレスから破れたり傷ついてしまったりすることがあります。
美しい姿を維持するためにも、ストレスのない環境管理を心がけてください。
ベタの寿命は1年半~5年
ベタの寿命は個体差が大きく、1年半から長いもので4年ほどと言われています。
ただ、寿命は固体のポテンシャルだけでなく飼育環境が大きく関わるため、長期飼育を考えるならばベタに負担を掛けない適切な環境を整えてあげることがとても大切です。
例えば、保温をしていない小さなボトルでは冬を越せずに死んでしまうかもしれませんが、30cmキューブなどの大きめの水槽でろ過フィルターや水槽用ヒーターを使ってしっかり管理してあげれば、数年程度飼育を楽しめます。
小さな飼育容器でもできる限りの保温対策とこまめな水換えを心がけることで、長期飼育が可能です。
また、45cm水槽に浅めに水を張って飼育するとベタの負担を軽減しやすいので、老齢の個体にはこちらの方法が向いています。
結論としてベタを長生きさせたいのならば、小型容器よりも30cmキューブ以上の水槽を用意するのが理想です。十分な水量を確保することで、水質が変化しづらいですし、ストレスを掛けずに健康に飼育ができます。
繁殖:難易度★★★★★
ベタの飼育を続けていると、いつか繁殖をしてみたいと考える方もいるでしょう。
ベタの自宅での繁殖はとても難しく、オスの気性の荒さからペアすら成立しないこともしばしば。ただ、試行錯誤を繰り返しながら成功した時には、何物にも代えがたい達成感が得られるでしょう。
繁殖の難易度は5と非常に高いですが、安定して飼育が続けられるようになったら挑戦してみる価値は十分にあります。
相性が悪いと攻撃する
ベタの繁殖を試みる上で最初の難関がペアリングです。
ベタは闘魚と呼称されるほど攻撃性の強い魚で、それは同族のペア候補が相手でも変わりません。相性が悪いとオスがメスを執拗に攻撃して死なせてしまうことも。
相性が良いペアを見つけるのも一苦労なため、繁殖目的でも混泳を試みるときは、ベタの行動を注視しましょう。
また、運よく産卵に成功した後も産卵後のメスは想像以上にボロボロで、ケアが必須です。
ペアリングから産卵後のケアまで何かと手をかけてあげる必要があることから、自然に繁殖するメダカの仲間などと比べると繁殖難易度は高いと言えるでしょう。
稚魚の育成が大変!
無事に卵がかえったら、休む間もなく稚魚の育成が始まります。
生まれたばかりの稚魚はとても小さくて繊細。少しの変化にも敏感なため、成魚とは別に隔離水槽を用意して安定した静かな環境を整えましょう。
稚魚の育成で悩みの種になるのが餌です。稚魚は成長のためにたくさんの栄養を摂取しますが、口が小さくて普通の人工餌は捕食できないため、専用の餌を用意してあげる必要があります。
そんな稚魚に最もおすすめなのが、インフゾリアなどの微生物やブラインシュリンプです。
これらの生き物は微生物の素とペットボトルを使って家で培養できるので、上手く管理できればコスパが良いですが、初心者の方だとこの管理のハードルが高く感じられるかもしれません。
さらに、成長して体格にばらつきが出てきたら選別作業が発生します。
ベタは単独飼育が基本のため、孵化したすべての個体を飼育するのは難しいです。放っておくと成長の遅れた個体が他の稚魚に追いやられて悲しい結果になってしまうこともあるため、選別作業はいずれ行わなければなりません。
せっかく育ててきた稚魚を選別するのは飼育者の精神的負担になるため、覚悟が必要です。
まとめ:ベタ飼育は難しいのか?必要な設備や寿命から難易度を解説します
今回は、ベタの飼育について項目ごとにリアルな難易度をご紹介しました。
ベタは熱帯魚の中では比較的丈夫で飼育がしやすい魚種ですが、コップで飼える魚というイメージがあるからか、安易に飼育を始めてしまいがちです。
しかし、いくら丈夫とはいえ適切な環境でないと残念な結果になってしまいますので、まずは水槽や機材を揃えてから飼育に挑戦しましょう。
ベタを安定して飼育するには最低でも20cm以上の水槽と水槽用ヒーターを用意しましょう。ろ過フィルターは必須ではありませんが、設置しない場合は数日に一度のこまめな水換えが必要です。
適切な飼育環境で大切に育てていけば、長い期間飼育を楽しめる可能性があります。
ぜひこのコラムを参考にベタ飼育に挑戦してみてください。
ほかにもさまざまなコラムがありますので、、ぜひご覧ください。
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