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イカリムシとは!成虫・仔虫の駆除方法と薬浴、駆除後のケアまで解説

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一度水槽内に持ち込むと、厄介なイカリムシ。

イカリムシは繁殖力がとても強く、完全に駆除するのが大変な寄生虫です。成虫と仔虫で駆除方法が違ううえ、一度薬浴すれば終わりというわけではありません。

そう聞くと、「薬は効かないの?」「どうしたら防げるの?」と不安に思う方もいらっしゃるでしょう。しっかりと対応すれば、駆除や増殖を防ぐことも十分に可能です。

今回はイカリムシについて解説していきます。駆除方法はもちろん、その後のケアなどについても解説しますので、参考にしてください。

プロアクアリストたちの意見をもとにイカリムシについて解説

このコラムは、東京アクアガーデンスタッフであるプロのアクアリストたちの意見をもとに作成しています。

暖かい季節は寄生虫も活発になります。イカリムシについての正しい知識と、寄生されてしまったときの対応方法を知り、大切な魚たちを寄生虫から守りましょう。

ここでは、実務経験から得た知識をもとに、イカリムシについて解説します。

イカリムシとは

イカリムシは、カイアシ類に属する甲殻類の仲間で、トゲのような見た目の寄生虫です。魚に刺さるようにとりつき、大きさは5〜10mmで、ややグレーを帯びた体色をしています。

メスの頭部は産卵期を迎えると錨のような形状になることから、「イカリムシ」と名付けられました。この頭部を魚に突き刺すようにして寄生し、魚から養分を吸収します。

錨状の頭部は抜けにくく、一度刺さると簡単には抜けません。このイカリムシが刺さった状態を、「イカリムシ症」と言います。刺さった場所が傷となり、そこから細菌に感染してしまうこともあり、絶対に放置できない寄生虫です。

イカリムシは、持ち込むことで水槽内に出現します。新しい魚を追加する際には、イカリムシに寄生されている個体ではないか・同じ飼育環境内で感染されている個体がいなかったか、を確認して購入するようにしましょう。

強い繁殖力を持っており、水槽内に入り込んでしまうとあっという間に増えてしまいます。比較的低水温の15度あたりから活発になるので、注意してください。
流通やストックに細心の注意を払っているはずの観賞魚にも、度々寄生することがあるほどです。

水槽内でイカリムシが増えると、1匹の魚に複数のイカリムシが寄生します。すると魚への負担は大きくなり、やがて死んでしまうのです。

イカリムシの駆除方法

イカリムシを見つけたら、なるべく早く駆除することが大切です。

成虫を駆除する方法と、仔虫を駆除する方法では違うため、それぞれ紹介します。

成虫を駆除する方法

イカリムシの成虫には、基本的に魚病薬は効果がありません。

そのため、魚に刺さったイカリムシを人為的に抜くなどの処置が必要です。小さな体の魚から、人の手で抜くことは簡単ではありませんし、抵抗もあるかもしれません。しかし、放置するわけにもいかないので駆除しましょう。

ここでは、イカリムシの成虫を駆除する具体的な方法を紹介します。

毛抜きで抜く!

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魚に寄生してしまったイカリムシは、直接抜くのがおすすめです。
寄生するのはメスの成虫で、時間がたつと卵を産む可能性があるので、見つけたら早めに処置しましょう。

イカリムシを抜く手順は以下の通りです。

  1. 桶などに魚が湿る程度の飼育水を入れる
  2. 手を飼育水で冷やす
  3. 魚を桶に入れる
  4. 優しく押さえながらイカリムシを引き抜く
  5. 水槽に戻す

大切なのは、イカリムシの体をちぎらずに抜くことです。体の一部が残ってしまうと、そこから再生するので、確実に抜きましょう。

しっかりと挟んで抜くために、使う道具は毛抜きや先端がフラットなピンセットがおすすめです。

作業時間が長くなれば、それだけ魚への負担も大きくなります。焦らないよう事前に作業をシミュレーションして、できる限りスムーズに行いましょう。

イカリムシの寿命は約2ヵ月だが・・・

体の一部から再生するほど生命力のあるイカリムシですが、約2ヵ月程度で寿命を迎えます。

寄生された魚がなんとか2か月耐えれば・・・という考え方もありますが、現実的ではありません。イカリムシはその間に卵を産みどんどん増えていくので、やはり早めの対処が必要になります。

また、イカリムシは魚とともに冬眠も可能で、冬前に見かけたものは2ヵ月たったからといって死なないのです。冬眠し、暖かくなったら活性化して産卵するという厄介な性質を持っています。そのため、どの時期であろうと、見つけ次第適切な対処をしましょう。

イカリムシのメスは、15回ほど産卵を行う能力があります。成虫を処置しても、飼育水には仔虫がうようよいることもあるため、水槽全体を寄生虫に効果がある薬で薬浴するのがおすすめです。

仔虫を駆除する方法

イカリムシの仔虫は肉眼ではほとんど見えません。しかし、成虫が水槽内で確認できた場合は、仔虫もいると考えた方がよいです。

成虫の駆除とともに、幼虫の駆除もしっかり行いましょう。

魚病薬で薬浴しよう

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イカリムシの仔虫は、脱皮を繰り返して成虫になります。成虫にならなければ魚に刺さることはありません。

そこで、脱皮を阻害する薬を使うことで成長を妨げて撃退します。使用する魚病薬には、『ムシクリア液』や『レスバーミン』がおすすめです。

しかし、イカリムシは繁殖力が高く、卵の状態では薬が効きません。約4週間、定期的な水換えをしながら、換水量にあう量の魚病薬を再添加して駆除しましょう。

ちなみに、ムシクリア液には、雑菌の感染を予防する成分も配合されています。イカリムシの寄生による、傷口からの二次感染も防げるのでおすすめです。

ただし、ムシクリア液とレスバーミン、どちらの薬も28度以上の高水温では使用できません。特に屋外飼育の場合は、真夏は水温が高すぎる可能性があります。夏場に薬浴する場合は、高水温対策をしたうえで行いましょう。

水槽の暑さ対策については、こちらのコラムも参考にしてください。

駆除しきれない場合は水槽リセットがおすすめ

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イカリムシ駆除の最終手段として、水槽をリセットする方法もあります。

魚病薬を使っても、どうしても駆除しきれなかった場合や、駆除する過程で水槽全体のバランスが崩れてしまった場合にはリセットがおすすめです。

水槽リセットの手順を紹介します。

  1. 水槽から生体と水草を取り出す
  2. 水槽に50℃ほどのお湯を入れてフィルターを回す
  3. お湯を抜いて天日干し、乾燥する
  4. ろ材や底砂は水道水で洗う
  5. 装飾品は衣料用の漂白剤に浸けた後に洗う
  6. それぞれ元に戻す

リセットする場合は、隅々まできれいにすることが大切です。小さなすき間のある装飾品は、十分に天日干しできない可能性があるので、漂白剤に浸けることをおすすめします。

また、一般的なリセットでは、ろ材や底砂に付着したバクテリアを殺さないために、飼育水で洗うのが基本です。しかし、イカリムシが発生した水槽では、ろ材などに卵や仔虫が付着している可能性があるので、水道水で洗いましょう。

このように、水槽のリセットは水質も大きく変わり、魚へのダメージも大きいです。そのため、最終手段としてください。
もちろん、イカリムシによって魚が死んでしまっては元も子もありません。リセットするタイミングが悩ましいですが、様子を見ながら思い切ってリセットする決断も必要です。

水槽のリセットについては、こちらのコラムも参考にしてください。

イカリムシが寄生しやすい魚種

イカリムシが寄生しやすい魚種としては、日本産淡水魚が挙げられます。金魚やメダカ、タナゴ、ドジョウなど、定番の魚種も多いです。

これらの魚種は、ショップで販売されているものはもちろん、野生で採取した個体にも寄生している可能性があります。ショップで販売されているものはトリートメントされていることが多いですが、自分で採取した場合はより注意が必要です。

採種した個体を水槽に導入する場合は、別の水槽でトリートメントや観察をしたうえで、本水槽に導入しましょう。

また、熱帯魚にもイカリムシが寄生する可能性がありますので、同じように注意してください。

イカリムシ駆除後のケア

イカリムシに寄生された魚は、イカリムシを抜いた後のケアによって予後が変わります。

イカリムシを抜いた後は、基本的に傷を負った状態です。傷口から感染する感染症や不調を防ぐために、抗菌剤で薬浴を行うのがよいでしょう。

薬には、幅広い生体に使用できる『グリーンFゴールド顆粒』をおすすめします。その際、塩水浴を併用するとさらに効果的です。

1週間ほど薬浴させ、傷口がよくなってきたら餌食いなどを確認しつつ、元の水槽に戻しましょう。

グリーンFゴールドの上手な使い方は、こちらのコラムも参考にしてください。

まとめ:イカリムシとは!成虫・仔虫の駆除方法と薬浴、駆除後のケアまで解説

今回は、イカリムシについて解説しました。

イカリムシは繁殖力が強く、一度発生してしまうととても厄介な寄生虫です。小まめに観察し、なるべく早く成虫を駆除することが重要になります。また、成虫の駆除だけでなく、仔虫の駆除や傷口のケアも大切です。

イカリムシはただ魚病薬を投与すれば治るわけではありませんが、手遅れになるまえにしっかりと対処しましょう。

また、駆除作業をしなくてもいいように、導入前の対応も大切です。ショップで販売されているものであっても、事前にしっかりと観察した上で購入してください。
何よりも、水槽内に新たなイカリムシを持ち込まないのが重要です。

ほかにもさまざまな病気や寄生虫に関するコラムがありますので、ぜひこちらもご覧ください。



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執筆者 アクアガーデン

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