アクアリウムの硬度を測ろう!熱帯魚やエビなどに与える影響と上げ下げ方法
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熱帯魚やエビ類を健康に育てるために欠かせない、カルシウムやマグネシウムなどのミネラル分。このミネラルが水中にどれだけ含まれるかを確認できるのが、水の硬度(GH)です。
水の硬度は普段あまり意識しないかもしれませんが、実はアクアリウムではとても重要な要素の一つで、生き物や水草の成育具合に直結します。
しかし、硬度の違いを見分けるのは非常に難しく見た目では判断が付かないため、なんとなく魚の調子が悪そう…と感じて調べてみたら、水の硬度が合っていなかったということも少なくありません。
気づかないうちに硬度が変化してしまうこともあるので、定期的に水質検査をして硬度を維持することが大切です。
ここでは、硬度が熱帯魚やエビに与える影響と、最適な硬度に調整する方法をご紹介します。
目次
プロアクアリストたちの意見をもとに水の硬度が与える影響と調整方法を解説
このコラムは、東京アクアガーデンスタッフであるプロのアクアリストたちの意見をもとに作成しています。
水中のミネラル分の含有量を示す水の硬度は、飼育する生き物に合わせて適切な値に調整してあげるのが良いです。
硬度が合っていないと魚の調子が悪くなったり、エビ類が脱皮不全などを起こしたりといった危険があるため、注意しましょう。
ここでは、実務経験から得た知識をもとに、水の硬度が与える影響と調整方法を解説します。
水の硬度とは
水の硬度(GH)とは、簡単に言うと水中に含まれるカルシウムやマグネシウムといったミネラル分の量を示す値です。
ミネラルが豊富な硬度の高い水を”硬水”、ミネラルが少なめの柔らかい水を”軟水”と言います。
飲料水として活用されるミネラルウォーターには大抵、硬水か軟水かの表記がされていて、飲んだ時の口当たりや味に微妙な違いがあるようですが、見た目には硬度の違いはほぼわかりません。
ちなみに日本の水道水は、地域によって多少の違いはありますが全国的に軟水傾向です。
水槽で硬度が変わってしまう原因
水道水を使っているにも関わらず水槽の飼育水の硬度が上がってしまうことがありますが、これはレイアウトや底砂の石からミネラル分が溶けだしているのが原因です。
特に石組みで大量の石を入れると、使用する石の種類によっては硬度を大きく変えてしまう可能性があるため注意しましょう。水草水槽でCO2を添加している場合は、さらにマグネシウムイオンやカルシウムイオンが溶けだしやすい環境になって、硬度の上昇に拍車がかかることもあります。
そのため硬度を上げずに石組みを楽しみたいときは、水質に影響が出にくい『風山石』や『溶岩石』、レプリカの岩などを使用するのがおすすめです。
硬度が生体に与える影響
pHや硝酸塩に比べると、アクアリウムで硬度まで気を配っている方は少ないかもしれません。
しかし、水槽で飼育される生き物にはどの品種にも適応できる硬度があり、極端に水質が異なると体調を崩してしまうといった影響が出てしまう可能性があるため、注意が必要です。
ここでは、硬度が生き物に与える影響について詳しく解説します。
熱帯魚は軟水が良い?
熱帯魚の多くは軟水を好む傾向があります。特にアマゾン川流域が原産のテトラ類やベタ、グラミーなどは水質を軟水に合わせてあげると、とても状態良く飼育ができるでしょう。
ただし、すべての熱帯魚が軟水を好むというわけではなく、アフリカンシクリッドの仲間などは、硬水に傾けたほうが調子が上がります。
熱帯魚は基本的に原産地の環境に近い水質を好むため、飼育する生体の特性をよく確認して水質を合わせてあげるのが良いです。
硬度が合わないと水草にも悪影響
水草も熱帯魚と同様に品種によって好む硬度が異なっており、軟水を好む水草としてはリシアやロタラなど、対してパールグラスなどは硬水を好むことで知られています。
硬度が適切でないと成長が滞ったり最悪の場合枯れてしまう危険があるため、水草に合った硬度に調整することを意識してみてください。
ちなみに、飼育水を硬水傾向にするとコケが生えやすくなるため、合わせてコケ対策も行いましょう。
エビは硬度が低すぎると脱皮不全になりやすい
エビ類を飼育する環境では、硬度の下がり過ぎに注意してください。
甲殻類は殻を形成するカルシウムなどを水中から補給しています。そのため、軟水に寄りすぎると栄養が不足して脱皮不全から形態異常を引き起こすほか、状態によっては命を落としてしまうことも。
脱皮不全が起こっている場合は、エビ専用の添加剤などを使用して水質を調整しましょう。
ただし、エビ類は硬水を好んでいるわけではなく、ビーシュリンプなどは弱酸性の軟水傾向になるブラックウォーターでの飼育が推奨されることもあるほど、どちらかといえば軟水寄りの水質を好む生き物です。
硬度が高すぎると抱卵率が下がるという話もあるため、GH3~5程度の弱軟水辺りで安定させることを心がけてみてください。
硬度(GH)の上げ方:硬水に傾ける方法
ここからは、硬度(GH)を調整する具体的な方法を解説します。
まずは、硬度を上げたいときの対処法です。
硬度を上げたいときは、石やカキガラといったミネラルを含む素材がおすすめ。素材に含まれる成分が水中に溶け出して、緩やかに硬度が上昇します。水質検査薬を使って小まめに硬度を確認しながら、ちょうど良い値になるよう調整しましょう。
サンゴ砂や岩をいれる
水の硬度を上げたいときは、レイアウトに石組みを取り入れたり底砂をサンゴ砂に変えたりするのが効果的です。
即効性はありませんが、持続性が高く少しずつ硬水に近づけていけるので、水質の変化で生き物に負担を掛けてしまう心配がありません。
硬度を上げる石としては『龍王石(青龍石)』や『青華石』などが知られていますが、これらの石はpHも上昇させることがあるため、使用する場合は硬度と合わせてpHの値もこまめに確認するようにしましょう。
カキガラをろ過フィルターにいれる
素早く硬度を上昇させたいときはカキガラが効果的です。
ミネラルが豊富で水を硬水に傾ける働きがあります。ろ過フィルターに入れて使用すると、水槽の景観を崩すこともありません。
カキガラはアクアリウム用のものがろ材として市販されていますので、フィルターのサイズに合った量を選択しましょう。
硬度(GH)の下げ方:軟水に傾ける方法
続いては、硬度を下げたいときに使える調整法です。
アクアリウムで飼育される熱帯魚や水草は軟水を好む品種が大半なので、硬度を低めに調整する方法を知っておくことはとても大切です。
水が硬水に傾いてお悩みの方はぜひ、ご紹介する方法をお試しください。
ソイルを敷く
底砂に敷くソイルには、水を軟水に傾ける性質があります。
特に吸着系のソイルは水中のカルシウムやマグネシウムなどを吸着してくれるため、より効果を実感しやすいでしょう。
ただし、ソイルの能力は時間の経過とともに少しずつ薄れていくため、定期的に硬度を計測して水道水と数値が変わらないようになってきたら交換を検討してください。
環境にもよりますが、大体1年程度が交換の目安です。
また、ソイルを敷いていてもレイアウトにたくさんの石を入れていると、硬度が下がりづらくなることがあります。素材の特性や水質のバランスを見ながら水槽の内容を調整しましょう。
フミン酸を出すものを入れる
植物が分解される際に発生するフミン酸(腐植酸)には、水を軟水に傾ける効果が期待できます。
自然界ではアマゾン川流域の水質であるブラックウォーターが知られており、家庭ではマジックリーフやヤシャブシの実を水槽に投入することで、同様の水質が再現可能です。
フミン酸を含むブラックウォーターは水が薄茶色に濁ってしまうのが難点ですが、飼育水を弱酸性の軟水に維持しやすくなるため、テトラ類をはじめとした熱帯魚や水草にうってつけです。エビ類にも向いていますが、軟水に寄りすぎると脱皮不全の危険があるため、コンディショナーなどで適宜ミネラル分を追加して調整しましょう。
また、マジックリーフやヤシャブシの実は量が多すぎると、水質が大きく酸性に傾いてしまうことがありますので、少しずつ様子を見ながら入れていくのがおすすめです。
ゼオライトをいれる
底砂やろ材にゼオライトを入れるのも有効です。
ゼオライトも吸着系ソイルと同様に、水中のカルシウムやマグネシウムを取り込んで水を軟水に傾ける効果が期待できます。ついでにアンモニアなどの有害な成分を吸着してくれるので、水質をきれいに保ちやすくなるのもポイントでしょう。
ただ、フミン酸などの水槽に必要であえて追加している成分も吸着してしまうことがある点には注意してください。水の軟水化が目的であれば、マジックリーフかゼオライトのどちらか一方で十分効果的です。
また、ゼオライトの吸着能力も一定期間を過ぎると低下していくため、3週間~1ヵ月をめどに交換することをおすすめします。
まとめ:アクアリウムの硬度を測ろう!熱帯魚やエビなどに与える影響と上げ下げ方法
今回は、飼育水の硬度が生き物に与える影響と、硬水・軟水に傾ける方法をご紹介しました。
水質というとpHなどにばかり目が行きがちですが、水中に暮らす生き物にとっては硬度も非常に重要な要素です。硬度が合っていないと熱帯魚や水草が調子を崩してしまうことがありますので、定期的に水質検査薬で確認をしましょう。
水を硬水傾向に持っていきたいときは、石やサンゴ砂、カキガラなどを水槽内に入れるとミネラル分が溶けだして硬度が上昇します。
反対に軟水に傾けたいときは、ソイルやゼオライトを入れてミネラル分を吸着するか、軟水傾向に傾きやすいブラックウォーターにして水質を維持するのがおすすめです。
ご紹介した方法を参考に水の硬度を調整して、生き物の健康を維持しましょう。
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